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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2012(4)2012.04.20

チャイナGPの予選は今シーズンの混戦を絵に描いたような予選だった。
Q1を通過した17台が0.7秒の間にひしめくという混戦ぶりだ。
今回、好調の可夢偉はQ1は硬いほうのタイヤで出したタイムで通過した。
Q2の驚きはワールドチャンピオンのフェッテルがQ3に進めず予選11番手に甘んじたことだ。
そんな中始まったQ3ではなんとロスベルグが早々と驚異的なタイムをたたき出し、予選2番手のハミルトンに0.5秒以上のタイム差をつけた。

3番手は前回のマレーシアと同じくシューマッハだった。
そして予選タイム4番手にはライコネン、ウエバーら強豪を抑えて可夢偉が入った。
ペレス8番手、アロンソ9番手、グロージャン10番手と続く。
この時点で、ライバルチームの面々は、メルセデスはどうせ本番ではタイヤに苦しめられて自滅するだろうと鷹をくくっていたに違いない。

ところが、決勝レースはロスベルグのワンマン・ショウだった。
バトンはピットでのタイムロスがなければ、もう少し追い上げることができて接戦になっただろう。
接戦でタイヤを消耗すればロスベルグは苦しくなったに違いない。
3位には今回もハミルトンが入った。
4位ウエバー、5位は予選11番手のフェッテルだった。
6位グロージャン、7位セナ、8位マルドナドの後はアロンソが遅いフェラーリを9位にねじ込んだ。
10位には3番グリッドでスタートしてファーステストラップを出した可夢偉が滑り込んだ。
昨年まで、可夢偉は11-16位が順当のマシンを何度もポイント圏内でフィニッシュさせていた。
今回初めて優勝を狙えるグリッドとマシンを手に入れたのに結果は10位だった。
2011年の日本グランプリのときと同じように、スタート直後の謎の失速が全てを狂わせてしまった。

レーシングカーではタイムを出そうとして、第3コーナーをそれまでより速いスピードで抜けられるようになると第4コーナーへの侵入速度が速くなるのでそれまでのようには回れなくなる。
今のザウバーと可夢偉は同じような状況だ。
マシンはドライバーががんばれば予選4番手、決勝ファーステストラップが出せるマシンになった。
しかし、予選でQ3まで進めるようになったということは新品のソフトタイヤを決勝に温存できなくなるということも意味する。
トップチームはトップチームのつらさがある。
それでもいいグリッドでスタートしなければ優勝は望めない。
優勝を狙うのとポイントを狙うのとは根本的に違うのだ。
ここを切り抜けられるかどうかがトップチーム・トップドライバーになれるかどうかの分かれ道だ。
この辺で一勝しておかないと、メルセデスは安定しつつあるし、スペインGPまでにはフェラーリ、レッドブルの改良型マシンが出揃ってしまう。

バーレーンGPは政情不安から昨年中止になった。
今年はエクレストンの鶴の一声で開催が決まった。
あるチームのシェフは信条としてバーレーン行きを拒んだために解雇されたらしい。
利得に流されれば儲かるが、信念を貫くと高くつく。
バーレーンの気候は、当然晴れで気温も高い。
タイヤの交換時期と使い方が重要な要素になる。

バーレーンGPは1位可夢偉、2位ライコネン、3位ハミルトン、4位バトン、5位シューマッハ、6位フェッテル、7位ウエバー、8位ロスベルグ、9位ペレス、10位アロンソかな。
2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2012(3)2012.04.13

マレーシアGPは予選がほぼドライで決勝がウエットだったために予選と決勝が全く異なる結果となった。

予選は、オールラウンドで安定した速さを持っているマクラーレンに乗るハミルトンが2戦連続のポール、初戦優勝のバトンが2番手だった。
予選ではめっぽう早いメルセデスのシューマッハはついに予選3番手に入った。
結果がいいとかつてのシューマッハが蘇ったように思えるから不思議だ。
今年はさまざまな空力規制でアドバンテージを失ったレッドブルは4番手と6番手、早いが安定性を欠くロータスに乗るライコネンが5番手とレッドブルの間に割って入った。
アロンソは9番手につけるのがやっとだった。

ところで、今年のメルセデスが予選で早いのはDRSの作動を利用したダクトによるものらしい。
DRSが作動するとウイングが水平になり空気抵抗が減る。
DRSでウイングを水平にした時に空気をリアからダクトを通してフロントウイングまで導くことによってフロントウイングのダウン・フォースを減らし、DRSによって減ったリアのダウン・フォースとフロントのダウン・フォースのバランスを良くすることができる。
これならばウイングを走行中に動かすことを禁じたレギュレーションに抵触しない。
DRS作動時のブレーキングも安定する。
予選ではコース全域でDRSが使えるのでより有利だ。
だから、メルセデスは予選で速いのだ。
このアイデアをロータスはルール違反だと抗議している。

決勝レースはアロンソとペレスのツーマン・ショウだった。
二人ともそれぞれすばらしい走りを見せた。
ペレスは予選で速いばかりでなくこれまでも決勝でワンストップ作戦をしばしば成功させてタイヤの使いかたのうまさを見せていた。
マレーシアではチームのタイミングの良いタイヤ交換と相まって、もう少しでアロンソを抜くというところまで追い上げた。
しかし、アロンソに追いつくのと追い抜くのとは大違いだ。
アロンソを抜くのは容易ではない。
アロンソは戦闘力の劣る今のフェラーリを巧みに操ってペレスの猛追をかわし、予選9位のマシンを優勝に導いた。
しかも、アロンソはレース中にテレメトリが故障していてピットからの情報がほとんどない状態で走っていたのだ。
チャイナGPのコースは上から見ると上海の上の字型になっている。
中国人らしい設計時のリクエスト(おそらく)だ。
上海は前戦のマレーシア同様、突然の雨でレースが思わぬ方向に行くことがあるサーキットだ。
天気予報では土曜日は晴れ日曜日は雨となっている。
天気が予報どおりになればマレーシアのときと同じように天候の読みと変わり続けるコースコンディションに合わせたタイヤの使い方が勝敗を分けることになる。
観客としては天気が予報どおりになってくれると面白いレースを見ることができる。
マレーシアではちょっとしたタイヤ交換のタイミングのずれや運の悪さで下位に沈んだドライバーたちにチャイナではいい巡り会わせが来るかもしれない。

チャイナGPは1位バトン、2位フェッテル、3位可夢偉、4位ハミルトン、5位ライコネン、6位シューマッハ、7位アロンソ、8位ウエバー、9位グロージャン、10位ロスベルグかな。

2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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学会ネット株式会社 代表