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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2023(22)2023.11.24

ラスベガスGPは、フェルスタッペンが久々に闘争心を全面に出したドライビングを見せ優勝をものした。
ルクレールは、ポールポジションからスタートして優勝をフェルスタッペンと争ったが、セフティカーの出るタイミングが不利に働き2位でゴールすることになった。
ペレスは、ストリート・コース・マスターぶりを発揮して、ファイナルラップまで争ったがルクレールとの争いに負けて、3位でゴールしたがサンパウロGP同様レースを盛り上げた。

予選Q1のトップ4は、ルクレール、サインツ、ラッセル、フェルスタッペンだった。
角田はマシンが全くラスベガスで機能せず予選20位でQ1敗退となった。
予選Q2は、ルクレール、サインツ、ラッセル、ガスリー、フェルスタッペンの順となった。ハミルトンは11番手、ペレスは12番手で予選を終えた。
リチャルドは15番手だった。
予選Q3は、ルクレール、サインツ、フェルスタッペン、ラッセル、ガスリーの順となった。
ポールポジションのルクレールから10番手タイムのアロンソまで0.8秒だ。

決勝のグリッドは予選3番手のフェルスタッペンがサインツがPU交換ペナルティで10グリッド降格したためにルクレールの横に並ぶグリッドを得た。

フェルスタッペンは、ポールポジションのルクレールより若干良いスタートを切って1コーナーのインに並びかけたが出口でアウト側に膨らんでそのままルクレールをコース外に押し出してトップを奪う形になった。
フェルスタッペンは順位を戻さず、この後、5秒ペナルティを課されることになった。
後方では、ボッタス、アロンソ、サインツが、冷たくグリップの取れない路面の犠牲になって最後尾に回った。
1周目を終えた時点での順位はフェルスタッペン(ペナルティ未消化)、ルクレール、ラッセル、ガスリー、アルボン、サージェントだった。
角田はスタート直後の混乱に乗じて順位を20番手から12番手まで上げた。2周目にVSCが導入される。
3周目にVSCは解除されたが、1分ほどでノリスがコーナーで真っ直ぐ行ってしまい壁に激突セフティカーの出動となった。
サインツとストロールがこの間にタイヤを交換した。

25周目にフェルスタッペンは5番手まで浮上してきて4番手のラッセルのインに並びかけて前に出るがこの時ラッセルと激しく接触してラッセ流が弾き飛ばされたが今回はラッセルの方にペナルティが付いた。
この時点でトップはペレス、2番手はルクレールだったが、27周目にルクレール以外のトップ6が2回目のピットイン。
ルクレールはトップポジション確保のためステイアウトした。

29周目にレースは再スタート、タイヤを労りながらゴールに辿り着かなければ奈良にルクレールに対してフレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンが追い上げ、37周目にフェルスタッペンがルクレールを抜いてトップに立った。
ペレスも43周目にルクレールを抜いて2番手に進出した。
これで、レッドブルのワンツーフォーメーションが完成したかに見えた。

ところが、ルクレールはまだ諦めていなかった。
サイゴン一騎打ちに備えて苦しい中でもタイヤの最後の一皮を温存していたのだ。
ルクレールはファイナルラップの終盤でレイト・ブレーキングでペレスを交わして2番目にチェッカーを受けた。
ペレスは2週連続、もうちょっとのところで2位を逃した。

フェルスタッペンは16周目の終わりにルクレールに抜かれたところでピットイン、ノーズとタイヤを交換し、5秒ペナルティを消化して11番手でコースに復帰した。
角田は、今回、最下位のパフォーマンスしか発揮できなかったアルファタウリでポイントをゲットするチャンスを得るべく、思い切ったローダウンフォース・セットアップで予選と決勝に挑んだが裏目に出た。
カジノでギャンブルする必要もなく、レースでのギャンブルに負けてしまった。

