トルコGPは、ハミルトンが滑りやすい路面と天候に翻弄されたレースを制した。
そして、ハミルトンは表彰台の中央で2020年F1ワールドチャンピオンに輝いた。
ハミルトンにとって、これ以上ないチャンピオン獲得シーンだった。
ハミルトンはこれで通算7度目のチャンピオンシップを獲得したことになり、ミハエル・シューマッハに並んだ。
ハミルトンから31秒以上離されたがペレスが2位でゴールした。
難しいコンディションの時にいつも力を発揮するペレスの面目躍如だ。
これほど実力のあるペレスの来シーズンのシートがまだ決まっていない。
ペレスから僅か0.327秒遅れで3位に入ったのはフェッテルだった。
フェッテルは2007年にトロロッソからF1にデビューしたが、2008年の雨のイタリアGPで他を寄せ付けず初優勝を飾った。
2010年には最年少のワールドチャンピオンに輝き、この最年少チャンピオン記録はいまだに破られていない。
4年前にフェラーリに移ってからは試練が続いていたが、トルコGPでの3位入賞は、フェッテルが雨で比類のない速さを持っていることを改めて示した。
トルコGPの週末は予選が始まるまではレッドブルがすこぶる好調だった。
FP1とFP2の両セッションでフェルスタッペンは最速だった。
メルセデス勢は、レースの直前に再舗装された滑りやすい路面とアップダウンの激しいコースに悩まされていた。
このまま予選に突入すればフェルスタッペンのポールポジションは間違いないと思われた。
土曜日は気候が金曜日から一転して雨まじりになった。
そんな中で行われた予選でトップタイムを出したのはストロールだった。
レインタイヤで争ったQ1とQ2では圧倒的に速かったフェルスタッペンは、ミディアムタイヤではタイムが出せず予選2番手に甘んじた。
ペレスが3番手、アルボンが4番手となり、メルセデスはハミルトンが6番手、ボッタスが9番手となった。
決勝レースは、ピットレーンスタートのウイリアムズ2台を除いて全車レインタイヤでのスタートとなった。
スタートでは、フェルスタッペンとアルボンが出遅れ(ホンダのラウンチ・コントロールが原因か?)ストロールとペレスが1・2番手を形成し、あっという間に3番手に上がってきたのはフェッテルだった。
3周目には上位3人はフェルスタッペン、アルボン、ハミルトンの順に定着する。
6周目になると路面は乾き始め、7周目から9周目のまでの間にルクレール、ボッタス、フェッテル、ハミルトンが相次いででインターミディエイトに交換する。
全車がインターミディエイトに交換を済ませた後、15周目にバーチャルセフティカーが出る。
その後、フェルスタッペンとアルボンは後退し、レッドブル勢に変わって順位を上げてきたのはハミルトンだった。
ハミルトンはインターミディエイトにうまく適応し、中盤の長いスティントをインターミディエイトで引っ張ったことで、37周目にはトップに立つことができた。
その後は、ハミルトンは巧みなドライビングでタイヤをいたわりながらコンスタントに速いタイムで周回を重ね2位以下を寄せ付けずに7度目のチャンピオンに向かって走り続けた。 見事だ。
次は、バーレーンGPだ。
バーレーン国際サーキットは4本の直線と難しい中低速コーナーが連続するコースで高低差もある。
空力とコーナリングに優れたマシンに有利なことから、かつてはレッドブルが得意とするコースだったが今年のメルセデスにも適しているようにも思われる。
サキールが雨になることはまずないだろうから、レッドブルがトルコで投入したアップデートの真価が決勝で発揮されれば面白いことになる。
バーレーンGPは、1位フェルスタッペン、2位ボッタス、3位リチャルド、4位ガスリー、5位サインツ、6位フェッテル、7位ルクレール、8位ペレス、9位アルボン、10位ノリスかな。
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エミリア・ロマーニャGPは、ハミルトンが多少の幸運に恵まれて優勝した。
ハミルトンの勝利を脅かす可能性のあったボッタスとフェルスタッペンは二人とも不運に見舞われた為、結果はハミルトンの楽勝だった。
ハミルトンはただでさえ強いのに運まで味方につけられたのでは手の付けようがない。
この勝利で、メルセデスは7年連続コンストラクターズチャンピオンに輝き、ドライバーズタイトルも手中に収めた。
ドライバーズ・チャンピオンの方は、ボッタスにまだ数学的可能性が残されているので決まってはいないが、どちらにしてもメルセデスのドライバーが獲得することに変わりはない。
