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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2020(4)2020.07.30

ハンガリーGPは、予選・決勝を通じて、ハミルトンの圧勝で幕を閉じた。
決勝レース終盤でには、ファーステストラップを獲るために、ピットインしてソフトタイヤに交換をすることが可能になるほど、2位以下を引き離していた。
フェルスタッペンは、プラクティス、予選を通じて絶不調だったが、決勝では望外の2位に滑り込んだ。
ボッタスは、決勝のスタートでつまずいたことが響いて、3位に終わった。

予選が始まってみると、今年のメルセデス一強の度合いがより鮮明になった。
メルセデス勢の次に速かったのは、メルセデスPU+トランスミッションを積むレーシング・ポイント勢だった。
レーシングポイントの2020マシンは空力などでも非常にメルセデスに近く、ピンク・メルセデスと揶揄されている。
予選のトップ4は、ハミルトン、ボッタス、ストロール、ペレスのメルセデス勢が独占した。
グリッド3列目は、フェラーリの2台が占め、レッドブルは、フェルスタッペンが予選7番手、アルボンは13番手という有様だった。

決勝レースは、直前まで激しい雨に見舞われたため、コースはセミ・ウエット状態であった。決勝レースは、マグネッセンがレインタイヤを履いた以外、全員インターミディエイトを履いてスタートした。

スタート前にハプニングが起こった。ただでさえ、不調のレッドブルが、スターティンググリッドにつくためのレコノサンス・ラップでフェルスタッペンがタイヤバリアにクラッシュして左サスペンションを壊していまった。
何とかホームストレートに惑ってきたフェルスタッペンはピットに向かおうとするが、チームはそのままグリッドにつけろと指示し、フォーメーションラップ開始までの20分間にグリッド上でサスペンションの修復を完了させてしまった。
まさに神業だった。
これが、2020年ハンガリーGP最大のハイライトだ。

決勝レースは、ほとんどスタートで決まった。
上位勢の中では、ボッタスとペレスがスタートで出遅れた。
25分ほど前までは、スタートさえ危ぶまれたフェルスタッペンだが、1コーナーのイン側が込み合っているのを見て取って、アウト側からフェラーリ2台を抜き去り、あっという間に7番手から3番手まで浮上した。
スタート後に雨が降らなかったので、路面が急速に乾き始め、6周目までには全車ドライタイヤに履き替えた。
アルボンは13番手から追い上げて、5位でフィニッシュした。ハースのマグネッセンも検討し16グリッドから9番手(レース後のペナルティで公式結果は10位)まで順位を上げた。

2020年シーズン開幕三連戦の結果からみると、メルセデスの圧倒的優位は揺るがない。
昨シーズン前半は、燃料流量チェックの隙間を狙ったフェラーリのPUが速かったが、問題点が指摘されるとシーズン後半は速さが衰え、変わってシーズン終盤にレッドブルホンダがメルセデスの対抗馬となった。
今年は、メルセデスとレッドブルホンダががっぷり四つに組んだ戦いが期待されていたが、メルセデスは、PUとシャシーの両面できっちりとグレードアップを果たした。
PUは昨年のフェラーリの流量コントロールんヒントを得たらしい。
シャシー面でもDASを投入してコーナリング性能を上げてきた。

対抗するレッドブルは、空力性能を上げるためのチャレンジをしたが、路面や風によって影響を受けやすく、安定した性能を発揮できないでいる。
かつて、ニューウィがレイントンハウス時代に開発したマシンも路面がフラットでスムースな状態では高性能を発揮したが、路面が荒れていてアンジュレーションのあるコースでは振るわなかったことがある。
空力的に攻めすぎて、マシンの挙動が敏感になってしまったのかもしれない。
ホンダPUは、昨年達成した信頼性の上に、高地以外でのコースでも安定したパフォマンスを発揮できるようにしたようだが、メルセデスはさらに先を行っていた。

ブリティッシュGPは、伝統の高速コースシルバーストーンで開催される。
ここでは、PUの実力が決めてとなるので、メルセデス勢の優位は変わらない。
開幕からの4週間でレッドブルがどのような改良をしてくるか注目される。
F1チームの多くは英国に拠点を置いているので、ホームグランプリとなるチームが多い。
中でも、今年絶好調のマクラーレンは上位を狙っているだろう。
ハミルトン、ノリスとラッセルは、3人とも実力のある英国人ドライバーだ。
ホームカースではいつも以上に力を発揮するだろう。アルボンはタイ人だが英国育ちだ。

ブリティッシュGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位ペレス、6位ルクレール、7位ノリス、8位フェッテル、9位リチャルド、10位ストロールかな。

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Formula One 2020(3)2020.07.17

ハミルトンは、予選・決勝を通じて、2位以下を全く寄せ付けずシュタイアーマルクGPを制した。
ハミルトンは、練習走行P2中に、あたかも、不調を装っていたかのように、予選が開始されるや否や、突然速くなり、決勝でも圧倒的な速さを見せつけた。

