- YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
- 幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。
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Formula One 2013(16)2013.10.25
フェッテルは日本GPに勝って5連勝を達成した。
ところが、日本GPの勝利はフェッテルにとって簡単なものではなかった。
フリー・プラクティス中から出ていたKERSのトラブルが予選Q3でもでてしまった。
システムをリセットしてタイムアッタックを敢行したが、高速コースを得意とするチームメイト、ウエバーには及ばず予選2番手となってしまった。
レッドブルのマシンの速さにはかなわないが、一発の速さでタイムを叩き出したハミルトンが3番手、最近進境著しいグロージャンが4番手と予選上位につけた。
チャンピオンシップ争いで2番手につけるアロンソは予選8番手だった。
予選より決勝に強いフェラーリ・アロンソといえどもこの位置からの追い上げは厳しいものがある。
決勝では、案の定、ウエバーがスタートで出遅れただけでなくフェッテルまでスタートで出遅れてしまった。
その間隙を縫ってトップに立ったのはグロージャンだった。
ロータスはルノーだったころからスタートの良さには定評がある。
ここで、一旦フェッテルの5連勝に黄信号が灯るが、いまや最も優れたチャンピオンたちに並ぶまで成長したフェッテルはここから巻き返す。
フェッテルは、チームが3ストップ作戦に切り替えたウエバーのピット・ストップに反応してグロージャンが早めのタイヤ交換2回目を30周目に行ったあともコースに留まりグリップの落ちたタイヤで38周目まで引っ張った。
ピットアウトした後はグロージャンの2秒後に着け、41周目のホームストレートでグロージャンを抜いてトップに立った。
ここで勝負はついた。ウエバーは終盤3度目のタイヤ交換をした後、グロージャンを抜くのに8周を要したためにフェッテルに届かなかった。
これがチャンピオン・ドライバーとF1を去るドライバーの違いだ。
トップ3の争いに目を奪われている間にアロンソは8番手スタートからちゃっかり4位に滑り込んでいた。
アロンソが予選のままの順位でゴールしていればフェッテルのチャンピオンが決まっていたのだが・・。
ライコネンは5位。シーズン終盤になってパフォーマンスがでてきたザウバーのヒュルケンベルグとグティエレスは6位と7位に入った。
次のインドGPでフェッテルがリタイヤでもしない限りチャンピオンは決まる。
このため各チームの焦点は今年のチャンピオンシップとは別のところに移りつつある。
すでに今年のマシンの開発はほぼ止まっている。
開発が動いているとすれば来年マシンにも使える部分のテストやデータ集めが主になる。
と言うことは、これからの4GPはマシンの性能差は仕方がないとして、ドライバーの腕だけの勝負になる。
現時点で、アロンソとライコネンのポイント差は30ポイントしかない。
ライコネンにもロータスにもチャンピオンシップ2位になるチャンスは残されている。
インドGPが行われるブッダ(仏陀?)国際サーキットはロータスに向いているからライコネンとグロージャンの走りが見ものだ。
フォース・インディアはホームレースなので力を入れてくるだろう。
インドGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位グロージャン、4位ウエバー、5位アロンソ、6位ハミルトン、7位ロスベルグ、8位マッサ、9位スーティル、10位バトンかな。
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Formula One 2013(15)2013.10.10
フェッテルはベルギーGPに始まってコリアGPで4連勝となった。
後半戦はドイツ以降6戦5勝でほとんど無敵状態だ。
フェッテルは例によって予選から圧倒的に速かった。
Q3では念のため2回目の計測ラップに出たが、他のドライバーがフェッテルの1回目に出したタイムを上回れないと見るやアタックを止めてピットに戻った。
これで決勝のスーパー・ソフトは1周足らずのストレスをかけただけ一度の熱を入れたタイヤとなり、決勝の第1スティントを走るタイヤとしては理想的なものとなった。
最近のレーシングタイヤはおろしたての新品より一度熱を入れたタイヤのほうが長持ちするらしい。
おかげで、決勝の第1スティントを長く引っ張ることができ、スタートを決めた後はセフティカーによるギャップ縮小をものともせずゴールまでレース支配し続けた。
2位、3位にはライコネンとグロージャンのロータス勢がフェッテルから4秒+遅れでゴールした。
最近グロージャンは予選ではライコネンより速いことが多く、コリアGPでも予選3番手からのスタートだった。
しかし、終盤で予選11番手のライコネンに抜かれるようではまだまだだ。
それでも、グロージャンはチーム代表のお気に入りなので来年のシートが危うくなることはないだろう。
4位には大健闘のヒュルケンベルグが入った。
ザウバーのマシンはベルギーGP以降エンジン排気を積極的にダウンフォースに利用する改造が施されて速くなった。
コリアGPのコースではリアのトラクションが良く、直線の最高速も速かった。
ある程度戦えるマシンを得てヒュルケンベルグは速さを証明し始めた。
