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YUSUKE NISHIMURA 西村裕介
フォトグラファー
10代でアメリカ西海岸に渡り”ART CENTER COLLEGE OF DESIGN”を2007年に卒業。James white, Justin Stephensのアシスタントを経験後ニューヨークに拠点を移し独立する。現在は日本に帰国し、フォトグラファーとして雑誌、広告などを中心に幅広く活動中の若きクリエイターである。

若造フォトグラファー(1)2009 / 09 / 04

アメリカから帰国して約6ヶ月が経った。
現在久々の東京の夏に耐えしのぎながら
営業と撮影に専念する毎日は新しい発見と出会いが刺激的である。

8年前、親に手渡されたパソコンと共に単身で渡米した。
当時18歳の私が映画の勉強をしたいと思い向かった場所はロスアンゼルス。

私が空港から向かったホームステイ先は、
都心部から南へ車で40分ほどのBellflowerという田舎町で、
同じような白い外壁のこじんまりした一戸建て住宅が永遠に続く
螺旋階段のように続いている所だった。

ホームステイ先にタクシーが止まると、
私の体の2倍近くはあろうかと思えるホストの老婆が家の玄関から現れ、
満面の笑みでいきなり抱きしめられたので私は戸惑いながらも笑顔を作ってみせた。
老婆は私が泊まる部屋に案内してくれた。
玄関の真横に位置するその部屋は、
昼下がりの真夏の太陽光が直接差し込み、
真っ白な壁と家具達は光を鋭く乱反射させていた。

そこにいる古めかしい木の勉強机が、
私をあたかも横目で見ているかのように静かにたたずんでいた。

私は荷物の入った黒いスーツケースを開き、
グレーのジーンズとSex PistolsのTシャツに着替えた。
常時夏日に照らされる白い壁の部屋はけっして居心地のいいものではなかった。

リビングでは、色の褪せた深緑のソファーで老婆が横たわってパーラメントを吸っている。
小さなブラウン管テレビから青白い光が部屋を照らし煙草の煙が部屋をぼかしていた。
老婆の周りには3匹の猫が寄り添うように座り、
私の存在に気づくと、物陰に消えていった。
私はいつ声をかけていいのか分からず立ち尽くしテレビのブラウン管を眺めていた。

続く

今回の写真
Autozoneの広告。
”Love is not Enough.”自分の車を愛し過ぎ、愛する妻に寄り添うように車と寝ている男”
ロケーション:カリフォルニア州南パサデナ市
カメラ:Mamiya RZ 2D
レンズ:Mamiya ULD f4.5 50mm
デジタルバック:Leaf Aptus
部分撮り:建物:空:車(6点)人物:月:鳥

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