YOUCHOOSE

about

YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2017(1)2017.03.24

今年もメルボルンでF1シーズンが開幕する。
今年は昨年より1戦減って全20戦でチャンピオンシップが争われることになった。
今年は大幅なレギュレーション変更が行われ、タイヤとマシンの幅が広くなりリヤウイングの高さは低く制限される。

シーズン中のパワーユニット(PU)開発はトークン制が廃止され自由になった。
ただし、ペナルティなしで使用できるPUの数は年間4基に制限される。
過去にメーカー間の開発競争が激しくなり、膨大な開発費が使われるようになったため始まったレギュレーションだった。
しかし、2014年の開幕時にメルセデスが用意したPU が強すぎたために、他のPUメーカーがトークン制の開発制限に阻まれて追いつくことができなかった。
このために、2014-2016の3シーズンはメルセデス一辺倒のレースになってしまった。
このような状態が続くと興行としてのF1は危機に陥るので、開発競争が緩和された。
2014年当時と違いコスワースのような独立系のF1エンジンメーカーは供給元として手を挙げておらず、自動車メーカー同士なら資金は潤沢にあるし、存分に開発競争をしてこそF1参加する意味があるからだ。

フェラーリは、かつて独立したレーシングカー・スポーツカー・メーカーだったが、今はフィアット・クライスラー・グループの一員とみてよい。
しかし、今年もメルセデスの優位性は保たれるだろう。
現在のF1のPUはICE(いわゆるエンジン)、ターボチャージャー、エネルギー回生装置とモーターの制御が複雑に絡んでいる。
コースやレース状況に応じたベストの関連制御をレースを通して行うためには、データ量がものをいう。
メルセデスPU が優秀なのはこれまでシーズン中は4チームにPUを供給し、シーズン前テストでも2台のマシンを走らせているからだ。
わかりやすく言えば、メルセデスPUはビッグデータによって強くなっているのだ。
複数のシャシーメーカーに供給していれば、トラブルもシャシー由来かPU 由来かを判定するのが容易でアドバンテージは大きい。

今年は、タイヤ幅とシャシー幅が広くなったので、コーナーリング時のグリップは大幅に向上し、同じコースでラップタイムが3秒以上速くなる。
今年のタイヤは耐久性を向上させていて急激にグリップを失うこともなさそうだから、タイヤ交換頻度は少なくなるだろう。
となると、レース戦略面でタイヤ交換が占める要素が若干減ることになる。

シャシー面(主に空力)面ではレッドブルが創造的技術力の高さで常に君臨している。
昨シーズンもPUの差を補って余りあるマシン・パフォーマンスを示した。
レッドブルは2チーム持っていて若手ドライバーの育成・登用も見事だ。今や全盛時のマクラーレンと立場は逆転してしまった。

今年の純粋なルーキー・ドライバーはウイリアムズのランス・ストロール一人だ。
マクラーレン・ホンダのストフェル・バンドーンも、昨シーズンはアロンソの代わりに1レース走っただけだからフルタイムドライバーとしては新人といって良い。
シーズン前テストではフェラーリが好タイムをマークしていたがフェラーリはシーズン前テストでは燃料を少なく積んで好タイムを出しておくのが通例だからあてにはならない。
むしろ、最終仕様でない空力でいいタイムを出していたレッドブルが不気味だ。

オーストラリアGPでの注目ドライバーは何といってもリチャルドだ。リチャルドは、どこのサーキットへ行っても速いが、特にメルボルンでは速い。
オーストラリアGPは1位リチャルド、2位フェルスタッペン、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位フェッテル、6位ボッタス、7位ペレス、8位サインツ、9位アロンソ、10位グロージャンかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