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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2011(5)2011.06.24

カナダGPは予選がドライ、決勝がウエット-セミ・ウエット-ドライのコンディションで戦われた。
目まぐるしく変わるコンディションを最も得意とするバトンが6回のピットストップと1回のドライブスルー・ペナルティの末にファイナルラップでフェッテルを追い詰め、抜き去って見事な優勝を決めた。
可夢偉は雨の中で13位から7位まで上がりタイヤ交換をしなかったため前半赤旗中断時にはなんと2位につけていた。
赤旗再スタートとはいえ日本人ドライバーがフロントローに並ぶのを見るのは2004年ヨーロッパGP以来の光景だ。
その後、路面が乾くにつれドライではトップと5秒近く遅いマシンでよく頑張ったが7位フィニッシュとなった。最終ラップシケインの立ち上がりからフィニッシュラインまでの間でマッサにDRSを使って抜かれた時可夢偉はとても冷静なドライビングをしていた。
あれがシューマッハだったらもっと寄せて抜かせまいとしただろう。
可夢偉はクラッシュを避けて7位を取り、クラッシュした場合にペナルティを受ける可能性を回避したのだ。

モナコあたりから顕著になった傾向だが、シーズンが始まったころは2番手以下のチームに対して大きな性能差を持っていたレッドブルが決勝を見る限りマクラーレンと比べて明らかに違うというほどの差を持っていないことだ。
レッドブルのマシンは他のチームのマシンより空力性能が優れているが、KARSの冷却問題を抱えておりKARSをレース通じて有効に使うことができない。
このため、レッドブルは予選でフロントローを独占し、決勝ではライバルを早々と引き離してそのまま逃げ切るという作戦をとることが多い。
ところがレッドブルが予選で速い理由のひとつとなっていた排気ガスをリアタイヤに吹き付けるシステムはドライバーがアクセルを踏んでいないときでも一定の排気ガスが出るようになっているがイギリスGPから禁止される予定になっている。
これで予選でのアドバンテージが狭まり、予選・決勝とも伯仲したレースが望めると言われている。

ヨーロッパGPは、バレンシアのストリートコースで争われる。
今回、ピレリはモナコのときのようなスーパー・ソフトとソフトという組み合わせでなくソフトとミディアムというタイヤの組み合わせを提供するらしい。
ピレリタイヤはモナコとカナダを見る限り路面のミューが低いストリート舗装のコースでは結構もつようだ。
タイヤに優しくないドライバーでもそれほど不利ではないかもしれない。
となれば、来年のシートが危うくなってきているウエバーやマッサも巻き返すことができるかもしれないし、ハミルトンはここでクラッシュすることがあればマクラーレンも体制を考え直す可能性が出てくる。
アロンソはストリートコースが得意だし事実上の第2スペインGPなので光るものを見せるだろう。

ヨーロッパGPは、1位フェッテル、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位ウエバー、5位バトン、6位ロスベルク、7位可夢偉、8位マッサ、9位シューマッハ、10位ハイドフェルドかな。

2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(4)2011.06.10

モナコGP予選ではフェッテルがポールポジションを獲り、バトンが2番手に、ウエバーが3番手につけた。アロンソは2列目4番手につけ優勝を狙える位置を確保した。
ザウバーのペレスは活きのいい走りでQ3に進出したが、Q3終盤トンネル内をオバースピードぎみで通過し若干アウト側にはらんでトンネルを出たとところで、おそらくは左後車輪がバンプで跳ねてグリップを失ったマシンは、突如右を向いてクラッシュした。
そのまま滑ってシケインの分離帯に側面から激突した。
モナコを得意とするロスベルグも練習走行中に同じ場所で同じようなクラッシュをした。
ロスベルクの場合は分離帯にぶつからなくて済んだが・・・。

モナコの決勝は、ミシュランが用意したソフトタイヤとスーパーソフトタイヤが意外と長持ちしたのでタイヤ交換の作戦がチームによって分かれ、モナコにしては面白いレース展開であった。
69週目までは。69週目に発生した中盤グループの多重クラッシュまでは。
この後レースは面白くなくなってしまった。
多重クラッシュとタイヤ交換・再スタートが無ければ、ワンストップで走り続けていたフェッテルのタイヤは限界に来ていたし、追うアロンソ、バトンが首位に入れ替わる可能性も充分あった。
結果は赤旗によって救われたフェッテルの優勝となった。

可夢偉は得意のワンストップ作戦で4位まで浮上していたが再スタートでスーパーソフトに履き替えたウエバーに抜かれ5位でフィニッシュした。
ウエバーがトンネルの出口で可夢偉を抜いたシーンが興味深い。
ウエバーは可夢偉を抜く為にトンネルの出口でバンプのある外側のラインを取った。
そう、ペレスとロスベルクがクラッシュしたあのラインだ。
しかしウエバーには同じことは起こらず、そのまま可夢偉に並びかけシケインの入り口に一瞬早く滑り込むことができた。
レッドブルのマシンはエアロ・ダイナミックスが優れているだけでなくメカニカル・グリップも良いといわれているがまさにそのとおりだ。
ちなみにザウバーもメルセデスもサスペンションは硬めで跳ねやすいマシンだといわれている。

今週は大西洋を渡ってカナダGPだ。
カナダGPのコースは常設といいながら1年に1回F1の時にだけ使われるサーキットで舗装が一般公道の舗装に近い。
コースレイアウトは長い直線とタイトコーナーをつないだようなコースなのでとてもブレーキとタイヤに厳しい。
寒い国カナダの割にはグランプリ・デーは暑くなることが多くタイヤ選択が重要になる。
決勝が晴れならば、レッドブルと戦えるマシンになってきたマクラーレンに乗りこのコースを得意とするハミルトンが優勝候補だ。
アロンソはこのコースがあまり得意ではない。
しかし、雨となると話は違ってくる。
コースコンディションが悪いとフェッテル、バトン、スーティルあたりが上がってくる。
可夢偉は今年は1周目でリタイヤせず連続入賞記録を伸ばしてもらいたい。

カナダGPは予報どおりの雨なら、1位フェッテル、2位バトン、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ロスベルク、6位ウエバー、7位可夢偉、8位スーティル、9位ディレスタ、10位シューマッハかな。

2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表