YOUCHOOSE

about

YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(2)2014.03.27

2014年の初戦オーストラリアGPは予想されたとおり、波乱の幕開けとなった。 
トップでゴールしたのはシーズン前テストの時から優勢が伝えられたメルセデスのロスベルグだった。
27秒近く離されて2番手でゴールしたのはレッドブルのリチャルド、3番手は予選から好調のマクラーレンの新人マグネッセンだった。
4番手は予選で不運にも後方に沈んだが、しっかり追い上げたバトンが入った。
ところが、ゴール後、リチャルドが規定より多い燃料流量で走っていたとされ失格となった。
このため、2位マグネッセン、3位バトンということになった。
以下の順位も繰り上がり、4位アロンソ、5位ボッタス、6位ヒュルケンベルグ、7位ライコネン、8位ヴェルニュ、9位クビアト、10位ペレスが公式結果となった。

今シーズン、ルノー・パワーユニットのパフォーマンス不足と信頼性不足はかなり深刻で、一説にはメルセデス・パワーユニットに比べて数10KWは低いのではないかといわれている。
フェッテルは予選・決勝ともパワーユニット系(制御系?)のトラブルを抱えていたため振るわなかった。
しかし、メルセデスも磐石かといえばまだそうでもなさそうで、予選は両ドライバーのマシンとも調子がよく、ハミルトンは最後の最後でポールを奪ったが、決勝ではパワーユニットのトラブルのため早々に戦列を離れざるを得なかった。
昨年までと比べてウエイトが低くなったといわれる空力面では相変わらずレッドブルが優れているようだが、昨年までのようにエンジンの力を補って余りあるほどというわけにはいかない。

そんな中で、リチャルドの予選2位、決勝2番手フィニッシュは、ドライバーのホームGPであったことを差し引いても驚くべき結果だった。
ところがレース後の裁定では、レッドブルは何度も規定より多い燃料を使用して走行していたことが指摘され、リチャルドのレース結果は取り消されて失格となった。
要するに、パワーを上げて対抗するために燃料を多く使って走行したというのだ。
燃料流量センサーはFIAから供給され1%程度の誤差があるという。
5KWぐらいに相当するだろうからかなりの誤差だ。
前のターボF1時代もFIAから供給されるターボ気圧を規制するバルブが余りに不正確であったため、ホンダはFIAのバルブの内側に自社製の高精度バルブをつけていたほどだ。
メルセデスPUユーザは現時点ではでぎりぎりを狙わなくても充分なパワーを得ているのだろう。

今年のルーキー・ドライバーはなかなか粒ぞろいのようだ。
マグネッセンとクビアトは初戦でポイント・フィニッシュをした。エリクソンはカーターハムがまともに走らないとなんともいえないが・・・。
可夢偉はマシンがルノーPUである上に、練習走行1・2を走ることができず、セッティングが充分でないマシンで予選15番手まで持っていった。
それでも決勝で回生ブレーキが働かないのではやりようがない。少し時間がかかりそうだ。

第2戦マレーシアGPは、高温多湿の気候と突然やってくるスコールの中で戦われる。
メルセデスPUユーザが有利なことに変わりはないが、フェラーリ、レッドブル、トロロッソがこの2週間でどれだけ対策を施してくるかが楽しみだ。

マレーシアGPは1位ハミルトン、2位バトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位マッサ、6位ライコネン、7位リチャルド、8位マグネッセン、9位ヴェルニュ、10位ペレスかな。 

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(1)2014.03.14

忙しかった冬が終わり、2014年シーズンは今日開幕だ。 
2014年シーズンからマシンのレギュレーションが大きく変わり、全チームがゼロ・リセットからのスタートとなる。
最も大きく変わったのはエンジンで、1.6LV6・ターボ+電気モーター+エネルギー回生システムとなり、もはやエンジンではなくパワーユニットと呼ばれる。
エンジン特性、ターボ過給圧制御、エンジンからの充電、ブレーキからの回生、電気モーターによる160馬力のブースとなど複数の変数があり、パワーユニット・メーカとチームはベスト・コンビネーションを見つけるのに苦労するだろう。
おそらく、1シーズンだけではベター・ミックスは見つかってもベスト・ミックスまでは到達しないだろう。

その代わりといっては何だが、ギヤボックスは8速となりギア比はシーズン初めに登録したもので固定となる。
ひとつ変数が減り、レースウィークのメカニックの負担も軽減されるが、モナコでもシルバーストーンでも同じギアで走らなければならなくなる。
ここ数年、F1エンジンは厳しいレギュレーションの縛りで新技術をトライができないばかりか、燃焼しないで排気の噴きつけに利用するなどという空力の補助役までさせられるようになり、将来の社会や自動車技術に貢献することがなかった。
そうゆう意味で今回のレギュレーション変更は、低資源と低炭素という地球社会的要請に応え、市販車にも応用できる技術であるダウンサイジングターボ、エネルギー回生、バッテリー制御、多速ギア自動変速と総合制御などパワー・駆動系の技術向上に貢献することができる。

シャシー面と言うより空力面のレギュレーションも変更された。
ドライバーの目線とほぼ同じ高さになってしまったF1マシンのノーズは低くせざるを得なくなった。
このレギュレーションを満たしつつできるだけ多くの空気をノーズの後ろに通したい多くのチームは通称、アリクイノーズと呼ばれる極端に先端の幅が小さいノーズを採用した。
リアウイング幅の規定も狭くなった。
細かな点ではリアのパワープラント周りで空力的工夫をする余地がかなり狭まった。
規制しても規制してもうまい抜け道を考えて優位に立ってきたチームにとっては厳しい変更だ。

今年のルーキードライバーはマグネッセン(マクラーレン)、クビアト(トロロッソ)、エリクソン(カーターハム)の3人だ。
中でも、注目はケビン・マグネッセン。
父も在籍した有力チーム、ハミルトン以来のマクラーレンからデビューするルーキードライバーだ。

シーズン前テストの結果(あまり当てにならないことが多いが)から見るとメルセデス・パワーユニットユーザが優位に立っていること確かだろう。
今年の前半戦はメルセデス、マクラーレン、フェラーリ、ウイリアムズ、フォースインディアの5チームが上位でゴールする可能性が高い。
リチャルドはホームレースになるが、今年のレッドブル・ルノーで開幕戦の上位に食い込むのは困難だろう。
ウイリアムズとマクラーレンが表彰台フィニッシュすれば、レギュレーション変更は興行的にも効果があったことになる。

オーストラリアGPは1位バトン、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位アロンソ、5位マッサ、6位ロスベルグ、7位ヒュルケンベルグ、8位マグネッセン、9位ペレス、10位フェッテルかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表