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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2019(21)2019.11.29

ブラジルGPは、フェルスタッペンが完勝した。
ブラジルGPでは、予選から決勝レースのすべてのシーンにおいて、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダのマシン、そしてレッドブル・チームは最強であり最速であった。
フェルスタッペンは、今季、これまでに2勝しているが、これほど完璧なレースではなかった。
ガスリーは、F1キャリアでのベストレースを2位表彰台で締めくくった。
サインツは、最後尾からスタートしながら、序盤でできるだけ順位を上げながらもソフトタイヤを28周持たせ、ワンストップ作戦を成功させたのが功を奏して、最後に3位の座が転がり込んだ。
あきらめないで、きちんとしたレースをしていれば、こうゆうこともある。
もっとも、マクラーレンのマシンが中盤グループのトップを走る実力があってのはなしだが。

今回、唯一、フェルスタッペンにチャレンジしたのは、ワールド・チャンピオンのハミルトンだった。
ハミルトンは、予選でポールポジションを獲ったフェルスタッペンから0.191秒遅れの3番手タイムだった。
コース全長が短いインテルラゴスでこのタイム差は、長いコースでの0.4秒に匹敵する。
しかも、メルセデスのマシンは高地に弱いので、高地に強いレッドブル・ホンダに本番レースでついていくのは容易ではない。
ハミルトンは、それを承知のうえで、ブラジルGPの支配者であるフェルスタッペンに対して、果敢な戦いを挑んだのだ。

ハミルトンは、スタート直後にフェッテルを抜いて2番手に進出し、早々とトップのフェルスタッペンを追撃できる体制を整えた。
そして、2秒前後の距離を保ってフェルスタッペンに離されないようについていった。
今のF1は、決勝レースを戦い抜くうえで、空気の流れ(物理的な!)が大きな要素を持っている。
先行車の真後ろに着くとPUの冷却もタイヤの冷却(!)も辛くなる。
そのため、後続車は先行車から2秒(100mぐらい)離れて走らないといけない。
トップから2秒以内にいれば、ピットインのタイミングや相手にミスで、いつでも逆転することが可能になる。
ハミルトンは、序盤にこれをきっちりと実行し、最初のピットインのタイミングでクビサの助けを借りたがフェルスタッペンの前に出ることに成功した。
しかし、次の周のストレート終わりでフェルスタッペンのレッドブル・ホンダにあっさりと交わされてしまう。
これまで、トップを独走することの多かったハミルトン・メルセデスにとっては信じられない光景だ。
それでも、ハミルトンは41周目にタイヤを交換した後も、フェルスタッペンから離されないように必死に食らいついていった。
52周目に6番手を走行していたボッタスのメルセデスPUが音をあげてストップし、セフティカーが入った。
ここで、トップのフェルスタッペンはピットインしてソフトタイヤに履き替えて勝負に出る。
同じことをしていては前に出れないハミルトンはステイ・アウトしてトップの座を得る。
しかし、せっかくの戦術もむなしく、またも、セフティカーあけにフェルスタッペンに抜かれてしまった。
それでも、ハミルトンはあきらめなかった。
フェラーリ2台が3番手を狙って同士討ちしたために出たセフティーカーの間に、ソフトタイヤに履き替える。
ところが、その間にステイ・アウトして2番手になったアルボンを無理に抜こうとして接触して、3番手に落ちたが、それでも、追撃の手を緩めない。
ファイナルラップの最終コーナーで2番手となったガスリーにインサイドから迫るが、ホンダPUのパワーで逃げ切られ、半車身差で3番手となった。
それでも、ハミルトンはゴールラインを横切るまで戦いの手を緩めなかった。

その後、ハミルトンは、アルボンとの接触の責任を認めたため、5秒ペナルティ加算で7位扱いとなった。
ハミルトンは、今年のブラジルGPにおいて、間違いなく、優勝を目指して最も戦ったF1ドライバート言えるだろう。
ハミルトンにとって、この日は、F1ドライバーとして最もレーシングした一日だったのではないだろうか。

