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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2017(18)2017.10.27

アメリカGPは、ハミルトンが完勝した。
ポールポジションのハミルトンに対して2番グリッドのフェッテルはスタート直後にハミルトンの前へ出て一時はトップを走ったが、フェッテルがどうにかできるのはここまでだった。
フェッテルは、6周目にはハミルトンに抜き返され、マシンの性能差から抜き返すことはできず、ハミルトンから10秒遅れの2位でゴールした。

3位になったのは、ファイナルラップでフェルスタッペンに抜かれたはずのライコネンだった。
フェルスタッペンは、残り19周というところでピットインしてスーパーソフトに履き替え、驚異的なペースで追い上げて、ライコネンを抜き3位になったはずだった。
ところが、ライコネンを抜く際にコーナーをショート・カットしたとして5秒加算ペナルティを獲られ、4位となった。
これは、フェルスタッペンがライコネンよりも巧いというわけでもなく、ファイナルラップ時点で、フェルスタッペンは19周目のスーパーソフトであったのに対し、ライコネンは36周目のミディアムタイヤだったからコーナーでシャープなライン取りはできない状況にあったからだ。
とはいえ、レースを通じてフェルスタッペンの速さは際立っていた。フェルスタッペンは予選6番手だったが、PUパーツ交換により10グリッド降格ペナルティを受け16番グリッドからのスタートになっていた。
フェルスタッペンは1周目13番手、5周目9番手、10周目7番手、15周目にはついに5番手まで浮上したのだ。
これによってソフトタイヤで走る周回数を短くして37周目にスーパーソフトに履き替えて最後の猛追撃をすることが可能になった。
おかげで、アメリカGPは見ごたえのあるレースになった。

5位には、最近、ハミルトンとの差が際立ち始めたボッタスが入った。
ボッタスはこのままハミルトンと肩を並べる位置までパフォーマンスを戻せないと、ナンバーツー・ドライバーとして定着してしまう。
このところ、コンスタントに上位入賞を重ねるオコンが6位でゴールした。
7位にはいったのは、サインツだ。サインツはトロロッソでのパフォーマンスを買われて、シーズン途中のアメリカGPからルノーに移籍した。
そして、移籍第1戦で、見事、7位に入賞して見せた。サインツはあと少しでオコンを抜けるところだったがオコンが踏ん張った。

ハミルトンとフェッテルのポイント差は、更に広がって、66となった。
ハミルトンは、次のメキシコGPで5位内に入れば、フェッテルの結果に関わらず2017年のチャンピオンが確定する。
今シーズンも残り3レースとなった。

次は、北米から中米に移動して、メキシコGPだ。海抜2000メートルの高地にあるサーキットなので空気が薄い。
PUのセッティングは難しく、PUパワーによる差が出やすい。
ホンダは、かつて、メキシコGPを得意中の得意としていた。
ホンダF1が最初に優勝したのはメキシコGPだ。
当時、他のF1エンジンの3割増のパワーがあったとされるエンジンを高地にあわせて巧みに調整し、初優勝した。
ターボF1時代には高い過給気圧で圧倒的優位に立っていた。
残念ながら今のホンダPUはメキシコが苦手らしい。

かつて、メキシコ人F1ドライバーといえば、ペドロ&リカルドのロドリゲス兄弟だった。
今は、メキシコ人F1ドライバーといえばセルジオ・ペレスだ。ストリート・コースを得意とし、タイヤをもたせるのが巧いドライバーだが、最近はチームメイトのオコンに先行されることが多くなった。
ペレスにとって、今年のメキシコGPはホーム・レースでもあるし、F1ドライバーとしての正念場でもある。

メキシコGPは1位フェッテル、2位リチャルド、3位ボッタス、4位フェルスタッペン、5位ペレス、6位ライコネン、7位バンドールン、8位オコン、9位マッサ、10位サインツかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(17)2017.10.20

日本GPは、ハミルトンが強いレース運びを見せて優勝した。
これで、ハミルトンは、今年のチャンピオンシップを手にしたのも同然だ。
唯一、ハミルトンのチャンピオンシップ獲得を阻止しうる存在であったフェッテルは、スタート前からフェラーリPUの調子がよくなかったようでスタート直後に4番グリッドのフェルスタッペンに易々と先行された。
フェッテルは、5週目にリタイヤしてノーポイントに終わった。
リチャルドはグリッドどおりの3番手で1周目を終えた。
結局、このままの順位でレースは進行し、表彰台に登ったのは、ハミルトン、フェルスタッペン、リチャルドの三人だった。