今回のF1ラスベガスGPは、スポーツを興業やエンターテイメントとして巨額のお金を動かすという、米国式のスポーツ・ビジネスの問題点が色濃く出たイベントとなった。

路上の完全に溶接されていない金属蓋がF1に舞い上げられてマシンにダメージを与え、FP1が8分で打ち切りとなった。
金属蓋がマシンにではなく人間に当たっていたらと想像するとゾッとする。
冷え切ったストリート路面でF1ドライバーでさえも予期できないグリップによって、ノリスの生命が危険に晒された。
スタート前のイベントでクラシックカーから漏れたオイルが路面を覆い、安全で正当なスタートとはならなかった。

オリンピックなどでもすでに横行しているが、イベントとしての演出や視聴率のために、とんでもない時期や時間帯に試合をスケジュールし、観客やドライバー(選手)を危険にさらし、正当な競技の基礎を変えてしまうようなことはやるべきではない。
だいたい、わざわざ夜中にライティングをしてレースをすることの、どこがカーボン・ニュートラルに貢献するというのだ。
ラスベガスのストリップを使ってF1をやるのはいいが、イベント屋の都合で社会規範を変えるのはやめてもらいたい。

次は、最終戦アブダビGPだ。
今年は、ドライバーズもコンストラクターズもレッドブルの完全制覇が決まってしまっているが、2021年のアブダビGPでフェルスタッペンの初チャンピオンが決まったのは記憶に新しい。
最終戦前にチャンピオンが決まっていても最終戦は面白い。
PUは次のレースがないのでこのレースだけ持てばよく思い切りブン回せる。
チームの今年のマシンのアップデートは最終前までに完了しているので、レースはチームが持つセットアップ力とレース・マネジメントの争いになる。
ドライバーは、ここでできるだけ多くのポイントをあげて、自身とチームのランキングを上げて来年に繋げたい。
フェルスタッペンとレッドブルは年間勝率でマクラーレン・ホンダを上回る記録を打ち立てたいだろう。
アストンマーチンは、来年以降3強の一角になることができるかどうかの試金石になり、マクラーレンとて同じだ。
メルセデスとフェラーリは来年に向けた実戦テストの機会と捉えているだろう。
今シーズンは、レッドブルが飛び抜けてはいたが、その下の4チームが凌ぎを削る面白いシーズンになった。
角田は、ここでいい結果を出して、間違いなくトップ10ドライバーの一人であることを示してほしい。

アブダビGPは、1位フェルスタッペン、2位ノリス、3位ペレス、4位ルクレール、5位アロンソ、6位角田、7位ラッセル、8位サインツ、9位リチャルド、10位アルボンかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2023(21)2023.11.17

サンパウロGPは、フェルスタッペンが今シーズン17勝目あげて幕を閉じた。
2位には最近必ず表彰台に立っているノリスが入った。
アロンソはファイナル2ラップの攻防を見事に制し、ペレスに3位の座を奪われることはなかった。

サンパウロGPの週末は土曜日にスプリント・レースが組まれている。
このため、予選は金曜日の午後に行われた。
予選Q1のトップ4は、ラッセル、フェルスタッペン、ルクレール、ヒュルケンベルグだった。
角田は16番手タイムでQ1敗退となった。
予選Q2は、ノリス、フェルスタッペン、ペレス、アロンソの順となった。
予選Q3は、今にも雨が降り出しそうな天候の中、15分遅れで始まった。
各車、雨の降らない間に早めにタイムを出しに行った。
最初のアタックの結果は、フェルスタッペン、ルクレール、ストロール、アロンソ、ハミルトンとなった。
セッション終了まで4分余りとなったところで雨が降り始めたため、Q3は赤旗終了となり、最初に出したタイムの順でスターティンググリッドが決まった。

土曜日はスプリント・レース。
SQ1のタイムはサインツ、ノリス、ハミルトン、フェルスタッペンの順だった。角田は、15番手タイムでSQ1を通過した。
SQ2はノリス、ペレス、フェルスタッペン、リチャルドの順だった。角田は10番手タイムを出してなんとかSQ3に進出した。
SQ3はノリス、フェルスタッペン、ペレス、ラッセル、ハミルトン、角田の順となった。
角田は、フェラーリ2台とチームメイトのリカルドを抑えての6番手だ。

