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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2016(1)2016.03.18

短い冬が終わり、もう2016年シーズンが始まる。
今年はF1始まって以来の1シーズン全21戦でチャンピオンシップが争われる。
昨年から今年にかけてはマシンのレギュレーション変化は比較的少なめだが、PU のシーズン中開発が若干緩和されることになった。

ホンダやルノーがもう少しメルセデスに近い性能のPUを開発する余地を与えてレースを拮抗させたいのだろう。
フェラーリは昨年からPUの改良が進んだが今年も更に進化させてメルセデスに近づいている。
もっとも、メルセデスも止まっているわけではなく、PUの信頼性向上や空力面にも力を入れているから追いつくのは簡単ではない。

シーズン前のテストは今年から8日間に短縮された。
その中から現時点での各チームの状況を垣間見ることができる。
メルセデスは万全の準備を整えてテストにやってきた。
僅か8日間で2人のドライバーが走破した距離は1シーズン分に相当するものだった。
しかも、スーパーソフトは使わずテスト走行に徹していた。
いつでも本番レースに入れる状態だ。
フェラーリは対照的に、ライコネンがスーパーソフトを履いて最速タイムを出したりしていた。
シーズン前テストでいいタイムを出すのはフェラーリの伝統(?)なのでみんなそれほど驚いてはいない。
フェラーリは予選よりレースで強いことが多いから、予選でもう少し速さがほしいのかもしれない。
現時点でのフェラーリの実力はメルセデスにあと半歩といったところだろうが、今年はレース戦略(特にタイヤ戦略)、気象条件などの要素が絡めば、ドライバー力で去年よりもメルセデスをひっくり返せるチャンスは多くなるだろう。
メルセデスとフェラーリの2強を除けば、テストを見る限り、ウイリアムズとトロロッソが好調なようだ。
特に、トロロッソはPUをルノーからフェラーリに変更したことによって躍進しそうだ。
トロロッソは二人とも昨年ルーキーで活躍したドライバーだから期待が持てる。

レッドブルは、相変わらずベストシャシーを仕上げてきたが、ルノーPUがフェラーリPUと同じくらいの性能を出せないとトップを狙える位置にはつけない。
フォースインディアとザウバーは慢性的な財政難で開発費が充分でない中でがんばってはいるが、中団の上の方に位置するのは難しいかもしれない。
マナーは、今年からメルセデスPUを積むので去年よりは速くなるだろうが、低予算のためシャシー開発能力が低いのでテールエンドから抜け出せるかどうかは分からない。
ルノーは、ロータスからルノーに変わる決定が遅れたために昨シーズン後半の開発がストップしていた。
今年は基礎からやり直すシーズンになりそうだ。
ハースはこれまで現れては消えていったF1チームのようにならないために、アメリカでのレースビジネスの経験が豊富なカール・ハースが2年かけて準備してきたからこれまでの泡沫チームのようにはならないだろう。
シャシーは定評のあるダラーラ製、PUはフェラーリ、ドライバーは既存のF1ドライバー、チーフエンジニアは昨年のロータスのチーフエンジニアときわめて手堅いチーム構成だ。
ハースが成功すればF1チームの経営方法の新しいモデルになるだろう。

マクラーレンホンダは、昨年のような悲惨な状態ではないが、PUの信頼性面には不安が残る。
シャシー面では昨年中盤からチームに加入したスペシャリストが用意する空力ソリューションが巧く機能するかどうかが鍵を握る。

今年はルーキー・ドライバーが3人しかいない。
マナーのパスカル・ウェーレインとリオ・ハリアント、ルノーのジョリオン・パーマーだ。ウェーレインはメルセデスの秘蔵っ子でDTM出身(ミヒャエル・シューマッハと経歴が似ている)、昨年のフェルスタッペンのようなドライバーだ。
ハリアントは可夢偉以来のアジア人ドライバーでインドネシア政府のバックアップを受けて走る。
パーマーはジョナサン・パーマーを父に持つF1二世だ。

オーストラリアGPは1位フェッテル、2位ハミルトン、3位ロスベルグ、4位ライコネン、5位リチャルド、6位ボッタス、7位フェルスタッペン、8位バトン、9位アロンソ、10位グロージャンかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表