- YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
- 幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。
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Formula One 2018(9)2018.06.29
フランスGPはハミルトンの完勝に終わった。フェルスタッペンはハミルトンから7秒遅れの2位、ライコネンは約26秒遅れの3位だった。
メルセデスは、他のチームより1レース遅らせて第8戦のフランスGPからアップデート版のPUを投入してきた。
メルセデスは、空力のアップデートも合わせて投入した結果、予選から速く、ハミルトンがポールポジションを獲っただけでなく、ボッタスも僅か0.12秒差の2番手に着けた。
フェッテルはトップのハミルトンから0.37秒差の3番手だった。
予選4番手と5番手はフェルスタッペンとリチャルド、6番手はライコネンだった。
決勝レースは、またしても、クリーンスタートにはならなかった。
スタート直後、2番手ボッタスの前に出ようとした3番手のフェッテルがボッタスに追突して2台ともダメージを受けた。
後方グループの中でも接触があり、オコンとガスリーが止まってしまい、ホーム・グランプリのフランス人ドライバー二人が一瞬にしてリタイヤとなった。
2周目からセフティカーが入り、5周目にレースは再開された。
これでハミルトンは、スタート前よりもずっと楽になった。
フェッテルとボッタスが後方に行ってしまったので、注意を要するのは2番手まで浮上したフェルスタッペンだけだった。
しかし、ここでは、フェルスタッペン+レッドブルも、ハミルトンを脅かすだけの速さ持ち合わせていなかった。
タイヤに厳しいメルセデスとって、気温が25度で路面温度が45度だったことも幸いした。
注目の新人、ルクレールは、フランスGPでも10位に入る活躍を見せた。
来年のフェラーリ・シートは確実だろう。そうなると、フェッテルもうかうかしていられなくなる。
フランスGPでハミルトンが優勝、フェッテルが5位になったことによって、ハミルトンがフェッテルに14ポイント差をつけて、チャンピオンシップのトップに返り咲いた。
メルセデスが再びパフォーマンス上、優位に立ったように見えるが、昨シーズンまでとは違って差は小さく、コースとのマッチングや路面温度によって簡単に逆転できる。
シーズン終盤まで、3チームによるチャンピオンシップ争いは続くだろう。
今シーズンは、トップ3チームだけでなく、ルノー、ハース、フォースインディアがいいパフォーマンスを見せ始めているし、ホンダPUがようやくルノーPUと肩を並べるところまで来たので、トロロッソももう少し上位でフィニッシュできるようになるだろう。
次は、オーストリアGPだ。
レッドブルリンクは、標高700mに位置するので、メキシコほどではないが、吸気圧が低いのでパワーを出すためにはターボに負担がかかる。
コースは標準的なF1コースに比べると短めの全長4.3Kmなので、予選Q1はコース上が込み合うし、決勝も周回数が多いのでアクシデントの発生する確率が高くなる。
レッドブルチームにとって、オーストリアGPはホームレースだ。
レッドブル、トロロッソとも空気抵抗の少ない車体設計なので、空気の薄いところでは、むしろ、アドバンテージが減るが、ホームレースに向けて何らかのアップデートを入れてくるだろう。
オーストリアGPは、1位フェルスタッペン、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位サインツ、8位ルクレール、9位グロージャン、10位ペレスかな。
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Formula One 2018(8)2018.06.22
フェッテルがカナダGPを完全に制した。
フェッテルはポールポジションを獲り、決勝レースでも、一度も首位の座を譲ることなくチェッカーを受けた。
決勝レースは、クリーンスタートで始まり、グリッド順でレースが進むかと思われたが、ターン5でストロールがコース左側に膨らみ、ハートレーが壁に押しやられて大クラッシュ、二人はここでリタイヤとなった。
このため、レース開始早々の2周目からセフティカーが入り、4周目にレースが再開した。
例年、カナダGPでは、ヘヤピン後の長いストレートを使って追いつき、シケイン手前で前に出る追い越しが頻繁にみられたのだが、なぜか、今年は追い越しがあまりなかった。
また、レース終盤になると、ハード・ブレーキングを繰り返しでブレーキが音を上げる車が出てくるのだが、ブレーキ・トラブルを起こした車はあまりなかった。
エネルギー回収システムの進化と、空力向上のためにブレーキの冷却気がホイール内側を抜けていく機構がメカニカル・ブレーキの負担を軽くしているのだろうか。
今年のカナダGP決勝レースは、淡々としたレースに終始し、2位ボッタス、3位フェルスタッペンという、スターティング・グリッドどおりの着順となった。
リチャルドは、グリッドより二つポジションを上げて4位、カナダでは圧倒的に強いはずのハミルトンは、5位、ライコネンは6位という結果だった。
7位以下は全て1周以上の遅れだった。
ルクレールは、ここでもザウバーで10位に入ってみせた。
第7戦、カナダGPが終了した時点で、今シーズン全21戦の1/3を消化したことになる。
フェッテルは、今季3勝目を上げたことにより、ハミルトンを1ポイント上回り、チャンピオンシップでトップに立った。
チャンピオンシップポイント3位には優勝はないものの2位の多いボッタスがつけている。
