2018年シーズン第1戦、オーストラリアGPが目前に迫った。
今シーズンは昨年より1戦増えて全21戦でチャンピオンシップを争うことになる。
今年から、使用できるICE(ガソリン・エンジン)の数は年間3基となる。
グリッド降格ペナルティを受ければ4基以上のICEを使用することは可能になるが、最後尾スタートだと多くのポイントを得られないから、できれば3基で済ませたいところだ。
また、今年は、ドライバーの頭部を保護するためにハローが導入された。
外観的には屋根付きマシンに少し近づいた感じだ。
いっそ、クローズドにした方が空力的にもすっきりするだろうが、オープン・ホィールとオープ・ンシングル・シーターを通してきたF1の伝統とアイデンティティからすると、こういうスタイルに落ち着かざるを得ないようだ。
安全面から見ると、クラッシュした時にクローズドボディよりもドライバーを容易に救出できるという利点がある。
昨年、F1らしくないと批判のあったシャーク・フィンは大幅に制限され、昨年のようなインダクションポッドからリアウイング直前まで続く仕切り板のような形状は許されなくなった。
シャーク・フィンとセットで使われていたTウイングも禁止された。昨年、レッドブルが考えだした、ステアリングの切り角に応じて車高が変わるトリックは今年から禁止された。
レッドブルは、毎年、空力面で有利になるユニークなアイデアを繰り出してくるが、すぐに禁止されてしまう。それならば、エンジンオイルを燃料として燃やしたりするのも即刻禁止するか、オイルの量を制限すべきだと思う。
タイヤ面では、ウルトラ・ソフトよりもさらに柔らかいコンパウンドのタイヤが、今年から一種類追加される。
これによって、タイヤ交換の回数が増え、レース作戦のバリエーションが増える。
柔らかいタイヤによってラップタイムは簡単に1秒縮まるが、PU の出力で1秒短縮するは至難の業だ。
ただし、PU はチームごとに異なるが、タイヤは全チーム同じタイヤを使う。やはり強力なPU を積んでいるマシンは有利だ。
シーズン前テストでは、フェラーリがベストタイムを叩きだしたが、レッドブルも肉薄するタイムを出していた。
メルセデスはPUが強くて安定しているので、シャシーのセッティングに多くの時間を費やしていたように見受けられる。
今年も、3強は変わらない。3強以外の7チームの実力はかなり拮抗していて、どのチームが抜け出してくるかテスト結果だけでは、予想がつかない。
ハースは今年のマシンにリソースを割いていたこともあってシーズン前テストでは速さを見せていたが、本番レースとなると未知数だ。
ホンダPUは、信頼性を確保することに成功したようだが、予選と決勝レースでのパフォーマンスは実戦を見てみないと何とも言えない。
どちらにしても、今シーズンは、メルセデス一強時代が終わりを告げ、毎レースごとに表彰台に上がるドライバーの顔ぶれが変わる面白いシーズンになることは確かだ。
今年のルーキー・ドライバーはウイリアムズのセルゲイ・シロトキンとザウバーのシャルル・クレールの二人だ。
もっとも、トロロッソのガスリーとハートレーは昨シーズン終盤の数レースを走っただけだから、ほとんど新人のようなものだ。
オーストラリアGPの注目ドライバーはホーム・レースとなるリチャルドと、隣国、ニュージーランド出身のハートレーだ。
リチャルドは、フェルスタッペンよりも速いところを、ホーム・クラウドの前で示してほしい。
ハートレーはWECドライバーではなくF1ドライバーであることを見せないといけない。
オーストラリアGPは1位リチャルド、2位フェルスタッペン、3位ハミルトン、4位フェッテル、5位ライコネン、6位ボッタス、7位グロージャン、8位サインツ、9位アロンソ、10位ハートレーかな。
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