スペインGP(今期第5戦)で今期5人目の勝者となったのはマルドナドだった。
2位にはホーム・グランプリのアロンソ、3位にはライコネンが入った。
何度もF1グランプリを席巻したことのある名門チームでありながら、昨年、絶不調だったウィリアムズに乗るF1参戦2年目のマルドナドが優勝したことが話題になった。
しかし、今年のウィリアムズは昨年の不調の一因であったエンジンをルノー・エンジンに変更し、仕上がりの良いシャシーを用意してきた。
オーストラリアGPではマルドナドがファイナルラップでクラッシュするまでは6位を走行していたし、マレーシアGPではセナが6位に入った。チャイナGPではセナ7位・マルドナド8位と6~10位の入賞圏内を走れる実力を見せていた。
バーレーンGPは2台ともリタイアに終わったのでこの辺が限界かなと思われたが、なんと、スペインでは優勝してしまった。
マルドナドとウィリアムズはどうやってスペインGPの優勝を手に入れたのだろう。
雨が降ったわけでもなく、上位チームにアクシデントが多発したわけでもない。
まずは、フリー走行3回を有効に使ってコースとタイヤにあわせたマシン・セッティングが完璧にできていた。
マルドナドは予選Q1Q2Q3を通じて速く、フロント・ローを獲得した。ダントツの予選タイムながら燃料残量違反で最後尾スタートになったハミルトンのおかげでポールポジションとなった。
レースでは序盤アロンソに先行を許したがタイヤ交換の際に抜き返し、終盤タイヤの厳しくなったアロンソを退けてトップでゴールラインを横切った。
雨で混乱したマレーシアGPを除く4戦ではいずれもフロント・ローからスタートしたドライバーが優勝している。
ハミルトンは予選で圧倒的な速さを見せていたが24番手スタートでは決勝で8位に入るのがやっとだった。
チャイナGPでは圧倒的な速さでポールポジションを取って優勝したロスベルグもスペインGPでは予選7位・決勝7位の結果だった。
フリー走行3回でセッティングを完璧にこなし、予選ではできるだけタイヤを使わないでフロント・ローを獲得して決勝では先頭に立って前に他車がいないことの利点を最大限に利用してタイヤをコントロールし逃げ切るというのが必勝パターンだ。
そうすれば多少の不利はカバーできる。レース・ウイークの3日間を通して緻密に戦うことができたチームとドライバーが優勝カップを手にする。今期はタイヤの要素が大きすぎるといわれるが、この方が、チームとドライバーの要素が大きくなるから、競争としてはよいかもしれない。
いよいよモナコGPだ。
モナコの1勝は他のGPの3勝に値すると言われるブランドGPだ。
今年のモナコは例年にも増して予選が重要だ。
もともと抜き場の少ないモナコでは予選で前にいないと優勝どころか上位に入ることも難しいが今年はチームの実力が拮抗しているので予選で前に出ないと挽回は困難だ。
土曜日の予選は雨になる可能性が高いらしいから状況はさらに混沌とする。
決勝が雨になれば誰が優勝するかまったく予想がつかない。
モナコGPは1位可夢偉、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位バトン、5位フェッテル、6位ライコネン、7位シューマッハ、8位マッサ、9位セナ、10位ウエバーかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
4戦目となるバーレーンGPで今期4人目のウィナーが誕生した。
フェッテル・レッドブルが今期初優勝!し、ロータスのライコネン、グロージャンが2位、3位にはいったのだ。
マレーシアでポイント圏外に終わったレッドブルはわずか5週間でマシンを修正し、予選・決勝ともにトップを狙えるマシンに仕立て直してきた。
レッドブルは前戦のチャイナGPで2台のマシンの空力仕様を変えて実戦テストをしてまでバーレーンに備えた。
結局バーレーンでは新しい仕様の方を採用し結果につながった。
もっとも、ドライバーがフェッテルでなければ優勝までは行けなかったかもしれないが・・・。
バーレーンGPもう一つのハイライトは、シーズンオフのテストでシャシーの強度問題が発覚し、テスト不足で開幕に挑んだロータスが安定した速さを示し始めたことだ。
ロータスのドライバー、ライコネンはレースごとに勘を取り戻し、たった4戦で優勝を狙えるところまで来た。
もう一人のロータスドライバー、グロージャンも予選だけでなく決勝でも強い走りができるようになった。
今年のF1で問題になっているのは、タイヤの使い方によってレースパフォーマンスが劇的に違ってしまうことである。
バーレーン予選11位のライコネンはあえて予選Q3進出を狙わず決勝にタイヤを温存したことで、もう少しで優勝というところまで行った。
これでライコネンが優勝でもしていたらもっと大きな話題になっていただろう。
Q3まで進出してしまうと決勝は予選Q3で3周走ったユーズド・ソフトタイヤでスタートすることになってしまう。
新品のソフトタイヤでスタートできる予選11位のドライバーより3周早くピットインしなければならない。
しかも、11位のドライバーは決勝で新品のソフトタイヤを2セット使えるのに対してQ3に進出したドライバーは新品のソフトタイヤは1セットしか残っていない。
Q3に進出するより予選ではできるだけ新品タイヤを温存したほうが、決勝での作戦に幅が出て有利になる。
バーレーンGPでロータスが取った作戦はチャイナGPでライコネンが予選5位でありながら、決勝後半でワンセットのタイヤを長く引っ張りすぎたために14位に終わった教訓から来たものだろう。
バーレーンGPからスペインGPまでは3週間ある。
この間にイタリアのムジェッロでシーズン中の合同テストが催された。
フェラーリやザウバーはパフォーマンスの挽回に必死だし、3週間あれば開発力のあるマクラーレンやレッドブルはかなりの改良を施すことができるだろう。
ロータスとザウバーがいいタイムを出していたが、悪くはないという程度でこのテストのタイムで今後のレース結果を占うことはできないだろう。
スペインGPのサーキット・デ・カタルーニャはどことなく鈴鹿に似たところがあるレイアウトなためか日本人F1ドライバーは得意としている。
2007年琢磨がドライバーの力でスーパーアグリを8位に持ち込んだ。
鈴鹿育ちでない可夢偉には関係ないだろうが・・。
スペインGPは1位可夢偉、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位バトン、5位フェッテル、6位ライコネン、7位シューマッハ、8位ウエバー、9位マッサ、10位セナかな。
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