チャイナGPは予選で全てが決まってしまった。
上海のコースを得意とするロスベルグは、予選Q3のアタックを最後まで伸ばして、ハミルトンより少しでも有利な条件で(後で走るほど路面のトラクションが良くなる)ポールポジションを獲りに行ったが100分の4秒及ばなかった。
予選3番手のフェッテルは予選でマシンと自身のすべてを引き出したがハミルトンに0.9秒も離された。
メルセデスは予選終了時に新品のソフトタイヤを1セット温存していたから、クワラルンプールよりは涼しい上海の決勝でメルセデスを覆すのは難しい情勢だった。
レースでは、スタートでトップに立ったハミルトンを脅かすドライバーは誰もいなかった。
ロスベルグは今シーズン、ハミルトンに対抗していく上で重要な一戦をものにすることができなかった。
それどころか、ハミルトンに蓋をされている間にフェッテルに追いつかれてしまった。
タイヤ交換のタイミングを利用して前に出ようとするフェッテルに2位の座を脅かされそうになったのだ。
ライコネンは、スタート直後に4番手までポジションアップしたのはさすがチャンピオン経験者だ。
タイヤの温まりの悪いフェラーリなのに重要なポイントを心得ていてきっちり狙ったとおりのことができる。
ウイリアムズの2台は、予選でもフェッテルに負けていたからレースペースがフェラーリに遅い車に乗って決勝で順位を覆すことはできず5位と6位に甘んじた。
今回はマッサ、ボッタスの順でゴールした。
ロータスは、グロージャンの努力もあって、今回やっと7位に入った。
ロータスは、もともとシャシー開発力のあるチームなので、メルセデスPUを得てシーズン後半は上位に進出してくるだろう。
ウイリアムズもうかうかしてはいられない。
今年の新人、フェルスタッペン、ナスル、サインツはそれぞれ非凡なところを見せている。
3人ともドイツ、ブラジル、スペインといったF1ドライバー大国の出身だ。
日本はヨーロッパから遠く離れているが、ブラジルも同じくらいヨーロッパから遠い。
来年からF1のスーパー・ライセンスを取るためのポイント制で日本のスーパー・フォーミュラはF3よりもポイントが低い。
誰かがチャンピオンになってから勃興するのではなく、きちんとドライバーを育成しないとチャンピオンはおろかF1レースで1勝するものさえ現れないだろう。
次のバーレーンGPは、灼熱の中東で夕方スタートするトワイライト・レースだ。
コースには長い直線が2本あり、PUにはきついコースだ。
今回のレースを面白くする最大の要素はタイヤがソフトとミディアムだということだ。
高温多湿のマレーシアでミディアムとハードの組み合わせだったが、それよりやわらかいタイヤの組み合わせということになる。
PUだけでなくタイヤにもきついレースになるので、各チームのタイヤ戦略によっては面白い展開になる。
多くのチームはスペインGPに合わせてメジャー・アップデートを用意しているから、バーレーンではマシン面ではチャイナGPと大きく変わらない。
バーレーンではドライバーの戦いになる。フェラーリ・ドライバーの二人、フェッテルとライコネンの決勝レースでの走りに期待したい。
バーレーンGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位ハミルトン、4位ロスベルグ、5位クビアト、6位ナスル、7位ボッタス、8位マッサ、9位サインツ、10位フェルスタッペンかな。
2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
マレーシアGPでフェッテルとフェラーリが復活した。
フェラーリの低迷に業を煮やしてアロンソが出て行き、代わってフェッテルが入ってきたとたんに、シーズン2戦目で優勝してしまうとはなんと言うことだ。
フェッテルは、去年、コントロール方法の違う新しいPUにてこずっていたが今年のフェラーリは彼にあっているようだ。
予選で2番手を確保し、トップに立ってからは見事にタイヤをコントロールして走りきった。
もともと、フェラーリはタイヤの温まりが遅く、予選よりも決勝のペースが良い傾向がある。
その代わり、予選で一発のタイムを出すときや決勝でタイヤ交換直後のペースがなかなか上がらないという弱点を抱えている。
ところが、今回マレーシアではタイヤに優しいフェラーリの特性がずばりはまったのだ。
フェラーリに比べるとタイヤの磨耗が早くタイヤ交換回数が1回多くなるメルセデスは決勝でフェラーリを脅かすことができなかった。
雨が降ったわけでもなく、アクシデントがあったわけでもなく、メルセデスが故障したわけでもないのにフェラーリが勝ったのだ。
メルセデスは、2位ハミルトン、3位ロスベルグという結果に終わった。
ライコネンはフェッテルから54秒遅れの4位だったが序盤のタイヤトラブルによるタイムロスがなければフェッテルとのワンツー・フィニッシュだっただろう。
ボッタスとマッサは、ウイリアムズのマシンはタイヤの磨耗が激しいことから完走を危ぶまれるぐらいだったが、巧みにレース・ペースをコントロールして、5位と6位に食い込んだ。
さすが老舗チームだ。今年、進境著しいトロロッソは新人二人が7位と8位に入った。
去年、メルセデス以外で優勝した唯一のチーム、レッドブルの二人はなんとか9位と10位に滑り込んだ。
マクラーレン・ホンダはオーストラリアGPから比べると格段の進歩を見せたが、まだトップからは1周2秒以上遅い。
決勝では中段でがんばっていたが、アロンソもバトンもマシン・トラブルでレースを終えた。
今後、パワーユニットの制御チューニングだけでまともなバトルができる状態にまで速くすることが可能なのだろうか?
サスペンションや空力面の改良も続けているようだが・・・。
マレーシアGPのフェラーリのパフォーマンスとフェッテルの走りを見て少し今シーズンに期待が持てるようになった。
パワーユニットと空力が優れているメルセデスは手強いが弱点もあることが分かった。
ルノーPUはフェラーリほど進化していないように見受けられるが、トロロッソはトップ10の常連になりつつあるだけでなく、現時点でレッドブルよりも速い。
新旧ドライバー間の戦いも面白い。
レースウィーク以外ほとんどテスト・練習走行ができない現行のF1レギュレーションの元では、シミュレータでの練習走行だけでそのまま本番に挑める若いデジタル・ドライバーが有利だと思われた。
しかし、2年目に入って、さすがに、ワールドチャンピオンをとった事があるようなドライバーは新しいPUの扱い方をマスターしてきた。
ホイル・スピンを起こさないようにしながら速く走る繊細なタイヤ・トラクションのケアのなどはデジタル・ドライバーでは真似ができないだろう。
上海はセパンよりもすっと涼しいので、メルセデス有利に戻りそうだが、このあたりでロスベルグが奮起してくれるとチャンピオンシップが面白くなる。
チャイナGPは、1位ロスベルグ、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位マッサ、6位ボッタス、7位リチャルド、8位クビアト、9位サインツ、10位フェルスタッペンかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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