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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2015(11)2015.08.21

ハンガリーGPは2015年F1前半戦の中で、もっとも面白いレースだった。
メルセデスのドライバーが一人も表彰台にいない光景は何レースぶりだろう。
フェッテル・フェラーリは今期2度目の優勝を決め、レッドブルのクビアトとリチャルドが2位・3位に入ったのだ。
F1においては圧倒的優位はあっても絶対的優位はありえないことを証明した一戦だった。

予選を見ている限り、メルセデスの二人がフロントローを固め、低速コースのハンガロリンクでさえメルセデス勢の優位はゆるぎないものに見えた。
しかし、3番手フェッテル、4番手リチャルド、5番手ライコネンという予選順位が決勝ッレースの結果を案じしていたのだ。
フェラーリとレッドブルがメルセデスとの性能差を詰めてきたことによりちょっとしたことが狂えば点呼応の助けを借りなくてもメルセデスの牙城が崩れる可能性が出てきたのだ。

決勝では、メルセデス2台がスタートでもたつく中、フェラーリのフェッテルとライコネンが見事なスタートダッシュを決めてフェラーリ・ワンツー体制を作ってしまった。
逆にハミルトンはスタートでの失地を挽回しようとあせってコースアウトし、順位を10番手にまで下げてしまう。
この後、ライコネンのマシントラブルもあってロスベルグは2番手に返り咲くが、前のフェラーリを追うことよりも背後から追い上げてくるチームメイトに対抗してミディアム・タイヤを選択してしまい、チームメイトの後ろからゴールするはめになった。
一旦先頭に立ってしまえば勝ち方を知っているフェッテルは見事にトップを守り抜きチェッカーを受けた。後半戦でメルセデスとフェラーリの性能差が更に縮まればチャンピオンシップ争いも分からなくなると期待してしまう展開だった。

今回、マクラーレン・ホンダはPUのパフォーマンスアップよりも信頼性の向上とPU制御をコースに合わせたセッティングにすることに力を注いだ。
それを二人の元ワールド・チャンピオン・ドライバーの手によって結果に繋げてもらった。
特に、アロンソは、なぜ彼が最強のドライバーと言われるのかを見せてくれた。
予選Q2中にマシンがコース上で止まった時には自力でマシンをピットまで押して帰り、再スタートしてQ2の順位をひとつでも上げようとしていた。
決勝のスタートは15番手だったが、少しづつ順位を上げ、セフティカーが入った時には順位を下げてでもソフトに履き替え、今のマクラーレン・ホンダでは望外の5位でゴールした。
アロンソは。マシンが動いている限りこういう努力を全てのレースでやっている。
だからこれまでも決して傑出していたわけではマシンでチャンピオンを2回も獲り、予選11番手につけることしかできないマシンで優勝したりしてきたのだ。
アロンソで勝てなければ誰を連れてきても勝てないといわれる所以だ。

夏休み明けのベルギーGPは、高速で度胸のいるスパフランコルシャンで開催される。
基本的にはパワー・サーキットだが、下りセクションではドライバーの力量も問われる。
突然雨雲が現れるスパ・ウエザーもかく乱要因だ。
PUの信頼性にめどがついたホンダはグリッド・ダウン覚悟でスパからパワーアップしたエンジンを投入するといわれている。
パワフルなPUがあればグリッド・ダウンしても決勝で取り戻せる。

ベルギーGPは、1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位フェッテル、4位ライコネン、5位リチャルド、6位クビアト、7位マッサ、8位ボッタス、9位バトン、10位アロンソかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表