YOUCHOOSE

about

YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2017(4)2017.04.28

バーレーンGPはフェッテルが見事なレース運びで優勝した。
チャイナGPとは逆に2位ハミルトンに6.7秒差をつけた。
ハミルトンからさらに14秒遅れてボッタスが3位でゴールした。
予選では、ハミルトンを退けてポールポジションをとったボッタスだったが、決勝では、序盤のタイヤ内圧の問題、中盤から終盤にかけてのタイヤマネジメントのまずさから、3位まで後退してしまった。
ライコネンは、ボッタスまであと2秒というところまで追い上げたが4位でレースを終えている。

予選では、強力な予選モードを持つメルセデスがフェラーリを上回るが、決勝では、フェラーリとメルセデスの実力には大差がない。
むしろ、フェラーリはタイヤに優しく、メルセデスはタイヤに厳しい傾向がある。
今年のフェラーリは、ポールが取れなくても決勝でメルセデスの前に出ることができる。
今回、フェラーリは攻撃的な戦略を見せた。
フェッテルのフェラーリは、11周目にスタート・タイヤと同じスーパー・ソフトに交換し、トップを走っていたボッタスをアンダー・カットすることに成功した。
これは、フェッテルがスタート直後の1コーナーでアウト側にラインをとってハミルトンをかわして2番手に進出し、その後も、タイヤ交換まで好タイムを連発していたからうまくいったのだ。
ハミルトンは序盤に3番手まで後退したが、メルセデス・マシンのタイヤ・マネジメントはボッタスよりも巧かった。
ハミルトンは、中盤にボッタスの前に出ることができたが、フェッテルに追いつくことはできなかった。
5-10位は、リチャルド、マッサ、ペレス、グロージャン、ヒュルケンベルグ、オコンの順でゴールした。
10位までが、トップと同一周回だった。

アロンソは、バーレーンGPでも奮闘してマクラーレン・ホンダを14位で完走させた。
しかし、アロンソは、マクラーレン・ホンダの3年間で少なくとも1回はチャンピオンを手にできると思っていたに違いない。
アロンソのフラストレーションは溜まるばかりで、昨年は鳴りを潜めていたドライビング中のパワー・ユニット批判が復活している。
そんな、アロンソの苛立ちを少しでも解消すべく、マクラーレン・ホンダが打った手は、アロンソがモナコGPを欠場して、アメリカのインディ500に出場できるようにすることだった。
モナコで優勝を狙えるわけでもなく後ろのほうを走るぐらいなら、インディに挑戦する方がよっぽど気が晴れるというものだ。
かつて、ロータスを駆るジム・クラークが、インディ500に挑戦して見事優勝した時はフライング・スコット(クラークはスコットランド人)と呼ばれ、賞賛された。
元々、モナコGPとインディ500は異なる日に開催されていて、少し無理をすれば両方に出場することが可能だった。
近年は、F1側がカレンダー上の配慮をしないため、両方に出場することができなくなっている。

次は、ロシアGPだ。
ソチの冬季オリンピック会場に設けられた270度円形コーナーを持つコースでPUの差が出ると言われている。
シャシー面では当然のことだが曲がらないマシンは辛い。
クビヤトは、ホームグランプリなのでいいところを見せてほしい。
ロシアGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ライコネン、4位ボッタス、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位クビヤト、8位ヒュルケンベルグ、9位マグネッセン、10位アロンソかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(3)2017.04.14

ハミルトンはチャイナGPを優勝して、オーストラリアGPの借りを返した。
フェラーリのフェッテルが6秒遅れの2位に入ったので、ハミルトンとフェッテルはチャンピオンシップポイントで並んだ。
シーズンが始まって、まだ2戦を終えただけだが、異なるチームのドライバーがチャンピオンシップポイントで並ぶのは何年ぶりだろう。

フェルスタッペンは、予選時のトラブルによって17番手スタートとなったが、見事に挽回して3位でゴールした。
フェルスタッペンはドライでも速いが、ウエット・コンディションではさらに速さが際立つ。
4位リチャルド、5位ライコネン、6位ボッタスはフェルスタッペンから3秒以内の僅差でゴールした。
上位3チームの6人が1位から6位でゴールしたことになる。7位-10位はサインツ、マグネッセン、ペレス、オコンが1周遅れでゴールした。

レースは、スタート時、雨の上がったセミ・ウエット路面で、サインツとパーマー以外はインターミディエイトを履いてスタートした。
ポールポジションのハミルトンはクリーンなスタートを決め、1コーナーを一番で抜けて行ってからゴールするまで、トップの座を譲ることはなかった。
フェッテルはタイヤを早めにスーパーソフトに交換してハミルトンを追ったが、中盤以降のハミルトンはフェッテルとのタイム差を一定に保つ余裕を見せ、完璧にレースを支配した。
それでも、レース後、フェッテルは嬉しそうな顔でハミルトンンに駆け寄って健闘を称えあっていた。
フェッテルには、久々にレースらしいレースができた喜びが溢れていた。
3位から6位までの戦いは、路面がウエット状態の序盤の間にスターティンググリッドのハンデを解消したフェルスタッペンが制したと言っていいだろう。
いずれにしても、異なる3チームのマシンとパワーユニットが6人のトップドライバーによって争われたレースらしいレースで、観客もドライバーも存分にレースを楽しむことができた。

