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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2021(15)2021.09.23

イタリアGPはリチャルドが見事な優勝を飾った。
2位にはノリスが入ったのでマクラーレンのワンツーフィニッシュだった。
3位には、PUを交換したため最後尾スタートとなったボッタスが入った。
表彰台にチャンピオンの座を争うフェルスタッペンとハミルトンの姿は無かった。

イタリアGPには、ブリティッシュGPと同様の新しい予選方式が導入された。
金曜日午後にタイムトライアル形式の予選が行われ、金曜日のタイム順にスターテインググリッドに並んで、土曜日の午後にショートレース型式のスプリント予選が行われるというものだ。
予選の速さでは、メルセデスが頭ひとつ抜きん出ており、予選1番手のボッタスと3番手のフェルスタッペンの間には0.411秒の差があった。
一方、フェルスタッペンと4番手ノリスの差は0.023秒しか無かった。
5番手リチャルドもノリスから0.06秒遅れだったので、今年のモンツァはマクラーレン勢の調子がいいことは誰の目にも明らかだった。
スプリント予選は、ボッタスが好スタートを決めてフェルスタッペンとリチャルドが後に続き、そのまま18周のレースを終えた。
ハミルトンとノリスは出遅れ、5位と4位だった。

ボッタスは決勝でPU交換ペナルティで最後尾スタートとなる為、決勝のグリッドは、フェルスタッペン、リチャルド、ノリス、ハミルトンの順に並ぶことになった。
3列目にはルクレールとサインツが並ぶ。

決勝レースのスタートでは、2番グリッドのリチャルドが見事なスタートを決め、フェルスタッペン、ノリス、ハミルトンの順でレースが始ったが、ジョビナッツィのクラッシュでVSCが入る。
VSCが明けた後もトップ4の順位は変わらない。
フェルスタッペンは24周目にピットに入るがピットで11秒以上を費やし、リチャルドの前に出るどころか実質4番手にまで後退してしまった。
ハミルトンは26周目にピットインしフェルスタッペンの2秒前に出る。
フェルスタッペンは、ハミルトンを追って1コーナーで並びかけるがハミルトンは譲らず、ハミルトンのリヤタイヤとフェルスタッペンのフロントタイヤが接触し、フェルスタッペンの車がハミルトンの車の上に乗り上げて両車がクラッシュしてリタイヤした。
ヘイローに守られたことと接触時の速度が低かったことが幸いして、ブリティシュGPの両者のアクシデントほど危険なものにはならなかった。
今回は両者リタイヤで決勝ノーポイントとなった。

この後、リチャルドはトップを守りきり、ノリスもルクレールを交わして2番手に浮上したので、マクラーレンのワンツー体制が出来上がり、そのままゴールまで走り切った。
この間に、ペレスが3番手まで上がるが、ボッタスは最後尾から4番手にまで昇ってきた。
ペレスは、そのまま3番手でゴールしたが、5秒ペナルティを喰らったため、結果的にボッタスが3位となった。
フェルスタッペンは、スプリント予選の実施されたGPで2回ともクラッシュで完走できなかった。

次は、ロシアGPだ。
ロシアのリゾート地ソチのオリンピック施設跡地周辺を周回する市街地舗装のコースだ。
例年メルセデスが得意としている。
比較的パッシングが楽なコース設定になっている。
フェルスタッペンは、ブリティッシュGPでクラッシュした時の PUが使えないので、4基目のPUを投入しなければならないが、ここでペナルティを受けた方が最もダメージが少ない。
ペレスのサポートも重要となる。
ハミルトンとしては、ここで勝てば、チャンピオンシップのリードを取り戻すことができる。
メルセデスとレッドブルの頂上バトルは続く。
ロシアGPはクラッシュなしでお願いしたい。

ロシアGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ペレス、4位ボッタス、5位ルクレール、6位サインツ、7位ガスリー、8位フェッテル、9位アロンソ、10位角田かな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2021(14)2021.09.10

