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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(19)2014.11.21

ブラジルGPは、ロスベルグがハミルトンを押さえて優勝した。
ロスベルグは、ここでハミルトンに負けていれば、来シーズンはメルセデス・チームのNo.2ドライバーになってしまったかもしれなかったところを、踏みとどまった。
しかし、今回のハミルトンの負けは、1回目のピットストップをロスベルグから2周遅れにしたために、ピットイン前の周回でタイヤがもたず、詰めるはずの差が逆に開いてしまったことが原因だ。
ただし、予選でロスベルグにポールを取られていなかったら最初から先頭にいけていたわけで、予選から通しで見ると、やはりブラジルではロスベルグがハミルトンを上回っていたのだろう。
ロスベルグのがんばりのおかげで、今後のレースがメルセデス・ハミルトン一辺倒にならず、少なくともチームメイト同士の緊迫したバトルは見ることができることが保障されたのだ。

ブラジルGPのもう一人の英雄はブラジル人ドライバーのマッサだった。
マッサは、いつもホームコースで格段に速い。
今年も、見事なドライビングでインテルラゴスを駆け巡った。
マッサは予選からすこぶる速く、ポールのロスベルグから僅か0.2秒遅れの3番手につけた。
もう少しでフロントローを取れたかもしれないぐらい速かった。
決勝では、メルセデスのペースには追いつけないことは自覚していたが、最低でも3位に入ってやるという心意気が最初から感じられた。
ピットレーン通過速度違反で5秒のピット停止時間延長ペナルティを食らったにもかかわらず、バトンの前に出てしっかりと3位に入ってみせた。
2008年にハミルトンとチャンピオン争いをした時のマッサが戻って来たような走りだった。

5位には健闘したフェッテルが入り、フェラーリ2台が6位と7位、ヒュルケンベルグは8位に入った。
シーズン終盤になってもメルセデスが突出しているのは変わりないが、その後に、ウイリアムズ、マクラーレン、レッドブル、フェラーリが続くという構図が出来上がってきた。
メルセデスPUとルノーPU・フェラーリPUには70馬力以上の差があると言われている。
レッドブルは、自分たちが圧倒的に速かった時はレッドブルの空力アイデアをどんどん禁止にしていったのに、ルノーがメルセデスに追いつくためにPUの仕様を変更したくても規則で変更ができないのはフェアではないと抗議している。

いよいよ、2014年のF1最終戦、アブダビグランプリだ。
今年はシーズン終盤の数レースが消化試合になるのを防ぐため、最終戦は同じ順位でもダブルポイントになる。
ハミルトンとロスベルグのポイント差は17しかないから、ハミルトンがリタイヤしてしまうとロスベルグは5位になっても20ポイント獲得できるのでチャンピオンになれる。
メルセデスの2台が1・2フィニッシュの場合ハミルトンは2位でもチャンピオンになれる。
ハミルトンよりもロスベルグの方が気が楽だろう。
ハミルトンはリタイヤは絶対に避けたいだろうから慎重にならざるを得ない。
最近は冷静なレース運びをするようになったハミルトンだが、ロスベルグが1位で走っている時にチャンピオンを確実にするために2位をキープするようなことができるだろうか?アロンソやバトンならできるだろうけど・・・。

2レース休んでいたカーターハムと可夢偉はアブダビGPに出走する。
破産管財人の下でクラウドファンディングを使って何とかアブダビにやってきたカーターハム、ここでポイント圏内に入ればチームの買い手にとって魅力的になり、2015年にチーム名は変わってもチームを存続させることができる。
そのためには、可夢偉の力がどうしても必要だ。
ロシアGPの時とは状況が変わった。
あの時は、次の3戦を戦うだけのスペアパーツも足りないし、イギリスに帰ってもマシンを差し押さえられる恐れがあったのだ。
アブダビは雨が降らないから番狂わせは少ないが、最終戦は可夢偉ミラクルに期待しよう。

アブダビGPは、1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位マッサ、4位フェッテル、5位バトン、6位リチャルド、7位ライコネン、8位アロンソ、9位可夢偉、10位ペレスかな。 

