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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2021(5)2021.05.20

スペインGPは、ハミルトンがツーストップ作戦を成功させて見事な優勝を飾った。
フェルスタッペンは2番グリッドからスタートして一旦はトップに立ったが、ワンストップ作戦しか取れなかったため、終盤ハミルトンに逆転を許して2位に甘んじた。
スタートでルクレールに先を越されたボッタスは終盤に抜き返して3位に入った。
それにしても、メルセデスの万全の戦略とハミルトンの作戦実行力を見せつけられた一戦であった。

メルセデスはこれまでのの3戦は、マシン・パフォーマンスで僅かながら劣勢に立たされていた。
しかし、レッドブルのマシンは、中高速コーナーを速く回るためにはボトムスピードをなるべく落とさずにコース幅いっぱいでコーナリングしないと良いタイムが出ないという特性を持っている。
今シーズンは、初戦からコース・リミットを厳格にとるようになり、コース・リミットを守れないとペナルティを取られる。
これでは、フェルスタッペンは、コーナーで足枷をはめられたようなものだ。
おかげで、メルセデスは、シーズン前テストの状況からすれば開幕3戦は3連敗のはずだったところを2勝1敗で切り抜けることができた。

そして、第4戦スペインGPでは、メルセデスはレッドブルに対してマシン・パフォーマンスでもアドバンテージを取り戻した。
ただし、今のところメルセデスの持っているアドバンテージは、昨年までのようにPUの出力を絞って隠さなければいけないほど大きなものではなく、コースとタイヤによっては劣勢になることもある。

そこで、メルセデスは、スペインGPに勝つための綿密な戦略を、金曜日の朝から用意して実行した。
決勝でミディアムタイヤがもたなかった時のために、決勝用に2セット目のミディアムタイヤを温存したのだ。
決勝で使えるミディアムタイヤを1セット余計に残す為には、金曜日のフリー走行の段階から予選Q2までのタイヤ使用計画を立てて実行しなければならない。
そして、決勝セットアップでのミディアムタイヤの状態を正確に想定できないといけない。
さらに、フェルスタッペンがワン・ストップで走り続けた場合に、2度目のピット・ストップによって失う25秒をゴールまでに取り戻してコース上で抜き返す必要がある。
これは、極めて周到に用意された作戦ではあるが、ハミルトンのドライビング技術がなければ実現できなかった作戦でもある。
こうして、メルセデスとハミルトンは負ける可能性もあったレースを確実にものにした。

これで終わりではない。
レース後、メルセデスはハミルトンにレッドブルのリアウイングが直線では寝ていると指摘させた。
FIAは6月からウイングのフレキシビリティ・チェックを強化することになった。
メルセデス・チームは、今年初めてチャンピオンのタイトルを失う危険性を感じているからこそ、自身のパフォマンス以外の部分でも使えるものは何でも使ってレッドブルと戦おうとしている。

角田は、予選Q1敗退の16番手と振るわなかった。
決勝では14番手まで順位を上げたところで燃圧低下トラブルに見舞われ、8周目でリタイアした。
アルファタウリのマシンはこのコースでは速くなかったが、チームメイトのガスリーは何とか10位でフィニッシュした。

次は、伝統のモナコGPだ。
昨年は新型コロナ・ウイルスが蔓延していたため中止となった。
今年も、新型コロナの状況はさして改善しているわけではないが、開催が決定された。
ガードレールに囲まれたモナコの市街地コースは、最もドライバーの技量が試されるコースだ。
ただし、レースが始まってしまえば、パッシングのチャンスはほとんどない。
数年前にリチャルドがマシンにトラブルを抱えながらも後続を抑えきって優勝した。
モナコで優勝するためには、予選でポール・ポジションを獲ることが絶対条件だ。
ハミルトンは、モナコがそれほど得意とは言えない。
フェルスタッペンはモナコでの優勝経験がないが、ここをハミルトンに持っていかれたらチャンピオン獲得に早々と注意信号が灯る。
ルクレールはホーム・グランプリなので表彰台に上って大公から祝福を受けたいだろう。

モナコGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ボッタス、4位ルクレール、5位リチャルド、6位ノリス、7位サインツ、8位アロンソ、9位ライコネン、10位ガスリーかな。