こう書くと、ハミルトンは、日本GPに楽勝したように見えるが、決してそうではなかった。
今回のハミルトンの勝利は、終盤にあった二つの幸運に助けられた。
一つ目の幸運は、レース最終盤の51周目に、10位争いをしていたマッサとアロンソを周回遅れにした時だった。
フェルスタッペンは、ハミルトンをもうちょっとで捉えるところまで迫っていたが、周回遅れが中に入ったことで、抜くチャンスを失ってしまった。
あと5周あればチャレンジできただろうが、レースは53周で終わってしまった。
二つ目は、ファイナルラップ近辺になって、ハミルトンのメルセデスのPUから異常を示す信号が出ていたことだ。
レース終了があと5周先だったら、ハミルトンはコース上にマシンを停めることになって、ノーポイントに終わっていたかもしれない。
しかし、ハミルトンがこの二つの幸運のおかげで勝利したわけではない。
ハミルトンが幸運を生かすことができたのは、鈴鹿におけるドライビングの弱点を修正し、全力で予選に取り組み、初のポールポジションを獲っていたからに他ならない。

フェッテルは、肝心要のアジア3連戦で、勝てる試合を三つともノーポイントで落としてしまった。
シンガポールでは、フェッテル自身がスタート直後の接触で失い、マレーシアと日本ではフェラーリのPUトラブルによって失った。
シンガポールは、絶対に優勝しなければあとがないという余裕のなさが原因であろうし、PUのトラブルは、フェラーリがメルセデスのパワーに追いつくために信頼性を少し犠牲にして攻めすぎたことが原因だろう。
日本GP終了時点でハミルトンとフェッテルのポイント差は59となった。
ハミルトンも、メルセデスも、優勝するために無理をする必要はなくなった。

次は、太平洋を越えて、アメリカGPだ。
オーバル中心のアメリカン・レーシングとは趣きの異なるF1レースだが、オースティンでのF1レースは今年で6年目になる。
オースティンのコースは、摩擦係数が低い目の路面を持つテクニカルなコースだ。
スタート地点から坂を駆け上がり、1コーナーは左のタイト・ターンだがラインが多く意外とパッシングが可能だ。
パワーユニット依存度が少ないコースでもある。
最近、シャシー性能の進化が著しいレッドブルがどのようなパフォマンスを見せてくれるか楽しみだ。
鈴鹿では、2台そろって入賞したハースにとってはホームグランプリだ。

アメリカGPは1位フェッテル、2位リチャルド、3位アロンソ、4位フェルスタッペン、5位ボッタス、6位ライコネン、7位バンドールン、8位ペレス、9位グロージャン、10位サインツかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(16)2017.10.06

マレーシアGPは、フェルスタッペンが見事な勝利を飾った。
3番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、ポールポジションからスタートしてトップオ座をキープしたハミルトンが、スタート後しばらくは蓄積したエネルギーをコースの途中で使い果たしてしまうことに気付いていた。
そして、フェルスタッペンは、DRSが使用可能になった直後の4周目に、ハミルトンが蓄積したエネルギーを放出し終わったポイントを狙って鋭いパッシングを敢行し、ハミルトンの前に出た。
このレースでハミルトンを抜くチャンスはこのタイミングしかなかっただろう。
フェルスタッペンは、現行の複雑なパワーユニット特性を良く知り、ライバルに訪れた一瞬の弱点を感じ取り、チャンスをものにして勝ったのだ。
レッドブルのマシンが、終盤になってようやくトップを争うことのできるマシンに仕上がってきたとはいえ、絶対的な速さに勝るメルセデスを駆るハミルトンを下したのは見事と言うほかはない。
フェルスタッペンは、近い将来、チャンピオンの座に着くに違いない。

一方、ハミルトンもこれがシーズン前半であったならば、ちょっとした接触ぐらいは覚悟の上でブロックしただろう。
しかし、ハミルトンは、今シーズンのチャンピオン争いで優位に立っている。
残りのレースは、リタイヤ=ノーポイントのリスクを犯して優勝するよりも、2位で着実にポイントを稼ぐことが重要なのだ。

3位には、リチャルドが入った。リチャルドはスタート直後にボッタスに前に出られたために、抜き返せたのは9周目だった。
それまでには、フェルスタッペンとハミルトンに差を開けられてしまい、残念ながら優勝争いに絡むことができなかった。
4位に入ったのは、最後尾から怒涛の追い上げを見せたフェッテルだ。
フェッテルのフェラーリは、今回、ポールポジションを獲るのではないかと思われるほどの仕上がりだったが、予選Q1でPUにトラブルが出てしまい、PUを交換したために最後尾スタートとなってしまった。
最後尾スタートながら1周目で13番手に浮上するなどして、目覚しい追い上げを見せた。
ボッタスは調子が上がらず終盤にはフェッテルにも抜かれて5位に終わった。ここまでが、同一周回だった。
6位にはペレス、7位にはバンドールンが入った。バンドールンはアップデートされていない空力パッケージにもかかわらず、予選、決勝ともアロンソより速かった。