オランダGPは、フェルスタッペンが快勝した。
フェルスタッペンは、オレンジ色服一色の国民と国王が見守るホーム・グランプリで優勝するという、難しい仕事を見事にやってのけた。
2位にはハミルトン、3位にはボッタスが入った。

フェルスタッペンは、ポール・スタートからトップに立ち、トップの座を譲ることなくサンドフォールトを駆け抜けた。
メルセデス・デュオにつけ入る隙を与えなかった。

F1マシンがサンドフォールトを走るのは36年ぶりということで、各チーム手探り状態で始まったフリー走行だったが、トップ3チームは予選が始まるまでにタイムをまとめてきた。

予選Q1が始まると、トラック・エボリューションによって後になるほど大幅にタイムが向上していき、マシンの実力が劣っていてももセッションの終わり近くに走った方が良いタイムがでるようになっていった。
その結果、Q1をワンツーで通過したのはルクレールとサインツだった。
フェルスタッペンとハミルトンは赤旗中断を避けるために、Q1開始早々にタイムを出していたのでQ1では3番手と6番手だった。
ペレスは、逆にQ1終了間際を狙いすぎて遅い車に引っ掛かり、Q1敗退となってしまった。
これで、フェルスタッペンは一人でメルセデス2台を相手にしなければいけなくなった。

Q3でフェルスタッペンはハミルトンに0.038秒差でポールポジションを獲得した。
このタイムを出した時、フェルスタッペンのマシンは最後のストレートでDRSが開いていなかった。
フェルスタッペンのラップタイムの実力はハミルトンに対して0.1〜0.2秒速かった。

決勝レース、フェルスタッペンはスタートデ見事にハミルトンを引き離し、1周目を終えてホームストレッチに戻ってきたときにはハミルトンに1.7秒差をつけていた。
この差を維持できれば、ハミルトンにDRSを使われる心配はない。
フェルスタッペンはその後も少しずつハミルトンとのギャップを広げ、ソフトタイヤの交換が必要になる20周目までには3秒差としていた。
これでハミルトンが先にピットインしてアンダーカットを仕掛けてきても順位がひっくり返される心配はなくなった。

序盤の山場をクリアしたフェルスタッペンは、食い下がるハミルトンを1.5秒〜3秒内に抑えて残りのレースを走り切った。
フェルスタッペンは、レースの勘所を抑え、僅かなアドバンテージを使い切る完璧なレースをした。
ハミルトンもミスのないレースを見事に戦った。
ハミルトンでなかったら、フェルスタッペンにここまでは迫れなかっただろう。
しかも、ハミルトンはリタイヤしたわけではなく、きっちり2位に入って、ファーステストラップ・ポイントも獲っている。

次のイタリアGPは、伝説の高速コース、モンツァで行われる。
モンツァは、直線と中速コーナーとシケインからなるコースのため、直線の速度が重要になる。
各車、小型のモンツァ用ウイングを用意して直線スピードを稼ごうとする。
ところが、以外にマシンとセッティングによっては、ストレート・スピードを若干犠牲にしても、ウイングを少し立てて中速コーナーのトラクションを得た方が、ラップ・タイムはいいということもある。
過去にバトンがマクラーレンでこの方法を成功させて周囲を驚かせたことがある。
ここではトウも使える。
可夢偉は明らかに戦力の劣るケーターハムで巧みにトウを使い、これほどの高速コースでもドライバーの腕でできることがあることを見せてくれた。

フェラーリとアルファタウリにとってはホームレースであり、アルファロメオもブランドのホームレース、ハースはイタリア・モデナにベースを持っている。
ブリティシュGPに次いでチームにとってのホームレース色があるグランプリだ。
最近、予選でも上位に食い込めるようになってきたジョビナッツィにとってはホームレースだ。
ラスト・ホームレースにならないように頑張ってほしい。
フェルスタッペンは、ここで勝って初めてチャンピオンシップ争いでハミルトンと並んだと言える状況になるので、ここは落とせない。
角田はこのコースの経験があるし、柔らか目のタイヤ、直線エンドのブレーキングなど得意な条件がそろっている。
来シーズンのシートもほぼ埋まったのでドライバーは余計なプレッシヤーに影響されず、純粋にレースができる。

イタリアGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ノリス、5位ルクレール、6位フェッテル、7位ガスリー、8位サインツ、9位角田、10位ジョビナッツィかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2021(13)2021.09.03

ベルギーGPは、フェルスタッペンが優勝した。
2位にはラッセル、3位にはハミルトンが入った。
ラッセルはウイリアムズで初表彰台となった。
とはいっても、実質的な決勝レースは行われず、セフティカーの後について、ほぼ予選順位どうりの順で3周し、それでレースが成立したとしたものだ。
当然、規定周回数(44)の3/4を満たしていないのでポイントは通常の1/2になる。
極めて異例な形の結果となったが、F1レースは金曜日からの3日間の結果であり、ハーフポイントでも予選の順位でポイントをもらえる方が、他人にクラッシュさせられてリタイヤし、ノーポイントに終るよりは、受け入れやすい結果だと思う。
フェルスタッペンは、ベルギーで3基目のPUを投入しなくて良かった。

スパ・フランコルシャンは、元来、週末の3日間だけでなく、レース中でも天候が猫の目のように変わるサーキットとして有名だ。
今年は、金曜日から天候は不安定で、フリープラクティス(FP)1、FP2、FP3、予選、決勝と雨足はどんどん強くなっていった。

予選Q1時点で、すでに路面はウエット状態だったので、ウイリアムズの2台以外はレインタイヤを装着して出走したが、ウイリアムズが3秒以上速いタイムを出したので、各車インターミディエイトに履き替えてQ1を戦った。
Q1では、1番手のノリスと5番手のラッセルの速さが光っていた。

予選Q2は、各車、中古のインターミディエイトを履いて出走したが溝が浅くなっているため、途中で新品に履き替えてタイムアタックに入った。
ここでも、ノリスとラッセルは速く、1番手と8番手でQ2を通過した。

Q3になっても雨は降りやまず、路面には雨水の層ができて、コースコンディションは危険な状態になっていった。
Q1、Q2とトップタイムを出していたノリスがQ3開始直後にオールージュでコントロールを失って大クラッシュした。
それでも、赤旗中断の後Q3は再開され、フェルスタッペンがポールポジションを獲得した。
驚くべきは、ラッセルで、ウイリアムズで予選2番手につけて見せた。
ドライバーの腕だけでなく、Q1からのタイヤ選択と雨に合わせたマシン・セッティングは名門ウイリアムズ復活を予感させるものだ。
ウイリアムズとヒュルケンベルグが、2010年ブラジルGPの予選でも同じような技を見せてくれた。

角田は、F3とF2で好成績を残しているスパだったが、F1でコース・コンディションも雨ということで思うようにタイムが出せず、予選17番手に沈んだ。
レース結果としては15位だった。

フェルスタッペンは、今回12.5ポイントを獲得し、ハミルトンは7.5ポイントだったので、二者のチャンピオンシップ・ポイント差は3に縮まった。

次は、オランダGPだ。
ザントフォールトで36年ぶりに開催される。
ザントフォールトは1948年に開設されたコースデ魁夷数を繰り返してきだが、直近は2020年に近代F1に適合するべく大幅に回収した。
ターン3とターン14(最終)にはバンク角がついている。
ただし、抜ける場所はあまりなくターン1が唯一のパッシングポイントだと言われている。

フェルスタッペンにとっては、初めてのホーム・グランプリとなる。というより、フェルスタッペンの活躍によって復活したグランプリだ。
フェルスタッペンは、ベルギー・オランダ・イタリアの3連戦を3連勝しないとチャンピオンシップで優位に立つことができない。
ザントフォールトのスタンドは日曜日オレンジ・アーミーで染まる。

オランダGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ノリス、5位ルクレール、6位フェッテル、7位ガスリー、8位サインツ、9位ボッタス、10位アロンソかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