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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2016(22)2016.12.02

最終戦アブダビGPはハミルトンが勝利した。
ロスベルグは2位でゴールして2016年のチャンピオンに輝いた。
ハミルトンはシーズン最多勝の10勝で終盤戦4連勝したがチャンピオンの座を手放すしかなかった。
ロスベルグはポイント累計のアドバンテージを持っていたので決勝ではクラッシュの危険を避けて2位でゴールすることに徹した。

3位にはフェッテルが入った。
最終戦に入る前の時点でロスベルグとハミルトンのポイント差は12あり、ハミルトンが優勝してもロスベルグが4位以下でない限り、ロスベルグがチャンピオンとなることはわかっていた。
ハミルトンは予選でポールポジションをとって決勝を独走で優勝したとしても、ロスベルグが2位になればチャンピオンのタイトルを失う。
ハミルトンとロスベルグの間に他のチームの車が2台入らない限り、ポイントは逆転しないのだ。
最近の数レースの実力からすると、間に入ってくれる可能性のあるのはレッドブルの2台だった。
ところが、予選が始まってみると、レッドブルで3番手タイムを出したリチャルドは2番手のロスベルグに0.53秒も離されていた。
今回、少し調子を取り戻したフェラーリのライコネンもロスベルグから0.54秒遅れだった。
レッドブルはQ2にスーパーソフトでタイムを出しておいて決勝をスーパーソフトでスタートする作戦を立てた。
(ルール上、予選トップ10の車はQ2でベストタイムを出したタイヤで決勝をスタートしなければならないことになっている、レッドブルは決勝を寿命の短いウルトラソフトでスタートしないことによってレース中の作戦に幅を持たせることができる)
このままでは、決勝でハミルトンとロスベルグの間に他チームの車が2台入る可能性は低い。

決勝のスタートでは、ハミルトンとロスベルグはクリーンなスタートを決めたが、追うべきレッドブルの2台が焦ってスタートをしくじってしまった。
リチャルドは後退し、フェルスタッペンに至ってはハーフスピンしてマシンに小さなダメージを負ってしまった。
ハミルトンは予選でロスベルグより0.3秒早かったので易々とリードを広げて独走状態に入る。
ロスベルグも2位が安泰な状態に入り、このままいけば、メルセデスのワンツーでゴールとなりそうだった。
そこで、ハミルトンは中盤からわざとラップタイムを落として、ロスベルグとフェラーリ、レッドブルの間を詰める作戦をとった。
フェルスタッペンはタイヤ交換を1回にする作戦で一時ロスベルグの前に出たが、ロスベルグは勇気をもってフェルスタッペンを抜き、2番手に返り咲いた。
終盤、フェッテルは、ロスベルグがハミルトンのスローペースに付き合わされているのを利用してロスベルグに追いついたが、追い抜くまでには至らなかった。

こうして、ロスベルグのチャンピオンが決まった。
ロスベルグは優勝回数ではハミルトンに負けたがシーズン序盤から着実にポイントを積み重ねた結果、初のチャンピオンシップを獲得に至った。
ハミルトンは、シーズン中に何回かあった不運なパワーユニットのトラブルがなければロスベルグを上回るポイントを上げることができただろう。
しかし、ハミルトンのほうにPUトラブルが多かったのは運だけでない可能性もある。
ハミルトンは速く走るためにロスベルグより少しだけ多くPUに負担をかけているのかもしれない。
今回のハミルトンの行為を批判する向きもあるが、チャンピオンを最終戦で争うドライバーとして許容される範囲だろう。
おかげで、観客は最終戦の最終コーナーまで退屈しないで済んだ。

2017年シーズンは1戦減って20戦で戦われることが決まった。
来シーズンのマシンは車幅、タイヤ幅がワイドになり、リヤウイングの位置は今年より低くなる。
PUと空力の開発規制も緩められる。
2017シーズンは大きく勢力図が変わり、チーム内でなくチーム間の接戦が繰り広げられることを期待したい。
初戦、オーストラリアGPまであと114日。
トップチームは、すでに2017マシンの仕上げに取り掛かっている。

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