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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One(7)2010.07.30

ドイツGPはエキサイティングな予選から始まった。
僅か2戦前のヨーロッパGPからは想像がつかないほどフェラーリが速くなった。
アロンソはでポール・ポジションを逃したがフロント・ローに並んだフェッテルと僅か1000分の2秒差だったし、マッサも予選3番手に着けた。
ブリティシュGPの予選で見せた速さは本物だったようだ。
名門ウイリアムズもヨーロッパGPあたりから少しづつに速くなり予選で確実にトップ10に入れるようになってきた。
打倒レッドブルの最右翼と思われていたマクラーレンはアップ・デートがなかなかはまらないし、このレースが地元のメルセデスも予選から苦戦していた。

決勝のスタートは、ポール・ポジションのフェッテルがアロンソを牽制しすぎて両者が遅れたところで予選3位のマッサがトップにたった。
マッサは、終盤にベストラップを更新し続けてスタート時の失地を回復したアロンソにトップの座を譲るまで快走し続けた。
この際のチーム・オーダーは物議をかもしたがチームとしては久々の勝利をチーム・メート同士がつぶしあってフイにすることだけは避けたかったのだろう。
フェラーリは伝統的にチーム・オーダーが好きなチームだが、罰金で済みそうなのでしてやったりなのだろう。
マクラーレンは両ドライバーががんばって4位、5位に持ち込んだがトップ3にはかなり差をつけられた。
ルノーとメルセデスは両ドライバーともトップ10に入った。

次は、僅か1週間後にハンガリーGPが開催される。
西側諸国のみで開催されていたF1レースを始めて東欧圏で開催した。
もっとも今はユーロ圏だが。
本田宗一郎氏が亡くなった直後に本田氏を敬愛していたアイルトン・セナが喪章をつけて出場した。
予選では驚異的なドライビングでこのコース向とはいえなかったマクラーレン・ホンダをねじ伏せてポール・ポジションをとり、決勝では2位以下を抑えきって優勝した。
アイルトンはこの勝利を本田氏に捧げると言った。

今年のチャンピオンシップの行方ははますます混沌としてきた。
現在1位のハミルトンから5位のアロンソまでの5人の内だれがチャンピオンになってもおかしくない。
ハンガロリンクは抜き場が無いので予選で結果を出すことが極めて重要になる。
予選でポールを取り、決勝のスタートでトップに立ったらタイヤ交換でミスしない限り、まず抜かれることはない。
ハンガリー人F1ドライバーはいないが、クビサはポーランド人、ペトロフはロシア人なのでファンも国境を渡って応援に来るだろうから、良いパフォーマンスが見られるだろう。
二人とも復調しつつあるルノー・チームというのも面白い。

バトンはこのコースでホンダF1を駆り、猫の目のように変わる天気の中巧みなドライビングで優勝したことがある。
バトンはここらあたりでハミルトンより上位でフィニッシュしておく必要がある。
ドイツでは惜しくも11位だった可夢偉も直線のスピードがさほど重要ではないこのコースでは予選上位に入れれば決勝の結果が期待できる。
今回も予選に注目だ。
2010 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One(6)2010.07.23

ブリティシュGPは予想外の展開だった。
アップ・デートを多数投入してレッドブル独走を止めようとしたマクラーレンが逆にアップ・デートのために苦しんでいた。

フェラーリは予選でヨーロッパGPからすると信じられないようなパフォーマンスを見せたが、決勝では2台とも序盤に接触して散々な結果に終わった。

ハミルトンは外れてしまったアップ・デートを予選終了までに建て直し、何とか戦える状態に持って行った。
そして、フェッテルがスタートを失敗して1周目に接触しトップ争いから脱落したこともあって、決勝では見事2位に食い込んだ。
ロスベルグも非凡さを発揮してパフォーマンスが十分でないメルセデスを久しぶりに表彰台フィニシュまで引き上げた。
バリチェロは非力なエンジン、可夢偉は低予算に苦しむチームでありながらすばらしい結果を出した。
可夢偉がタイヤ・マネジメントを身に付けたことがここブリティシュGPでも証明された。

次はドイツGPだ。
ドイツには多くの観光名所がある。
1週間をドイツだけに費やせるならばレンタカーでメルヘン街道かロマンチック街道を1箇所1泊のペースで巡ればそれぞれに美しい町の個性が楽しめる。
僕のオススメはカッセルにあるヴィルヘルムへーエ公園の自然の落差を利用した大噴水だ。
ただし、水を上げるのに時間がかかるので噴水が見られるのは週1回(確か水曜日)の決まった時間なので曜日と時間を確認した方が良い。

