- YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
- 幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。
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Formula One 2016(16)2016.09.30
シンガポールGPは、ロスベルグが優勝してチャンピオンシップポイント首位に返り咲いた。
このレースで3位に終わったハミルトンを8ポイントリードすることになった。
ハミルトンはなぜか予選からセッティングが決まらず今回は精彩を欠いていた。
2位に入ったのはロスベルグを0.5秒差まで追い上げたリチャルドだ。
リチャルドは、予選から好調で予選でもロスベルグから0.5秒遅い2番手だった。
リチャルドは、スタートでロスベルグの前にでるか、レース後半にセフティカーが入って差が詰まっていれば、優勝していたかもしれない。
天候が荒れていたわけでもないのにトラブルなく走っていたメルセデス2台の間に割って入り、トップにテール・トゥ・ノーズでゴールしたのは見事だ。
「惜しい」の一言に尽きる。ここは、メルセデスが最も不得意とするコースだからチャンスだったのに。
シンガポールGPは、スタート直後のヒュルケンベルグのクラッシュで幕を開けた。
スタートダッシュの時に出遅れたヒュルケンベルグは、2台のトロロッソに挟まれた時にサインツとタイヤ同士がこすれあったために急に90度向きを変え、テールからガードレールに激突してしまった。
即座にセフティカーが出たが、このアクシデントの前方にいたか後方にいたかによって、レース結果は明暗が分かれた。
前方にいたライコネンとアロンソは4位と7位でゴールすることができた。
そして、アクシデントの後方にいたにもかかわらず果敢に追い上げて上位でフィニッシュしたのは、5位のフェッテルと6位のフェルスタッペンだった。
フェッテルは、予選Q1でサスペンションが壊れるという不運に見舞われ最後尾からのスタートを余儀なくされた。
それでも、昨年のシンガポールGPの覇者であり、このコースを得意とするフェッテルは、ゴールまでに5番手まで追い上げた。
終盤あたりでセフティカーが入るようなことがあったらもう少し上の順位でゴールしていたかもしれない。
フェルスタッペンは因縁のあるクビヤトに前を阻まれ、性能差があるにもかかわらずなかなか抜くことができなかったのが響いた。
ペレス、クビヤト、マグネッセンが8位、9位、10位に入り、ポイントを獲得した。
マクラーレン・ホンダはフリープラクティス中にセッティングがうまくいかず中盤以下に沈んでいたが、予選日にはきっちり修正してきてアロンソはQ3に進出した。
バトンもコース後半でのドライビングミスがなければQ3に進出していただろう。
マクラーレン・ホンダは、やっとトップ3チームの6台の次、7番手フィニッシュができるようになってきた。
次は、春から秋に開催日が移ったマレーシアGPだ。
シンガポールの隣国(シンガポールが第二次大戦後マレーシアから独立した)なので赤道に近く、季節が変わったといっても暑いことには変わりがない。
シンガポールGPの開催されるセパンは長いストレートとタイトコーナーの組み合わせからなる人工的なコースだ。
今年の春に舗装が全面的に改修されて、雨が降ってもコースに雨水が溜まらないようになった。
このため各コーナーに小さなカントがついたがコーナーによっては逆バンクになったコーナーもある。
ここでは、暑さ対策が重要で、空力のためにタイトにしているボデーワークの中に、ターボやバッテリーという発熱の多い機器を抱える今日のF1にとっては厳しいものがある。
コースが改修されたとはいえ、レース終盤にスコールがコースを見舞えばレースは面白くなる。
マレーシアGPは、1位フェッテル、2位ハミルトン、3位ロスベルグ、4位リチャルド、5位バトン、6位フェルスタッペン、7位サインツ、8位クビヤト、9位アロンソ、10位ペレスかな。
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Formula One 2016(15)2016.09.16
イタリアGPでロスベルグは重要な1勝を上げた。
ベルギーGPでパワーユニットの追加ペナルティを消化してPUの心配がなくなったハミルトンは、予選Q3でロスベルグに0.5秒の差をつける完ぺきな走りを見せてチャンピオンシップを争うロスベルグの心を打ち砕いたはずだった。
ところが、ハミルトンは、スタートで大きく出遅れ、ロスベルグ、フェッテル、ライコネン、リチャルドの4人に先行を許すことになってしまった。
シーズン後半になってからは、スタートをうまく決めていたハミルトンに何があったのだろう。
他のスポーツでもそうだが、チャンピオンといえども完ぺきに精神状態をコントロールすることは難しいのだろうか。
ハミルトンは、その後、F1コースの中では最もパワーアドバンテージがあるといわれるモンツァで、メルセデス・パワーを使って果敢に追い上げたが、ロスベルグをとらえることはできず、15秒差の2位に終わった。
これで、ハミルトンとロスベルグのチャンピオンシップポイント差は2となった。
これからは、毎レースこの二人のガチンコが続く。どちらかのリタイアがない限り最終戦までもつれ込むだろう。
フェッテルは、スタート直後に、巧みに2番手につけたがパワーで勝るメルセデスのハミルトンを抑えきることができず、3位でゴールした。
ライコネンも4位で続いた。
フェラーリは最近レッドブルに後塵を拝し続けていたが、地元モンツァで表彰台に返り咲くことができた。
レッドブル勢は、さすがにパワー不足のため苦しかったが、それでも、リチャルド5位、フェルスタッペン7位と健闘した。
ウイリアムズはここではボッタスが6位、マッサが9位に入り、ペレス8位、ヒュルケンベルグ10位のフォースインディアを久々に上回った。
