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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2022(9)2022.06.15

アゼルバイジャンGPはフェルスタッペンが優勝してペレスが2位に入ったことで、レッドブルは今期2度目のワン・ツー・フィニッシュを決めた。
ラッセルは、安定したドライビングで、5番手スタートから今季2度目の3位表彰台を獲得した。
ルクレールは、PUトラブルで無念のリタイヤとなった。
これで、フェルスタッペンとルクレールのチャンピオンシップポイント差は34となった。
ペレスはルクレールを抜いてフェルスタッペンから21ポイント差の2位に浮上した。
ルクレールは、これからのチャンピオンシップ争いで厳しい戦いを強いられることになった。

予選は、レッドブルとフェラーリの4台によるポール争いだった。
Q1でトップタイムを記録したのはフェルスタッペンで、ペレス、ルクレール、サインツの順だった。
Q2はペレスがトップタイムを出し、ルクレール、サインツ、フェルスタッペンが続いた。
Q3ではルクレールがスパーラップを決めてポールポジションを獲得した。
ペレスの2番手、フェルスタッペン3番手、サインツ4番手となった。
サインツと5番手のラッセルのタイム差は0.9秒もある。
レッドブルは、決勝優先のセットアップになっているようだが、ルクレールの今期8戦中6戦ポールポジションは見事だ。
ただし、バクー市街地サーキットはモナコと違いコース上で抜くことが可能なのでポールを獲れなくても決勝は戦える。

決勝レースがスタートすると、ペレスは出遅れたルクレールの鼻先を抑えて1コーナーでトップに立った。
2番手のルクレールの後にはフェルスタッペン、サインツ、ラッセルが続く。
予選ではマシンのバランスに苦しんでいたフェルスタッペンだが、決勝のペースは2番手を走るルクレールよりも速く、スタート直後からルクレールの1秒以内につけていて、いつでも抜きにかかれる状態だった。
ところが、9周目にサインツが油圧系統のトラブルでコース脇にマシンを止めた。
サインツのマシンを片付けるのにVSCが出たところで、ルクレールはタイヤ交換によるタイムロスを減らすためにピットインする。
レッドブルの2台はVSCが出ている間にタイヤ交換せずにコース上に留まった。
この結果、レッドブル勢は、ペレス、フェルスタッペンの暫定ワンツー・フォーメーションが出来上がった。
ところが、レッドブル勢はレース中のどこかでタイヤ交換をしなければならない。
ルクレールは、それまでにピットイン一回分のタイム差をつけておく必要がある。
レッドブル・チームは自分達の決勝ペースの良さからして十分可能だと判断したのだろう。
そうすれば、タイヤ交換後は、ルクレールより走行距離の短いタイヤで走れるので終盤に対決する場面になっても有利だ。

VSCが終わった直後、ルクレールと2番手フェルスタッペンの差は約14秒あったが、ルクレールは15周目までに9秒以下にまで縮めた。
この時点で、トップを走るペレスよりフェルスタッペンの方がペースが速かったので、ピットからペレスにフェルスタッペンと争うなという無線が飛び、15周目にフェルスタッペンがペレスの前に出て、ペレスとルクレールを離し始めた。
ルクレールは、ここで離されると苦しい展開になるので最速タイムを出して、レッドブル勢に食い下がる。
17周目にペレスがタイヤ交換のためにピットインして3番手に下がり、18周目にルクレールがフェルスタッペンとの差を7秒に詰めたところでフェルスタッペンはピットインし、ルクレールがトップに立つ。
この時点でトップのルクレールとフェルスタッペンの差は13秒。
VSCの間にタイヤ交換したフェラーリの作戦が当たった形だが、ここからは、フェルスタッペンがルクレールより10周若いタイヤで追いつき、追い抜くことができるかに焦点が移った。
レースはこれから面白くなると思ったのも束の間、21周目になって、ルクレールのフェラーリPUから白煙が上がり、ルクレールは失意の中、マシンをピットに滑り込ませ、リタイヤした。ルクレールは全くついてない。

この後、フェルスタッペンは、チームメートのペレスからも脅威を受けることなく、今シーズン5勝目に向かってクルージングしていった。
昨年、トップを改装していた時に突然タイヤがバーストしてレースを失ったフェルスタッペンに対して、ピットからは再三ラップタイムを落とすように指示が出ていた。

フェラーリ2台がリタイヤしたことにより、メルセデスが3・4位に入り5位にはがスリーが入った。
角田は6位が確実と思われていたが、終盤になってリアウイングのフラップが破損し、修復のためピットインしたために13位という残念な結果に終わった。

次は、カナダGPだ。
モントリオール市街地から地下鉄で繋がるノートルダム島にあるジル・ビルヌーブ・サーキットは、市街地コースではないがストリート舗装に近い路面で、細長い人工島の両端を直線で結ぶレイアウトだ。
サーキット特性的には、直線が速いレッドブルに有利なコースだ。
ハミルトンは、ルキーイヤーに初優勝したのがジル・ビルヌーブ・サーキットだった。ストロールとラティフィにとってはホームGPだ。
ハース・チームとペレスには多数の応援団が押しかけるだろう。
ルクレールはなんとか早めに優勝してフェルスタッペンとの差を詰めたいところだろうが、フェラーリPUの信頼性という不安要素を抱えている。

カナダGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位サインツ、5位ハミルトン、6位角田、7位ガスリー、8位ボッタス、9位フェッテル、10位ストロールかな。 