予選当日は、朝から雨が降り続き、午前中のP3がキャンセルされた。
午後の雨次第では、予選中止となることも考えられた。
幸い、レーシング走行ができなくなるほどコース状態は悪化せず、全車レインタイヤを履いての予選となった。
予選が始まると、Q1からトップに立ったのは、P2ではセットアップに苦しんでいたはずのハミルトンだった。
P2でベストタイムを出したフェルスタッペンも独自に見つけた雨用のレーシング・ラインをとって応戦するが、ハミルトンを上回ることはできなかった。
結局、ハミルトンは、2番手のフェルスタッペンを1.26秒も離すトップタイムをQ3終了間際にたたき出して、ポールポジションについた。
予選3番手には大健闘のサインツが入り、今シーズンのマクラーレンの仕上がりの良さを証明した。

ルノーのオコンも予選5番手だったから今回のルノー勢は調子がいい。
それに比べて、フェラーリはフェッテルが予選10番手、ルクレールが予選11番手と振るわない。
ほかのフェラーリPUユーザーも下位に沈んだ。

決勝レースは快晴、予選がレインタイヤで行われたため、各車自由にタイヤを選んでスタートすることができる。
予選上位勢のスタート・タイヤは、フェッテルとリチャルドがミディアムを選んだのを除けば各車ソフトだった。

決勝レースのスタート、上位陣は波乱のないスタートを切ったが、中段のフェッテルにルクレールが追突し、フェラーリ・チームの2台は1周目でレースを失った。
昨年のオーストリアGPでは予選と決勝の終盤までは、独走していたフェラーリだったのに・・・。

4周目にはセフティカーが引っ込み、レースが再開されるが、予選グリッド降格ペナルティを受けたノリスと、予選ではなぜかQ1で敗退したペレスが後方からどんどん順位を上げていった。
20周目、上位陣は、ハミルトン、フェルスタッペン、ボッタスが8秒以内で出周回を重ねており、4番手のアルボン以下は、すでにワン・ピット・ストップ以上トップのハミルトンから離されていた。その後、フェルスタッペンが早めのタイヤ交換で仕掛けるが、速すぎるハミルトンの前になすすべはなかった。逆に、遅めのタイヤ交換をしたボッタスに66周目に攻略されてしまった。
結局、ハミルトン、ボッタス、フェルスッタペンが表彰台に上った。

2020年はメルセデス、レッドブル、フェラーリの三強の三つ巴になるかと予想されていたが、蓋を開けてみればメルセデス一強時代に逆戻りしたように見える。
対抗すべき、レッドブル・ホンダは、レッドブルの空力とサスペンションが安定していない。
シャシー・空力面では、セットアップが決まれば、空力・シャシーが先進的なレッドブルにアドバンテージがある。
ホンダPUは予選モードとERSの効率でメルセデスPUに差をつけられている。
今年は、信頼性向上を除いてはPUの開発ができないから、今から基本性能で上回るのは難しい。
PU面では、コースごとにベスト・セットアップをするしか対抗手段がない。

2020年シーズン開幕三連戦の第3戦ハンガリーGPは中小コーナーの連続でコース上で抜くことが困難とされるハンガロリンクで開催される。
ここでは、予選順位が極めて重要となるので、メルセデスの優位は変わらない。

ハンガリーGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位サインツ、6位ノリス、7位フェッテル、8位リチャルド、9位ガスリー、10位ペレスかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2020(2)2020.07.10

ボッタスが、2020年開幕戦オーストリアGPに見事な優勝を飾った。
昨年はPUのオーバーヒート対策の為に抑制を強いられた。
今年は、予選でポールポジションを獲り決勝レースでも結果的に完勝した。
ボッタスは、もともと、レッドブルリンクを得意としているから、今回の優勝はうれしかっただろう。
何よりもシーズン開幕戦で予選・決勝ともハミルトンを寄せつけずに優勝したことは、大きな自信につながっただろう。

オーストリアGPの予選での3強チームは、メルセデスが最も速く、レッドブルはメルセデスには届かないが2番手、フェラーリが予想以上に遅いというものだった。
中段チームの中では、シーズン前テストから速かったレーシングポイントとマクラーレンが抜きん出ていて、このコースではフェラーリやルノーよりも速かった。

メルセデスのボッタスは、レッドブルのフェルスタッペンに0.5秒以上速い予選タイムを記録した。
全長の短いレッドブルリンクで、このタイム差は大きい。メルセデスは開発しつくされたように見えるPUから更なる予選パフォーマンスを引き出すことに成功したようだ。
PUでメルセデスに並んだと思っていたホンダはまた弾き返された。
だが、盤石なように見えていたメルセデスも、実はギヤボックスに不安を抱えていた。

レッドブルは、フロントの空力が強化された過ぎたために、リヤとの空力バランスが悪くなり、中低速コーナーでのオーバーステアに悩まされていた。
フェラーリは、空力設計に失敗したことと、PUの燃料流量チェックが厳しくなったことによる二重苦で中盤に沈んでいる。フェラーリPUのパワーダウンのせいで、フェラーリPUユーザーのハースとアルファロメオも予選下位に沈んでしまった。