ついに、今シーズンも最終戦アブダビGPだ。
ヤス・マリーナ・サーキットは、最近の人工的なサーキットの中ではテクニカルな要素が多いコースだ。
直角ターンの多いのが特徴の一つで、それらをどうつないで速いタイムを出すかでドライバーの技量とマシン・セッティングの巧さが問われる。
これまでは、レッドブルが得意とするタイプのコースだったが、今年は低速コーナーで速いメルセデスに最も適したコースかもしれない。
各車、エンジンを持たせる必要がないからフルスロットルだ。

アブダビGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位アルボン、5位ルクレール、6位ガスリー、7位ノリス、8位ボッタス、9位リチャルド、10位ヒュルケンベルグかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(20)2019.11.15

アメリカGPは、ボッタスが快勝した。
ハミルトンは5番グリッドからスタートしながら、巧みなタイヤ・マネジメントと速いレース・ペースによって、2位フィニッシュまで持ってきた。
ハミルトンは、アメリカGPを2位でゴールしたことにより、2019年のワールドチャンピオンとなった。
これで、ハミルトンは、通算6回ワールドチャンピオンに輝いたことになる。
ハミルトンは、通算のチャンピオン回数5回で並んでいたファンジオを抜いて、単独の2位となり、1位シューマッハの7回に並ぶまであと1回と迫った。
ハミルトンは、歴代のイギリス人F1ドライバーの中で群を抜いた成績をあげており、今なお進化を続けている。
シューマッハに並び、上に立つことも夢ではない。

ボッタスは、予選から好調で、ポールポジションを獲り、決勝レースでも好スタートを決めてトップのポジションを守った。
その後も、ツー・ストップ作戦をきっちりと機能させて、ハミルトンを含む他のドライバーに付け入るスキを与えなかった。

フェルスタッペンは、予選でトップのボッタスから0.067秒遅いタイムで3番グリッドからスタートし、1コーナーで2位に浮上したが、序盤にフロント・ウイングのエンドプレートを痛め、ペースが上がらない中奮闘し、終盤、ワン・ストップ作戦のためペースの落ちたハミルトンに迫った。
しかし、ファイナルラップで黄旗が出たため、フェルスタッペンはハミルトンを抜くことができず、3位でゴールしたが、久々に表彰台に上ることができた。

フェラーリは、予選から前レースまでのような群を抜いた速さを示すことができずにいた。
フェッテルは予選2番手、ルクレールは4番手からの決勝スタートだったが、ルクレールは、4位でフィニッシュしたものの、3位フェルスタッペンから47秒以上離されていた。
フェッテルは、リタイヤに終っている。
フェラーリは、PUレギュレーションの隙間を突いた方策によって、パフォーマンス・ゲインを得ていたと他チームから疑われていた。(フェラーリは否定している)
レッドブルは、隙間を突いたような方策の是非に対する質問をFIAに出した。
FIAはそのような対策の合法性を明確に否定した。
その影響か、アメリカGPでは、フェラーリが群を抜いて速いということがなくなった。

アルボンは、1周目で2台に挟まれて、ウイング交換のために最後尾まで落ち、そこから、追い上げて、5位にに入った。
これによって、アルボンは来シーズンのレッドブルF1のシートを確定した。
アルボンは、来年からは、スタートで後ろに下がらずに、トップを狙えるようにならないといけない。

次は、南へ下がって、ブラジルGPだ。
インテルラゴスは、やや標高のある、反時計回りの全長が短い部類に入るサーキットだ。コースの高低差があり、3次元コーナーもある。
残念ながら、今年、出場するブラジル人F1ドライバーはいない。
チャンピオンも決まっているから、消化レースのように見えるかもしれないが、むしろ、ドライバーは、このレースだけに集中して目いっぱい走ることができる。
使用レース数の少ないPUを持っているホンダ陣営は、エンジンの耐久性を考えずにぶん回すことができる。
しかも高地に強いホンダPUの力の見せ所だ。