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Formula One 2022(8)2022.06.09

ペレスはモナコGP初優勝を果たし、表彰台で男泣きした。
サインツが昨年に続いて2位表彰台となったが、優勝を狙っていただけにあまり嬉しそうでは無かった。
フェルスタッペンは、予選順位を上回る3位でゴールして、チャンピオンシップのリードを保った。
ルクレールは、予選から圧倒的な速さを見せていたが、またもやホームコースで勝利の女神から見放され、4位フィニッシュに終わった。

チャンピオンシップポイントは、フェルスタッペンとルクレールの差が9ポイントとなり、ペレスはルクレールまで6ポイント差と迫った。
チャンピオンシップ争いは、7戦目を終えた時点で三つ巴の様相を呈している。
1位のフェルスタッペンとペレスのポイント差はわずか15ポイントで、一回でもリタイヤすればひっくり返る。

モナコGPはスタートしてしまえば、コース上で抜くチャンスはほとんどないから、予選順位が極めて重要だ。
フェラーリのルクレールは、フリープラクティスから絶好調だったが、レッドブルの方は、ペレスが好タイムを連発していてFP3ではルクレールより速かった。

予選は、フェラーリ勢に軍配が上がった。
予選トップはルクレール、2番手はサ0.2秒遅れでサインツ、3番手は0.25秒遅れでペレス、4番手が0.3秒遅れでフェルスタッペンとなった。
Q3の最終アタック中トンネル手前のコーナーでペレスがスピンし、これを避けきれずサインツがストップその後を走っていたフェルスタッペンは事故現場通過でタイムが出せずに終わった。
それでも、他のドライバーがルクレールを上回るタイムを出すことは難しかっただろう。
コース上では抜けないモナコで、フェラーリはフロントロー独占というこれ以上ないスターティング・ポジションを得た。

土曜日の時点では誰もが、フェラーリのワン・ツー・フィニッシュを予想したが、決勝はそうならなかった。
スタート時刻直前になった雨が降り始め、スタートが65分遅くなった。
そして、ウエットレースが宣言されて、全車ウエット・タイヤを履いてセフティカー先導の元にスタートし、セフティカーが2周先導した後にローリングスタートとなった。
おかげで、スタート後の混乱はなく各社グリッド順に一列になって周回が始まった。

6周目ぐらいから路面の水が少なくなり、中位以下でインターミディエイトに交換する車が増え始める。
上位のフェラーリ勢はウエットタイヤで30周目あたりまで引っ張ってからドライタイヤに交換するつもりで走っている。
しかし、このままフェラーリと同じ戦術では3位と4位でゴールするしかないレッドブルは、早めに動いた。16周めにペレスがピットインし、インターミディエイトに交換する。
ペレスがインターミディエイトに換えて速いペースで周回するのを見て、フェラーリは18周目にルクレールをピットに入れてインターミディエイトに交換する。
しかし、この間の2周スーパーラップを刻んだペレスの前でコースに戻ることができなかった。
ペレスはルクレールのアンダーカットに成功した。
サインツは、この間、ウエットタイヤのまま交換しないで走っていたのでトップに立ち、ペレス2番手、ルクレール3番手、フェルスタッペン4番手という順になった。
路面はどんどん乾き始め、20周めにはドライタイヤの領域に入り始める。
フェラーリは、ここまでウエットタイヤを交換せずに走ってきたサインツをピットに入れてドライ・ハードタイヤに交換する。
同時に、インターミディエイトに交換して3周しか走っていないルクレールもピットインさせてドライ・ハードタイヤに交換する。
この結果、ペレスがトップに立ち、フェルスタッペン2番手、サインツ3番手、ノリス4番手、ルクレール5番手となってしまった。
それまでにサインツとの間にほぼピットストップ一回分のマージンを築いていたペレスは22周目にピットインしてハードに履き替えた。ペレスは、今度はサインツをオーバーカットするのに成功したのだ。フェルスタッペンもペレスに続いてピットインし、ハードに交換した。
この時点で、ペレスがトップ、サインツ2番手、フェルスタッペン3番手、ルクレール4番手というオーダーになった。
このまま雨が降らなければ、ハード・タイヤでゴールまで走れる。
これで、勝負あった。4人のうち誰かがミスをしない限り、モナコでは、この順位は動かない。

レースは、30周目にシューマッハのクラッシュのために赤旗中断となるが、再スタート後も、順位は変わらず、77周を走ることなくタイムアウト・64周でチェッカー・フラッグが振られた。
レッドブルとペレスは、雨による路面の変化のタイミングを逃さず、優勝候補だったフェラーリのルクレールから優勝を奪い取った。
ラッセルは淡々と周回をこなし、またもや5位に入った。
ノリスは、扁桃炎で体調不良をだったにも関わらず6番手でゴールしただけでなく、終盤にファーステストラップも記録した。

次は、アゼルバイジャンGPだ。
アゼルバイジャンGPが行われるバクー市街地コースは、長いストレートと市街地の直角コーナーからなるコースだ。路面はストリート舗装なので、グリップは弱い。
今年は、トップ・スピードの早いレッドブルが有利だと思われるが、スペインGPからフェラーリは低速コーナーだけでなく、直線も速くなっている。
レッドブルは、ここから2機目のPUを投入してくるだろうし、軽量DRSの改良型を投入する模様だ。

アゼルバイジャンGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位ボッタス、5位サインツ、6位角田、7位ハミルトン、8位アロンソ、9位ノリス、10位ラッセルかな。

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