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(18)2014.11.07

アメリカGPで、ハミルトンは5連勝を達成して、ロスベルグに24ポイント差をつけた。
アメリカGPでは強くなったハミルトンを見せつけられた。
ハミルトンのマシンは予選中にフロント・ブレーキに問題があった。
このため、ハミルトンはトップタイムを出すことができず、ロスベルグから0.4秒弱差の予選2番手となった。
予選3番手はボッタスでハミルトンから更に0.4秒強遅いタイムだった。

決勝2番手スタートのハミルトンはロシアGPの時のロスベルグとは全く違っていた。
スタート前、ハミルトンは2番グリッドにマシンをつける時、僅かに右に振ってマシンを止めた。
これはおそらく、ロスベルグがスタートでもたついた時に早めに第1コーナー外側のラインに寄せるためのものだろう。
しかし、ロスベルグはスタートをしくじらなかった。

しかし、ハミルトンはロシアGPのロスベルグのように無理をして第1コーナーで抜こうとはしなかった。
ハイペースを保ってロスベルグから離されずにいれば、長いレースの中で必ず抜くチャンスはあると確信していたのだろう。
むしろ、プレッシャーを受けていたのはトップを走るロスベルグのほうだ。
ロスベルグもたいしたもので、ミスらしいミスはひとつもおこさなかった。
それでも、ロスベルグ1回目のタイヤ交換の後、ハミルトンにDRS圏内まで追い上げられ、オーバーテイクを許してしまった。
ロスベルグもDRSを使って抜き返すことができるが、ハミルトンはそれを許さなかった。
ハミルトンはロスベルグを抜いた直後、すばらしい速さで周回してロスベルグをDRS圏内から遠ざけてしまったのだ。
その後は、ロスベルグを常に2秒以上離しておき、ロスベルグが少し近づいてくるとペースを上げて寄せ付けなかった。
今年、夏休み前までのハミルトンは、これほど冷静なレース運びをしていなかったと思う。
圧倒的に有利なマシンを手に入れたことと、今年のチャンピオンが現実的になってくるにつれて身についたものなのだろう。
2度以上チャンピオンになるには不可欠の要素だ。

リチャルドは予選5番手ながら、アロンソを抜き、要所、要所で速いペースを保って走り、3位に入った。
リチャルドは、来年のレッドブルNO.1にふさわしいドライバーになった。
ウイリアムズに比べてフェラーリとマクラーレンは相変わらずパフォーマンス不足だ。
マクラーレンは今年中にウイリアムズに並びたいところだ。
フェッテルはピット・スタートから追い上げてアロンソと0.5秒差の7位だった。

第18戦、ブラジルGPが開催されるホセ・カルロス・パーチェ・サーキットは左回りで高低差のあるコースだ。
昨年までは荒れた路面だったが、今年は再舗装されてスムースになり、これまでよりはタイヤに優しい路面になっているようだ。
これで、タイヤ戦略も今年は少し変わってくるだろう。
ここは、グランドスタンド前のストレートエンドが下り坂になっていて、第1コーナーと第2コーナーがタイトなので、この区間が格好のパッシングポイントだ。
直線エンドのブレーキングで無理をして抜いても第1コーナーでクロスされ第2コーナーで抜き返される。
マッサはホーム・コースなので、ここではいつもいい結果を出す。
ライコネンは、今年のフェラーリに慣れるのに時間がかかったが、このコースは得意のコースなので久々に上位でゴールしてほしい。
フェッテルは、この辺でリチャルドより速いところを見せておかなければいけない。
各チーム、ベストパワーユニットを最終戦に温存しているだろうから、ここではPUトラブルが出る可能性が高くなる。
週末の天気予報は雨模様なので予想の展開になるだろう。それでも今のメルセデスは磐石だが・・・。

ブラジルGPは、1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位マッサ、4位フェッテル、5位ライコネン、6位リチャルド、7位アロンソ、8位バトン、9位マグネッセン、10位ヴェルニュかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表