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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2013(20)2013.11.29

フェッテルは2013年最終戦を新記録の9連勝で締めくくった。
1シーズン13勝も史上最多でシューマッハと並ぶ。
ウエバーはF1キャリアの最終レースを力強い走りで2位フィニッシュとし、有終の美を飾った。
3位には久々に表彰台に戻ってきたアロンソが入った。
アロンソは今回予選も久々の3番手だったが、予選終盤にコンディションが変わっていくところを巧く捕らえて出した結果だから、決勝では苦戦が予想された。
しかし、アロンソはスタートで一時2番手に進出した後、ウエバーに抜き返されながらも、変化し続けるコンディションの中しぶとく3位を守りきった。
4位には14番グリッドから追い上げたバトンが入った。
バトンは雨が降ったり止んだりするコンディションでのドライビングが本当に巧い。
同じマクラーレンに乗るペレスもザウバー時代から天気の悪いときには結果を出してきたが、ここでも6位に入りチームへの良い置き土産とした。

ロスベルグはリヤタイヤに苦しめられながらも5位に入り、ハミルトンは接触のペナルティから後退して9位に終わった。
今回がフェラーリ最後のレースとなるマッサはスタートからすばらしい速さを見せていたが、ピットレーン入口付近のアウト・オブ・コースと判定されてドライブスルー・ペナルティを受けたために7位に終わった。
ペナルティがなければ4位に入れただろう。
8位には、オールラウンドに速さを証明しつつあるヒュルケンベルグが入った。
最後のポイント・フィニッシュアは来年フェッテルのチームメートになるリチャルドだった。

2013年シーズン最終戦ブラジルGPは筆者の希望通り小雨が降ってくれたのでレースは面白くなり最終戦にふさわしいものとなった。
今年は(特に後半戦は)フェッテルの独壇場であった。
しかし、フェッテルはレッドブルに乗っていたから圧倒的に強かったわけでない。
フェッテル自身がドライバーとしてずば抜けて優れているからに他ならない。
フェッテルはレッドブルのマシンの特性を利用して速く走れる方法を見つけ出しているのだ。
それは、ハンドルを切るタイミングや舵角、スロットルを開けるタイミングやそれらの組み合わせの違いだろう。
それが時にはセクターで1秒近い差となって現れる。
他のチームへ行けばナンバーワンが勤まるウエバーが同じマシンで今シーズンはフェッテルに勝ったことがなく、2位に入ったのも5回にすぎないことでも証明されている。
いまやフェッテルはアロンソと比べてもレースの強さでほぼ互角、一発の速さでは上回る。
ハミルトンがシーズン中盤の予選で見せた速さはすばらしい。
しかし、ハミルトンは決勝での強さが足りないこと、コンディション変化に弱いことが課題として残る。
メルセデスのマシンがリヤタイヤに厳しいことが障害となっていたのは確かだが・・・。

2014年シーズからはシャシーもエンジンもレギュレーションが大きく変わる。
技術競争とドライバーの戦いを両立させないといけないF1の難しくも面白いところだ。
マシン面ではエンジン、シャシー、空力それぞれの分野で新しいアイデアが出てくるだろう。
ドライバーは短い冬季テストの間に与えられたマシンを速く走らせるためのヒントを見つけ出さないといけない。
上位5チームの中での順位もめまぐるしく変わるだろう。
マシントラブルで涙を呑むドライバーも多くなるだろう。
現在、F1の3強ドライバーといえば、フェッテル、アロンソ、ハミルトンだが、幸い3人が違うチームに属している。2014年、新しいプラットフォームの上でこの3人がどのようなバトルを見せてくれるか楽しみだ。
ライコネンとバトンもお忘れなく。

2014年、F1初戦オーストラリアGPは3月16日決勝だ。

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(19)2013.11.22

フェッテルはアメリカGPで8連勝を達成しで、連勝の新記録を打ち立てた。
2位には成長著しいグロージャンが入った。
不利な2番手グリッドからスタートしたウエバーはスタートで失ったポジションを奪い返すことができず3位に終わった。
ハミルトンは新品モノコックながら、タイヤをいたわる走行を強いられ4位。
アロンソは走らないフェラーリを5位に持ち込み、自身の2013年チャンピオンシップ2位を確定した。
アロンソは今年も2位だった。
アロンソでなかったら今年のフェラーリでは5位か6位がいいところだろう。
6位と7位には予選から速かったヒュルケンベルグとペレスが続いた。
ボッタスは予選からウイリアムズとは思えない速さを示し、決勝でも8位に入って貴重な4ポイントをチームにもたらした。
タイヤに苦しめられたロスベルグは9位、スタート後の接触から挽回したバトンはラスト2周のところでリチャルドを抜き、最後の1ポイントをゲットした。