2021 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2021(4)2021.05.07

ポルトガルGPは、ハミルトンが勝負強さを見せて優勝した。
フェルスタッペンは予選3番手からのスタートで、一度はハミルトンの前に出たが抜き返され、再度抜き返すことはできず2位に終わった。
ボッタスはポールポジションを獲りながら終わってみれば3位フィニッシュとなった。

今シーズン、マシンの実力がほぼ拮抗しているメルセデスとレッドブル・ホンダは、ハミルトンとフェルスタッペンがしのぎを削っている。
バーレーンとイモラではレッドブルホンダが明らかに優位に立っていたが、メルセデスは僅か5週間の間にレッドブルホンダとのパフォーマンスサ差を詰めてきた。
ポルトガルGPに限定すれば、レッドブル・ホンダは硬いタイヤ、アップダウンの激しいトラックと強い横風に苦しめられていた。
このため、ようやくポルトガルGPからメルセデスとレッドブル・ホンダの4台ががっぷり4つに組んだガチンコ勝負になった。

予選Q3は、まず、ボッタスがトップタイムを出し、ハミルトンはボッタスを破ることができず2番手となった。
ボッタスは束の間ではあったがイモラでの予選8番手という不名誉な状況から脱することができた。
フェルスタッペンは、綱渡りのようなドライビングでボッタスを上回るタイムを出し、ポールを獲ったと思われたが、トラック・リミットをはみ出していたために、タイムを抹消され、Q3の1回目のアタックで出したタイムが採用されて3番手となってしまった。
予選終了直後、フェルスタッペンは、珍しくメディアを遠ざけ、頭を抱えてベンチに座っていたのが印象的だった。
決勝レースでの拮抗した戦いを考えるとここでポールを獲れなかったのは大きい。
レッドブル・ホンダのマシン特性に慣れ始めたペレスは上位3人から少し離されたが予選4番手を確保した。
トップ2チームの4人がトップ4ポジションにそろった。

決勝レースのスタート後トップ3の順序は予選順と変わらず、4番手のペレスがソフトタイヤのサインツに抜かれて5番手となった以外に大きな変動はなかった。
ところが2周目に差し掛かるところでライコネンがチームメイトのジョビナッツィの後輪に追突してクラッシュしたために赤旗中断となってしまった。
7周目に再スタートしたときにボッタスとハミルトンが牽制しあったところをすかさず突いたフェルスタッペンが2番手に上がった。
しかし、ここで、長い周回3番手を走ると優勝することが難しくなることを知っているハミルトンは11周目に見事にフェルスタッペンを抜き返し、更に、ボッタスを追撃して20周目にはボッタスを抜き去ってトップに立った。

フェルスタッペンは36周目にピットインしたが、37周目にピットインしてタイヤの温まっていないボッタスの前に出ることに成功し、2番手に浮上した。
フェルスタッペンは、この後ハミルトンの後方4秒ぐらいまで近づく場面もあったが、ハミルトンの前に出ることはできなかった。
本当に、ハミルトン・メルセデスは大事なところでの取りこぼしがない。
むしろ、劣勢に立たされていても、小さな間隙をついて勝ってしまう。

角田は、硬いタイヤとトリッキーな風に悩まされ予選14番手、決勝15位に終わった。
今回、アルファタウリはマシン特性がコースに合っていなかったようで、ガスリーをもってしても、10位でゴールするのがやっとだった。
角田は早くC1、C2、C3タイヤの使い方を身につけないと、これらこれらのコンパウンドのタイヤが指定されるコースでは上位を狙うことができない。
角田はソフトタイヤを履くとめっぽう早いのだが・・・。

次は、僅か1週間後にスペインGPだ。
カタルーニャ・サーキットは長らくF1のシーズン前テストに使われてきたコースなので、各チームとも多くのデータを持っている。
レッドブル・ホンダがここで取りこぼすようなことがあったら、今シーズンもメルセデスが波に乗ってしまうかもしれない。
アロンソとサインツはホームグランプリなのでいい走りを期待したい。

スペインGPは、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位ボッタス、5位ガスリー、6位角田、7位サインツ、8位ルクレール、9位リチャルド、10位アロンソかな。

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