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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2012(17)2012.10.26

コリアGPではレッドブルが今期初の1・2フィニッシュを果たした。
3位にはしぶとくて速い(マシンさえ動いていれば)アロンソが入った。
ここで優勝したフェッテルがついにチャンピオンシップポイントでアロンソを逆転してしまった。
アロンソはコリアGPが終わった時点でフェッテルに6ポイント差をつけられることになった。
しかし、残り4戦でこの差はないに等しい。レッドブルがコリアGPを完全に制覇したことからフェッテルがチャンピオンシップで優位に立ったという意見は多い。
しかし、ベルギーGPがスタートするまでは、その後アロンソが2度ももらい事故でノーポイントに終わることになるとは誰も思わなかった。
みんな、アロンソがかなり優位に立っていると思っていた。

レッドブルは鈴鹿の予選が始まるまではポイント差だけでなく、アップデートしたマシンのセットアップに苦労していた。
レッドブルは鈴鹿でもマクラーレンにはかなわないと思われていた。
ところが、アップデートとセッティングがぴったりと決まり鈴鹿では2位以下を寄せつけない勝利を飾り、コリアでも圧勝した。
いまや、マシンは最高の出来だとフェッテルはいっている。
裏を返せば、残りの4戦でも何が起こるかわからないということだ。
フェラーリのアップデートがはまって1・2フィニッシュをするかもしれないし、フェッテルが去年のように突然コースアウトしてリタイアするかもしれない。
こうなったら最終戦のラストコーナーまでチャンピオン争いがもつれてほしい(2008年のように)。

可夢偉はまだ来年のシートが決まっていない。
持ち込みスポンサーも自国のチームやエンジン・サプライヤーもない腕一本でF1のシートを得ている数少ないドライバーだ。
可夢偉自身ができることは、できるだけ上位に入ってザウバーがコンストラクターズ・ポイントでメルセデスの上に行くことぐらいしかない。

昨年のインドGPでは開催前にF1という金持ちのスポーツをインドで開催することの軋轢が話題となった。
インドではまだまだ貧富の差が大きくて、脳炎の子供の医療対策にお金を使うべきときにF1のように一部の金持ち(インド社会では)のためのスポーツにお金を使うのは社会的に問題があるという声が上がっていた。
今年はどうなったのだろう。税関でも一時的にレースに出る車両やパーツなのに高い関税をかけるといっていた。
これはインド社会からすれば至極まっとうな話で、ヨーロッパF1界の常識のほうがおかしいということになる。
インドGPのタイヤはソフトとハードの組み合わせになる。
鈴鹿と同じ組み合わせなのでザウバーはコリアよりは少しいいかもしれない。
コースはコリアと次のアブダビとも同じデザイナーのワンパターンデザインのコースだが、ダスティなところが不確定要素を増やすかもしれない。
フェラーリとマクラーレンがアップデートを成功させればレースは面白くなりそうだ。

インドGPは1位アロンソ、2位フェッテル、3位ウエバー、4位ハミルトン、5位バトン、6位ライコネン、7位マッサ、8位可夢偉、9位ディレスタ、10位シューマッハかな。

2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2012(16)2012.10.12

日本GPの1種目1・2コーナーでチャンピオンシップが一瞬にして振り出しに戻った。
フェッテルがシンガポールGPに続く今期3勝目を上げ、アロンソはまさかのもらい事故でノーポイントに終わったため、ポイント差は4となった。
2位にはマッサ、3位には可夢偉が入った。
表彰台の3人が乗っていたマシン、レッドブル、フェラーリ、ザウバーは金曜日のフリー走行ではセッティングが決まらず格闘していたマシンばかりだ。
それが土曜日の朝には3台ともまるで違うマシンであるかのようなパフォーマンスを見せた。
逆に4・5位に入ったマクラーレンは金曜日の圧倒的なアドバンテージを土曜日に維持することができなかった。
しかも、予選10位以内に入ったために決勝を予選セッティングで戦わざるを得なくなった。

可夢偉は、鈴鹿で表彰台にあがるために必要なピースをひとつずつ集め一歩ずつ駒を前に進めることによって見事に目標を達成した。
まず、予選で4番手タイムを出して決勝で3番グリッドについた。
この予選4番手もイエローフラッグの出たスプーンでの冷静さがなかったら確保できなかった。
チームは、スタート時のクラッチミート・マッピングを慎重に調整しスタートに備えていた。
スタートではグリップのいい奇数列スタートの優位を生かしてよいスタートを切った後、右に振ってウエバーの出鼻を押さえ、すぐに左に振り替えしてグリップのいいアウト側から2位で1コーナーに侵入した。
このスタートから1コーナーまでの動きがなかったら、今回もベルギーのような結果になっていたかもしれない。
可夢偉に抜かれたウエバーはグロージャンに追突され上位でフィニッシュするチャンスを失ってしまった。
決勝レースでもよく3位に踏みとどまったものだ。
予選Q1でのザウバーがハードタイヤハードを履いたときのパフォーマンスを見ていると予選上位に入ったとしても決勝は苦しくなることは予想された。
予選Q3までいくと決勝ではQ3で使ったソフト+ハード+ハードで走らない限り2ストップで走りきれないからだ。
鈴鹿ではハードタイヤでのパフォーマンスがソフトタイヤほど良くなかったザウバーで決勝の大半を戦うのはきつかったはずだ。

