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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2018(20)2018.11.30

ハミルトンがブラジルに続いて最終戦のアブダビGPでも優勝した。
2位にフェッテル、3位にはフェルスタッペンが入り、今シーズンを象徴するような幕切れとなった。

フリー走行が始まったときには、コーナリングの速いレッドブルがアブダビGPを席巻するようにも見えたが、予選が終わってみると、1番手から6番手まではハミルトン、ボッタス、フェッテル、ライコネン、リチャルド、フェルスタッペンの順となり、メルセデス、フェラーリ、レッドブルが2台づつきれいに並んだ。
ただし、シーズン当初とは違い、0.8秒以内に6台が入っていて、接戦が期待された。
フリー走行ではそれほど速くなかったハミルトン・メルセデスが、いざ、予選となるとしっかりポール・ポジションをとってくるあたりはさすがだ。

決勝レースのスタートは、大きな波乱はなく、ハミルトンを先頭に、メルセデス2台、フェラーリ2台が続いた。
いつも、スタートで順位を上げるフェルスタッペンは、今回、大きく出遅れて9番手まで落ちた。逆に、予選7番手だったルクレールは5番手まで進出している。

スタート直後、10番グリッドのヒュルケンベルグが、7番グリッドのグロージャンの前へ出ていたが、ターン2でグロージャンが接触してヒュルケンベルグは宙を舞い、逆さまにクラッシュした。
すぐさま、セフティカーが出動したが、クラッシュしたヒュルケンベルグ本人は、車から這い出すのに時間を要したものの、全くダメージを負わなかった。
ヘイロー導入前には、見栄えが悪いという意見も多かったが、ドライバーの命を守るのに極めて有効に機能している。
市販車も強固なロールバー機能を屋根裏に内蔵した方が良い。

レースは5周目に再開されたが、ライコネンのマシンがストップしたことから7週目にもVSCが出される。
この間にハミルトンとルクレールがピットインしてスーパーソフトタイヤに交換した。
ふたりとも、これで最後まで走り切ればかなり有利だ。
10周目には、まだピットインしていない、ボッタス、フェッテル、リチャルド、フェルスタッペン!が1番手から4番手までを形成する。
ハミルトンは、ピットインしたのに5番手につけている。

24周目には、アブダビには珍しい雨が降り始めたが、インターミディエイトやレインタイヤに換えて走行するまでには至らず、止んでしまった。
雨が続いていれば、タイヤ交換をしないで走り続けていた車に有利になっていたところだった。
スタート・タイヤを限界まで使ったリチャルドとボッタスは4番手、5番手まで落ち、45周目にはハミルトン、フェッテル、フェルスタッペンがトップ3になり、そのままゴールした。
サインツ、ルクレール、ペレスは6位、7位、8位に入り最終戦をいい形で締めくくった。

今シーズンは、前半から中盤にかけてフェラーリが好調で、フェッテル・フェラーリがハミルトン・メルセデスからタイトルを奪還するかに見えたが、終盤戦になってハミルトンメルセデスの驚異的な巻き返しにあい、終わってみれば、メルセデスに5連勝を許してしまった。
終盤になって、フェラーリが失速したのとは逆に、レッドブルは驚くべきシャシー力を発揮した。

2019年シーズンに向けて、メルセデスは体制が変わらないが、フェラーリは若手ドライバーとしては際立った速さを持つルクレールが加入する。
フェッテルもうかうかしてはいられなくなる。
レッドブルは、リチャルドに代わって、ガスリーがステアリングを握る。ルノーのスペック2でも驚くべき速さを披露したレッドブルが、成功するかどうかはひとえにホンダの来シーズンのPUにかかっている。
レッドブル・シャシーを得て、ホンダも来シーズンは言い訳ができなくなる。ホンダの2019PUが良ければ、フェルスタッペンはチャンピオンを狙えるだろう。

2019年開幕戦まで僅か100日余りだ。

2018 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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Formula One 2018(19)2018.11.09

フェルスタッペンがメキシコGPで優勝した。
フェルスタッペンは、昨年に続いてメキシコGP2連勝だ。
ポールポジションこそ逃したが、スタート直後にトップに立ってからは他を寄せ付けない完全優勝だった。
2位・3位には、フェッテルとライコネンのフェラーリ・コンビが続いた。
ハミルトンは、表彰台に届かず、4位フィニッシュだったが、グランプリをあと2戦残して、ここメキシコでチャンピオンを決めた。
ハミルトンは通算5度目のチャンピオンに輝いたことになり、伝説の巨人ファンジオと並ぶ。
あとは、7度チャンピオンになったミハエル・シューマッハが上にいるだけとなった。

今シーズン、ハミルトンとタイトルを争ったフェッテルもタイトルを取っていれば5度目だった。
フェッテルの残念さが伝わってくる。
しかし、このレースでチャンピオンが決まったわけではない。
ここまで19戦を戦ってきた結果としてハミルトンがチャンピオンになったわけで、フェッテル・フェラーリは、メルセデス・ハミルトンと比べると、いくつか足りないものがあったということだ。

レッドブルの速さは、金曜日のフリープラクティスから際立っていた。
2000m以上の高地なので、空気が薄く、平地のコースと比べると、同じボディ形状でも空気抵抗は少ない。
これは、他社よりダウンフォース性能の優れているレッドブルにとって有利に働く。
レッドブルにはもう一つの優位点は、ロードホールディングが他のマシンより優れていることだ。
このおかげで、空気が薄くてダウンフォースが利かなくなる高地のサーキットでも、他のマシンより速いスピードでコーナーを回ることができる。
事実、レッドブルの2台は、最高速トップ10に入っていないにも関わらず、ラップタイムは速い。

予選が始まるまでは、ポールポジションを獲るのはフェルスタッペンだと思っていた人が多かった(本人も含めて)が、予選でトップタイムをマークしたのはリチャルドだった。
リチャルドは、今シーズン、マシン・トラブルに見舞われることが多く、最近は、フェルスタッペンの方がクローズアップされることが多い中で、留飲を下げた。
0.026秒差で予選2番手となったフェルスタッペンは、予選走行終了後、本当に悔しそうにしていた。

決勝レースは、3番グリッドのハミルトンが巧みなスタートを見せ、トップで最初のコーナーを抜ける。
しかし、フェルスタッペンが、すぐさまトップ座を奪い返し、3周目までに1.5秒差をつけてしまう。
その後、フェルスタッペンは誰にもトップの座を脅かされることなく、最初にゴールラインを駆け抜けた。
同じレッドブルに乗るリチャルドが、マシン・トラブルでリタイヤしていたことから、最終盤には極端にペースを落としてリスクを下げるほどの余裕を持ったレース運びをしていた。

次は、アメリカ大陸ラウンドの最終戦となる、
ブラジルGPだ。
インテルラゴス・サーキットは1周4.3キロの反時計回りで高低差のあるコースだ。
メキシコほど高くはないが標高は800mある。
もうチャンピオンは決まったので、どのドライバーものびのびと走れる。
ボッタスもチーム・オーダーが出ることはないから、存分に走って実力をみせてほしい。
これからの2戦は、シーズン終盤でマシンの性能差も縮まっているから、本当のドライバー勝負になる。

ブラジルGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位ボッタス、4位ハミルトン、5位ガスリー、6位リチャルド、7位ヒュルケンベルグ、8位オコン、9位ハートレー、10位ペレスかな。

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