YOUCHOOSE

about

YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2020(1)2020.07.03

3月13日にメルボルンに集結していながら、金曜日のフリー走行直前に初戦オーストラリアGPの中止が決まってから112日の間に新型コロナウィルスは全世界に蔓延し、一時は、開催そのものが危ぶまれた2020年のF1グランプリもようやく開幕する。
そのため、今シーズンはシーズン前の計画に比べて大幅に開催数が減り、今のところカレンダーに載っているのは8GPに過ぎない。
しかも、オーストリアと英国でそれぞれ2戦開催されるので開催国は6か国にすぎない。
開催国は全てヨーロッパの国だから、まるで、発祥当時のF1グランプリのようだ。

現在予定されている6開催国中の3か国、イギリス、スペイン、イタリアは多数の感染者と死者を出した国々である。
F1は、ヨーロッパに深く根付いた文化だから、開催する GP数が減っても、無観客でも、何としても、F1はやるというヨーロッパ人の気概が感じられる。

F1は、これまでも、オイルショック、リーマンショック、タバコ広告の禁止、火災、安全性の問題によるトップドライバーの事故死など様々な危機を乗り越えてきたが、今回の新型コロナ・ウィルスによるパンデミックは少し勝手が違う。
経済的問題でもなければ、F1自身の安全性の問題でもない。
当初のF1と比べるとチーム規模は肥大化し、興行を運営するスタッフや撮影までF1が自前で賄うようになったので、地球をめぐり歩くサーカスとしてはかなりの大所帯だ。
無観客でも、国から国へと移動する数千人のF1関係者をシーズン中新型コロナウィルスから隔離し続けることが本当に可能なのだろうか?
とはいえ、7月3日に突然中止が決まということがなければ、2020年F1シーズンは開幕する。
2月のシーズン前テストでは、メルセデスとレッドブルが調子がよさそうだった。
フェラーリは、またもや空力設定に問題を抱えてしまっている。
トップ3チーム以外では、メルセデスの完全コピーを作ったと揶揄されるレーシング・ポイントがすこぶる好調だった。
アルファ・タウリ(トロロッソが名称変更)も大部分2019年型レッドブルだからシーズン前テストでは良いタイムを出していた。
しかし、この間、ファクトリーが閉鎖されていたとはいえ、新型コロナウィルスのおかげで開幕が4か月近く伸びたことを利用して、ルールの範囲内で宿題をまじめにやっていたチームもあるだろうから、金曜日にマシンが走り出してみないと、今シーズンの行方は占えない。

今年のルーキー・ドライバーはウイリアムズのニコラス・ラティフィただ一人だ。
旧人では、定評のあるエステバン・オコンがルノーから復帰する。
オーストリアGPでは、高地に強いホンダPUを積むレッドブルのフェルスタッペンとメルセデス・ハミルトンのチャンピオン・コンビがどう戦うかが注目の的だ。
逃げるフェルスタッペンをハミルトンが追う展開になれば、昨年のブラジルGPのような面白いレースが見られるだろう。
ハミルトンは追う立場の時は、ミスを犯しやすいので不確定要素が増える。

オーストリアGPは1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位アルボン、4位フェッテル、5位ルクレール、6位ボッタス、7位ガスリー、8位クビアト、9位サインツ、10位ペレスかな。

2020 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(21)2019.11.29

ブラジルGPは、フェルスタッペンが完勝した。
ブラジルGPでは、予選から決勝レースのすべてのシーンにおいて、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダのマシン、そしてレッドブル・チームは最強であり最速であった。
フェルスタッペンは、今季、これまでに2勝しているが、これほど完璧なレースではなかった。
ガスリーは、F1キャリアでのベストレースを2位表彰台で締めくくった。
サインツは、最後尾からスタートしながら、序盤でできるだけ順位を上げながらもソフトタイヤを28周持たせ、ワンストップ作戦を成功させたのが功を奏して、最後に3位の座が転がり込んだ。
あきらめないで、きちんとしたレースをしていれば、こうゆうこともある。
もっとも、マクラーレンのマシンが中盤グループのトップを走る実力があってのはなしだが。

今回、唯一、フェルスタッペンにチャレンジしたのは、ワールド・チャンピオンのハミルトンだった。
ハミルトンは、予選でポールポジションを獲ったフェルスタッペンから0.191秒遅れの3番手タイムだった。
コース全長が短いインテルラゴスでこのタイム差は、長いコースでの0.4秒に匹敵する。
しかも、メルセデスのマシンは高地に弱いので、高地に強いレッドブル・ホンダに本番レースでついていくのは容易ではない。
ハミルトンは、それを承知のうえで、ブラジルGPの支配者であるフェルスタッペンに対して、果敢な戦いを挑んだのだ。

ハミルトンは、スタート直後にフェッテルを抜いて2番手に進出し、早々とトップのフェルスタッペンを追撃できる体制を整えた。
そして、2秒前後の距離を保ってフェルスタッペンに離されないようについていった。
今のF1は、決勝レースを戦い抜くうえで、空気の流れ(物理的な!)が大きな要素を持っている。
先行車の真後ろに着くとPUの冷却もタイヤの冷却(!)も辛くなる。
そのため、後続車は先行車から2秒(100mぐらい)離れて走らないといけない。
トップから2秒以内にいれば、ピットインのタイミングや相手にミスで、いつでも逆転することが可能になる。
ハミルトンは、序盤にこれをきっちりと実行し、最初のピットインのタイミングでクビサの助けを借りたがフェルスタッペンの前に出ることに成功した。
しかし、次の周のストレート終わりでフェルスタッペンのレッドブル・ホンダにあっさりと交わされてしまう。
これまで、トップを独走することの多かったハミルトン・メルセデスにとっては信じられない光景だ。
それでも、ハミルトンは41周目にタイヤを交換した後も、フェルスタッペンから離されないように必死に食らいついていった。
52周目に6番手を走行していたボッタスのメルセデスPUが音をあげてストップし、セフティカーが入った。
ここで、トップのフェルスタッペンはピットインしてソフトタイヤに履き替えて勝負に出る。
同じことをしていては前に出れないハミルトンはステイ・アウトしてトップの座を得る。
しかし、せっかくの戦術もむなしく、またも、セフティカーあけにフェルスタッペンに抜かれてしまった。
それでも、ハミルトンはあきらめなかった。
フェラーリ2台が3番手を狙って同士討ちしたために出たセフティーカーの間に、ソフトタイヤに履き替える。
ところが、その間にステイ・アウトして2番手になったアルボンを無理に抜こうとして接触して、3番手に落ちたが、それでも、追撃の手を緩めない。
ファイナルラップの最終コーナーで2番手となったガスリーにインサイドから迫るが、ホンダPUのパワーで逃げ切られ、半車身差で3番手となった。
それでも、ハミルトンはゴールラインを横切るまで戦いの手を緩めなかった。

その後、ハミルトンは、アルボンとの接触の責任を認めたため、5秒ペナルティ加算で7位扱いとなった。
ハミルトンは、今年のブラジルGPにおいて、間違いなく、優勝を目指して最も戦ったF1ドライバート言えるだろう。
ハミルトンにとって、この日は、F1ドライバーとして最もレーシングした一日だったのではないだろうか。

ついに、今シーズンも最終戦アブダビGPだ。
ヤス・マリーナ・サーキットは、最近の人工的なサーキットの中ではテクニカルな要素が多いコースだ。
直角ターンの多いのが特徴の一つで、それらをどうつないで速いタイムを出すかでドライバーの技量とマシン・セッティングの巧さが問われる。
これまでは、レッドブルが得意とするタイプのコースだったが、今年は低速コーナーで速いメルセデスに最も適したコースかもしれない。
各車、エンジンを持たせる必要がないからフルスロットルだ。

アブダビGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位アルボン、5位ルクレール、6位ガスリー、7位ノリス、8位ボッタス、9位リチャルド、10位ヒュルケンベルグかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(20)2019.11.15

アメリカGPは、ボッタスが快勝した。
ハミルトンは5番グリッドからスタートしながら、巧みなタイヤ・マネジメントと速いレース・ペースによって、2位フィニッシュまで持ってきた。
ハミルトンは、アメリカGPを2位でゴールしたことにより、2019年のワールドチャンピオンとなった。
これで、ハミルトンは、通算6回ワールドチャンピオンに輝いたことになる。
ハミルトンは、通算のチャンピオン回数5回で並んでいたファンジオを抜いて、単独の2位となり、1位シューマッハの7回に並ぶまであと1回と迫った。
ハミルトンは、歴代のイギリス人F1ドライバーの中で群を抜いた成績をあげており、今なお進化を続けている。
シューマッハに並び、上に立つことも夢ではない。

