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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(14)2014.09.19

イタリアGPを制したのはハミルトンだった。
ハミルトンは予選でもロスベルグに0.27秒の差をつけてポールポジションをとった。
ところが、決勝レースのスタートで出遅れてしまった。
それでも、ハミルトンは、コース上でロスベルグとの差を詰め、勝利をもぎ取った。
ロスベルグは、前レースでの行動に対する批判とプレッシャーが影響したように見えた。
一度目のコースアウトでハミルトンに差を詰められ、二度目のコースアウトで抜かれてしまった。
これで、二人のポイント差は21に縮まった。

メルセデス2台の後に続いたのはウイリアムズの2台だった。
しかも、今回はマッサがボッタスを下して3位表彰台に登った。
フェラーリ時代からイタリアに多くのファンを持つマッサは久々の表彰台に嬉しそうだった。

5位、6位にはメルセデスから60秒以上遅れてリチャルドとフェッテルが入った。
現チャンピオンは、予選ではリチャルドより速かったが決勝ではチームメートの前に出ることができなかった。
ペレスは、終盤、バトンの猛追に耐えて7位でフィニッシュした。
フェラーリは、ホームグランプリだったのにアロンソが序盤でリタイヤし、ライコネンが9位に入るのがやっとという有様だった。
この後、権勢を誇ったルカ・モンテゼーロ会長の辞任が発表された。勝負の世界は勝てないと厳しい。
10位にはもう1台のマクラーレン、マグネッセンが入った。

FIAは、ついにマシンとピット間の無線通信内容の制限に踏み切った。
最近はテレビ放送でも、ピットとドライバー間のやり取りが放送されるようになった。
今年になってから、パワー・ユニットが複雑になったこともあって、細かな情報がドライバーに伝えられるようになった。
情報だけでなく、コーチングの様な内容まで交信されるようになった。
去年から、ライコネンがピットからの無線にI know what am I doingと言ったり、アロンソがピットからのコーチングに不快感を表したりしていた。
チャンピオンになるようなドライバーにコーチングは不要だろう。
昔は、一周に一度ピット・ウォールで出されるサイン・ボードの数文字がドライバーにとっての唯一の情報源だった。
情報を巧く利用して戦うロスベルグのようなドライバーもいるが、決勝レースになったらドライバーひとりで戦わないとドライバーズ・チャンピオンシップの意味がなくなる。

第14戦は、ストリートコースで戦うナイト・レース、シンガポールGPだ。
制限時間の2時間を使い切ることの多いスロー・コースだ。
ここは、モンツァと違ってマシンの差をドライバーの技量で埋めることができるコースだ。
メカニカル・トラクションのいいレッドブル、ウイリアムズが有利になる。
可夢偉はイタリアGPの走りが評価されてかシンガポールGPにも出場する。
こことモナコぐらいしか今のカーターハムで入賞するチャンスはめぐってこない。
可夢偉がてこずっていたシケインもなくなったし、鈴鹿よりも期待できる。

シンガポールGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位マッサ、4位バトン、5位アロンソ、6位ライコネン、7位ボッタス、8位可夢偉、9位マグネッセン、10位スーティルかな。 

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(13)2014.09.05

ベルギーGPでリチャルドは見事二連勝を達成した。
パワー・ユニットのハンデが大きいと思われたスパ・フランコルシャンをレッドブル・マシンで勝って見せた。
2位には、3秒差でロスベルグが入り、3位には、進境著しいボッタスが入った。
4位には久々に上位入賞のライコネンがつけた。
5位のフェッテル以下はリチャルドから50秒以上離されてしまった。

スタートでハミルトンに出し抜かれてあせったロスベルグがハミルトンに追突したためにハミルトンが脱落するというアクシデントがなければメルセデスの1・2フィニッシュになっていただろう。
何しろ、予選2番手のハミルトンと3番手のフェッテルの間には2秒近いタイム差があった。
しかし、リチャルドは、こうやって廻ってきたチャンスを確実にものにした。
予選で速くてもチャンピオン争いに加われないドライバーとは、このあたりが違う。
リチャルドはテレビ・ゲームが得意だといわれているが、連続したアナログ的操作よりも断続的なデジタル操作を要求される今年のパワー・ユニットに適した能力を持っているのかもしれない。
マシン・コントロール能力が卓越しているといわれるフェッテルよりも前でゴールできるのだから・・・。
今年から採用されたF1のパワー・ユニットには、ガソリン・エンジンのスロットル・ペタルがワイヤーで繋がっていたときとは違ったコントロールが要求される。
リフト・アンド・コーストが巧いドライバーは、同じタイムを出しながらより少ない燃料で周回できる。
序盤と中盤でこれをやっておけば終盤に燃料残量を気にせず追い上げることができる(燃料流量制限はあるが)。
市販のハイブリッド・カーでもドライバーのフット・ペタルとパワー・ユニットの間にはプログラムが介在している。
プログラム内容を理解してアクセルペタルを踏むとより多くのEV走行を引き出せる。
ブレーキペタルを巧く操ればエネルギー回生量を増やすことができる。

予選で2秒差をつけられたとは言え、レッドブル・チームの努力を見逃してはいけない。
レッドブルはベルギーGPから、ギアレシオの変更を行ってトップスピードを上げた。
ルノーPUの出力不足を補うためだ。
空力とトラクションに関しては、いまだにレッドブルの方がメルセデスより優れているように見える。
もちろん、今年のメルセデスはPUだけでなくマシン全体がパッケージとして優れているからこのような結果が出ているのだが、ライバルたちも手をこまねいているわけではない。

第13戦は、今年のF1ヨーロッパラウンド最終戦イタリアGPだ。
スパ・フランコルシャンと同じく、パワーと空力に優れたマシンが有利だ。
相変わらずメルセデス・マシンの優位性は崩れないだろう。
今後は、チームメイト間のアクシデントもなくなるだろうからますます番狂わせは起こりにくくなる。
それでも、レッドブルは空力とPUマネジメントを改良し続けるだろう。
マクラーレンは2015年マシン用のアイデアを今年のマシンでテストすることで、今年のマシンのパフォーマンスも上げてくるだろう。
表彰台の常連として戻ってきたウイリアムズの底力も侮れない。 
三強ドライバーの一人ハミルトンの巻き返しが見ものだ。
今年、話題の三人、リチャルド、ボッタス、クビアトの走りも見逃せない。

イタリアGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位アロンソ、4位バトン、5位マッサ、6位リチャルド、7位ボッタス、8位ライコネン、9位ペレス、10位クビアトかな。 

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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学会ネット株式会社 代表