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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2015(6)2015.05.21

スペインGPは、予選から一貫して速かったロスベルグが、自身にとってきわめて重要な一戦をものにした。
ロスベルグは今期初優勝だ。
しかも、2位ハミルトンに17.5秒も差をつけての完全勝利だった。
フェッテルは3位表彰台に食い込むのがやっとの状態でハミルトンから更に28秒近くも離されてしまった。
やはり、今回のようにタイヤのもちがいいレースだとメルセデスの持つパワー・アドバンテージが際立ってしまう。
フェッテルから更に14秒後にボッタスとライコネン、6位にマッサが入った。
上位6台がメルセデス、フェラーリ、ウイリアムズの3チームで占められ、7位以下はすべて周回遅れにされてしまった。
中位チームで元気なのはトロロッソで二人のルーキードライバーが第1チームで遥かに予算規模の大きいレッドブルと互角以上に戦っている。
何しろ、予選ではトロロッソの二人が5番手と6番手でレッドブルより前に並んだ。
PUはレッドブルと同じルノーだからトロロッソの今年のシャシーの開発方針が当たったといえる。
トロロッソの空力設定はレッドブルよりマイルドなのかもしれない。
各車、カタルーニァ・サーキットでは横風や追い風の急激な変化に悩まされていた中でトロロッソは見事な予選結果を出した。

マクラーレン・ホンダは3週間の休みの間にかなりの宿題をこなしてきたようで、フリー走行、予選とも中位チームの域に入ってきた。
しかし、決勝ではアロンソがブレーキトラブルで途中リタイアし、バトンは完走したもののリアの挙動がおかしくて中盤以降は全く戦えなかった。
マクラーレン・ホンダは、スペインGP直後にあるテストでできるだけデータを集めて改良を続けるしかない。

メルセデスとフェラーリは、合法的に予選時の一発パフォーマンスを高める方法を持っているようだ。
このため、燃料流量規制が守られているかどうかをより厳しくチェックするために燃料流量センシングの方法を変えることが検討されている。
PU 新規定発効以来PUの制御はますます複雑になってきている。
2013年まではエンジンの排気を空力に利用するというアイデアが物議を醸していたが、2014年以降はPUのセッティングによってマシンの操縦性特性を変えたりできるようになった。

次は、伝統のイベントモナコGPだ。
100%市街地の公道を使って行われるF1レースだ。
創世記の自動車レースでは一般道を閉鎖してサーキットにすることはよくあった。
近年になって、レースカーがあまりにも速くなりすぎたため、エスケープ・ゾーンの取れない公道で事故時の安全性を確保するのは難しくなってしまった。
しかし、プレミアムGPであるモナコはガードレールの強化やエスケープ・ロードの確保、独立したピット・エリアなどによって近代F1の舞台であり続けている。
モナコGPの最大の見所は予選にある。
レースになってしまうとスタートの第1コーナーまでに決まった順番でのパレード・ランになってしまう。
コース上でパッシングするのは非常に困難でリスキーだからだ。
モナコでは、PUのパワーも空力によるダウンフォースもほかのサーキットほどのアドバンテージにはならない。
トラクションの低い公道舗装の上でも巧く走れるドライバーがいいタイムを出す。
市街地コースのおかげで予選はドライバーの技量の差を見ることができる。

ロスベルグは遅いマシンに乗っていた時でもモナコではいいタイムを出してきた。
今年のフェラーリならば、ロー・トラクションに強いライコネンの快走が見られる気がする。
グロージャンはフランスGPのない今、モナコがホームGPだ。マルドナドはモナコで速い。

モナコGPは、1位ライコネン、2位ロスベルグ、3位アロンソ、4位ハミルトン、5位フェッテル、6位バトン、7位クビアト、8位ボッタス、9位マルドナド、10位グロージャンかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2015(5)2015.05.08

バーレーンGPはまたもやハミルトンの優勝で幕を降ろした。
しかし、バーレーンGPのスターはライコネンだった。
ミディアム・タイヤで驚異的なラップタイムを出し続け、ピットからのソフトタイヤへの交換の連絡に疑問を投げかけるほどだった。
ファーステスト・ラップをたたき出して最後までハミルトンを追い続けた。
レースが気温の高い昼間に行われていたらハミルトンの前でゴールしたかもしれない。

ロスベルグは、スタートでフェラーリ2台に割って入られたのが最後まで響いて3位に甘んじた。
フェッテルは中盤までロスベルグと競っていたが終盤ボッタスに攻め立てられた際にコーナー出口で片側の車輪をコース外に落としてしまった。
このため、フェッテルはフロントウイングにダメージを負ってピットインし、ボッタスに4位の座を奪われた。
6位と7位にはマシンの力不足にもかかわらず実力を示したリチャルドとグロージャンが入った。

予選ではメルセデスのハミルトンとロスベルグがポールと3番手に着けたのに対して、フェラーリのフェッテルとライコネンが2番手と4番手に着けたから、フェラーリは、対等とまではいかないまでもメルセデスと戦えるだけの実力をつけてきている。
今後、メルセデスが大幅に性能アップしてこない限りワールドチャンピオン経験者二人をそろえるフェラーリがカナダGPあたりから優位に立つ可能性がでてきた。

最もドライバー力があるといわれるアロンソは、今回11位に入った。
バトンはマシントラブルで決勝のスタートが切れなかったが、アロンソは予選で14番手に着け、決勝でも10位のマッサに数秒差まで迫ってゴールすることができた。
開幕戦オーストラリアGPの状態から比べれば中下位のマシンとは決勝で戦える状態にはなってきている。
とはいえ、トップのメルセデスとは予選タイム差がまだ2秒以上あるので道のりは長い。

1988年からのマクラーレン・ホンダはあまりにも強かったので、いきなり今年から同じようなシーンが再現されると期待されるのも止むを得ないと思うが、1983年のスピリットに始まり、ウイリアムズ、ロータスのシャシーとともにエンジン開発を続け、5年後の1988年になってマクラーレンと組んで初めてチャンピオンを獲得した。
メルセデスにしても1990年にイルモアに資本参加して近代F1のエンジン技術を学び始めてからマクラーレンとともにチャンピオンをとるまでに8年かかっている。
F1のパワーユニットは地上最速でバトルするF1用なのだからそんなに簡単に熟成できるものではない。

カタルーニャ・サーキットは、1991年以来スペインGPの舞台となっているので各チームとも豊富なデータを持っている。
1kmのホームストレート以外は中低速コーナーが連なった、鈴鹿を少しシンプルにしたようなコースだ。
フェラーリは、予選順位が良くてバーレーンGPの時と同じようにメルセデスのワンツーを許さないポジション取りができれば優勝の目がある。
スペインGPがホームレースのアロンソ、サインツ、メルヒの走りにも注目しよう。

スペインGPは、1位フェッテル、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位ロスベルグ、5位マッサ、6位サインツ、7位ボッタス、8位ナスル、9位アロンソ、10位バトンかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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学会ネット株式会社 代表