パワーユニット規定がターボハイブリッドになってから7年間、メルセデスの完全制覇が続いていることになる。
今回、ハミルトンは予選から絶好調だったわけではない。
Q3で僅かな差(0.097秒差)ながらボッタスにポールポジションを持っていかれた。
フェルスタッペンは、ほぼ指定席となった3番手で、ボッタスとは0.567秒差だった。
ガスリーはフェルスタッペンから0.331秒差で4番手に着けた。
今年のガスリーは本当に速い。
フェルスタッペンに合わせて仕立てられたレッドブルのマシンでこれを上回るタイムを出せるかどうかはわからないが、アルファタウリで4番手タイムは立派なものだ。
レースでは自力で表彰台を狙える位置だ。
決勝レースは、ボッタスがきれいにスタートを決めてトップで1コーナーに突っ込んでいった。
若干出遅れたハミルトンの間隙を突いてフェルスタッペンが2番手に上がった。
今回のハミルトンは、タイヤを痛めないために無理をしなかったのではない。
ただ、チャンピオンシップがほぼ手中にあるハミルトンは、クラッシュしてリタイヤすることだけは避けたい。
フェルスタッペンもそれがわかっていてぎりぎりのところを攻めたのだ。
8周目には好調だったガスリーがラジエターのトラブルでリタイヤに追い込まれる。
15周目にはソフトでスタートしたドライバーたちが続々とピットインしてタイヤ交換を済ませる。
19周目にはミディアムスタートのフェルスタッペンがピットインしてトップのボッタスをアンダーカットしようと試みるが不発に終わる。
タイヤのつき方がうまいハミルトンは、スタートから履いているミディアムで快走を続けていて、ボッタス、フェルスタッペンに対して相対的に優位に立ち始める。
ハードタイヤのフェルスタッペンはミディアムタイヤのハミルトンのペースについていけない。
29周目にオコンがゲインイン不明のマシントラブルでコースわきに車を止めたときに、短い間のバーチャルセフティカー・モードに。
ハミルトンはすかさずピットインしてタイヤ交換したのでロスタイムは通常のピットストップの半分ぐらいで済んだ。
35周目にはハミルトンがボッタスとフェルスタッペンに6秒差をつけてトップに立った。
勝負あり。43周目にはフェルスタッペンがボッタスのミスを見逃さず前へ出てこのレース最大の見せ場を作る。
ところがフェルスタッペンの車は51周目に右リアのタイヤがバーストしリタイヤに追い込まれる。
ボッタスはコース上の遺物を拾ってしまったためペースが上がらずハミルトンをできず2位でゴールした。
ハミルトンは、ファイナルラップ後半はペースを落としてボッタスが追いつくのを待ち、ゴール後はメルセデス2台が並んでウイニングランをして、メルセデスのチャンピオンシップ獲得を自ら祝った。
次は、2011以来9年ぶりに開催されるトルコGPだ。
トルコは10月30日にエーゲ海地震があって数百人の死傷者が出ている。
それでも、2週間後のF1は今のところ予定どおり開催される。
2009年のトルコGPではジェンソン・バトンがブラウン・メルセデスで優勝している。
ホンダは、2009年にはチャンピオンを獲れるだけのマシンを開発しておきながら、2008年のシーズン終了時に突然トップの決断で撤退を決めてしまった。
それを無償で引き継いだのが、当時のホンダF1シャシー開発責任者だったロス・ブラウンでブラウン・グランプリの名でメルセデス・エンジンに乗せ換えて1年間戦ってチャンピオンをとった。
そして、2009年末にチームごとメルセデスに売り渡してしまった。
そのチームが今のメルセデス・チームの母体になっている。
今回も、ホンダは同じようなことを繰り返そうとしている。
本田宗一郎が健在な頃、バイクの世界選手権で長年にわたって全クラス制覇を続けたことから、スポーツ自体とトライバル・メーカーの存続が危ぶまれるとして撤退したのとは大違いだ。
トルコGPの開催されるイスタンブール・パークのコースは14のコーナーからなるテクニカルなコースだが、今のF1にとっては緩いコーナーは直線も同じだからどうなることか。現行規定のF1での走行データはどのチームも持っていないだろうから、うまく合わせこんだチームが前に出てくる。
トルコGPは、1位フェルスタッペン、2位ボッタス、3位ガスリー、4位リチャルド、5位サインツ、6位フェッテル、7位ルクレール、8位ペレス、9位アルボン、10位ノリスかな。
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