スプリント・レースは、スタートでフェルスタッペンがノリスを抑えてトップの座を奪った。
角田はルクレールに抜かれて7番手に下がった。
スプリントレースは、ソフト・タイヤで24周走らないといけないので、各車、タイヤ・マネジメントをしているので前半は大きな順位の変動はなく、終盤になって、サインツ、リチャルド、ピアストリの8番手争いが見られたほかは、大きな順位の変動はなかった。
スプリント・レースの1位はフェルスタッペン、2位ノリス、3位ペレスだった。ペレスはやっといるべき場所に戻ってきた感じだ。
角田は、終盤まで、タイヤ・マネジメントをしながら7番手をキープしていたが、タイヤの消耗が激しくペースが落ちてきたハミルトンを、22周目にオーバテイクして6位でゴールした。
角田は、21周目にはハミルトンを捉えていたが、無理をして抜くことはせずに、22周目に確実に抜いた。
角田は、レースを通してタイヤ・マネジメントが巧かったし、強引なパッシングを仕掛けることもなかった。

決勝レース、スタート前のフォーメーション・ラップ中にルクレールはマシンに油圧系のトラブルが発生したため、スタートができなかった。
このために、フェルスタッペンは、綺麗なスタートを決めて1コーナーに突入した。
その直後、後方でヒュルケンベルグとアルボンの接触に端を発する接触でマグネッセンとあるボンがコースアウトした。
近くを走っていたリチャルドとピアストリも貰い事故でマシンにダメージを受けた。
程なく赤旗が出て、レースは再スタートすることとなる。
再スタートのグリッド上位は、フェルスタッペン、ノス、ハミルトン、アロンソ、ストロール、ラッセルの順となった。
角田は10番手まで順位が上がっている。

再スタートは、全車少し慎重にラインどりをしたので、今度は波乱なくレースが始まった。
5周目はトップがフェルスタッペン、続いてノリス、アロンソ、ハミルトン、ラッセル、ペレスの順だった。
角田は一つ順位を落として11番手につけていた。
27周目あたりから上位勢のタイヤ交換が始まり28周目にはほぼ前者がタイヤ交換を終えた。
29周目の順位は、フェルスタッペン、ノリス、アロンソ、ペレス、ストロール、ハミルトンとなった。
47周目には、ペレスが2回目のタイヤ交換のためピットイン、これを皮切りに上位勢のタイヤ交換が始まるが、トップのフェルスタッペンは10周多く引っ張って57周目にソフトに交換した。
ノリスはさらに3周引っ張って60周目にピットインしてタイヤ交換した。
この間に、59周目あたりから3番手を走るアロンソにペレスが肉薄し激しい3番手争いが始まった。

60周目時点でのトップのフェルスタッペンとノリスの差は13秒に広がっている。
ノリスはフレッシュなタイヤでファーステスト・ラップを出しながらフェルスタッペンとの差を詰めていくが、フェルスタッペンはいつでも差を広げることができる余裕の走りだ。
アロンソとペレスの攻防は10周以上位続いているが、ペレスはアロンソの巧みなディフェンスにあって、前に出ることができない。
70周目の1コーナーでペレスは満を辞してアロンソの前にだたが、アロンソは食い下がる。
アロンソはファイナルラップでペレスを抜き返した。
ゴールラインを横切った時のアロンソとペレスの差は0.053秒だった。
ノリスは、ファーステスト・ラップを出したが、フェルスタッペンは近そうで遠かった。

角田は、3スティントともタイヤをうまくマネジメントしながら、強いレースを戦った。
途中ミスしてコースアウトしそうになったが巧みに立て直し、9位でフィニッシュした。

次は、ラスベガスGPだ。F1の興行権がバニーエクレストンの手から米国のリバティ・メディアに移ってから、米国式のショウビジネス・スタイルが導入され始めたが、今年から初まるラスベガスGPはその極みだろう。
カジノ・シティであるラスベガスのメイン・ストリートを中心に市街地コースが組まれている。
コースは、長い直線と低速コーナーの組み合わせからできている。
それだけなら、普通の市街地コースだが、開催時刻が現地の深夜近くの時間帯に行われるので、気温が低く、タイヤがうまく機能するかどうか憂慮されている。