マクラーレン・ホンダは、明らかにパワーが足りず、バトン12位、アロンソ14位に終わった。
アロンソは、終盤、13番手を走行していたが、ゴールまであと2周というところでスーパーソフトに履き替え、レースのファーステスト・ラップを記録した。
13位でも14位でも変わりはないから、最速ラップを記録したほうがチームの士気も上がるだろう。
イタリアGPの前にマッサがF1からの引退を表明した。
全盛期のマッサは同じフェラーリに乗るシューマッハを脅かすほどの速さがあり、2008年は1ポイント差でチャンピオンになれなかった。
フェラーリ時代にイタリアのファンに愛されたことから、イタリアGPを引退表明の場に選んだのだろう。
バトンも、マクラーレン・チームに残留するものの1年間休養することを発表した。これでバンドーン、ウエレーンといった才能ある若手ドライバーが有力チームで走る道が開かれる。
次は、市街地のナイト・レース、シンガポールGPだ。
熱いシンガポールの昼を避けるためとヨーロッパの放送時間帯に合わせるためにナイト・レースとなったが、今年で9年目、すっかり定着した。
マリーナベイのコースは市街地なのでエスケープゾーンがなく、路面も市街地舗装なのでグリップが低い。PUのパワー・ハンディを背負っているチームにとっては、後半戦で、最も期待の持てるコースだ。
誰かが、ガードレールに張り付いて赤旗が出れば、2008年のアロンソのように予想外のドライバーが優勝することもある。
シンガポールGPは、1位フェッテル、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位リチャルド、5位バトン、6位ロスベルグ、7位サインツ、8位ウエレーン、9位ペレス、10位ボッタスかな。
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Formula One 2016(14)2016.09.02
ベルギーGPでロスベルグが楽な1勝を上げた。
次のイタリアGPでパワーユニットの追加コンポーネントを投入して、後半戦に必要なPU投入によるペナルティを一気に消化する予定だと言われていたハミルトンが、ベルギーGPでそれをやってきた。
多数のコンポーネントを投入すると、グリッ・ドダウン・ペナルティの合計がグリッド数を超え、最後尾スタートになってしまう。
マクラーレン・ホンダのアロンソも同じ理由で最後尾スタートを選んだ。
ハミルトンと一騎打ちする必要のないロスベルグは、決勝でクルージングすればいいだけだった。
スタート前の時点で考えられるリスクといえば、フロントローに並んだフェルスタッペンにスタートで先を越されることだけだった。
フェルスタッペンは、オランダからスパに駆け付けたファンの応援に応えて予選Q3で素晴らしいドライビングを披露し、2番手のタイムを出したのだ。
決勝当日のスパ・フランコルシャンは快晴で、スパ・ウエザーによるかく乱もなさそうだった。
しかし、ここはスパ、何かが起こる。
まず、スタート直後にアクシデントが発生した。
ロスベルグはクリーンスタートを決めた。フェルスタッペンは出遅れ、フェッテルとライコネンに先行されたため無理やりインサイド側に入ろうとして3台が接触、3台ともダメージを受けて後退せざるを得なくなってしまった。
予選5番手だったリチャルドは易々と2番手の位置を手に入れてその位置をキープし、ロスベルグから14秒遅れの2位でゴールした。
3位に入ったのは驚くべきことにハミルトンだった。
ハミルトンは最後尾スタートのおかげでスタート直後のアクシデントに巻き込まれずに済み、3位まで追い上げた。
これで、ハミルトンはPU 交換ペナルティによるダメージを最小限にとどめることができた。
ロスベルグにチャンピオンシップポイントの差を縮められたものの、依然として9ポイントリードしている。
4位と5位には、このところ高速コースでは速いフォースインディアの2台、ヒュルケンベルグとペレスが入った。
フェッテルは1週目のアクシデントの後、6位まで追い上げた。
7位に入ったのは、なんと、マクラーレン・ホンダのアロンソだった。
マクラーレン・ホンダは今回ICEのアップデートを投入してきたが、アップデートの効果をアロンソの手を借りて証明した形になった。
パワーがものをいうスパでメルセデスPUユーザーのウイリアムスを抑えることができたのは収穫だった(アロンソでなければ難しかったかもしれないが・・・)。
8位、9位、10位にはアロンソに抑えられてしまった、ボッタス、ライコネン、マッサが続いた。
次は伝統のイタリアGPだ。
モンッアはもともとバンクのあるアメリカのインディアナポリスのような超高速コースだった。
(日本の富士スピードウエイも開設当初は1.6Kmの直線の後にすり鉢状のバンクが続く高速コースだった)
安全性への配慮から、バンクは使用されなくなり、複数のシケインも設けられたが、それでもスパ・フランコルシャンに並ぶ高速コースであることには変わりがない。
フェラーリとトロロッソにとってイタリアGPはホームレースだ。
長らくフェラーリのドライバーだったマッサはイタリアGPを前にして今シーズン限りでF1から引退スロことを表明した。
夏休み前は3番手チームになってしまったかに見えたフェラーリはベルギーで速さを見せた。
また、レッドブルの復活は本物で、ルノーPUでも高速コースでフェラーリと互角に渡り合うことができる。
夏の終わりのヨーロッパラウンド最終戦、イタリア人の熱い声援を受けた戦いが始まる。
イタリアGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位ロスベルグ、4位リチャルド、5位フェルスタッペン、6位ヒュルケンベルグ、7位ペレス、8位マッサ、9位バトン、10位アロンソかな。
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