ボッタスは、予選から好調で、ポールポジションを獲り、決勝レースでも好スタートを決めてトップのポジションを守った。
その後も、ツー・ストップ作戦をきっちりと機能させて、ハミルトンを含む他のドライバーに付け入るスキを与えなかった。

フェルスタッペンは、予選でトップのボッタスから0.067秒遅いタイムで3番グリッドからスタートし、1コーナーで2位に浮上したが、序盤にフロント・ウイングのエンドプレートを痛め、ペースが上がらない中奮闘し、終盤、ワン・ストップ作戦のためペースの落ちたハミルトンに迫った。
しかし、ファイナルラップで黄旗が出たため、フェルスタッペンはハミルトンを抜くことができず、3位でゴールしたが、久々に表彰台に上ることができた。

フェラーリは、予選から前レースまでのような群を抜いた速さを示すことができずにいた。
フェッテルは予選2番手、ルクレールは4番手からの決勝スタートだったが、ルクレールは、4位でフィニッシュしたものの、3位フェルスタッペンから47秒以上離されていた。
フェッテルは、リタイヤに終っている。
フェラーリは、PUレギュレーションの隙間を突いた方策によって、パフォーマンス・ゲインを得ていたと他チームから疑われていた。(フェラーリは否定している)
レッドブルは、隙間を突いたような方策の是非に対する質問をFIAに出した。
FIAはそのような対策の合法性を明確に否定した。
その影響か、アメリカGPでは、フェラーリが群を抜いて速いということがなくなった。

アルボンは、1周目で2台に挟まれて、ウイング交換のために最後尾まで落ち、そこから、追い上げて、5位にに入った。
これによって、アルボンは来シーズンのレッドブルF1のシートを確定した。
アルボンは、来年からは、スタートで後ろに下がらずに、トップを狙えるようにならないといけない。

次は、南へ下がって、ブラジルGPだ。
インテルラゴスは、やや標高のある、反時計回りの全長が短い部類に入るサーキットだ。コースの高低差があり、3次元コーナーもある。
残念ながら、今年、出場するブラジル人F1ドライバーはいない。
チャンピオンも決まっているから、消化レースのように見えるかもしれないが、むしろ、ドライバーは、このレースだけに集中して目いっぱい走ることができる。
使用レース数の少ないPUを持っているホンダ陣営は、エンジンの耐久性を考えずにぶん回すことができる。
しかも高地に強いホンダPUの力の見せ所だ。

ブラジルGPは、1位フェルスタッペン、2位アルボン、3位ハミルトン、4位フェッテル、5位ルクレール、6位ボッタス、7位ガスリー、8位クビヤト、9位リチャルド、10位ヒュルケンブルグかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(19)2019.11.01

メキシコGPは、ハミルトンがフェラーリ2台とメルセデスのチームメートを抑えて優勝した。
ハミルトンはこれで今季10勝目となった。
ハミルトンは、今季これまでの18レースの半分以上を制したことになる。
ハミルトンは、得意のハードタイヤ・ロングランによるワンストップ作戦を敢行し、予選での劣勢を決勝で覆してみせた。
2位のフェッテルは、久々に元チャンピオンらしい走りを見せ、ハミルトンから1.8秒遅れでゴールした。
3位はフェッテルから更に1.8秒遅れてボッタスが入った。
ボッタスが3位に入ったことにより、ハミルトンのチャンピオン決定は次戦以降に持ち越された。

ルクレールは、ボッタスから2.8秒遅れの4位に終わり表彰台を逃した。
ルクレールについては、またしても、チームの作戦に若干の疑問符が残る。
5位に入ったアルボンはスタート順を維持したが、マシンのポテンシャルからして4位から15秒以上離されたのはいただけない。
6位は、スタート直後に最後尾まで落ちたところから追い上げたフェルスタッペンだった。

ペレスは、熱狂的なメキシカンの声援を一身に受けて、情熱的なドライビングを見せ、レーシングポイントのマシンを7位に導いた。
8位にはリチャルドが入り、ルノーのマシンがブレーキでルール違反をしなくても充分速いことを示した。

