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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2011(11)2011.09.22

イタリアGPでのフェッテルとレッドブルはベルギーGPよりもさらに進化した戦い方を見せてくれた。
レッドブルにとってボギー・サーキットといわれる最も不得意なモンツァで直線の最高速を犠牲にしてもコーナーからの立ち上がり加速を重視したセッティングを採用し、最高速は最も遅い部類に入るのにラップタイムは最も速いという意表を突く作戦に出たのだ。
もっともこの作戦はレッドブルのマシンとフェッテルの腕があって初めて可能な作戦なのだが。
この作戦を成功させるためには予選でポールポジションを取る必要がある。
フェッテルはそれをきっちりとやってのけた。

これで、決勝のスタートを決めて逃げ切れればいいのだが、非力なKERSを持つレッドブルではそうはうまくはいかず、スペインGPの時と同じように見事なスタートを決めたアロンソに先を越された。
しかし、スペインの時ほどアロンソのリードは長くは持たなかった。
1周目の多重クラッシュでセフティカーが出たために、リスタートでタイヤの温まりのよいレッドブルに置いていかれたのだ。
この後は、輝きを取り戻しつつあるシューマッハを抜くのにてこずったハミルトンと見事なシューマッハ抜きを見せたバトンがフェッテルを追ったが、フェッテルはすでにはるか先を行っており終盤にはクルージングする余裕を見せて圧勝してしまった。
最も不利だといわれたコースで圧勝したフェッテルのチャンピオンはここで決まったも同然だ。
フェラーリは今シーズンのマシンの開発はこれで終了らしい。
それでも、F1は進んでいく、レッドブルもマクラーレンも決して手は緩めない。

次は、シンガポールGP、トラクションの低いストリート・コースでのナイト・レースだ。
夜の観光はシンガポールの売り物だ。
F1の前から夜の動物園(ナイト・サファリ)があるぐらいだし、今一番の名所になっているサンズ(3本の高層ビルの上に船の形をしたプールと展望デッキが乗っかっている)も夜見たほうが美しい。
実はサンズからF1コースの一部が見下ろせる。
シンガポールよりも日本のほうがはるかに見所が多いと思うのだが、観光客数はシンガポールのほうが多い。
俗物的なエンターテイメントに引かれる人のほうが多いのだろうか?
もっとも、関心のない人たちにとってはF1もその部類に入るかもしれない。

ところで、シンガポールのマリーナベイ・サーキットはアロンソが得意とするコースだ。
アロンソは去年の練習走行でもエスケープゾーンにオーバーランして限界をチェックしていた。
トラクションの低い直角コーナーではとても重要な確認事項だ。
ストリート・コースではこのちょっとした違いが決勝で競ることになったときに効いてくるし、マシンの不利を補うことができるのだ。

シンガポールGPは1位アロンソ、2位フェッテル、3位バトン、4位ハミルトン、5位ウエバー、6位マッサ、7位ロスベルグ、8位可夢偉、9位シューマッハ、10位ブエミかな。

2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(10)2011.09.09

毎年、気まぐれに動くスパ・ウエザーが今年は決勝よりも予選を翻弄した。
特にバトンはピットの判断ミスのおかげで最後の1週を走らなかったためタイムが出せず13番グリッドからのスタートになってしまった。
これがなかったらバトンは決勝で優勝争いができていたかもしれない。
フェッテルは見事なドライビングでポールを取った。

決勝もフェッテルの完勝というべきレースとなった。
イギリス2位、ドイツ4位、ハンガリー2位と、ここ3レース優勝のなかったフェッテルが自分の力で表彰台の中央に戻ってきた。
マクラーレンに追いつかれ若干先をいかれた感の出ていたレッドブルのマシンも対策を施していた。
なんと極端なネガティブ・キャンバー(ネガ・キャン)をタイヤにつけていたのだ。
(前から見るとタイヤが地面に直角でなくハの時に傾いている)
レッドブルのことだから車体下に導く空気の量を増やすためにやっているのだろうか。
同様に車体後部をかなり持ち上げ尻上がりのセッティングにしている。
これも車体下部から後部に抜ける空気の量を増やそうとしているのだろう。
おかげでレッドブルのリヤ・ウイングは他車に比べてかなり小さくて寝ている。
十分なダウン・フォースを車体で確保しているのだ。
レッドブルは極端なネガ・キャンのためにタイヤの内側にブリスターが発生していた。
フェッテルはブリスターがすぐに発生するネガ・キャン・セッティングのマシンとタイヤをうまくマネジメントして優勝したのだ。
チームとドライバーが一体となって勝ったのだ。
もっとも、レッドブルが新しいことをやってアドバンテージを得ると間髪をいれずに規制する今年のFIAは、早速、次のイタリアグランプリからネガ・キャンの角度規制をやるらしい。
さあ、レッドブルの次の一手はなんだろうか?

F1ヨーロッパラウンド最終戦イタリアGPは伝統の高速コース、モンツァで戦われる。
ベルギーGPで、抜いた可夢偉が背後にいるとは思わずクラッシュ・リタイヤしてチャンピオンシップでは絶望的になったハミルトンは、これからひとつひとつのGPレースを勝ちにくるだろう。
アロンソはフェラーリの地元で勝ちたいだろう。
去年、高速コースのモンツァでリア・ウイングを立てて速く走ったバトンは今年どんな手を使うだろう。
チャンピオンシップの行方が見えても、F1は一戦一戦が面白い。

イタリアGPは、1位ハミルトン、2位バトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位ウエバー、6位マッサ、7位シューマッハ、8位ロスベルク、9位デ・レスタ、10位ペレスかな。

2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表