8連勝したフェッテルと3位になったウエバーの差は予選の0.108秒の差だった。
F1の世界では0.1秒の差はとてつもなく大きな差である。
今回ウエバーはアブダビの時と同じようにポールポジションをとれたはずだった。
フェッテルが予選の第3セクターをとてつもなく速く走り抜けなければ・・・。
フェッテルはQ3の最終アタックラップ、第2セクターを終わったところではウエバーに遅れを取っていた、しかし第3セクターを驚異的なタイムで走りぬけポールをもぎ取った。

決勝では偶数列は奇数列より埃が多くスタートが遅れる。
予選3番手は埃の少ない奇数列でスタートの良いロータスに乗るグロージャンだ。
フェッテルがポールをもっていってしまったおかげでウエバーは2位になる確率も低くなってしまった。
案の定、ウエバーはスタートでグロージャンに前に行かれ最後まで抜き返すことができなかった。
フェッテルは最後にファーステスト・ラップを決めるために終盤ペースを落としてタイヤを温存し、余裕の走りで勝ってしまった。
ゴール後、今回もエスケープゾーンでドーナッツ・ターンをやった。
チャンピオンは負荷のかからないドーナッツターンの方法まで見つけてしまったのだろうか?
終盤にちょっとマシンに違和感のあるようなピットとのラジオ・トークがあったがどうもなかったようだ。

いよいよ最終戦、ブラジルGPだ。
小雨が降ってくれるとレースが面白くなる。
ここで注目のドライバーはF1ラスト・レースのウエバー、ホーム・レースのマッサ、ブラジルではいつもいい結果を出すヒュルケンベルグ、2008年最終戦の最終コーナーでチャンピオンを決めたハミルトンだろう。
特にマッサはチャンピオンシップ2位を既に決めたアロンソの犠牲になることなく、ホーム・コースでフェラーリ最後に最高の結果を出すべく奮闘するだろう。
フェラーリにしても二人が上位に入ってくれればコンストラクターズの順位も有利になる。マッサとウエバーはゴールしたらドーナッツ・ターンをしてもいいだろう。ペナルティの心配はないだろうから。

ブラジルGPは、1位ウエバー、2位グロージャン、3位マッサ、4位ハミルトン、5位アロンソ、6位ヒュルケンブルグ、7位バトン、8位ロスベルグ、9位リチャルド、10位ペレスかな。  

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Formula One 2013(18)2013.11.15

フェッテルは当たり前のようにアブダビGPでも優勝し、連勝記録を7とした。
予選でポールポジションこそチームメイトのウエバーに譲ったが、決勝の第1コーナーでトップに立ってからは同じマシンに乗り2位に入ったウエバーを30秒も引き離し圧勝した。
ゴールした後、ウイニングランの途中に舗装されているエスケープゾーンでドーナッツ・ターンをやった。
インドでチャンピオンを決めたときと違って、その後パルク・フォルメにきちっとマシンを止めたのでペナルティはなかった。
エンジンやハブ、トランスミッションには余計な負荷がかかっているのは間違いない。
それでも、2013年シーズンのドライバーズとコンストラクターズ両チャンピオンシップを決めているフェッテル・レッドブルは、これが原因で次のアメリカGPをリタイヤすることになっても大きな痛手はないのだ。

4位にはタイヤ戦略がうまくいかなかったグロージャンが入り5位にはアロンソが入った。
アロンソは予選11番手から追い上げただけでなく、ピットアウト時に強引にコース合流したりしながら今のフェラーリからベスト以上のものを引き出した。アロンソはレース終盤にソフトタイヤに履き替え、フェッテルからこのレースのベストラップを奪い取った。

予想されたように、ドライバーズチャンピオンシップはアブダビGPからもう消化試合になってしまっている。
ドライバーの場合チャンピオンでなければ2位でも5位でも大きな違いはない。
しかし、コンストラクターズには残ったレースを戦うインセンティブが残っている。
コンストラクターズ・チャンピオンシップ順位によって来シーズンの分配金が大きく変わってくるからだ。
順位による分配金の額が1位違うごとに10億円以上も違うシステムで、富めるものはより富み、勝ったものはより有利になる。
いかにもヨーロッパ的なシステムだ。米国や日本だとこうはならないだろう。
とはいえ、そんな中でレッドブルは這い上がりいまや頂点に君臨しているし。
かつて、無敵であったウイリアムズ・ルノーが今や下位グループであえいでいる。
意思と実行力があればひっくり返すことができるわけだから、一見平等に見せてがんじがらめのシステムよりは良いかもしれない。