今シーズンは、昨年までと違い、メルセデスが突出しているわけではない。
フェラーリはメルセデスと互角に戦っているし、レッドブルもPUのハンディがありながら2勝している。
今年から、ピレリは、これまで最も柔らかかったウルトラ・ソフトよりもさらい柔らかいハイパー・ソフトを導入した。
メルセデスはリヤタイヤに厳しいので、柔らかいタイヤだと無理ができない。
これがメルセデスの決勝レースのペースに微妙な影を落としている。
このため、柔らかめのタイヤが指定されているコースでは、メルセデスが予選でもトップに立てなくなってきた。
ハミルトンが得意とするジル・ビルヌーブ・サーキットで予選4位に甘んじていることがメルセデスの苦悩を物語っている。
しかし、カナダGPは、メルセデスだけがPUのアップデート版を投入していないから、次のGPでアップデート版が投入されれば、メルセデスが盛り返す可能性もある。
カナダGP 後、レッドブルが来年からホンダPUを搭載することが正式に発表された。
来年から、ホンダは言い訳が利かなくなる。
次は、10年ぶりに開催されるフランスGPだ。
フランスGPが開催されるポール・リカール・サーキットは1990年までフランスGPが開催されていたコースだが、現在のコースは直線部分が長くのばされ、長い直線の中間にシケインを持つロング・コース・レイアウトとなっている。
チームもドライバーもほとんどロング・コースの経験がないから、金曜日のフリー走行によるマシン・セッティングが極めて重要になる。
フランスGPは、グロージャンとガスリーにとっては初めてのホームレースだ。
ルノー・チームにとっても重要なレースとなる。
フランスGPは、1位ハミルトン、2位フェッテル、3位リチャルド、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位サインツ、8位ハートレー、9位グロージャン、10位オコンかな。
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Formula One 2018(7)2018.06.08
モナコGP、リチャルドが見事な優勝を飾った。
レース後、アロンソは、観客にとって、つまらないレースだったと語ったが、そんなことはない。
アロンソにとって、つまらないレースだっただけだ。久々に、モナコでしか見られない、手に汗握るレースをみることができた。
リチャルドは、モナコ・ウイナーにふさわしいドライビングスキルを披露して、今回の優勝を勝ち取ったのだ。
リチャルドは、78周レースの28周目にMGU-Kのトラブルによって約15%オパワーとリア・ブレーキのアシストを失いながらも、50周にわたって、マシンのエネルギーとブレーキをコントロールし、フェッテルとハミルトンを抑えきって、ポール・ツー・ウインを果たした。
グランプリ6戦を終えて、ハミルトン、フェッテル、リチャルドがそれぞれ2勝したことになり、おかげで、チャンピオンシップ争いはシーズン序盤から接戦となっている。
今年のモナコで、レッドブル+リチャルドは木曜日から群を抜いていた。
ライバルチームが、タイヤのマッチングに苦しむ中、レッドブルはタイヤをうまく履きこなしていて、プラクティス、予選を通じて頭抜けて速かった。
リチャルドは予選Q3でただ一人、1分10秒台のラップ・タイムを叩きだして、ポールポジションを獲った。
フェルスタッペンはプラクティスでクラッシュして、最後尾スタートだったが、決勝レースでは、抜き場所がないと言われるモナコで際どいパッシングを何度も決めて、最後は9位でフィニッシュした。
レッドブルは、空力性能が極めて優れていると言われるが、今年のモナコを見ていると、メカニカル・トラクションも素晴らしい。
かつてのウイリアムズ(1992年~1996年)も、この両方に優れていたが、その当時、ウイリアムズのチーフ・デザイナーをしていたのが他ならぬ現レッドブルの技術責任者、エイドリアン・ニューウェイだ。
今年のモナコで光ったドライバーは、ガスリー、ヒュルケンベルグ、フェルスタッペンの3人だ。
決勝の1位から6位までは予選結果と同じ順位だったが、この3人は、決勝で予選より上の順位でゴールした。
ガスリーは、ハイパーソフトを27周目まで引き伸ばして使い、その間にタイム的にライバルより前に出ておいて、ピットインのタイミングが他車とずれているのを利用して7位まで上がったのだ。ガスリーは、タイヤのマネージメントを巧くやった。
次は、大西洋を渡り、カナダGPだ。
ジル、ビルヌーブ・サーキットは、モナコとは違い、ヘアピンを含むタイトコーナーを長い直線で結んだ、典型的なストップ・アンド・ゴー・コースだ。
シケインを脱出してホームストレートに入るところは、エスケープ・ゾーンがなく、アウト側のコンクリートのウォールに張り付く車が多いので有名だ。
ICU全開とハードブレーキングを繰り返すため、PUとブレーキにとって厳しいコースだ。
フェラーリ、ルノー、ホンダはカナダGPでPUのアップグレード版を投入する。
メルセデスは、PUアップグレードの投入を見送ったので、カナダGPのPU 対決は見ものだ。。
カナダGPは、ストロールのホームレースだが、今年のウイリアムズで上位を狙うのは至難の業だ。
ハミルトンは、新人だった2007年の初優勝以来、このコースで、6勝している。
カナダGPは、1位ハミルトン、2位フェッテル、3位リチャルド、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位ペレス、8位ハートレー、9位ペレス、10位ストロールかな。
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