バトンは中盤でギヤボックスセンサーの不調があったのによく追い上げた。
フェラーリはもともと決勝に強いセッティングだが、マッサのタイヤが予想外に長持ちしたのは鈴鹿の路面を知り尽くす元ブリジストン現フェラーリ浜島氏のタイヤ・セッティング・マジックがあったのかもしれない。

コリアGPのタイヤはスーパーソフトとソフトの組み合わせになる。
コースは一般道舗装でツイステイなのでグリップのいいマシンにとって有利だ。
近年、空力的ダウン・フォースだけでなくメカニカル・グリップもいいレッドブルはこのコースで速いはずだ。 
ザウバーはシンガポールGPの内容から見るとコリアGPではポイント獲得が目標だろう。

コリアGPは1位フェッテル、2位ウエバー、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位バトン、6位ライコネン、7位可夢偉、8位マルドナド、9位ペレス、10位ロスベルグかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2012(15)2012.10.05

シンガポールGPではフェッテルが今期2勝目をあげた。
2位にはバトン、3位にはアロンソが入った。

本来ならばハミルトンが優勝していたところだが、ギヤボックス・トラブルでリタイヤしてしまったためノーポイントに終わった。
ヨーロッパGPではフェッテルにも同じようなことが起こったからハミルトンだけがアン・ラッキーなわけではない。
これでチャンピオンシップはアロンソとフェッテルの一騎打ちになったといってよいだろう。
アロンソとフェッテルのポイント差は残り6戦で29だ。
フェラーリもレッドブルも今年はコース上最速のマシンではない。

マクラーレンの二人はチャンピオンシップレースから遠ざかってしまったし、ロータスはダブル・DRSへのアップデートに失敗し開発の方向を見失っている。
ポイント圏内完走率の高さ、圧倒的に不利な状況を覆して優勝する力、6戦残してのポイント差から見てアロンソが優位に立っていることは間違いない。
フェッテルがアロンソを逆転するためにはレッドブル・マシンの大幅パフォーマンス・アップが必要だ。
フェッテルは、残り6戦中3戦に優勝してその他の3戦には必ずアロンソの前でゴールするぐらいでないとチャンピオンの座を守れない。
アロンソ相手に今年のレッドブル・マシンでこれを達成するのはなかなか難しい仕事ではある。

日本GPを前にして重要な移籍のニュースが舞い込んだ。
マクラーレンの秘蔵っ子ハミルトンが来シーズンからメルセデスに乗ることが発表されたのだ。
ロスベルクは残留するのでシューマッハはメルセデスのシートを失うことになる。
ドイツ人としてメルセデスをチャンピオンチームにするためにカムバックしたシューマッハは、メルセデス以外のF1に乗ることに意味はなく二度目のF1引退を決断した。
ハミルトンの移籍の理由は2014年から導入される予定の新エンジン規定下でメルセデス・エンジンによる優位性を得るためといわれている。
しかし、今になって現行エンジン規定のままで行こうという話が最高権威あたりから持ちあがっている。
ハミルトンが去って空くことになったマクラーレンのプレミアム・シートにはザウバーで中盤からスタートして今年3回も表彰台に上ったペレスが座ることになった。

もうひとつのプレミアム・シートであるフェラーリのセコンド・シートの主はまだ決まっていない。
可夢偉は、来年F1ドライバーとして飛躍するかシートを失うかの瀬戸際にいる。可夢偉の来年は鈴鹿の結果次第といっても過言ではない。
日本GPのタイヤはソフトとハードの組み合わせになる。
鈴鹿はサーキット舗装なのでグリップはいいがタイヤの減りは早いのでタイヤ戦略はとても重要だ。
今年の鈴鹿はドライ・コンディションが予想されている。
西コースは新舗装になので新しいライン取りが見られるかもしれない。
昨年の覇者バトンはシンガポールでハミルトンをリタイヤに追い込んだギヤボックスを交換して鈴鹿に挑むため決勝は5グリッド・ダウンのスタートとなる。
ハミルトンは残りレース全勝を狙ってくる。 
可夢偉はここ鈴鹿で優勝するしかない。

日本GPは1位可夢偉、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位バトン、5位シューマッハ、6位アロンソ、7位ライコネン、8位ロスベルグ、9位マッサ、10位ディレスタかな。

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