ブラジルGPは、1位フェルスタッペン、2位アルボン、3位ハミルトン、4位フェッテル、5位ルクレール、6位ボッタス、7位ガスリー、8位クビヤト、9位リチャルド、10位ヒュルケンブルグかな。

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Formula One 2019(19)2019.11.01

メキシコGPは、ハミルトンがフェラーリ2台とメルセデスのチームメートを抑えて優勝した。
ハミルトンはこれで今季10勝目となった。
ハミルトンは、今季これまでの18レースの半分以上を制したことになる。
ハミルトンは、得意のハードタイヤ・ロングランによるワンストップ作戦を敢行し、予選での劣勢を決勝で覆してみせた。
2位のフェッテルは、久々に元チャンピオンらしい走りを見せ、ハミルトンから1.8秒遅れでゴールした。
3位はフェッテルから更に1.8秒遅れてボッタスが入った。
ボッタスが3位に入ったことにより、ハミルトンのチャンピオン決定は次戦以降に持ち越された。

ルクレールは、ボッタスから2.8秒遅れの4位に終わり表彰台を逃した。
ルクレールについては、またしても、チームの作戦に若干の疑問符が残る。
5位に入ったアルボンはスタート順を維持したが、マシンのポテンシャルからして4位から15秒以上離されたのはいただけない。
6位は、スタート直後に最後尾まで落ちたところから追い上げたフェルスタッペンだった。

ペレスは、熱狂的なメキシカンの声援を一身に受けて、情熱的なドライビングを見せ、レーシングポイントのマシンを7位に導いた。
8位にはリチャルドが入り、ルノーのマシンがブレーキでルール違反をしなくても充分速いことを示した。

今回、勝てたレースを落としたのはフェルスタッペンだった。
空気の薄いところでは速く、クーリングに優れたレッドブル・ホンダは、予選からめっぽう速かった。
このコースを得意とするフェルスタッペンのドライビングと相まって、ただ一人、1分14秒台のタイムをたたき出した。
フェラーリでさえ敵ではなかった。
それなのに、フェルスタッペンのアグレッシブさが悪いほうに働いた。
予選Q3が終わる直前、最終コーナーで、ボッタスがスピン・クラッシュをして黄旗が2枚振られた。
予選タイムをさらに縮めたかったフェルスタッペンは、コーナーを通過するとき減速して安全を確保しなければいけないところで、アクセルを緩めなかった。
そのあとに通過したフェッテルは、きちんと減速したので、予選3番手のタイムしか出せなかった。
フェルスタッペンは、その前に出したタイムでも充分にポールポジションはとれていたのだが、コーナー通過時点でフェッテルが良いタイムを出す可能性を考え、安全とルールに目をつぶって、さらに速いタイムを出すほうを選んでしまったのだろう。
せっかくのポールポジションをふいにしたフェルスタッペンは、3グリッド降格の4番グリッドからスタートする羽目になった。
これが決勝レースのスタートと序盤での無理による接触ーパンクーピットインー最後尾からの追い上げへとと繋がっていった。
これではいくら速いマシンに乗っていても、優勝はできない。
レッドブルは、オーストリアとドイツはフェルスタッペンのドライビングによって勝ったが、メキシコではフェルスタッペンのドライビングによって勝てるレースを落とした。

次は1週間後のアメリカGPだ。
今シーズンもアメリカGPを入れて残りあと3戦となった。
F1がなかなか根付かないと言われたアメリカで、オースティン近郊のサーキット・オブ・ジ・アメリカズでF1GPが開催されるようになってからは、アメリカにF1が定着してきたように感じられる。
前後のイベントはかなりアメリカンスタイルだが。
ハースF1にとって、アメリカGPは重要なホームレースだ。
低予算でやっているせいか、最近結果が出ていないが、ここではぜひポイント圏内でフィニッシュしてもらいたい。

アメリカGPは、1位フェルスタッペン、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位ルクレール、5位アルボン、6位ボッタス、7位クビヤト、8位グロージャン、9位ヒュルケンブルグ、10位ノリスかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