今回、勝てたレースを落としたのはフェルスタッペンだった。
空気の薄いところでは速く、クーリングに優れたレッドブル・ホンダは、予選からめっぽう速かった。
このコースを得意とするフェルスタッペンのドライビングと相まって、ただ一人、1分14秒台のタイムをたたき出した。
フェラーリでさえ敵ではなかった。
それなのに、フェルスタッペンのアグレッシブさが悪いほうに働いた。
予選Q3が終わる直前、最終コーナーで、ボッタスがスピン・クラッシュをして黄旗が2枚振られた。
予選タイムをさらに縮めたかったフェルスタッペンは、コーナーを通過するとき減速して安全を確保しなければいけないところで、アクセルを緩めなかった。
そのあとに通過したフェッテルは、きちんと減速したので、予選3番手のタイムしか出せなかった。
フェルスタッペンは、その前に出したタイムでも充分にポールポジションはとれていたのだが、コーナー通過時点でフェッテルが良いタイムを出す可能性を考え、安全とルールに目をつぶって、さらに速いタイムを出すほうを選んでしまったのだろう。
せっかくのポールポジションをふいにしたフェルスタッペンは、3グリッド降格の4番グリッドからスタートする羽目になった。
これが決勝レースのスタートと序盤での無理による接触ーパンクーピットインー最後尾からの追い上げへとと繋がっていった。
これではいくら速いマシンに乗っていても、優勝はできない。
レッドブルは、オーストリアとドイツはフェルスタッペンのドライビングによって勝ったが、メキシコではフェルスタッペンのドライビングによって勝てるレースを落とした。

次は1週間後のアメリカGPだ。
今シーズンもアメリカGPを入れて残りあと3戦となった。
F1がなかなか根付かないと言われたアメリカで、オースティン近郊のサーキット・オブ・ジ・アメリカズでF1GPが開催されるようになってからは、アメリカにF1が定着してきたように感じられる。
前後のイベントはかなりアメリカンスタイルだが。
ハースF1にとって、アメリカGPは重要なホームレースだ。
低予算でやっているせいか、最近結果が出ていないが、ここではぜひポイント圏内でフィニッシュしてもらいたい。

アメリカGPは、1位フェルスタッペン、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位ルクレール、5位アルボン、6位ボッタス、7位クビヤト、8位グロージャン、9位ヒュルケンブルグ、10位ノリスかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(18)2019.10.25

日本GPは、ボッタスが2位に13秒以上の差をつけて優勝を飾った。
フェッテルは、せっかくポールポジションを獲ったのに、スタートで出遅れたために2位に甘んじた。
ハミルトンは、4番グリッドからのスタートが響いたのと、ワンストップのつもりがツー・ストップになったことにより、ポジションを挽回できず、3位でゴールした。

4位にはアルボンが入った。
アルボンは、6番グリッドからのスタートだったが、スタートをしくじり、サインツとノリスに先行を許してしまった。
ところが、アルボンは、ノリスを早々と攻略し、良いペースを保って走行、サインツがタイヤ交換した際に4番手に浮上し、そのままの順位でゴールすることに成功した。
アルボンは、シーズン開始直前に、F1に乗ることが決まったルーキーだが、シーズン前半にトロロッソで結果を出し、シーズン後半になって、レッドブルに昇格してからも、結果を出し続けている。
5位には、アルボンから10秒遅れてサインツが入った。ここまでが、トップと同一周回でのゴールだった。

ルクレールは、2番グリッドからスタートしたが、2コーナーで5番グリッドから好スタートしたフェルスタッペンに3番手のポジションを奪われまいと接触した。
このため、フェルスタッペンはリタイヤし、ルクレールのマシンもダメージを負ったため、1周遅れの6位につけるのが精一杯だった。
またしても、フェラーリは、勝てたかもしれない試合を落とした。
メルセデスは、巧みなチーム戦略(ハミルトンに不満は残ったが)で、予選では敵わなかったフェラーリに勝った。
その結果、メルセデスは今年のコンストラクターズ・タイトルを決めた。

次は、メキシコGPだ。
メキシコGPのコース、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは高地にあって空気抵抗が少ない。
空気が薄いということは、PUにとっても厳しい条件だ。
去年は、レッドブルが速かったが、今年はどうなるか予想がつかない。
今週末は、3日とも雨の予報なので、雨に強いドライバーにとっては有利だ。
ペレスにとってはホーム・グランプリだ。熱狂的なメキシカンの声援を受けて、今年は好結果を出してほしい。

メキシコGPは、1位フェルスタッペン、2位アルボン、3位フェッテル、4位ルクレール、5位ハミルトン、6位ボッタス、7位ガスリー、8位ペレス、9位ノリス、10位サインツかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