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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2022(17)2022.09.30

イタリアGPでフェルスタッペンは7番手スタートからあっという間にトップに立ち、2位のルクレールをまったく寄せ付けず快勝した。
3位にはラッセルが入った。
これで、フェルスタッペンのチャンピオンシップ・ポイントは335となった。
ルクレールは219ポイントとなったので、フェルスタッペンとの差はは116ポイントまで広がった。
ルクレールが4連勝して、その4戦でフェルスタッペンがすべてリタイヤでも追いつかないポイント差になってしまった。

イタリアGPで、レッドブルは、他のチームがモンツァ用の小型ウイングを用意してきたのに対して、ダウンフォースを稼げるサイズのウイングを持ち込んできた。
他のチームは高速コースのモンツァで最高速を稼ぐためにはドラッグ(空気抵抗)を減らす必要がある。
しかし、レッドブルのマシンは、元々ドラッグの少ないボディ形状なので、他より多少大きなウイングにしても他と同じくらいの最高速を出すことができる。
大きめのウイングをつければ、コーナーやシケインを速く走れるだけでなく、トラクションがいいのでタイヤが空回りすることなくタイヤに優しいセッテイングにマシンを仕上げることができる。
ストレートのアドバンテージがなくても、最終コーナーを早く立ち上がることができて、DRSを使えばストレートエンドで抜くことも可能だ。
レッドブルよりドラッグの大きい他のチームのンでは真似のできない芸当だが・・・。
レッドブルは、フリープラクテすの時間のほとんどを完全に決勝向けセッティングを煮詰めるのに費やしていた。

予選は、Q3でルクレールが渾身の走りでトップタイムを出し、フェラーリのホームレースに詰めかけたティフォシを喜ばせた。
フェルスタッペンは0.161秒差で2番手、サインツはフェルスタッペンからに0.123秒差の3番手タイムを出した。
予選のサプライズは、虫垂炎で欠場となったアルボンの代役に指名され、急遽ウイリアムスから出走することになったニック・デフリースで、初のGP予選で13番手タイムを出した。
モンツァは残り7戦の中では、最もストレートで抜くことが容易なコースなので、残りのレースのために新しいPUを取っておきたいチームがマシンの一部または全部のPU交換を行ったため、グリッドダウン・ペナルティが錯綜して、決勝のグリッドは予選のタイム順とはかけ離れたものになった。
決勝のスターティンググリッドは、ルクレール、ラッセル、ノリス、リチャルド、ガスリー、アロンソ、フェルスタッペン、デフリース(!)の順となった。

決勝のスタートは、ルクレールとラッセルの鍔迫り合いで軽い接触があった以外は、スムースにいった。
1周目を終えたところの順位はルクレール、ラッセル、リチャルドとなったが、7番手から4番手にまで順位を上げたフェルスタッペンは、ホームストレートでリチャルドを抜き去り、2周目の頭には3番手にまで進出した。
フェルスタッペンは5周目にはラッセルを下して2番手にまで上がってきた。
フェルスタッペンがルクレールまで2秒と迫った12周目にVSCが出た、ルクレールはすかさずピットインしてソフトからミディアムに交換した。
フェルスタッペンとラッセルはコース上に留まったので、フェルスタッペンがトップ、ラッセルが2番手、ルクレールはトップから13秒差の3番手となった。
フェルスタッペンは26周目にピットインしてソフトからミディアムに交換する。
フェルスタッペンはスタートタイヤでルクレールの2倍の距離を走った。
この時点でルクレールとフェルスタッペンのタイム差は10秒。
フェルスタッペンはルクレールより12周若いタイヤで追い上げを開始する。
フェルスタッペンはルクレールより1周あたり0.5秒以上速いペースで追い上げる。
ルクレールはタイヤを使い果たし、34周目にソフトタイヤに交換した。
この時点で、ルクレールはフェルスタッペンの20秒後方に位置することになった。
48周目にセフティカーが入ったところで、フェルすスタッペンはソフトタイヤに交換してルクレールの前でコースに戻った。
これで、フェルスタッペンは再スタートになった時にフレッシュなソフトタイヤで戦える。
しかし、事故車の処理に時間がかかり、セフティカー先導のままレースは終了となった。
もし、最後数周のドッグファイトがあったとしても、順位に変動はなかっただろう。

