ハンガリーGPは予選と決勝スタート後の数百メートルでレースが決まると誰もが思っていた。
予選ではレッドブルの速さを見せ付けられた。
ドイツGPではフェラーリがついにレッドブルと戦えるまでに速くなったように見えたがそうではなかった。
中でもフェッテルは群を抜いていてチームメイトのウエバーもお手上げだった。
日本期待の可夢偉は遅い車にひっかかって18位と振るわなかったばかりか、ピット入り口の信号無視でペナルティを与えられ最後列からのスタートとなってしまった。
予選が終わった時点で誰もがフェッテルの圧勝を予想していたし、予選の結果を見れば当然のことだった。
ところが、そうは簡単にいかないのがF1の面白いところだ。
スタートは順当にいき、後方で可夢偉が7台抜きをやって16位まで進出していたのを除けば大きな動きはなかった。
ところがセフティカーがはいったことがきっかけで、セフティカーとの車間を空けすぎたフェッテルがペナルティを食らい大きく後退、このレースは2位でいいと思っていたであろうウエバーが優勝してしまった。
アロンソは予選でレッドブルに歯の立たなかったフェラーリをちゃっかり2位に滑り込ませた。
可夢偉はセフティカー明けにシューマッハを抜いたのが効いて9位に入ってレース強さをまたしても証明してしまった。
夏休みが終わって、F1サーカスはベルギーのスパ・フランコルシャンに集まってくる。
僕にとってベルギーといえば高級なチョコレート、ダイヤモンド、新聞のインクで手が汚れないように新聞にアイロンをかけてくれるホテルといった高級なイメージのものが目に浮かぶ。
ただし、自動車に関して言えば自国に大きな自動車会社もないしF1ドライバーも常にいるわけではない。
それでも、1950年以来あまり途切れることなくF1GPが開催されている。
尊敬すべきレーシング・ドライバー/自動車評論家である故ポール・フレール氏はベルギー人であった。
ポール・フレール氏の著書「ハイスピード・ドライビング」は今でも僕のドライビング技術の中核をなしている。
正統なスポーツ・ドライビングを身につけたい方にはお勧めの一冊だ。
スパ・フランコルシャンの名物はオー・ルージュと呼ばれるそのまま天にも登って行きそうな登りの高速コーナーと、スパ・ウェザーといわれるレース中猫の目のように変わる天気だ。
スパはドイツ国境も近いのでドイツ人観客も多数押しかける。
スパは高速コースなので高速コースに強いフェラーリが伝統的に良い成績を収めてきたが、2009年ここでのフォース・インディアの速さは驚きだった。
今年のレッドブルはオール・ラウンドで圧倒的な速さを見せているからここでも優位に立つのは間違いない。
ただし、スパでは、タイヤ交換のタイミングとコース・コンディションの変化にうまく対応できるドライバーが結果を出すことができる。
コンディションの変化を味方にできるバトンや新しいFダクトが付く予定のルノーに乗るクビサにはいいところを見せてもらいたい。
スパ・ウェザーで決勝レースが荒れると思わぬドライバー・チームが優勝するかもしれない。
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