- KENJI TAKAZAWA タカザワケンジ
ライター/編集者
- 写真、文芸を中心に、「PHOTOGRAPHICA」「papyrus」「野性時代」などの雑誌で、インタビュー、人物ルポを手がけている。とくに写真をめぐるフィールドワークに力を入れていて、別名「写真探偵」。
カメラに関する編共著に『GR DIGITAL BOX』がある。
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ライカの魅力とは?/ライカM型・その1(2009年6月22日公開分)2012.03.05
カメラと写真について、いろいろ書いていきたいと思います。
最初の話題はまず「ライカ」から。
クラシックカメラの代名詞のようなライカだが、いま現在、仕事や作品づくりに使っている写真家は少なくない。
ぼくは二年前から「メンズノンノ」というファッション誌で「旅々カメラ」という写真家へのインタビュー連載をやっているのだが、ライカを使っている写真家を思いつくままに挙げると、大森克己、若木信吾、富永よしえ、ハービー・山口、平間至らの名前が即座に思い浮かぶ。最近では、アラーキー(荒木経惟)までがライカで写真を撮っている。
1954年に「ライカM型」が登場して以来、半世紀。露出計こそ内蔵されたもののいまだにマニュアルフォーカス(驚くことに、デジタル化されてさえ!)というこのカメラのどこにそんな魅力があるのだろうか。
ということについて、次回、詳しく考えてみたいと思いますが、ググっただけで、ライカの魅力を熱く語っている人たちがたくさんいるので(笑)、ここでは、ちょっと温度低めでいきたいです。ヨロシクドウゾ。
(「ライカM型・その2」へつづく)
*8月20日に発売された「PHOTOGRAPHICA」(MdN)という写真雑誌で、森山大道さんにロングインタビューをしました。あと、同じ雑誌でホンマタカシ、金村修の両氏とストリートスナップの特集記事を作ったんですけど、面白かった! 本屋さんで見てください。買ってもらえるとさらに嬉しいです。
【写真】
「新婚旅行/ウクライナ(オデッサ)」
カメラ:ライカM2 レンズ:ズミター50mmF2 フィルム:Tri-X
【カメラ】
ライカM2。1958年製造開始。ライカM型のセカンドバージョン。最初のバージョンのM3(1954年)に35ミリのファインダー枠を加え、同時にファインダーを簡略化。ライカM型のなかではリーズナブル&カジュアルなモデル。(リコーGX200で撮影)
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「世界」は美しい(ライカM型・その3)2009.09.18
ライカの魅力を考える。最終回。
ライカの優れたポイントのなかでも、最近とくに関心を持っているのがファインダーの見え方だ。
ライカのファインダーはとにかく、きれい、見やすい。現実よりも、きれいに見えるんじゃないかという気がする。そのことが気になっているのだ。
というのは、写真は現実をあたかもそっくりそのまま写しているような印象があるけど、実は、写真とは現実とは意外と隔たりのある二次元の映像で、それはしばしば現実よりも美しい、ということがありうるからだ。
ライカのファインダーを通して見た「世界」は美しい。写真を撮るということは、その美しい「世界」を肯定することなのだということを、そのファインダーは、体験的に教えてくれる。
しかも、その美しい一瞬は、シャッターを切った次の瞬間には過去になり、もう二度と手に入れることができない。
時間という不可逆なシロモノに対して、写真は抵抗を試みる。
ゆえに写真には抗しがたい魅力があるのだとぼくは思う(と、今日思った)。
(この項終わり。次回は「クラシックカメラの買い方」について)
*「アサヒカメラ」で毎号「今日の写真2009」という時評鼎談の編集構成をやっています。9月20日発売の10月号のゲストは文芸評論家の福田和也さん。福田さんはライカM2ブラックを持参して登場されました。ぜひ、本屋さんでご覧下さい。買ってもらえるとさらにウレシイです。
【写真】
「新婚旅行/ウクライナ(オデッサ、キエフ)」
カメラ:ライカM2 レンズ:ズミター50mmF2 フィルム:Tri-X
【カメラ】
ライカM2(後ろから)。福田和也さんのM2ブラックのファインダーはきれいだったなあ。このM2のファインダーもきれいに見えるけど、しばらく放っておいたらゴミが! 分解清掃に出さなくちゃ。
(リコーGX200で撮影)
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写真機の可能性を体現するカメラ(ライカM型・その2)2009.09.07
ぼく自身、ライカM2を使っている。
今日のライカブームの教祖的存在の田中長徳さんのにはさんざんお世話になり、『名機礼讃3』の編集もさせてもらったくらいだから、ライカの魅力などいまさら語るほどのことでもないと思っていたけど、あらためて考えてみるとムズカシイ。その日、その日でその答えは変わってくるような気がする。
ただ、いま、ぼくが持っている関心に沿ってライカの魅力を考えてみると、たとえばこんな感じだ。
まず、カメラが「見た」ものを撮る機械であるということに忠実であること。すなわち、ファインダーの見え方がクリアですばらしい。そして、シャッターを巻き上げるメカニズムのスムーズさと、シャッター音のやわらかい音。そして、交換レンズがどれもすばらしい性能であること。
以上はライカを使っていれば当たり前のことなのだが、こうしてその魅力を言葉にしていくと、ライカがいかに写真を撮る機械としての機能に忠実であることがわかる。
(「ライカM型・その3」へつづく)
*8月24日発売の「Goethe (ゲーテ)」(幻冬舎)で松本人志さんの人物ルポを書きました。カメラにもライカにも関係ないですけど。あ。この記事のカメラマンは「巨匠」三浦憲治さんで、わずかな時間でカッコイイ写真を撮っていて、サスガ! と思いました。キヤノンのいちばん高いデジカメで、魚眼レンズとか使っちゃって。ぜひ、本屋さんで見てください。
【写真】
「新婚旅行/ウクライナ(オデッサ、リヴィウ)」
カメラ:ライカM2 レンズ:ズミター50mmF2 フィルム:Tri-X
【カメラ】
ライカM2(上から)。ぼくがM2を買ったのは三十過ぎてから。若いうちに買っちゃイカン、みたいなプレッシャーがあったんだけど、いまはそんなことはないのだろうなあ。(ちなみに、バルナック型は安いのでそのときすでに持ってましたけど)
(リコーGX200で撮影)
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