ラスベガスGPは、ハース・チームとサージェントにとって今年3回目のホームレースとなるが、ハースは終盤戦に入れたアップデートの効果がはっきりせず、今回はアップデート前後の2バージョンに分けてレースをすることになるらしい。
サージェントはウイリアムズは直線の長いコースに向いたマシンなのでポイント圏内に入れるかもしれない。
不運の続いているルクレールが得意のストリートコースで活躍してくれると嬉しい。

ラスベガスGPは1位ルクレール、2位ノリス、3位ハミルトン、4位フェルスタッペン、5位サインツ、6位アロンソ、7位ペレス、8位角田、9位リチャルド、10位ボッタスかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2023(20)2023.11.04

メキシコGPは、フェルスタッペンが2列目スタートから優勝をものした。
フェルスタッペンは予選でポールは取れなかったが、ゴールした時には、2位ハミルトンに14秒差をつけてていた。
3位にはスタート時の接触にもめげず走り続けたルクレールが入った。

予選Q1のトップ4は、フェルスタッペン、ピアストリ、リチャルド、ルクレールだった。リチャルドは角田のトウ(0.1秒程度?)を得てソフトタイヤをセーブできた。角田は11番手。
予選Q2は、ハミルトン、フェルスタッペン、ラッセル、リチャルドの順となった。角田はリチャルドにトウを与え、自身はPU交換のため最後尾スタートが決まっているのでノータイムで終えた。
予選Q3は、ルクレール、サインツ、フェルスタッペン、リチャルド、ペレスの順となった。
ポールポジションのルクレールから8番手タイムのラッセルまではわずか0.5秒しかない接戦だ。リチャルドは角田のトウ無しでも4番手タイムを出した。

決勝レースは、フェラーリ2台がフロントローからスタートしたが、蹴り出しが悪く、特にサインツが遅れたため、フェルスタッペンが1コーナーの進入までにルクレールのイン側に並びかけた。
ペレスも鋭くダッシュして、1コーナー手前でルクレールのアウト側に並びかけた。
1コーナーに内側からフェルスタッペン、ルクレール、ペレスが3ワイドで並んで入った。
アウト側のペレスが若干イン向きの角度で1コーナーに侵入しようとしたために、中央にいたルクレールに接触し、ペレスのマシンは宙に舞い、コース外にストップした。ルクレールはフロントウイングの翼端版を失ったが走り続けている。
フェルスタッペンは、この後、ルクレールの前に出て、1周目を終えた時点で、フェルスタッペン、ルクレール、サインツ、リチャルド、ハミルトン、ピアストリ、ラッセルの順となった。

5周目にコース上にミラーが落ちていたためにVSCが出動した。
あまりに序盤のため、VSCの間をタイヤ交換に利用するチームはなく、6周目にはレースが再開した。11周目にはハミルトンがリチャルドを抜いて4番手に上がった。
フェルスタッペンは19周目の終わりにピットインしてハードタイヤに交換し、7番手でコースに復帰した。
ハミルトンは25周目にピットインして7番手でコースに復帰した。
この時点でフェルスタッペンは3番手まで戻っていた。
フェラーリは1ストップ作戦のようで、トップ2を走り続けている。

29周目にはフェルスタッペンがサインツを抜いて2番手に浮上した。
ルクレールとフェルスタペンは8秒差になった。
フェラーリ勢は31周目に サインツ、3周目にルクレールがタイヤ交換をした。
32周目の順位はフェルスタッペン、ルクレール、ハミルトン、サインツの順となった。

33周目にマグネッセンがコースアウトして、クラッシュ炎上したために34周目に赤旗中断となった。

36周目の再スタートは大きな波乱もなく、フェルスタッペン、ルクレール、ハミルトン、サインツ、ラッセル、リチャルドの順で36周目を終えた。
フェルスタッペンは2番手ルクレールとの差を広げていく。
40周目に3番手ハミルトンがルクレールをパスして2番手に上がった。
60周目には17番手スタートから追い上げたノリスがリチャルドをパスして7番手に上がった。
ノリスはその後ラッセルも抜いて5位でゴールした。
リチャルドは7位でゴールしてアルファタウリに6ボイントをもたらした。