次は、3年ぶりに開催されるシンガポールGPだ。
シンガポールの市街地コースを夜にライティングのもと走るレースだ。
中低速型のストリートコースなのでフェラーリに向いたコースだ。
大型のウイングを装着しても大きなディスアドバンテージにはならない。
残り6戦が行われるコースの中では最もレッドブル・マシンのアドバンテージを出しにくいコースだ。
フェラーリ・ルクレールはシンガポールで勝ってモナコの無念を晴らしてほしい。
メルセデスもこのコースなら勝つチャンスがある。
フェッテルは当時性能が劣るフェラーリでメルセデスを破って優勝したことがある。

シンガポールGPは1位ルクレール、2位フェルスタッペン、3位ハミルトン、4位ペレス、5位アロンソ、6位フェッテル、7位角田、8位リチャルド、9位ノリス、10位ボッタスかな。

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Formula One 2022(16)2022.09.09

オランダGPでフェルスタッペンはポールからスタートし、終盤にハミルトンとトップを競う場面があったが、最初にチェッカーを受けた。
フェルスタッペンは今期10勝目となった。2位にはラッセル、3位にはルクレールが入った。
フェルスタッペンのチャンピオンシップ・ポイントは310まで積み上がった。
ペレスとルクレールは201ポイントで並び、フェルスタッペンとの差はは109ポイントになった。
ペレスとルクレールは、残り7戦でフェルスタッペンが複数回リタイヤでもしない限り、ひっくり返すことができないほど差をつけられた。

オランダGPのレッドブル勢はベルギーGPの時とは違い、持ち込んだセッティングを大きく外し、苦闘していた。
P1開始当初から好調だったのはフェラーリとメルセデスだった。
直線の短いサンドフォールトでは、レッドブルのマシンはスパほどの優位性が保てないのではないかと危惧されていた。
予想どうり、金曜日のP2が終わった時点で、フェルスタッペンはルクレールとラッセルに先を越されていた。
レッドブルは金曜日の夜にハードワークをして土曜日の朝にはセッティングを大幅に変更してきた。
フェルスタッペンは、P1開始早々にマシントラブルが出てロングランのテストができていなかったので、P3は決勝に向けたセッティングの確認に時間を割いたためか、ルクレール・ラッセルとのタイム差はP2からあまり縮っていないように見えた。

予選Q1が始まると、上位3人のドライバーの顔ぶれはフリープラクティスの時とは入れ替わっていた。Q1のトップはフェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手角田という結果だった。
角田の3番手タイムはセッション終盤にトラック・エボリューション(走行したマシンのタイヤのゴムがサーキット路面に付着してグリップが向上する)を利用して出したものだった。
それにしても、角田はP3では16番手タイムだったから、バンクの上側をうまく使ってタイムを上げる走り方でも見つけたのだろう。
予選Q2は、サインツ、ラッセル、フェルスタッペン、ルクレールの順だった。
この4人が1分10秒台を出した。フェルスタッペンはQ2突破に充分なタイムを出していたので、深追いせず決勝用にソフトタイヤを1セット温存した。
角田は10番手タイムを出して今期4回目のQ3進出を果たした。
予選Q3は、フェルスタッペン、ルクレール、サインツという結果になった。
ハミルトンと角田はトラックエボリューションをフルに利用しようとして、予選終了間際にアタックしていたが、前でアッタクしていたペレスが最終コーナー手前でスピンして、黄旗がでたためタイムアップできず、4番手と9番手に終わった。

決勝のスタートは、スムーズで、オープニングラップを終えると、フェルスタッペン、ルクレール、サインツ、ハミルトン、ペレス、ノリス、ラッセルの順でホーム・ストレッチに戻ってきた。
上位7車のスタートタイヤは、フェルスタッペン、ルクレール、サインツ、ペレスがソフト、ハミルトン、ノリス、ラッセルがミディアムだ。
ソフト組は2ストップ、ミディアム組は1ストップが予想される。
メルセデス勢はレッドブル、フェラーリ勢がピットに入った後走り続けて前にでる戦略だ。
15週目、トップフのフェルスタッペンと2番手のルクレールの差は3秒ある。
ここで、サインツとペレスがピットインしてタイヤをミディアムに交換した。