終盤に追いついたハミルトン、アロンソを退けて4位とはたいしたものだ。
来シーズン、ヒュルケンベルグはロータス入りが濃厚だ。
ハミルトンは予選で一発の速さを発揮して2番手につけたが、決勝では、マシンのトラクションが足りず、最高速もさほど速くなかった。
ヒュルケンベルグを抜くためにKERSの放出場所を変えたりして何度もトライしたが結局抜くことができなかった。
ロスベルグはアロンソに続いて7位。
フェラーリは予選・決勝とも戦闘力が足りず、アロンソ6位、マッサ9位に終わった。
マクラーレンはまだまだ表彰台に手が届くほど速くはなく、バトン8位、ペレス10位だった。
フェッテルはチャンピオンシップ・ポイント2位のアロンソに対して、コリアGP終了時点で77ポイントもの差をつけている。
いよいよ今週は日本GPである。
昨年の可夢偉の感動的な3位表彰台から一年、今年は日本GP直前になって佐藤公哉がザウバーのリザーブ・ドライバーとしての起用されることが発表された。
日本GPは、フェッテルがコリアGPの表彰台で世界最高のサーキットといって憚らなかった鈴鹿サーキットが舞台だ。
鈴鹿は高速でありながらテクニカルでもあるのでF1を走らせるのには絶好のコースだ。
前半にあるS字コーナーを早く走れるようにマシンを仕上げると1周のタイムも良いと言われている。
レッドブル、マクラーレン、フェラーリは鈴鹿に強い。
フェラーリは何年も低迷していた時期でも、鈴鹿での初F1レースであった1987年の鈴鹿では勝っている。
鈴鹿のデータ量が豊富なマクラーレンは鈴鹿で今年の初表彰台を狙ってくるだろう。
今年は高速コースでも速いレッドブル・フェッテルに死角はない。
ウエバーは鈴鹿でシーズン初勝利を挙げたいだろうがスタートが課題だ。
日本GPは、1位フェッテル、2位アロンソ、3位バトン、4位マッサ、5位ライコネン、6位ハミルトン、7位ウエバー、8位ロスベルグ、9位スーティル、10位グロージャンかな。
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Formula One 2013(14)2013.10.03
シンガポールGPもフェッテルの圧勝に終わった。
予選開始時点から2位以下に圧倒的な差をつけていたフェッテルは、Q3でも早々と1分42秒台を叩き出し、2回目のアタックを行わなかった。
予選終盤、フェッテルに一泡吹かせるべくロスベルグが渾身のスーパーラップを決めたが、それでもフェッテルには及ばなかった。
おかげで、フェッテルはこのコースで勝つために必要なポールポジションを手に入れただけでなく、Q3―2回目のアタックを行わなかったことにより、新品のスーパーソフト・タイヤを決勝に向けて温存することができた。
シンガポールGP恒例のセフティカー出動によって、前半に後続との間に築いたギャップがなくなったが、再スタート直後からあっという間にギャップを広げて行った。
その後、フェッテルは誰にも首位を脅かされることなく2位に大差をつけてゴールした。
アロンソはシンガポールGPでも2位につけて、チャンピオンシップを争う上でのダメージを最小限に留めた。
予選7番手だったアロンソはスタート直後にポジションをジャンプ・アップさせない限りこのコースで上位フィニッシュすることは難しいことが分かっていて、それを見事に実行した。
アロンソは予選終了後、決勝に向けて、「明日はスタートでいつもよりリスクをとってでも前に出ないといけないだろう」とコメントしていた。
これは、決勝のスタート時に他のドライバーが自分と接触しないようにするための牽制ではないだろうか。
他のドライバーは、「今回、アロンソはアグレッシブに来そうだから当てないようにしよう」と潜在意識にあると、競ったときに接触してしまわないよう、ほんの少しブロックが甘くなる。
今の状況では、アロンソは決勝レースの早い段階で2位につけて、フェッテルがマシントラブルでリタイヤするのを待つしか勝つ方法がない。
アロンソは、チャンピオンシップを勝ち取るために必要なことは全てやる。
今年のシンガポールGPでもう一人忘れてはならないのはライコネンだ。
フリー走行時点から激しい腰痛のせいでまともに走れなかった。
このため、予選は13番手と振るわなかった。
決勝では、痛み止めを打ってスターティンググリッドに並んだものの、完走できるかどうか危ぶまれていた。
ところが、レースが始まってしまえば13番手から追い上げ、終わってみれば3位表彰台だった。
2013年F1の3強ドライバーといえばシンガポールGP表彰台の3人といって間違いないだろう。
次はコリアGPだ。
ヨンアムサーキットは長短3本の直線とタイトコーナーの連続からなるコースだ。
初回の2010年は完成が遅れて開催が危ぶまれた。
一部コーナーの舗装がはがれ、決勝は雨に見舞われ、ゴール時には日没を迎えるというレースだった。
このレースではフェッテルが独走していたが、突然のエンジンブローのため戦列を去り、アロンソが優勝した。
ヨンアムはレッドブル、ロータス勢が有利だろうが、日曜日には台風がこの地域を襲う可能性が高い。
そうなれば雨に強いドライバーたちの出番となる。
コリアGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位アロンソ、4位ロスベルグ、5位ハミルトン、6位ウエバー、7位バトン、8位スーティル、9位ヴェルニュ、10位ディレスタかな。
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