チャイナGPの予選は今シーズンの混戦を絵に描いたような予選だった。
Q1を通過した17台が0.7秒の間にひしめくという混戦ぶりだ。
今回、好調の可夢偉はQ1は硬いほうのタイヤで出したタイムで通過した。
Q2の驚きはワールドチャンピオンのフェッテルがQ3に進めず予選11番手に甘んじたことだ。
そんな中始まったQ3ではなんとロスベルグが早々と驚異的なタイムをたたき出し、予選2番手のハミルトンに0.5秒以上のタイム差をつけた。
3番手は前回のマレーシアと同じくシューマッハだった。
そして予選タイム4番手にはライコネン、ウエバーら強豪を抑えて可夢偉が入った。
ペレス8番手、アロンソ9番手、グロージャン10番手と続く。
この時点で、ライバルチームの面々は、メルセデスはどうせ本番ではタイヤに苦しめられて自滅するだろうと鷹をくくっていたに違いない。
ところが、決勝レースはロスベルグのワンマン・ショウだった。
バトンはピットでのタイムロスがなければ、もう少し追い上げることができて接戦になっただろう。
接戦でタイヤを消耗すればロスベルグは苦しくなったに違いない。
3位には今回もハミルトンが入った。
4位ウエバー、5位は予選11番手のフェッテルだった。
6位グロージャン、7位セナ、8位マルドナドの後はアロンソが遅いフェラーリを9位にねじ込んだ。
10位には3番グリッドでスタートしてファーステストラップを出した可夢偉が滑り込んだ。
昨年まで、可夢偉は11-16位が順当のマシンを何度もポイント圏内でフィニッシュさせていた。
今回初めて優勝を狙えるグリッドとマシンを手に入れたのに結果は10位だった。
2011年の日本グランプリのときと同じように、スタート直後の謎の失速が全てを狂わせてしまった。
レーシングカーではタイムを出そうとして、第3コーナーをそれまでより速いスピードで抜けられるようになると第4コーナーへの侵入速度が速くなるのでそれまでのようには回れなくなる。
今のザウバーと可夢偉は同じような状況だ。
マシンはドライバーががんばれば予選4番手、決勝ファーステストラップが出せるマシンになった。
しかし、予選でQ3まで進めるようになったということは新品のソフトタイヤを決勝に温存できなくなるということも意味する。
トップチームはトップチームのつらさがある。
それでもいいグリッドでスタートしなければ優勝は望めない。
優勝を狙うのとポイントを狙うのとは根本的に違うのだ。
ここを切り抜けられるかどうかがトップチーム・トップドライバーになれるかどうかの分かれ道だ。
この辺で一勝しておかないと、メルセデスは安定しつつあるし、スペインGPまでにはフェラーリ、レッドブルの改良型マシンが出揃ってしまう。
バーレーンGPは政情不安から昨年中止になった。
今年はエクレストンの鶴の一声で開催が決まった。
あるチームのシェフは信条としてバーレーン行きを拒んだために解雇されたらしい。
利得に流されれば儲かるが、信念を貫くと高くつく。
バーレーンの気候は、当然晴れで気温も高い。
タイヤの交換時期と使い方が重要な要素になる。
バーレーンGPは1位可夢偉、2位ライコネン、3位ハミルトン、4位バトン、5位シューマッハ、6位フェッテル、7位ウエバー、8位ロスベルグ、9位ペレス、10位アロンソかな。
2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved