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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One(10)2010.09.24

モンザでのフェラーリは圧倒的に速かった。
今シーズン初めてマクラーレンよりもレッドブルよりも明確に速かった。
アロンソは予選でスーパーラップを決めて文句なしのポールポジションをとった。
フェラーリ以外では、チームメートも含めて他者とは逆のセットアップをしたバトンが光っていた。
モンザは高速コースなので普通はリアウイングを寝かせてコーナリング・スピードを犠牲にしても直線スピードを稼ぐセットアップにするのだが、なんとバトンはウイングを立ててコーナリング・スピードを稼ぐという逆の戦法に打って出たのだ。

これが見事に当たってバトンは見事予選2位を得ることに成功した。
バトンは決勝のスタートを決めて前半をリードしたが、タイヤ交換の時の僅かな差でアロンソに逆転されてしまった。
アロンソはティフォッシの大歓声の中トップでゴールした。
やはりスタードライバーはファンの期待に応えてここぞというところで決める。
エンジンが一時おかしくなった後、運良くエンジンが息を吹き返したフェッテルは粘り強く走り続けて4位でフィニシュした。
この3人が高ポイントをゲットしたおかげで、近年に無い上位5人によるチャンピオンシップ争いはシーズン終盤に入っても続いている。

F1ヨーロッパ・ラウンドはこれで修了し、アジアの3戦はシンガポールから始まる。
シンガポールは、淡路島の2割増程度の面積(707平方Km)の島に470万人が住む経済成長率世界一の都市国家だ。
シンガポールがF1開催に手を挙げたのは、常に街を魅力的に見せる仕掛けを増やさないと成長が維持できないからだ。
シンガポールGPがナイト・レースなのは、赤道直下で昼間は暑いこともあるが、この時間帯だとヨーロッパでは日曜の午後になるのでヨーロッパの視聴率が取りやすいという事情もあるようだ。

マリーナベイ・サーキットはストリートコースなので、メカニカル・トラクションの良い車が有利だ。
モナコで上位にいた車はここでも上位にくる可能性が高い。
フェラーリ、ルノー、ウイリアムズなどが得意とするタイプのコースだ。
ドライバーの力を見せてくれそうなのはアロンソ、クビサ、ロスベルグあたりだろうか。
フェッテルはここらで1勝しておかないとチャンピオンシップレースから脱落するので勝ちに来るだろう。
決勝レースはアロンソ、フェッテル、クビサの三つ巴の争いになるような気がする。
どう転んでも、チャンピオン争いは日本GPに持ち越される。
2010 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One(9)2010.09.10

スパ・ウエザーは今年も予選からチームとドライバーを翻弄した。
なかでも、Q1は短いセッションの中盤に雨が降ったために練習走行では良いタイムを出していたザウバーなどがQ2に進めなかった反面、ロータスやヴァージンがQ2進出を果たした。
フォースインディアは今年も予選からスパでは速いところを見せた。
ウエバーはこのコースに向いていない(といっても速い)レッドブルでポールをとった。
ハミルトンはQ3終盤、濡れた路面で巧みなドライビング見せ予選2位に食い込んだ。
クビサも久々に予選3位に入った。

スパの気まぐれな天候は決勝になっても続く。
降雨スポットをチェックするために上位チームはヘリを飛ばしてしているほどだ。
案の定、序盤と終盤に雨が降った。
予報どおり序盤に降った雨が一旦上がり、終盤になってまた降ったため、その間のタイヤ交換時期とタイヤ選択によって勝負が決まった。
ハミルトンが優勝、ウエバー2位クビサが3位に入ったが、実は3人とも冷静でコース・コンディションに関わらず巧いドライビングを見せるドライバー達だ。
決して運が良かったわけではなく、悪コンディション下でも速く走り続ける実力があるからだ。
雨にめっぽう強いスーティルは5位に入ったし、可夢偉も後方スタートから巧いレース運びで8位に食い込んだ。
フェッテルはまたも焦って自滅しただけでなく、バトンまで巻き込んでしまった。
速いだけではチャンピオンにはなれない。

イタリアGPの開催されるモンツァはイタリア北部の都市ミラノの郊外にある。
ミラノには大聖堂や最後の晩餐の絵画、ミラノ・ファッションなど見所はいっぱいあるが、車好きにとってはなんと言ってもアルファロメオである。
アルファのエンブレムの中にある赤十字はミラノ市の市章で、アルファは昔も今もミラノの誇りである。
フェラーリが台頭するまではグランプリカーといえばアルファロメオであった。
エンゾ・フェラーリは自身アルファロメオのレーシングドライバーであったし、スクーディア・フェラーリも自前のレースカーを作り始めるまではアルファロメオを走らせていた。

いよいよ、ティフォッシ(フェラーリ・ファン)達が待ち焦がれたイタリアGPが伝統の高速コースモンツァで競われる。
いうまでも無くフェラーリ・チームは最も力が入る。
モンツァは高速コースに適したマクラーレンとフェラーリにとって有利なコースだから、ベルギーで痛いポイントを落としたバトンとアロンソはなんとして勝ちを狙ってくるだろう。
ベルギーGPで高速コースでも速いことを証明したルノーのクビサと高速コースでは速さを見せるフォースインディアのスーティルにも注目だ。
2010年のチャンピオンシップもあと6戦となった。
2010 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表