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about

YUSUKE NISHIMURA 西村裕介
フォトグラファー
10代でアメリカ西海岸に渡り”ART CENTER COLLEGE OF DESIGN”を2007年に卒業。James white, Justin Stephensのアシスタントを経験後ニューヨークに拠点を移し独立する。現在は日本に帰国し、フォトグラファーとして雑誌、広告などを中心に幅広く活動中の若きクリエイターである。

シュールリアリズムと写真2009.10.09

写真の事をあらゆる角度から書こうと思うのだけれども、
どうも写真技術論なのどの話になると途端に筆が重くなり、
いつも精神論に重点をおいてしまっています。

一例として、
僕は写真家集団Magunmの写真作品を以下のように見て感じて解釈しています。

写真家達の性格や感情をその撮られた背景から、
迷い、愛情、強情などが
「その作品」から文章の行間を読み解くように写真の陰影を透視します。
その透視の課程において作者のメッセージを嗅ぎ出します。

最近、友人とシュールリアリズムの話をする機会がありました。
彼女は大学論文でシュールリアリズムを代表するイヨネスコ、サミュエルベケット、ハルロピンタの3人の共通点を書いたそうです。

勿論「そんなテーマ事態が馬鹿げたタイトルだけれども、非現実の世界に共通点などあるはずもなく当然答えなど無い・・・」と、熱く語るので、でも論文提出は必然なのだから共通点に何と書いたの?と問うと、彼女曰く「3人とも気が小さい」。

目の前にある現実を語る事は誰にでも簡単に説明できるけれども、現実を超越した、非現実の写真を前に語ると、
とたんに見る者の国籍、生活環境により解釈は千変万化する。
だから解釈の答えなんて無いし、その方が魅力的であり、ありきたりな形にはまらずに済むではないかと思うのです。

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YUSUKE NISHIMURA/西村裕介
フォトグラファー

ズレの美学2009.09.24

親友から「これ、貸してやるよ」と、DVDを借りた。
「吉田喜重が語る小津安次郎の映画世界」。
“同じ松竹大船撮影所に所属していた吉田監督の視点から小津監督の秘密に迫った映画による映画作家論”であった。

このDVDには小津監督の代表作である「東京物語」「秋刀魚の味」などを通して吉田喜重が語ったドキュメンタリーで、そこで「ズレの美学」というものを気づかされたのである。

映画をまやかしと考えていた小津監督は、演じるという枠から超えることができない現実に対し、なんの意味も持たない日常のカットを挿入することにより「ズレ」を生じさせ、見る者にこれから起こるであろう出来事をあらかじめ予感させる意味合いを持たせ、さらには役者の内面をあぶり出してしまうと効果を生み出しているのである。

「東京物語」では、妻を亡くした周吉役の「笠智衆」が次の日の朝、孫娘に話すシーンで、「いい夜明けじゃった、今日は熱くなるぞ」と一言。愛する者を失った悲痛な人間の言葉では無い、完全に期待を裏切ってくれる深みのある台詞であった。

そんな期待の裏切り方が写真でも応用できるのではないだろうか?と思う。
写真を撮るという現実枠からはみ出し、作るという非現実的な意識にして成り立つのである。
そんな違いの狭間で生まれる「ズレのある写真」も写真表現として面白いのではないだろうか,,,

Pentax 6×7
レンズ:30mm
ロケーション: カリフォルニア アルタデナ

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YUSUKE NISHIMURA/西村裕介
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若造フォトグラファー(1)2009.09.04

アメリカから帰国して約6ヶ月が経った。
現在久々の東京の夏に耐えしのぎながら
営業と撮影に専念する毎日は新しい発見と出会いが刺激的である。

8年前、親に手渡されたパソコンと共に単身で渡米した。
当時18歳の私が映画の勉強をしたいと思い向かった場所はロスアンゼルス。

私が空港から向かったホームステイ先は、
都心部から南へ車で40分ほどのBellflowerという田舎町で、
同じような白い外壁のこじんまりした一戸建て住宅が永遠に続く
螺旋階段のように続いている所だった。

ホームステイ先にタクシーが止まると、
私の体の2倍近くはあろうかと思えるホストの老婆が家の玄関から現れ、
満面の笑みでいきなり抱きしめられたので私は戸惑いながらも笑顔を作ってみせた。
老婆は私が泊まる部屋に案内してくれた。
玄関の真横に位置するその部屋は、
昼下がりの真夏の太陽光が直接差し込み、
真っ白な壁と家具達は光を鋭く乱反射させていた。

そこにいる古めかしい木の勉強机が、
私をあたかも横目で見ているかのように静かにたたずんでいた。

私は荷物の入った黒いスーツケースを開き、
グレーのジーンズとSex PistolsのTシャツに着替えた。
常時夏日に照らされる白い壁の部屋はけっして居心地のいいものではなかった。

リビングでは、色の褪せた深緑のソファーで老婆が横たわってパーラメントを吸っている。
小さなブラウン管テレビから青白い光が部屋を照らし煙草の煙が部屋をぼかしていた。
老婆の周りには3匹の猫が寄り添うように座り、
私の存在に気づくと、物陰に消えていった。
私はいつ声をかけていいのか分からず立ち尽くしテレビのブラウン管を眺めていた。

続く

今回の写真
Autozoneの広告。
”Love is not Enough.”自分の車を愛し過ぎ、愛する妻に寄り添うように車と寝ている男”
ロケーション:カリフォルニア州南パサデナ市
カメラ:Mamiya RZ 2D
レンズ:Mamiya ULD f4.5 50mm
デジタルバック:Leaf Aptus
部分撮り:建物:空:車(6点)人物:月:鳥

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YUSUKE NISHIMURA/西村裕介
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