8位、9位、10位はストロール、マッサ、オコンの順だった。
マレーシアGPのラスト・レースにふさわしい見ごたえのあるレースだった。
マレーシアGP後のハミルトンとフェッテルのポイント差は34となった。これだけのポイント差があると、残り5レースの内、ハミルトンがリタイヤするレースが一つはないと、フェッテルのチャンピオン獲得は難しい。

次は日本GPだ。
シーズン終盤になって、メルセデスは絶対王者ではなくなってきたように見える。
高速コースでも、フェラーリやレッドブルがメルセデスと互角に近い戦いができるようになってきた。
マクラーレン・ホンダも決別が決まってから、長い直線のあるコースでもQ3に進出できるようになった。
マクラーレン・ホンダにとって鈴鹿は厳しいレースとなるだろうが、第一セクターが決まれば、意外と上位に食い込めるかもしれない。
天気予報によると、予選は雨で決勝は晴れとなっている。
両日とも雨になれば面白い展開になるのだが・・・。

日本GPは1位フェッテル、2位ライコネン、3位ボッタス、4位フェルスタッペン、5位リチャルド、6位アロンソ、7位バンドールン、8位オコン、9位マッサ、10位サインツかな。

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Formula One 2017(15)2017.10.01

シンガポールGPは、ハミルトンが予選の結果からは困難だと思われた一勝を拾った。
2位には健闘しリチャルド、3位にはボッタスが入った。
4位には大健闘のサインツ、5位にはペレス、6位には今回結果を出したパーマー、7位にはバンドールンが入った。
8位、9位、10位はストロール、グロージャン、オコンの順だった。

決勝レースは、スタート直後に終わってしまった。
10年目を迎えた、シンガポールグランプリは、スタート直前に雨に見舞われ、コースはウエット状態となった。
しかし、激しい雨ではなかったので、スタンディング・スタートとなった。
スタートで、若干出遅れたフェッテルは、後続に抜かれまいとしてマシンを左に寄せた、そこへ好スタートを切ったフェルスタッペンとライコネンが突進してきたのだ。
行き場を失った2台は、フェッテルのフェラーリにクラッシュするしかなかった。
3番グリッドのリチャルドと5番グリッドのハミルトンはコース右側にいたので難を逃れ、2列目でブレーキングを強いられたリチャルドを3列目のハミルトンが右側から抜いていった。
接触した3台は、リタイヤし、上位の順位は、スタート直後の1コーナーで決まってしまった。

今年のシンガポールGPで一番面白かったのは、間違いなく、予選Q3だった。
先ず、ライコネンが1分40秒フラットに近いタイムをたたき出した。
直後に走ったボッタスのタイムは1分40秒810で0.7秒も遅い。
次に、フェルスタッペンが1分39秒814を出して1分40秒を切り、ポール奪取かと思われた。
一発の速さを誇るハミルトンが、懸命に走るが、ライコネンに0.057秒及ばず、1分40秒126に終わる。
そして、フェッテルが渾身の走りで、1分40秒491という驚異的なトップタイムをたたき出した。
フェッテルの直後でラップしていたリチャルドも速かったが、タイムは1分39秒840でフェルスタッペンより僅か0.026秒遅かった。
フェッテルのタイムはラップ後半でウォールにタイヤが接触するまで攻めて出したものだった。
フェッテルは、スーパーラップを決めた後にインタビューされ、「(ウォールに接触しそうなのは)分かっていたが、あそこは、行くしかなかった。」と語っている。

この結果、決勝のスターティング・グリッドは、ポールポジションがフェッテル、2番手以下は、フェルスタッペン、リチャルド、ライコネン、ハミルトン、ボッタスの順となった。
7番手には、非凡な速さを見せるヒュルケンベルグが着いた。
アロンソとバンドールンは8・9番グリッド。最近、速さが認められ、来期ルノーへ移籍するサインツが10番グリッドだった。
シンガポールGPの結果、ハミルトンはプラス25ポイント、フェッテルはノーポイントだったので両者のポイント差は28となり、ハミルトンがチャンピオン争いで優位に立った。

次ぎのマレーシアGPは今年が最後となる。
レース後半にスコールが降ることがよくあるコースだから、マシンの性能差以外の要素で結果が決まることも多い。
マレーシアGPは1位フェッテル、2位ライコネン、3位ボッタス、4位フェルスタッペン、5位リチャルド、6位マッサ、7位ヒュルケンベルグ、8位サインツ、9位アロンソ、10位バンドールンかな。

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