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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2013(17)2013 / 11 / 01

フェッテルはインドGPに優勝して2013年チャンピオンに輝いた。
4年連続のチャンピオンシップ獲得だ。
インドGPでは久しぶりにピレリ・タイヤが不確定要素として戻ってきた。
ミディアムタイヤは30周以上走れる耐久性がある反面、ソフトタイヤは10周ももたない代物だった。
このため、予選段階から奇妙なことになってしまった。

普通ならば上位チームはQ1をミディアムタイヤで通過し、Q2以降でソフトタイヤを使って決勝のグリッドポジションを争う。
どうせ決勝でソフトタイヤを使うのは1回だけで10周以内しか走らないのならQ1からソフトタイヤを使って新品のミディアムタイヤを決勝用に温存するという作戦を取る上位チーム/ドライバーが出てきた。
アロンソとマクラーレンの二人はこの作戦を採った。
レッドブルはドライバーごとに作戦が分かれた。
よりタイヤを消耗するドライビングスタイルのウエバーはミディアムで決勝をスタートする作戦を選び、予選4番手となった。
フェッテルはQ3をソフトタイヤでアタックしてポールポジションを獲った。
2台ともソフトでQ3を走ったメルセデス勢は、ロスベルグが2番手、ハミルトンが3番手につけた。
ポールのフェッテルと予選2番手のロスベルグの間には0.75秒ものタイム差がある。

決勝のスタートでは少し出遅れたものの、フェッテルは1コーナーで巧みにメルセデス2台を押さえてトップで1周目を終えた。
そのまま7~8周ぐらいは走ると思われたフェッテルが2周目を終わったところでピットインして早々とハードタイヤに履き替えた。
この作戦は後から見ると見事な作戦だった。
早い目にピットインすることによって、一旦最後尾近くまで落ちるが、先行しているマシンとの間隔が充分にあるため、前のマシンに引っかかることなくコンスタントに速いラップタイムを刻むことができるからレース全体で有利になる。
競っているドライバーとピットインのタイミングが違うのも有利だ。
ただし、これはミディアムでも他のマシンのソフト並のタイムで走れるフェッテル・レッドブルだから採りうる作戦だ。

別の作戦を採ったウエバーはオルタネタのトラブルでリタイヤしたが、リタイヤする前にすでにフェッテルに10秒近い差をつけられていた。
結局フェッテル・レッドブルには誰も歯が立たず、2位のロスベルグが30秒、3位グロージャンが40秒近い差をつけられてしまった。
アロンソは1周目の接触がたたって11位に終わってしまった。
今シーズン後半を象徴するようなレースだった。

これで、フェッテルは偉大なチャンピオンたちに並んだ。
確かに2010年と2013年を比べると速さだけでなく強さも実につけてグレート・チャンピオンとして評価されるに値するドライバーになった。
しかし本当は4回チャンピオンになった(と筆者は思っている)アイルトン・セナと比べればもう1ステップあるように思う。
セナは今で言えばアロンソが同じレッドブルのマシンに乗ってチームメイトでいるような状況の下でチャンピオンを獲ったのだ。

アブダビGPは、1位フェッテル、2位ウエバー、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ライコネン、6位バトン、7位ロスベルグ、8位マッサ、9位グロージャン、10位ヴェルニュかな。 

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

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