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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(8)2014.06.20

開幕以来続いていたメルセデスの連勝がついにカナダGPで止まった。
優勝したのはレッドブルのリチャルドだ。
レースを通じてメルセデスから離されないようについていき、メルセデスのペースが落ちたところを一発で仕留めた。
見事なF1初優勝だった。
第2戦以来、強さと信頼性を見せつけてきたメルセデスのPUにトラブルが発生した。
ロスベルグは終盤苦戦を強いられたがマシンをゴールまでもたせて2位を確保した。
トラブルが出るまで快走していたハミルトンはマシンの症状がロスベルグのマシンより重かったためにリタイヤした。
最終ラップに起こったペレスとマッサのアクシデントのおかげでフェッテルが3位に入った。
フェッテルはリチャルドから5秒ほど遅れたが、久々の表彰台となった。
メルセデスPUの不調がなければかなわなかった結果だが、レッドブル・ルノーがメルセデスとの差を少しずつ詰め始めたことは確かだ。

予選を振り返ると、ポールポジションのロスベルグと3番手フェッテルのタイム差は約0,7秒だった。
予選のタイム差が0.5秒をきるようになるとレース・セッティングやレース中の作戦によって逆転可能な領域に入ってくる。
ジル・ビルヌーブ・サーキットはストレートエンドにタイト・ヘアピンやシケインがあるので、ブレーキとタイヤの疲弊がレースのかく乱要因になってきた。
毎年、レース終盤になるとヘヤピンを回りきれないマシンが続出する。
今年からのF1・PUは回生ブレーキを含んだ複雑なエネルギー・マネジメント・システムだ。
メルセデスのPUは回生ブレーキによって回収したエネルギーの制御に何らかの問題があった可能性がある。
同じようなレイアウトを持つコースがそれほど多いわけではないのでメルセデスPUの優位性が簡単に崩れることはないだろう。
それでも、カナダGPでルノーPUやフェラーリPUには同様のトラブルはなかったようだから、メルセデス独走がそう長くは続かないかもしれない。

次のオーストリアGPは、11年ぶりに開催される。
オーストリア人F1ドライバーといえば、3回のワールドチャンピオンに輝いた偉大なチャンピオンニキ・ラウダが有名だ。
ラウダは、現在もメルセデスAMGの会長職にあり多くのF1GPに顔を見せている。
最近、同時代のライバル、ジェイムス・ハントとの関係を描いた映画「ラッシュ」が公開された。
日本人になじみが深いドライバーは、キャリアの最後にマクラーレン・ホンダに乗りセナとともに戦ったゲルハルト・ベルガーだ。
発足当初のトロロッソの共同オーナーでもあった。
オールド・ファンにとって忘れられないのは、1971年にチャンピオンを取ったヨッヘン・リントだ。自動車メーカーのない国だが、優れたレーシング・ドライバー達を搬出している。

オーストリアGPが開催されるコースはかつてA1リンクと呼ばれたコースで、久方ぶりのF1開催に合わせて一部が改修された。
一周4.3Kmの短いコースだ。
11年前のオーストリアGPを走ったのは、アロンソ、ライコネン、バトンの3人だ。
ここは、レッドブル社の母国だけにレッドブル・チームは万全の体制で挑んでくるだろう。フェラーリ、マクラーレン、ウイリアムスなどの老舗チームはデータと経験が豊富なので久々に開催されるコースでは有利になることが多いが、11年もたっているのでどうだろうか。
タイト・コースが得意なドライバーにとってはチャンスかもしれない。

オーストリアGPは1位フェッテル、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位バトン、5位リチャルド、6位ライコネン、7位マッサ、8位クビアト、9位グロージャン、10位マグネッセンかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(7)2014.06.06

モナコGPは、メルセデスの5戦連続ワンツー・フィニッシュで幕を閉じた。
優勝はロスベルグ、ハミルトンは今回2位に甘んじた。
3位にはリチャルド、4位にはアロンソが入った。
以下は、全て周回遅れで5位ヒュルケンベルグ、6位バトン、7位マッサ、8位グロージャン、9位ビアンキ、10位マグネッセンがポイントを獲得した。

モナコは、決勝レース中にコース上でパッシングをするチャンスがほとんどないので、決勝のスタートでミスをしなければグリッド順でゴールするとまでいわれている。
このため決勝より予選のほうが緊迫する。
ここではPUのウエイトが低くなるので今シーズン初めて予選でメルセデスを打ち負かすチャンスかと思われた。
しかし、メルセデスとレッドブルの予選タイム差は0.4秒近くあった。フェラーリはレッドブルから更に0.3秒離された。
予選Q3の終盤、モナコを得意とするロスベルグが、1分15秒台のトップタイムを叩き出したあとコースオフしたためにコーナーに黄旗が出てしまった。
後に続いて、ロスベルグを上回るタイムを出そうとしていたハミルトンはそのコーナーでアクセルを緩めざるを得ずポールを獲得することができなかった。
このあたりから、ロスベルグとハミルトンの間の空気は更に冷たくなった。
レッドブルではまたしてもリチャルドがフェッテルを上回り、フェラーリでもアロンソがライコネンを上回った。
トロロッソのヴェルニュとクビアトは予選では速く7番手と9番手だったが、決勝では二人とも排気系のトラブルでリタイアしてしまった。
マクラーレンは久々に2台ともポイント圏内のフィニシュだったが、本当に復調してきているかどうかはこれからの数レースの状態を見ないとなんともいえない。

次は大西洋を渡ってカナダGPだ。
モントリオール市街地が面する川に作られた細長い人工の中州、ノートルダム島に作られたコースで行われる。
カナダとフェラーリの英雄であるジル・ビルヌーブの名前を冠している。ジル・ビルヌーブがフェラーリの競争力が足りない時でも車をねじ伏せて走る姿は、あのエンゾ・フェラーリを感動させたといわれている。
息子のジャック・ビルヌーブは父親とは正反対の常に冷静なドライバーだが、父であるジルのほうが多くの人の胸に焼き付いている。
ジャックが11歳の時にジルはレース中の事故で死んだのだから、ジャックがクールな性格を身に着けたとしても無理はない。
そして、ジャックはジルが逃したチャンピオンにもなった。

カナダGPが開催されるジル・ビルヌーブ・サーキットは半径の大きいコーナーがなく直線とシケインと奥にあるタイト・ヘヤピンを直線で繋いだようなコースだ。
これまでは、ブレーキとタイヤに厳しいコースだといわれていた。
今年からは、メカニカルブレーキだけでなくPUの一部になっている回生ブレーキの性能も大きく影響してくるはずだ。
そういう意味ではPU出力の高いメルセデス陣営に有利であることに変わりはなさそうだ。
近年、チームではマクラーレンが、ドライバーではハミルトンがこのコースで良い結果を残している。
レースを通じてブレーキを巧く使えてもたせられるドライバーが最後に笑う。

カナダGPは1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位フェッテル、4位バトン、5位ライコネン、6位アロンソ、7位ペレス、8位ボッタス、9位ヒュルケンベルグ、10位グロージャンかな。

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