アロンソは、メルボルンに続いて上海でも驚異的なドライビングを見せ、12番グリッドでスタートして、スタート直後にうまく前者の間をすり抜けて7番手まで浮上した。
一時は6番手を走っていたが、ドライブシャフトの破損でリタイアしてしまった。
そのまま走っていればポイント・フィニッシュは確実だっただろう。
マクラーレン・ホンダは、PU(ICU)のパワー不足と信頼性やシャシー・トラブルによって、シーズン前に競争力のあるマシンに仕立てることができなかった。
ホンダは、今年からPUの開発制限がなくなったのだから言い訳はできない。
マクラーレンも、常勝だったころの鉄壁さを取り戻す必要がある。

第2期のホンダF1時代に1.5リッター・ターボでホンダが勝ちすぎて自然吸気エンジンにレギュレーションが変更されることになった、
当時、ホンダF1監督の桜井が本田宗一郎にF1を続けるかどうか相談に行ったところ、宗一郎はそのルールはホンダだけに適用されるのかと問い、桜井が全メーカーに適用されると答えると、宗一郎は、「だったら、どこよりも早くいいエンジンを作れるのはうちだから考えることはないだろう。」と答えたとされる。
武士道に帰依するアロンソの走りに応えるためにも、ホンダのエンジニアには奮起してもらいたい。
第2期の時も数々のヨーロッパ・エンジンを打ち負かすことができたのだから。

次は、バーレーンGPだ。
ヨーロッパ時間に合わせて当地はトワイライト・タイムに行われるので暑さはさほど問題にならない。
雨は降らないから、メルセデスのパワー・アドバンテージが出やすいレースになるかもしれない。
予選ではメルセデスとフェラーリのタイム差はこれまでの2戦以上に開くかもしれないが、フェラーリは決勝レースに強いし、タイヤにも優しいから今回も互角の戦いが期待できる。

バーレーンGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ライコネン、4位ボッタス、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位サインツ、9位ペレス、10位グロージャンかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(2)2017.04.04

開幕戦のオーストラリアGPでフェラーリとフェッテルは見事な優勝を飾った。
現行のパワーユニット・レギュレーションになってから3年を経過して、やっと、メルセデスと互角に渡り合えるチームが出現したのだ。
2位と3位には相変わらず強いメルセデスのハミルトンとボッタスが入ったが、今年はメルセデス・レースではなくF1レースを見ることができそうだ。

フェラーリとメルセデスの拮抗した戦いはすでに予選から始まっていた。
ハミルトンは一発の速さを見せてポールポジションを獲ったが、フェッテルはハミルトンから僅か0.268秒差のタイムを出して、2番手に着けた。
予選3番手にはフェッテルに僅差で負けたボッタスが着け、ライコネンはハミルトンから0.915秒離された4番手だった。
予選5番手はレッドブルのフェルスタッペン、そして、6番手には、好調な2017フェラーリPUに後押しされたハースのグロージャンが入った。
メルセデスはPU、レッドブルはギヤボックスの信頼性を確保するために開幕戦を前に予定していたものよりも重いパーツに変更したのがタイムに影響している可能性が高い。
理由はともかく、少なくともフェラーリが天候やアクシデントに頼らなくてもメルセデスと互角に渡り合えるだけのマシンを仕上げてきてくれたおかげで、2017年シーズンが俄然面白くなったことは確かだ。

決勝レースは、ハミルトンがポールポジションからクリーンでミスのないスタートを決めた。
フェッテルはスタートでハミルトンを出し抜くことはできなかったが、常にハミルトンの背後につけ、ハミルトンから離されることはなかった。
フェラーリよりはタイヤに負担をかけるメルセデスに乗るハミルトンは、フェッテルより先にタイヤ交換をせざるを得なかった。
タイヤ交換を終えてコース上に戻ったハミルトンは、まだピットインしていないフェルスタッペンの背後につかざるを得ず、ラップタイムが若干遅くなってしまった。
この数周の間に好タイムを連発したフェッテルがタイヤ交換のためにピットインし、フェルスタッペンとハミルトンの前でコースに戻ることができた。
その後も、フェッテルのフェラーリは好ペースを維持し、ハミルトンはフェッテルから約10秒後方でゴールするしかなかった。
4位にはライコネン、5位にはフェルスタッペンが入った。トップと同一周回でゴールしたのは6位のマッサまでだった。

2017年シーズンはトップ3チーム・6台がマシンの特性とコースの組み合わせによって順位を入れ替える展開になると予想される。
タイヤもグリップの安定したものが用意されているから、タイヤによる不確定要素は少なくなる。
ただし、タイヤ交換回数は減るから、今回のレースのようにたった1度のタイヤ交換のタイミングでレースが決まってしまうことも多くなるだろう。

2016年シーズン終了時点から開発のトークン制が廃止されたおかげで、パワーユニットを自由に再設計して新シーズンに備えることが可能になった。
メルセデスは依然として先行しているが、フェラーリも遜色のないところまでPUを仕上げてきた。
ルノーもこれまでの3年間とは違い、メルセデスとの差を縮めることに成功したように見受けられる(信頼性に疑問は残るが)。
残念ながらホンダPUはいまだに低迷している。
今のところ、マクラーレンホンダの下にいるのは2016年型フェラーリPUを積むザウバーだけだ。
開発は自由に行えるのでパフォーマンスで追いつくことは可能だが、年間4基しか使えないので頻繁に新型に交換するとグリッド・ダウン・ペナルティを食らう。上位チームはアップデートを3回以内にとどめようとするだろう。

次はチャイナGPだ、上海は、ストリートコースのような特性のメルボルンとは違い、論理的に設計された専用コースなのでマシンの優劣がはっきりと出るだろう。
シーズン初戦を落としたメルセデスの巻き返しが見ものだ。

チャイナGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ボッタス、4位ライコネン、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位ヒュルケンベルグ、9位サインツ、10位ペレスかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