ルクレールは18周目にピットインしてタイヤをミディアムに交換する。
この間に、ハミルトンとラッセルが前にでる。19周めには、フェルスタッペンがピットに入ってミディアムに交換する。
20周目には、ハミルトン、ラッセル、フェルスタッペン、ルクレール、ペレス、サインツの順になった。
この時点でのハミルトンとフェルスタッペンの差は約9秒ある。
フェルスタッペンは、早めにハミルトンを抜いておかないと、ワン・ストップのハミルトンに最終的に前に出られてしまうことになる。
フェルスタッペンんは周回毎に0.6秒平均でハミルトンとの差を詰めていった。

ハミルトンはフェルスタッペンが1.8秒後方にまで迫った30週目にピットインしてハードタイヤ!に交換した。
メルセデス・チームは、序盤でハードに交換したアロンソ他のペースがいいことを掴んでいた。
これでゴールまでノンストップで行ける。
フェルスタッペンが次のタイヤ交換をするまでに、21秒以内につけておけば、フェルスタッペンの前に出ることができる。
ハミルトンがコースに戻った時点でのフェルスタッペンとの差は約14秒だった。
フェルスタッペンはハミルトンとの差を21秒以上に広げようとするが、ハードを履いたハミルトンは速く、タイム差は一旦19秒まで広がったが、48周目には14秒差にまで縮まってしまった。

48周目に角田がリアのデフ(?)のトラブルでコース上にストップしたためVSCが出る。
フェルスタッペンは、即座にピットインしてハードタイヤに交換する。
ハミルトンもピットインしてミディアムタイヤに交換した。
これで、フェルスタッペンがトップに立ち、ハミルトンは13秒差を追い上げる展開となった。
ミディアムを履くハミルトンはファーステストラップを連発しながら55周目にはフェルスタッペンまで11秒と迫った。

55周目にボッタスが車をコース上に停めたため、セフティカーが出動した。
フェルスタッペンは、すかさずピットインしてソフトタイヤに交換した。
ハミルトンはトップの座を手に入れるためコース上に留まり、ラッセルはピットに入ってソフトタイヤに履き替えてフェルスタッペンの背後につけた。

セフティカーにより各社の間隔は詰まった。
ハミルトン、フェルスタッペン、ラッセル、ルクレール、ペレス、サインツの順に並び、60周目が終わったところで再スタートしとなった。
フェルスタッペンはコントロールライン通過直後にハミルトンに並びかけ、1コーナーで鮮やかに抜き去った。
その後、使い古したミディアムで走るハミルトンは、ラッセルとルクレールにも交わされて4位でゴールすることになった。
レッドブルとメルセデスは、それぞれのチームの総力を結集して、見応えのある攻防を見せてくれた。
フェラーリはレッドブルに匹敵するマシンを持ちながら、タイヤの摩耗が早かっただけでなく、戦術面で劣ったことやピット作業の乱れなどでメルセデスの後塵を拝する結果となった。

次は、夏休み明けの3連戦を締めくくるイタリアGPだ。
モンツァは言わずと知れた高速コースだ。
各車、モンツァ用の小型ウイングを持ち込んでストレート・スピードを1Kmでも上げようとしてくる。とは言っても、ストリート以外でも速くないとラップタイムは速くならない。
今シーズンのパフォーマンスからして、モンツァにはレッドブル、フェラーリ、メルセデスの順で適性がマッチしているように思われるが、オランダGPをみてもわかるように、ちょっとしたセッティングの適合性や路面温度とタイヤの使い方、レース中の戦略によって結果が変わるほどチームの実力は接近している。
イタリアは、英国のについでベースとするチームが多い国だ。
フェラーリとアルファタウリはイタリアのチームだし、アルファロメオもスイスのチームだがイタリア名のチームだし、ハースもイタリアにファクトリーがある。
しかし、なんといってもフェラーリが活躍しないことには盛り上がらない。

イタリアGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位サインツ、5位ハミルトン、6位ラッセル、7位フェッテル、8位ボッタス、9位角田、10位ノリスかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2022(15)2022.09.02

ベルギーGPで、フェルスタッペンは14番グリッドからスタートし、レース前半でトップに立ち、そのまま2番手以下を大きく引き離して優勝した。
あたかも、フェルスタッペン一人が別のレースを走っているような速さだった。
フェルスタッペンはファーステストラップも記録した。
ペレスは、スタートでもたついたが、レース中盤以降は3位のサインツを寄せ付けず、レッドブルのワン・ツー・フィニッシュに貢献した。
フェルスタッペンはチャンピオンシップ・ポイントを284まで伸ばし、ペレスには93ポイント、ルクレールには98ポイント差をつけることになった。今シーズンは残り8レースしかない。

