- YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
- 幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。
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Formula One 2021(20)2021.11.19
サンパウロGPは、ハミルトンが10番グリッドでスタートしたものの、驚異的な速さでトップまで上り詰めて圧勝した。
ハミルトンだけが違うカテゴリー(F0?)のマシンに乗っているような異次元の速さだった。
フェルスタッペンは、スタートでポール・ポジションのボッタスを出し抜いてトップを走っていたが、ハミルトンに追いつかれてからは2位を守るのに徹していた。
3位にはボッタスが入った。
フェルスタッペンとハミルトンのチャンピオンシップ・ポイント差は14に縮まった。
メキシコ・シティGPの後、次のサンパウロで勝てば、フェルスタッペンがチャンピオンの座にぐっと近づくと思われたが、僅か1週間で形成は逆転した。
サンパウロGPは、スプリント予選方式を採用するグランプリだ。
そのため、ラップタイムを競う通常の予選は金曜日の午後に行われた。
メルセデスは、ハミルトンのマシンに5基目のICEを投入することを決めた。
このため、ハミルトンは決勝でスプリント予選の結果で決まるグリッド順から5グリッド降格することになった。
ところが新品のICEを得たハミルトンの速さは圧倒的で、予選2番手のフェルスタッペンに0.44秒の差をつけた。
1周のラップタイムが1分8秒前後のインテグラゴスで0.44秒は大きな差だ。
フェルスタッペンから約0.1秒遅れて予選3番手、4番手はにボッタス、ペレスがほぼ同タイムで並んだ。
土曜日の午後は、24周レースで競うスプリント予選を行い、決勝のグリッドを決めることになる。
ところが、金曜日の予選後にハミルトンのマシンのリアウイングがDRS作動時に規定より大きく開いていることが発覚し、ハミルトンの予選タイムは無効となった。
ハミルトンはスプリントレースを最後尾からスタートすることになった。
メルセデスのハミルトン車の違反は明確で、その場で失格を言い渡されるのが普通だが、なぜか、決定は土曜日のスプリント予選直前まで持ち越された。
スプリント予選は、スタートでボッタスがフェルスタッペンの前に出て先行し、そのまま走り切った。
2位フェルスタッペン、3位サインツ、4位ペレスという順だった。
ここでハミルトンは、20番手スタートから僅か24周のスプリント・レースで15台を抜き、5位でゴールしたのだ。
これで、ハミルトンは決勝でICE交換ペナルティを加えて10番手からスタートすることになった。
決勝は、フェルスタッペンがスタート直後の1コーナーでポールのボッタスに並びかけ、トップの座を奪った。
ペレスもボッタスを抜いたので、レッドブルワン・ツー体制が形成された。
ハミルトンは1周目に4台を抜き、2周目には6番手まで上がってきた。
4周目に角田とストロールが接触したことによって飛び散ったウイングの破片を回収するために6周目にセフティカーが入る。
この時点でハミルトンはすでに3番手まで進出している。
しかもセフティカーが入ったせいでフェルスタッペンとハミルトンの差は縮まってしまった。
ハミルトンは、ペレスを攻略してフェルスタッペンの3.6秒後方ににまで迫った。
この後、フェルスタッペンはタイヤ交換を挟みテクニックの限りを尽くしてトップの座を死守するが、59周目にハミルトンに先行を許すこととなった。
フェルスタッペンには、ハミルトンを抜き返す術はなく、ハミルトンはそのまま71周を走り切って、一気にゴール・ラインを駆け抜けた。
ファーステスト・ラップはソフトに履き替えたペレスが獲った。
今年のチャンピオンシップは残り3レース、ハミルトン・メルセデスがサンパウロで見せた速さを残りのレースで発揮すれば、ハミルトンは今年もチャンピオンの座に着くことになる。
次は、カタールGPだ。
カタールGPは今回が初開催だ。
ロサイル・インターナショナル・サーキットはどのチームもドライバーも初めてでハンディはない。
新しいコースなので、トラクションが極端に低いということがあるかもしれない。
直線でトップスピードに達するのが速いメルセデスに対してレッドブルは直線の長いコースで打つ手があるのだろうか?
