ブラジルGPは予選のサプライズで幕を開けた。
雨が降り続いた予選のQ3開始直後に雨がやみ、予選終了まであと数分というところでコースが乾き始めた。
各車慌てて晴用のオプション・タイヤに履き替えたが、ベスト・タイミングでタイヤ交換をしたウイリアムズのヒュルケンベルグがポールポジションを獲ったのだ。
確かにQ3での好タイムはチームのタイヤ交換タイミングによるところが大きいが、Q2を突破していなければそれも無かったのだから単なるラッキーではない。
ヒュルケンベルグは期待の新人として今年ウイリアムズからデビューし、後半戦になって予選では速いところを見せ上位に行くようになってきていた。
ポールを獲ったのはサプライズだが実力はあるのだ。
決勝は予選とうって変わり晴れ上がった。
晴れてしまってはマシンの性能差はいかんともしがたくヒュルケンベルグは頑張って抵抗したが最終的に8位でゴールした。
決勝ではレッドブルの2台が速く中でもフェッテルは速くて安定していた。
フェッテルに追いつかなかったウエバーはあわよくば2位フィニシュを狙うアロンソのプレッシャーを受けていたがブラジルでは韓国のような失敗は犯さなかった。
アブダビGPは中東のアラブ首長国連邦の中ではもっとも広い国土を持つアブダビで開催される。
アブダビGPの2週間前にフェラーリのテーマ・パークであるフェラーリ・ワールドがオープンした。
時速240KMのフェラーリF1の形をしたジェットコースターが売りらしい。
アブダビGPは2009年が第1回で今年は2年目に当たる。
長いストレート+高速ベンドとタイトコーナー群からなる高速と中低速両方の要素を持った近代的なコースだ。
ピットレーンが長いトンネル状になっているのがユニークだ。
2009年ブラジルGPでF1デビューを果たした可夢偉は2戦目のアブダビで6位に入っている。
今年のザウバーは去年のトヨタほど上位のマシンではないから大変だろうが、ドライバーの可夢偉自身はこの1年でかなり進歩している。
来年に繋がる走りを見せて欲しい。
最後までチャンピオン争いに残ったのはアロンソ、ウエバー、フェッテルの3人だ。
一見、アロンソが有利なようだが必ずしもそうではない。
フェラーリのマシンがレッドブルを上回ったと思われたのはイタリアGPだけだ。
Fダクトをものにした最近のレッドブルは高速コースでも速くなってしまった。
フェラーリが効果的なアップデートを投入できてまともに戦えるようになるかレッドブル2台の1台が自滅しない限りアロンソはこのままではアブダビGPで3位になってしまい、ウエバーが優勝すればチャンピオンになる。
ところが、フェッテルがウエバーに勝ちを譲るだろうか?
アロンソが自力でチャンピオンを確実にするためには2位以上でゴールしなければならない。
アロンソは、経験とテクニックの限りを尽くして予選でポールを獲りにくるだろう。
ポールが取れれば決勝2位以上でゴールするチャンスはぐっと高くなるからだ。
今週の日曜日にチャンピオンは決まる。
2010 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
ゴールまであと10周というところでチャンピオンシップの流れが大きく変わった。
シーズン前半戦では焦って勝てるレースを落としていたフェッテルがシンガポールGPあたりから速いだけでなくクレバーなレースをするようになった。
韓国GPでも序盤戦からトップを独走していた。
ところが、突然のエンジン・ブローでリタイヤとなってしまった。
厳しいコンディションの中、唯一フェッテルを追い続けていたアロンソが優勝した。
鈴鹿では3位を確保するのがやっとで韓国でも予選修了時点では決勝3位が濃厚だったのにレッドブル2台が自滅したため一気にチャンピオンシップ争いで優位に立った。
可夢偉はタイヤ交換タイミングが早すぎたにもかかわらずタイヤを巧くセーブして、日没まで続いたレースを8位でフィニシュした。
可夢偉は最後の数周は暗くてほとんど見えなかったとコメントしている。
以前フォーミュラ・ニッポンの日本人選手が語っていたが、ヨーロッパ、特に北欧の選手は日本人選手と比べて雨や夜のレースで速いのは暗い場所でも日本人よりよく見えるためらしい。
そういえば、日本人はヨーロッパのレストランの照明を暗いと感じるが、夏のよほど晴れた日でもない限りサングラスがないと眩しくて困るということはない。
F1サーカスはいよいよ地球の裏側ブラジルへ移る。
エマーソン・フィッティパルディ、ネルソン・ピケ、アイルトン・セナといった偉大なチャンピオン達だけでなく数多くのF1ドライバーを搬出してきた国だ。
今、走っているマッサとバリチェロもチャンピオンにはなったことがないが、速いドライバーだ。
2008年のF1は今年と同じように最後までチャンピオンシップがもつれた。
シーズン最終戦ブラジルGPファイナルラップの最終コーナーでハミルトンがグロックを抜くまでチャンピオンが決まらなかった。
ブラジルGPの開催されるインテルラゴス・サーキットはF1コースでは数少ない時計の反対回り(左周り)だ。
このコースでは最終コーナーを高速で立ち上がり、ストレート・エンドの1コーナーでパッシング仕掛けるシーンが良く見られる。
ただし、1コーナーの進入で無理をして抜くと2コーナーで抜き返される。
このコースは他にもパッシング・ポイントがいくつかあり観戦には絶好のコースだ。
レース中雨に見舞われることが多いコースでもある。今週末も雨の可能性が高いらしい。
ここまで来てチャンピオンの可能性を残しているのは数字上5人、事実上4人となった。
去年の事故から奇跡的に復活したマッサは、今年、残念ながらチャンピオン争いに加われなかったが、インテルラゴスが得意だしフェラーリは例年このコースでは速いから是非いいところを母国で見せて欲しい。
ハミルトンとフェッテルはまだ諦めてはいない。
ウエバーは平常心を取り戻せるだろうか?
ドライバー達はチャンピオンシップを争っていてもいなくても来シーズンに向けてここでいいところを見せておかないとシートを失う危険すらある。
フェラーリが1・2ならチャンピオンはここで決まりだ。
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