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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2012(8)2012.06.22

カナダGPでようやくハミルトンが今期初優勝を飾った。
2位と3位にはワン・ストップでタイヤをもたせながらもいいペースで走り切ったグロージャンとペレスが入った。
ワン・ストップで優勝を狙ったアロンソは終盤になってタイヤがもたずそのままゴールまで走る間に5位まで下がった。
アロンソより少し早めにタイヤがだめになったフェッテルはタイヤ交換して4位まで追い上げた。
金曜日にデフのトラブルでフリー走行ができなかった昨年のウィナー、バトンはマシンを仕上げられなかったハンディキャップが最後まで影響し、決勝16位と低迷した。

ここまでの7戦で7人のドライバーと5種類のマシンが優勝した。
マクラーレン2勝、レッドブル2勝、ウイリアムス1勝、メルセデス1勝、フェラーリ1勝だ。
今年はタイヤに振り回されてまだどのチームもどうすればうまくいくのか解っていない。
ピレリ・タイヤはパフォーマンスを発揮する領域が極めて狭く、限界を超えるとタイヤが突然機能しなくなる(ラップタイムが3~5秒ぐらい遅くなる)と言われている。
しかも、サーキットごとにハード側タイヤとソフト側タイヤの組み合わせが変わる。
これに加えて金曜日から日曜日までのサーキット路面温度、燃料の重さ(マシンの重量)など複雑な要素が幾重にも重なっている。
もちろん長年戦っているグランプリチームは膨大なデータの蓄積があるからその時々の状況にあわせてセッティングする技術を持っているのだがタイヤのスウィート・スポットがあまりにも狭いためにセッティングが難しいのだ。
専従のレーシングタイヤ・スペシャリスト(元ブリジストンの浜島氏)がいるフェラーリでさえ苦労している。
上位チームはブレーキの熱をホイールに当てる量を調節するなどの対策をして何とかタイヤのパフォーマンスを安定させようとしているぐらいだ。

そんな中でもチームの実力を感じさせるのはマクラーレンとレッドブル、ドライバーの実力を感じさせるのはアロンソとフェッテルだろう。

北米大陸で1戦したのみでF1サーカスは大西洋を渡り、再び地中海沿岸に戻る。ヨーロッパGPはスペインのバレンシアで行われる第2スペインGPで、来年からはスペインGPとしてバルセロナとの隔年開催になる。
バレンシアのコースは海沿いの一般道を利用したストリートコースだ。
オレンジの名産地であることからわかるように典型的な地中海気候で夏の気温は高い。
ヨーロッパGPで使用されるタイヤはミディアムとソフトになる。
前2戦より1段づつ固い目のコンパウンドだ。
とはいえ、路面温度は高いだろうからワン・ストップはリスキーだ。
フェッテルはバレンシアのコースを得意としている。
昨年はマシンのトラクションが非常に良かったこともあるが彼にしかできないようなライン取りでコーナーを回り、圧倒的に速かった。
バトン、ライコネン、可夢偉はいい結果を出しさないといけないのでフリー走行から決勝まででマシントラブルがないといいが。

ヨーロッパGPは1位フェッテル、2位アロンソ、3位可夢偉、4位バトン、5位ライコネン、6位ハミルトン、7位ウエバー、8位ロスベルグ、9位シューマッハ、10位マッサかな。        

2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2012(7)2012.06.08

モナコGPは優勝ウエバー、2位ロスベルグ、3位アロンソ、4位フェッテル、5位ハミルトン、6位マッサという結果だった。
1位から6位まで6.1秒と一見伯仲していたように見えるがスタート時の1コーナーで順位を上げようとしたシューマッハがグロージャンに行く手をふさがれて接触してから後は見所の少ないレースだった。
本当はポールポジションのシューマッハ(スペインGPでセナにぶつかったペナルティで5グリッド降格したためポールポジションからスタートできなかった)が予選順位どおりスタートしていれば復帰後の初優勝を飾っただろう。

モナコは抜き場がなく、フロントローにいない場合タイヤ交換のタイミングをずらし他のレースカーで混んでいないところにピットアウトして、速く走って差をつめるぐらいしか順位を上げる方法がない。
これをうまくやったのがアロンソとフェッテルだ。
それでも、終盤ウエバーとロスベルグがスローダウンしても抜くすべがないから、伯仲した戦いがあったわけでもないのに6台が数珠繋ぎでゴールするレースとなってしまった。

見所はむしろ予選にあった。
予選では今シーズン限りで引退だと噂される崖っぷちの3ドライバーが見事なパフォーマンスを見せた。
シューマッハは予選1位のタイムをたたき出してモナコではいつも好タイムを出すロスベルグの鼻頭をへし折った。
フェッテルが予選10番手と沈む中、ウエバーは2番手タイムをたたき出した。今シーズン開幕からパフォーマンスの低いフェラーリに手こずって成績が低迷しシーズン途中の降板を噂されていたマッサは、スペインGPあたりから調子を取り戻したフェラーリを駆ってQ1・Q2ではアロンソより速く、Q3でもアロンソに0.1秒遅れの7番手タイムを出した。

崖っぷちドライバーの復活とフェラーリの復調で今シーズンの行方はますます混沌としてきた。
雨が降らなくても、下位3チームの6人以外は誰でも優勝しそうな感さえある。

カナダGPは地中海のコートダジュールから大西洋を渡り、カナダ東部の大都市でフレンチ・カナディアンが多く住むモントリオールで行われる。

万博跡地にあるジルビルヌーヴ・サーキットはストリート舗装のレース専用コースで直線2本の両端をタイトコーナーでつないだようなコースだ。
メルセデスは直線が速いし、ダブルDRSによってストレート・エンドのブレーキング・スタビリティも良いからブレーキさえよければ予選ではかなり有利だろう。
ということは、決勝でもフロントローにいれば圧倒的に有利だ。
ただし、タイヤはモナコGPと同じソフトとスーパー・ソフトが持ち込まれるからレース当日の路面温度によってはタイヤに優しくないといわれているメルセデスは苦戦するかもしれない。
昨年は雨で2時間近い中断があったあと、猫の目のように変わるコンディションに強いバトンが見事優勝した。
ところが、今年のピレリ・タイヤにはバトンの繊細なドライビングが通用しないらしく2戦目以降頭を抱えている。

カナダGPは1位シューマッハ、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位バトン、5位マッサ、6位フェッテル、7位可夢偉、8位アロンソ、9位デレスタ、10位ロスベルグかな。         2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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学会ネット株式会社 代表