ドライバーのほうは2014年シーズンの移籍が表面化している。
ルノーのライコネンは背中の治療のため残りの2戦を欠場する。
残り2戦、ライコネンのシートに座るのは同郷のコバライネンだが2014年のシートが保障されているわけではない。
マクラーレンは2014年、ペレスに換えてマグネッセンを起用することを決めた。

今週はアメリカGPだ。2012年のアメリカGPは新品サーキットでのレースということもあったのか、フリー走行時はあまりにも路面のグリップがなく、決勝になってやっとまともなグリップが得られるようになった。
今年は2012年のようなことはないと思うがミディアムとハードなのでタイヤに厳しいメルセデスにとっては良いかもしれない。
最近調子のいいグロージャンとヒュルケンベルグの走りが楽しみだ。
雨が降ればマシンパフォーマンスに差があっても不確定要素が増えるのでレースが面白くなるのだが・・・。

アメリカGPは、1位ウエバー、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位マッサ、5位バトン、6位グロージャン、7位ヒュルケンブルグ、8位ロスベルグ、9位ペレス、10位ディレスタかな。

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Formula One 2013(17)2013.11.01

フェッテルはインドGPに優勝して2013年チャンピオンに輝いた。
4年連続のチャンピオンシップ獲得だ。
インドGPでは久しぶりにピレリ・タイヤが不確定要素として戻ってきた。
ミディアムタイヤは30周以上走れる耐久性がある反面、ソフトタイヤは10周ももたない代物だった。
このため、予選段階から奇妙なことになってしまった。

普通ならば上位チームはQ1をミディアムタイヤで通過し、Q2以降でソフトタイヤを使って決勝のグリッドポジションを争う。
どうせ決勝でソフトタイヤを使うのは1回だけで10周以内しか走らないのならQ1からソフトタイヤを使って新品のミディアムタイヤを決勝用に温存するという作戦を取る上位チーム/ドライバーが出てきた。
アロンソとマクラーレンの二人はこの作戦を採った。
レッドブルはドライバーごとに作戦が分かれた。
よりタイヤを消耗するドライビングスタイルのウエバーはミディアムで決勝をスタートする作戦を選び、予選4番手となった。
フェッテルはQ3をソフトタイヤでアタックしてポールポジションを獲った。
2台ともソフトでQ3を走ったメルセデス勢は、ロスベルグが2番手、ハミルトンが3番手につけた。
ポールのフェッテルと予選2番手のロスベルグの間には0.75秒ものタイム差がある。

決勝のスタートでは少し出遅れたものの、フェッテルは1コーナーで巧みにメルセデス2台を押さえてトップで1周目を終えた。
そのまま7~8周ぐらいは走ると思われたフェッテルが2周目を終わったところでピットインして早々とハードタイヤに履き替えた。
この作戦は後から見ると見事な作戦だった。
早い目にピットインすることによって、一旦最後尾近くまで落ちるが、先行しているマシンとの間隔が充分にあるため、前のマシンに引っかかることなくコンスタントに速いラップタイムを刻むことができるからレース全体で有利になる。
競っているドライバーとピットインのタイミングが違うのも有利だ。
ただし、これはミディアムでも他のマシンのソフト並のタイムで走れるフェッテル・レッドブルだから採りうる作戦だ。

別の作戦を採ったウエバーはオルタネタのトラブルでリタイヤしたが、リタイヤする前にすでにフェッテルに10秒近い差をつけられていた。
結局フェッテル・レッドブルには誰も歯が立たず、2位のロスベルグが30秒、3位グロージャンが40秒近い差をつけられてしまった。
アロンソは1周目の接触がたたって11位に終わってしまった。
今シーズン後半を象徴するようなレースだった。

これで、フェッテルは偉大なチャンピオンたちに並んだ。
確かに2010年と2013年を比べると速さだけでなく強さも実につけてグレート・チャンピオンとして評価されるに値するドライバーになった。
しかし本当は4回チャンピオンになった(と筆者は思っている)アイルトン・セナと比べればもう1ステップあるように思う。
セナは今で言えばアロンソが同じレッドブルのマシンに乗ってチームメイトでいるような状況の下でチャンピオンを獲ったのだ。

アブダビGPは、1位フェッテル、2位ウエバー、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ライコネン、6位バトン、7位ロスベルグ、8位マッサ、9位グロージャン、10位ヴェルニュかな。 

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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