角田は、PUとギヤボックスを全て新しいものに交換したことにより18番手スタートとなった。
スタートで順位を3つ上げて15番手から上位を狙って行った。
8周目にマグネッセンと争った時、にウイングにダメージを負い、9周目にピットインして、ノーズとタイヤを交換した。
角田は、一旦最後尾まで落ちるが、そこからファーステスト・ラップを叩き出しながら前を追い、32周目には10番手まで順位を上げていた。
赤旗中断後の36周目のレース再開時には8番グリッドからスタートした。
再スタート直後から7番手ピアストリとの激しい攻防を繰り広げる。
ペースは角田の方が速いのだがピアストリは巧みなライン取りで抜かせない。
48周目に角田がピアストリに並びかけた時にプッシュアウトされそうになった。
49周目に、今度はアウトから角田が並びかけてタイヤ1つ分前に出たがピアストリは引かず、車輪が接触して角田だけがスピン・アウトした。
角田は、順位を16位まで下げてしまい、終盤に追い上げたものの、12位でレースを終えることになった。

アルファタウリ・チームは、あえて抜きにくいロドリゲス・サーキットで最後尾スタートのペナルティを受けるPU 交換を選択する必要があっただろうか? プラクティス2の後で判断しても良かったのではないだろうか? 
そもそもホンダは3機のPUでフルシーズンを戦えるようにPUを設計して用意しているはずだ。
まともに走れば、リチャルドと少なくとも同等の速さがあるはずの角田が、メキシコで最後尾スタートするメリットがどこにあるのか疑問だ。
しかも、FP1は、他のドライバーに席を譲っているためにセットアップも十分にできない。角田にとっては二重苦以外の何者ではない。
メキシコGP、角田には、かなりのハンディキャップがのしかかっていて、その中でもなんとか挽回してポイントを取るために、いつもよりがリスクを犯したくなるのは当然だ。49周目に無理してピアストリの前に出なくても、冷静にレースをしていればポイントが取れたはずだと言ったような角田批判が跋扈しているが、F1マシンに乗って実際にF1レースを戦ってもいないものが角田に対して発すべき言葉ではない。
そもそも、18番グリッドから10番手まで追い上げ、セフティカーが出た時にステイアウトの判断をして8番グリッドを獲得したのは角田だ。これがなかったら、ピアストリとのバトルさえもなかったのだ。

F1ドライバーは時速200Km以上でドライブしながら一瞬で判断をしている。
その中で、信じられないようなドライビングを披露できる瞬間がある。
そんなF1ドライバー達が、逆境を跳ね返して自分の力を示そうと全身全霊をかけてやっているのがレースだ。
7度もチャンピオンに輝いたハミルトンでさえ、競争力の劣るマシンで、チームメイトに負けそうになると接触してリタイヤしてしまうことがあるのだ。
メキシコGPの結果は、理由はどうあれ角田自身に返ってくるだけだ。
そして、今シーズンの残りで、速くて強いドライバーであることを証明できるのも彼だけだ。

次は、サンパウロGPだ。
ブラジルのインテルラゴス・サーキットはメキシコほどではないが標高が800m近くあるのでPUには若干厳しい。
コースは高低差のある反時計回りの短めのコースだ。
2021年にはチャンピオン争いををしていたハミルトンが、驚異的な速さを見せたことが記憶に新しい。
パーチエ、フィッティパルディ、ピケ、セナ、他の名ドライバーを搬出し続けたブラジルだが、残念ながら、今年のF1にはブラジル人ドライバーがいない。
ここは、ひとつ、ペレスと角田に良い成績を残して欲しい。

サンパウロGPは1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位ペレス、4位ルクレール、5位ノリス、6位角田、7位ラッセル、8位サインツ、9位ストロール、10位リチャルドかな。

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