ライカの魅力を考える。最終回。
ライカの優れたポイントのなかでも、最近とくに関心を持っているのがファインダーの見え方だ。
ライカのファインダーはとにかく、きれい、見やすい。現実よりも、きれいに見えるんじゃないかという気がする。そのことが気になっているのだ。
というのは、写真は現実をあたかもそっくりそのまま写しているような印象があるけど、実は、写真とは現実とは意外と隔たりのある二次元の映像で、それはしばしば現実よりも美しい、ということがありうるからだ。
ライカのファインダーを通して見た「世界」は美しい。写真を撮るということは、その美しい「世界」を肯定することなのだということを、そのファインダーは、体験的に教えてくれる。
しかも、その美しい一瞬は、シャッターを切った次の瞬間には過去になり、もう二度と手に入れることができない。
時間という不可逆なシロモノに対して、写真は抵抗を試みる。
ゆえに写真には抗しがたい魅力があるのだとぼくは思う(と、今日思った)。
(この項終わり。次回は「クラシックカメラの買い方」について)
*「アサヒカメラ」で毎号「今日の写真2009」という時評鼎談の編集構成をやっています。9月20日発売の10月号のゲストは文芸評論家の福田和也さん。福田さんはライカM2ブラックを持参して登場されました。ぜひ、本屋さんでご覧下さい。買ってもらえるとさらにウレシイです。
【写真】
「新婚旅行/ウクライナ(オデッサ、キエフ)」
カメラ:ライカM2 レンズ:ズミター50mmF2 フィルム:Tri-X
【カメラ】
ライカM2(後ろから)。福田和也さんのM2ブラックのファインダーはきれいだったなあ。このM2のファインダーもきれいに見えるけど、しばらく放っておいたらゴミが! 分解清掃に出さなくちゃ。
(リコーGX200で撮影)
POSTED BY:
KENJI TAKAZAWA/タカザワケンジ
ライター/編集者
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