決勝レースは、ポールのボッタスが順調にトップを走り、2番グリッドのフェルスタッペンが追うというかたちででスタートし、3番手アルボンと4番手ハミルトン画続くという展開で、好レースが期待された。
しかし11周目にフェルスタッペンが突如スローダウンして、リタイヤしてしまう。
電気系統のトラブルによるラウンチ・コントロールの誤作動が疑われている。

その後、ボッタス、ハミルトン、アルボン、ノリスのオーダーでレースは進んでいたが、41周目になって、メルセデスの2台にセンサー・トラブルが発生した。
51周目と56周目に、セフティカーが入り、スロー走行が多かったためトラブルを抱えるメルセデスは救われた。
61周目に再スタートした後、セフティカー中にソフトタイヤに履き替えていたアルボンがハミルトンを抜いた瞬間に幅寄せされてスピンを喫し、レースを失う。
これによって、5秒ペナルティを受けたハミルトンをルクレールとノリスが上回ることになり、コツコツ走っていたルクレールと終始大健闘のノリスがボッタスとともに表彰台に上がった。

第2戦シュタイアーマルクGPは第1戦と同じレッドブルリンクで開催される。
1週間で大幅な修正とアップグレードを投入するのは困難だろうから、各車、初戦の問題を抱えて持てるチーム力でマシンをチューニングするしかない。
第1戦と大きく違いそうなのは、天候で、日曜日は雨と予報されている。

さて、第2戦は、だれに勝利の女神がほほ笑むか?
シュタイアーマルクGPは、1位フェルスタッペン、2位ボッタス、3位アルボン、4位ハミルトン、5位フェッテルル、6位ノリス、7位ガスリー、8位クビアト、9位サインツ、10位リチャルドかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2020(1)2020.07.03

3月13日にメルボルンに集結していながら、金曜日のフリー走行直前に初戦オーストラリアGPの中止が決まってから112日の間に新型コロナウィルスは全世界に蔓延し、一時は、開催そのものが危ぶまれた2020年のF1グランプリもようやく開幕する。
そのため、今シーズンはシーズン前の計画に比べて大幅に開催数が減り、今のところカレンダーに載っているのは8GPに過ぎない。
しかも、オーストリアと英国でそれぞれ2戦開催されるので開催国は6か国にすぎない。
開催国は全てヨーロッパの国だから、まるで、発祥当時のF1グランプリのようだ。

現在予定されている6開催国中の3か国、イギリス、スペイン、イタリアは多数の感染者と死者を出した国々である。
F1は、ヨーロッパに深く根付いた文化だから、開催する GP数が減っても、無観客でも、何としても、F1はやるというヨーロッパ人の気概が感じられる。

F1は、これまでも、オイルショック、リーマンショック、タバコ広告の禁止、火災、安全性の問題によるトップドライバーの事故死など様々な危機を乗り越えてきたが、今回の新型コロナ・ウィルスによるパンデミックは少し勝手が違う。
経済的問題でもなければ、F1自身の安全性の問題でもない。
当初のF1と比べるとチーム規模は肥大化し、興行を運営するスタッフや撮影までF1が自前で賄うようになったので、地球をめぐり歩くサーカスとしてはかなりの大所帯だ。
無観客でも、国から国へと移動する数千人のF1関係者をシーズン中新型コロナウィルスから隔離し続けることが本当に可能なのだろうか?
とはいえ、7月3日に突然中止が決まということがなければ、2020年F1シーズンは開幕する。
2月のシーズン前テストでは、メルセデスとレッドブルが調子がよさそうだった。
フェラーリは、またもや空力設定に問題を抱えてしまっている。
トップ3チーム以外では、メルセデスの完全コピーを作ったと揶揄されるレーシング・ポイントがすこぶる好調だった。
アルファ・タウリ(トロロッソが名称変更)も大部分2019年型レッドブルだからシーズン前テストでは良いタイムを出していた。
しかし、この間、ファクトリーが閉鎖されていたとはいえ、新型コロナウィルスのおかげで開幕が4か月近く伸びたことを利用して、ルールの範囲内で宿題をまじめにやっていたチームもあるだろうから、金曜日にマシンが走り出してみないと、今シーズンの行方は占えない。

今年のルーキー・ドライバーはウイリアムズのニコラス・ラティフィただ一人だ。
旧人では、定評のあるエステバン・オコンがルノーから復帰する。
オーストリアGPでは、高地に強いホンダPUを積むレッドブルのフェルスタッペンとメルセデス・ハミルトンのチャンピオン・コンビがどう戦うかが注目の的だ。
逃げるフェルスタッペンをハミルトンが追う展開になれば、昨年のブラジルGPのような面白いレースが見られるだろう。
ハミルトンは追う立場の時は、ミスを犯しやすいので不確定要素が増える。

オーストリアGPは1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位アルボン、4位フェッテル、5位ルクレール、6位ボッタス、7位ガスリー、8位クビアト、9位サインツ、10位ペレスかな。

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