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YUSUKE NISHIMURA 西村裕介
フォトグラファー
10代でアメリカ西海岸に渡り”ART CENTER COLLEGE OF DESIGN”を2007年に卒業。James white, Justin Stephensのアシスタントを経験後ニューヨークに拠点を移し独立する。現在は日本に帰国し、フォトグラファーとして雑誌、広告などを中心に幅広く活動中の若きクリエイターである。

ズレの美学2009 / 09 / 24

親友から「これ、貸してやるよ」と、DVDを借りた。
「吉田喜重が語る小津安次郎の映画世界」。
“同じ松竹大船撮影所に所属していた吉田監督の視点から小津監督の秘密に迫った映画による映画作家論”であった。

このDVDには小津監督の代表作である「東京物語」「秋刀魚の味」などを通して吉田喜重が語ったドキュメンタリーで、そこで「ズレの美学」というものを気づかされたのである。

映画をまやかしと考えていた小津監督は、演じるという枠から超えることができない現実に対し、なんの意味も持たない日常のカットを挿入することにより「ズレ」を生じさせ、見る者にこれから起こるであろう出来事をあらかじめ予感させる意味合いを持たせ、さらには役者の内面をあぶり出してしまうと効果を生み出しているのである。

「東京物語」では、妻を亡くした周吉役の「笠智衆」が次の日の朝、孫娘に話すシーンで、「いい夜明けじゃった、今日は熱くなるぞ」と一言。愛する者を失った悲痛な人間の言葉では無い、完全に期待を裏切ってくれる深みのある台詞であった。

そんな期待の裏切り方が写真でも応用できるのではないだろうか?と思う。
写真を撮るという現実枠からはみ出し、作るという非現実的な意識にして成り立つのである。
そんな違いの狭間で生まれる「ズレのある写真」も写真表現として面白いのではないだろうか,,,

Pentax 6×7
レンズ:30mm
ロケーション: カリフォルニア アルタデナ

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YUSUKE NISHIMURA/西村裕介
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