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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2021(11)2021.07.30

ブリティシュGPは、ハミルトンの劇的な勝利で幕を閉じた。
ゴール迄あと3周というところでハミルトンにかわされたルクレールは2位でゴールした。
今回もハミルトンのサポート役だったボッタスが3位でゴールした。
久々に10万人以上の観客を入れたレースとなったシルバーストーンはお祭り騒ぎだった。
ハミルトンは、イングランドがサッカーの決勝戦で負けたドイツ・ブランドの車、メルセデスに乗っての勝利だった。

今回は、予選から決勝までのフォーマットが通常のグランプリの週末とは異なるフォーマットで行なわれた。
メルセデスはフランスGPからブリティシュGPまでの4週間で有効な空力アップデートを完成させてきた。
とはいっても、これはレッドブルが今年序盤から採用しているサイドポンツーンからリア・タイヤにかけてのフロア側端の処理のコピーだが・・・。ともあれ、このアップデートが空力が重要なシルバーストーンにおいては大きな効果をもたらし、レッドブルと互角に近いかたちで戦えるようになった。

予選はハミルトンがスーパー・ラップを決めてフェルスタッペンを僅か0.075秒差で抑えて1番手タイムを出した。
ボッタスは3番手、ルクレール4番手、ペレス5番手、ノリス6番手となった。
スプリント予選は、フェルスタッペンがハミルトンとのスタート直後の攻防を制してトップを奪い、そのままゴールまで持って行った。
決勝レースのグリッドは1番フェルスタッペン、2番ハミルトン、3番ボッタス、4番ルクレールという順になった。

ペレスは、単独スピンしたために18番手まで落ちてしまい、決勝のためにマシンを修復する必要があるため、リタイヤを選択する。
ペレスは決勝をピットスタートすることになり、これが、レッドブルの決勝戦略に影を落とすことになる。
フェルスタッペンはメルセデス勢と単独で戦うことになる。

予選とスプリント予選の結果から見てセクター1ではメルセデスが速く、セクター2とセクター3ではレッドブルが速いのは明らかだった。
2番グリッドのハミルトンはスタートからセクター1の終わり(9コーナー)までに抜かないとフェルスタッペンの前に出るチャンスはピットストップしかなくなる。
スプリント予選の結果からみて、ハミルトンは一度フェルスタッペンに前に出られたら、ピット戦略で前に出れる可能性は低い。

ハミルトンは、昨年まではチャンピオンシップポイントを失わない為に、フェルスタッペンと激しく争っても衝突を避けてきた。
しかし、今年は、やや劣勢にあるマシンで、チャンピオンシップポイントでも優勝1回分以上離されている。
ブリティシュGPで負ければメルセデスは今年の開発をあきらめて、このままずるずるとチャンピオンシップを手放す羽目になる。
だから、ハミルトンは決勝レースのスタート直後からフェルスタッペン張りにアタックを繰り返し、一歩も引かなかった。チャンピオンを獲ったことのないフェルスタッペンはいつもどおりに応酬した。
9コーナーの侵入で半車身ほど前にいたフェルスタッペンはアウト側からインに向かって被せ気味に侵入していったが、イン側にいたハミルトンはイン側から並ぼうとしていて一歩も引かなかった。

フェルスタッペンの右リア・タイヤとハミルトンの左フロント・タイヤが接触し、コーナーでフェルスタッペンはグラベルに飛ばされて大クラッシュした。

レースは赤旗中断になり、ハミルトンはまたもや赤旗中にマシンを修復してスタートできることになった。
ハミルトンには10秒ペナルティが課されたが、ホームグランプリで観衆から力をもらったハミルトンは優勝をもぎ取ることができた。

次は、前半の最終戦、ハンガロリンクで行なわれるハンガリーGPだ。
ストップアンドゴーの多い抜場のないコースとして有名だが、最近のF1はコーナリング性能が高いので中速サーキットになってきている。
フェルスタッペンとハミルトンにとっては、予選を制することがレースを制することになる。
二人とも一歩も引かない、少しはシルバーストーンよりは注意するようにはなるだろうが。

ハンガリーGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位サインツ、4位ボッタス、5位ルクレール、6位リチャルド、7位ノリス、8位フェッテル、9位角田、10位アロンソかな。

2021 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2021(10)2021.07.16

オーストリアGPは、フェルスタッペンの完全な勝利だった。
フェルスタッペンはシュタイヤ―マルクGPを上回る圧倒的な強さでオーストリアGPを制した。
ボッタスが久々に2位に入った。3位にはボッタスから2秒遅れてノリスが入った。
ノリスは5秒ペナルティを課せられていなければ、ボッタスの前でゴールしていただろう。

フェルスタッペンは、フリー走行時点から圧倒的な速さを見せ、他を全く寄せ付けなかった。
ノリスという例外を除いては。ノリス・マクラーレンは今回非常に速く、Q3終了間際に1分3秒768というタイムをたたき出し、フェルスタッペンのQ3の1回目タイムに0.048秒差まで迫った。
フェルスタッペンがQ3の2回目の走行で1回目のタイムを上回れなかったためにノリスに対して僅差でのポール獲得となった。予選3番手はペレス。

メルセデスはハミルトンがフェルスタッペンから0.3秒遅い4番手、ボッタスがハミルトンから.05遅い5番手につけるのが精いっぱいだった。
予選でメルセデスの2台の後につけたのはアルファタウリの2台だった。
なんと予選のトップ7にホンダPUの車が4台入った。
ラッセルはウイリアムズでQ3進出し、予選9番手につけて周囲を驚かせた。
フェラーリは、決勝重視のセットアップで挑み、予選はサインツ11番手、ルクレール12番手だったが、フレッシュなミディアムタイヤでスタートした。

決勝はフェルスタッペンがスタートでトップに立つと後は他を寄せ付けない完全な独走状態を形成した。
レース終盤には、2位のボッタスをフリーストップ圏外に追いやっていたので、ピットインしてハードタイヤに交換し、チームから1周だけハイパワー・モードで走る許可をもらって、ファーステスト・ラップをたたき出した。

ハミルトンは、決勝中にアンダーフロアの一部を痛めてしまい、ボッタスを前に行かせるしかなかったため4位に終わった。
フェラーリは、決勝に焦点を絞ったことが功を奏して、サインツが5位、ルクレールが8位に入った。
ペレスは、序盤で早くノリスを抜いてフェルスタッペンとのワン・ツーを形成しようとしたのが裏目に出て、一時は10番手まで順位を落としたが、いつもの粘り強い走りで6位まで回復してレースを終えた。

アルファタウリの2台は中古ソフト・スタートが災いし、ガスリーが9位、角田が12位と振るわなかった。
角田は、ピットレーン侵入のラインを2度も横切り、合計10秒のペナルティを受けた。

今年のレッドブルリンクを使った2レースで、メルセデスはレッドブルに全く歯が立たなかった。
メルセデスは、レッドブルがアドバンテージを待っていそうなところの規制強化を働きかけることによってレッドブルの力を削ぐことに躍起になっているが、今回、マクラーレンにも負けていた原因を分析するほうが先だろう。

次は、ブリティシュGPだ。
現在のF1が最もF1らしく戦うところが見られるサーキットの一つといわれているシルバーストーンデ行われる。
今年は、プラクティスノ時間を削って予選と、スプリント予選レースが行われ、スプリント予選レースの結果で決勝レースのスタート順が決まることになっている。
ショートレースのトップ3にはポイントも与えられる。
フェラーリ、アルファロメオ、アルファタウリ以外のチームは英国を主な拠点としており、ホームレースのようなものだ。
ハミルトン、ノリス、ラッセルにとってはホーム・レースとなる。

メルセデスは、ブリティシュGPに強力なアップデートを持ち込むと言われている。
レッドブルも毎レースアップデートを持ち込んで進化させている。
両者ノ前半戦分け目の戦いになるはずだ。
メルセデスは、ここでレッドブルに完敗するようなことになると、今シーズンのタイトル獲得に赤信号が灯る。

ブリティシュGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ボッタス、5位ガスリー、6位角田、7位ノリス、8位ルクレール、9位サインツ、10位リチャルドかな。

2021 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2021(9)2021.07.02

シュタイヤ―マルクGPは、フェルスタッペンの圧勝だった。
フェルスタッペンは週末を通じて最速で一度もトップの座を脅かされることなく勝利した。
ハミルトンは一度もフェルスタッペンの前に出る術はなく、今回は2位を確実にしてダメージを最小限に留めた。
ボッタスは5番グリッドから3番手まで上がり、そのままペレスの追撃を振り切ってゴールした。

フェルスタッペンは、予選Q3でただ一人、1分13秒台のタイムをたたき出し、予選2番手のボッタスに0.19秒差をつけてポールポジションを獲得した。
予選3番手は、ハミルトンでフェルスタッペンとは0.22秒差。
ペレスは残念ながらノリスに間にはいられて、予選5番手だった。

決勝のグリッドは、ボッタスがピットレ―ンでのスピンにより3グリッド降格となったため、フェルスタッペンとハミルトンが1列目に並ぶことになった。
決勝のスタートは、フェルスタッペンが1コーナーまでに前に出て、その後は、フランスGPのようなことはなかったので、フェルスタッペン、ハミルトン、ノリス、ペレス、ボッタスの順でレースは始まった。

フェルスタッペンは、2位のハミルトンをじりじりと離していき、タイヤ交換前に5秒近いマージンを築いた。
これではハミルトンはフェルスタッペンをアンダーカットできない。
ハミルトンは28周目、フェルスタッペンは29周目にピットインしたが、順位に変動はなく、その後もフェルスタッペンとハミルトンの差は少しづつ開いていった。
フェルスタッペンとハミルトンの差は69周目には17秒近くまで開き、ハミルトンは70周目にピットインしてソフトタイヤに履き替えてファーステスト・ラップをたたき出した。
優勝できない以上、ファーステスト・ラップ・ポイントを獲っておくのが最善の策だ。

今回、レッドブル・ホンダとフェルスタッペンは、メルセデスとハミルトンよりも確実に速く、スタートでトップに立ってから、終始先頭を走っていたためにタイヤの劣化も少なくてハミルトンとの差をコントロールしていたので、PUに負担をかけずに勝つことができた。
これは、去年までメルセデス・ハミルトンが得意としていた勝パターンそのものだ。

ペレスは56周目にピットインしてタイヤを交換し、3番手のボッタスを抜こうとしたが、ボッタスに使い切ったタイヤで粘られ、表彰台に上ることができなかった。

角田は、今回はP1から決勝のゴールまでマシンにダメージを与えることなく乗り切った。
予選は今シーズン2回目のQ3進出を果たし、予選順位は8番手を確保した。
しかし予選中にアタック中のボッタスのレーシング・ラインを遮ったト判定され、3グリッド降格ペナルティを受けた。
このため、角田は11番グリッドからのスタートとなり、前半はラッセルに、後半はアロンソに抑えられて10位デゴールするのがやっとだった。
今回も、完全にトラブルフリーの週末とまではいかなかった。
次こそ、F2時代にポールを獲ったこのコースで完璧な週末を決めてほしい。

次は、オーストリアGPだ。
前週と同じレッドブル・リンクで行なわれる。
使用されるタイヤがシュタイヤ―マルクGPより1段柔らかいC3,C4,C5となるので2ストップになるチームが多いと予想される。
メルセデスは、柔らかいタイヤで2ストップするほうが作戦の立て方があるだろう。
レッドブル・フェルスタッペンに一つでもミスがあれば、メルセデス・ハミルトンがつけこんでひっくり返すだろう。
レッドブルとしては、先ず、フェルスタッペンとペレスが予選でワン・ツーを抑える必要がある。
角田は、得意な柔らかめのタイヤなので前週より良い結果が期待される。

オーストリアGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ボッタス、5位ガスリー、6位角田、7位ルクレール、8位ノリス、9位サインツ、10位リチャルドかな。

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