とはいうものの、レースは蓋を開けてみないとわからない。
カタールGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位ペレス、4位ボッタス、5位サインツ、6位ルクレール、7位ガスリー、8位角田、9位フェッテル、10位アロンソかな。
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Formula One 2021(19)2021.11.12
メキシコGPは、フェルスタッペンがスタート直後にトップに立った後は、ハミルトンの追随を許さず快勝した。
ハミルトンはフェルスタッペンに前に出られてからは2位確保に重点を置いた戦いを進め、チャンピオンシップ争いのダメージを最小限に留めた。
ペレスは、ホーム・クラウドの大声援を受けてハミルトンを追い詰めたが、前に出ることはできなかった。
ペレスは、USGPに続いて3位表彰台に登り、優勝したフェルスタッペンよりも大きな観衆の歓声を受けた。
フェルスタッペンとハミルトンのチャンピオンシップ・ポイント差は19に広がった。
今週末は、トップ2チームが見ごたえのある攻防を繰り広げた。
金曜日はレッドブル・ホンダが圧倒的な速さを見せ、フェルスタッペンはFP1、FP2ともにトップタイムだった。
このトレンドは土曜日になっても続き、FP3でもフェルスタッペンはトップタイムを記録した。
ところが、土曜日午後の予選が始まる形成が変わり始める。
Q1は、ボッタスがトップタイムで通過した。
トップ10を狙えるドライバーは、Q1では無理をしないでQ2に進めるだけのタイムを出すだけなので、この時点のタイムと順位がQ3まで続くとは限らない。
Q2になると、今度はハミルトンがトップタイムを出し僅差でフェルスタッペンが2番手となった。
Q2で3番手タイムを出したのはなんと角田だった。
戦略上、ソフトタイヤを履いていたとはいえ、同じソフトを履いたサインツより0.5秒以上速いタイムだった。
角田は、ミディアムを履いていても、ガスリーと比べて遜色のないタイムを出せたはずだ。
そして、迎えたQ3、ポールポジションを獲ったのはボッタス、2番手ハミルトン、3番手フェルスタッペン、4番手ペレスという結果になった。
角田にトーをもらったガスリーは5番手タイムを出した。
メルセデスは、セッティングの変更によって、少なくとも予選はレッドブルと互角に戦える状態にまで持ってきたのだ。
決勝レースは、ボッタス、ハミルトン、フェルスタッペンが3ワイドで1コーナーに侵入するが、フェルスタッペンはぎりぎりまでブレーキングを遅らせて1コーナーの外側から綺麗にボッタスを抜き去りトップに立った。
その直後、ボッタスはリチャルドに追突されてスピンし、最後尾近くまで後退する。
後方では、オコン起点の多重クラッシュが発生し、角田も巻き込まれてリタイアした。
2周目にセフティカーが入り、フェルスタッペン、ハミルトン、ペレス、ガスリー、ルクレール、サインツの順で再スタートする。
4周目にレースは再開するが、再スタート後、フェルスタッペンのペースは、明らかに速く、29周目には、ハミルトンに10秒近い差をつけた。
さらに、ペレスに追い上げられ、アンダーカットされそうになったハミルトンは30周目にはピットインしてタイヤを交換する。
この時点で、ハミルトンはすでに2番手を死守する戦略に変更している。
ハミルトンが追ってこないと分かったフェルスタッペンは、タイヤをセーブしながらクルージングにはいり、勝利をものにした。
結局、1位〜6位までのマシンがゴールラインを横切った順番は再スタート時と変わらなかった。
角田は、シーズン終盤になってようやくグランプリ・ウイークの組み立て方が身についてきた感がある。
角田が、毎年、シーズン終盤になって上位で走れるようになるのは、彼は毎年上のカテゴリーにステップアップしているからだ。
初めてのカテゴリーで、毎回シーズン終盤になるとトップを争えるようになるドライバーなのだ。
F1はこれまでのカテゴリーより少々てこずってはいるが・・・。
次は、サンパウロ(ブラジル)GPだ、
例年通りインテグラゴス・サーキットで行われるが、名称が国名から都市名に変わった。
オリンピックのように今後のGPは都市名に変わっっていくのだろうか?ちなみにメキシコGPも正式名称はメキシコシティGPだった。
どちらにしても、レースが開催されるのは比較的短い高低差のある左周りのコースでパッシング・ポイントはいくつかある。
メキシコGPのロドリゲス・サーキットほどではないが800m近い標高があるので、またもやホンダPUに適したコースだ。
残念ながら、今のF1にはブラジル人ドライバーがいない。
終盤の3戦が予定されているコースは、いずれもメルセデス優位だと言われているコースなので、レッドブル・フェルスタッペンとしてはここでメルセデスに大差をつけておきたい。
サンパウロGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位角田、4位ガスリー、5位ハミルトン、6位ボッタス、7位サインツ、8位ルクレール、9位フェッテル、10位アロンソかな。
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Formula One 2021(18)2021.11.05
USGPは、フェルスタッペンが見事なドライブでハミルトンとの接戦を制して優勝した。
ハミルトンはフェルスタッペンに対して、一歩も引かないドライビングをスタートからフィニッシュまで展開したが2位に終わった。
ペレスは、決勝レースを通じて車載のドリンクが飲めないトラブルに見舞われながらも3番手を維持して表彰台に上った。
結果、フェルスタッペンとハミルトンのチャンピオンシップ・ポイント差は12となった。
USGPの予選からフェルスタッペンとハミルトンが激しい攻防を繰り広げた。
ポールポジションを獲ったのはただ一人1分32秒台のラップタイムをたたき出したフェルスタッペンだった。
予選2番手は、フェルスタッペンから0.2秒差でハミルトン。
ハミルトンから僅か0.025秒差の3番手にはペレス。
ペレスはFPから好タイムをマークしてUSGPではフェルスタッペンとそん色のない走りを見せている。
予選4番手にはペレスから0.345離されたボッタスがつけた。
3列目はフェラーリ、4列目はマクラーレン、5列目はアルファタウリの2台づつが並んだ。
予選の結果を見る限り、レッドブル・ホンダはメルセデスに対して約0.3秒のアドバンテージを持っている。
ハミルトンが予選2番手なのはハミルトンのドライビングの巧さによるものだろう。
決勝レースは、ハミルトンがスタートでフェルスタッペンの前に出て1コーナーでトップに立った。
フェルスタッペンも無理をせず2番手につけた。
今回はマシンパフォーマンスが上なので、ピットのタイミングで前に出ればいいと判断したのだろう。
ハミルトンは逃げようとするがフェルスタッペンは1秒以内につけてそれを許さない。
フェルスタッペンは、このままハミルトンの後につけているよりも早く前に出て引き離した方が有利だとみて、11周目にピットインしてタイヤを交換する。
ペレスも12周目にピットインしたので、ハミルトンは13周目にピットインせざるを得なくなった。
この間に速いラップを重ねていたフェルスタッペンは、14周目にはハミルトンに6秒以上の差をつけることに成功した。
ところが、フェルスタッペンは29周目までに3秒を切るところまでハミルトンが追い上げられ、アンダーカットされないように30周目にピットインすることになる。
一方ハミルトンは38周目までピットインを遅らせて、最終スティントのタイヤの差でゴール直前にトップを奪還する作戦に出た。
ハミルトンがタイヤ交換を終えた時点でトップのフェルスタッペンとの差は8.5秒あった。
最後の数周のバトルに備えてタイヤを温存する走りのフェルスタッペンに対して、8周若いタイヤのハミルトンがどんどんと差を詰めていき、50周目は2秒を切るところまで迫った。
しかし、フェルスタッペンはハミルトンを1秒以+の後方にキープして、55周目を迎える。
フェルスタッペンは周回遅れを利用してホームストレートででリアウイングを開く権利を得るが、ハミルトンは周回遅れを抜くタイミングが悪くてリアウイングを開けない。
このため、ファイナルラップに入るホームストレートでフェルスタッペンに離されてしまう。
フェルスタッペンは、そのまま56周目(ファイナルラップ)を走り切り、トップでチェッカーを受けた。
角田は、FP1では長勝ったマシンのセットアップを辛抱良く進め、予選ではソフトタイヤを使ってQ3に進出した。
決勝では、ソフト・スタートの不利を補う見事なドライビングで、今シーズンのはベストと言える9位でフィニッシュした。
次は、メキシコGPだ。
標高2400mの高地にあるサーキットなので、ドライバーは酸素が薄いので、体力的にたいへんだ。
PUはターボに負荷がかかるし、空気が薄いので冷却が課題となる。
空力面でも、大きくて立ったウイングを使わないとダウンフォースが確保できない。
メキシコはホンダF1が初優勝を飾った地だ。
その時は、燃料のミックスを薄くしたエンジン・セッティングが好を奏し、圧倒的なパワーの差で優勝した。
今は、ホンダ・ジェットのコンプレッサー技術が生きる高地に強いターボがある。
ペレスは、勝てるマシンで迎えるホーム・グランプリだ。ペレスには高地慣れした体で有利だ。フェルスタッペンとの1・2フィニッシュを狙ってほしい。
メルセデス・ハミルトンはそう簡単には勝たせてくれないだろうが・・・。
メキシコGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ボッタス、5位角田、6位ガスリー、7位ルクレール、8位サインツ、9位フェッテル、10位アロンソかな。
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