ベルギーGPのレッドブルとフェルスタッペンは、P1開始当初から絶好調だった。
今年のレッドブルのマシンは直線に強いので、高速コースであるスパではセクター1とセクター3では速いが、コーナーの連続するセクター2ではフェラーリの方が速いだろうと予想されていた。
ところが、蓋を開けて見ると、レッドブルは全セクターで速かった。
しかもスパに持ち込んだセッティングがP1から決まっていて、あとはファイン・チューニングするだけだった。

今年は、ロシアGPがないので、これからシーズン末までにパッシングの容易なコースはスパがしかない。
各チーム4台目以降のPU使用のペナルティをここで受けて、ダメージを最小限に留めようとした。
このため、フェルスタッペンとルクレールを含む6台がPU交換ペナルティを受けることになり、予選20番手でも14番グリッドからスタートできることになった。
PU交換をする車のドライバーは、ベストタイムを出したとしても最後尾スタートなので、Q3まで進んでも仕方がない。
しかし、PUを交換したフェルスタッペンは、Q3に進み、2番手のサインツより0.632秒速いトップタイムを記録して地震の速さを証明してみせた。
しかも、フェルスタッペンが出したタイムは中古のソフトタイヤを履いて一回のアタックで出したものだった。5番手のハミルトンはフェルスタッペンから1.8秒遅れていた。

予選タイム上位でもPU交換をした車は最後尾に回るので、スターティング・グリッドはいつもと様相が違った。
メルセデスは今回PU 交換をしていないのでグリッド位置は上位に繰り上がっている。
決勝のグリッドのトップ6はサインツ、ペレス、アロンソ、ハミルトン、ラッセル、アルボンの順となった。
フェルスタッペンは14番グリッド、ルクレールは15番グリッドからのスタートだ。

決勝のスタートは、サインツが綺麗に飛び出しトップをキープし、狙い過ぎたペレスは出遅れて、アロンソ、ハミルトン、ラッセルに先行を許してしまい5番手まで落ちてしまった。
ハミルトンlはアロンソに無理に仕掛けて乗り上げ、車は一旦中に浮いて着地したためダメージを追ってリタイヤした。
アロンソはダメージがなくそのまま走り続ける。

1週目を終わった時点での順位は、サインツ、ペレス、ラッセル、アロンソ、フェッテル、リチャルド、アルボンとなった。フェルスタッペンはアルボン直後の8番手まで浮上している。
後方で接触事故があっったのでセフティカーが入り、レースは5周目に再開すされた。
フェルスタッペンは6周目を終えたところで5番手まで進出し、その後も圧倒的な速さで順位を上げ続け、7周目4番手、8週目に3番手、サインツが早めにタイヤ交換のためピットインしたため、12週目にはトップに立った。

フェルスタッペンは15周目にピットインすると、先にタイヤ交換していたサインツの後でコースに復帰して2番手となるが、18週目にはサインツを抜いてトップに返り咲いた。
トップに立ったフェススタッペンは、ぐんぐん後続を引き離して完全な独走状態となり、ゴールした時は同じレッドブルに乗るペレスに18秒もの差をつけていた。

スパはレッドブルのマシンに適したコースであるとはいえ、フェルスタッペンとレッドブルの組み合わせは夏休みの間にさらに強力になった。
ベルギーGP前に実施したタイヤ・テストのデータ大きく寄与しているだろう。
レッドブルの弱点であった中低速コーナーも、高速コース用ウイングを大きめにしてトラクションを稼ぐことによって克服した。
ホンダ製PUも、エナジー・ストアに何らかの改良が施されていたのかもしれない。

次は、オランダGPだ。
鈴鹿を顔型化したようなレイアウトのサンドフォールトは中低速コーナーに強いフェラーリ、メルセデス、マクラーレンに適したコースなので、レッドブルとの接戦を期待したい。
オランダGPは言うまでもなくフェルスタッペンのホームGPだ。
ハミルトンやフェルスタッペンはホームコースで結果を出せるドライバーだ。

オランダGPは1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ハミルトン、4位ペレス、5位サインツ、6位ラッセル、7位ノリス、8位ボッタス、9位角田、10位アロンソかな。    

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