F1のドイツGPはかつてニュルブルクリンクの北コースで開催されていた。
当時は全長が22.8kmあり途中にはジャンピングスポットがあって作りが弱いマシンは完走できなかった。
ホンダF1もここがデビュー戦だったがリタイヤに終わっている。
今のF1は速くなりすぎて危険なので1周5.1kmの南コースが使われている。
シューマッハがチャンピオンを続けていた頃はヨーロッパGPがニュルブルクリンクで開催されていた。
2007年からはドイツGPはニュルブルクリンクとホッケンハイムで1年おきに開催されるようになり、今年はホッケンハイムで行われる。
ここも、全長12kmの高速コースだったが現在は大幅にレイアウトが変わり全長4.6キロメートルの中高速コースとなった。
コース幅も広げられたのでこのコースではパッシングが可能だ。
ドイツ人F1ドライバーは、フェッテル、ロスベルグ、シューマッハ、スーティル、ヒュルケンブルグ、グロックと6人もいる。
グランプリドライバーの4人に1人がドイツ人という事になる。
ホーム・グランプリの観衆の前でいつも以上の走りを見せてくれるだろう。
アロンソ、バトン、シューマッハはそろそろポジティブな結果を出す必要がある。
レースごとにシートが決まるHRTの左近もセナを上回らないと後が無い。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One(5)2010.07.09

ヨーロッパGPのヒーローは3人いた。
優勝したフェッテル、7位を獲得した可夢偉、4位に入ったバリチェロの3人だ。
なかでも可夢偉はドライバー・オブ・ザ・ディといってもいいだろう。

予選ではどうもパフォーマンスが出せず、下位の6台のすぐ上18番手のポジションに甘んじていた。
もっとも、予選タイムはトップのフェッテルから1秒しか離れていなかったから絶望的な差ではなかった。
ここは低ミュー路面のストリートコースなのでモナコほどではないがパッシングはかなり難しいコースだ。
可夢偉は、ハード(プライム)タイヤで出来るだけ長く走ってタイヤ交換のタイミングをずらし、少しでも上位に立つ作戦だった。ウエバーの大事故の後、ソフト(オプション)タイヤでスタートしていたドライバーが次々とタイヤ交換を済ませるなか、可夢偉はハードタイヤで走り続けた。
その間タイヤをセイブしながらもバトンを抑え続け、長らく3位の座をキープしていた。
ラスト4周となってからタイヤ交換のためピットインした。
評価に値するのは、ラスト4周までタイヤをもたせながらハイペースを保ったことだ。
トルコGPとは状態が違うだろうが、ロングランでのタイヤ・マネジメントが進歩したように見える。
そして、フレッシュ・ソフトタイヤに履き替えるやまずはアロンソを抜き去り、最終ラップの最終コーナーの突っ込みでブエミを退け、自力で7位をもぎ取った。
どうやら、可夢偉はタイヤ・マネジメント術を身に付けたようだ。

フェッテルはヨーロッパGPで久々に圧勝してチャンピオンシップ争いに復帰してきたし、マクラーレンは今回アップデートなしで2・3位を入った。
ウイリアムズはバリチェロのルノーはクビサのドライビングによって上位に食い込んだ。
フェラーリとメルセデスはあまりいいところが無かった。

シーズン折り返しの10戦目、ブリティシュGPが開催されるシルバーストーンは飛行場跡地に作られた有名な高速コースだ。
かつて、無敵のホンダ・ターボを搭載するウイリアムズとロータスが1・2・3・4フィニッシュを飾ったことがある。
英国人はモータースポーツファンが多い。
英国では、自宅のバックヤードで仕立てたセダンでサーキットまで自走し、レースを楽しむ人は珍しくない。
レース人口が多いので、レースカー・メーカーや部品メーカーが多数存在し産業として成立している。
このため、英国に本拠地があるF1チームが多く、事実上のホーム・グランプリというチームが多い。
ということは、ここぞと頑張るチームが多いということだ。
特に、マクラーレンはファクトリーがシルバーストーンのすぐそばにあり、ヨーロッパGPでは見送ったメジャー・アップデートをここで投入してくるだろう。
しかも、ドライバーは二人とも英国人だ。
レッドブルにとってもチャンピオンシップ逃げ切りのためにはここでマクラーレンを突き放しておく必要がある。
メルセデスとフェラーリは正念場だ。
後半戦の流れがここで決まる。
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