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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2019(16)2019.09.27

フェッテルが、今シーズン初の優勝をシンガポールGPで果たした。
ルクレールも2位に入ったので、フェラーリはワンツー・フィニッシュで今季3勝目を飾った。
優勝が期待されていたフェルスタッペンは辛くも3位でゴールすることになった。

サーキットトマシン特性の相性、金曜日のP1とP2の結果を見る限り、シンガポールGPはレッドブルとメルセデスの一騎打ちになるだろうと誰もが考えていた。
ところが、土曜日のP3が始まるや否や、突然フェラーリが速くなり、ルクレールがハミルトンとフェッテルに0.2秒差をつけて、3戦連続となるポールポジションを獲得してしまった。
フェルスタッペンに至っては、ルクレールから遅れること0.6秒の予選4番手だった。
予選5番手はボッタス、6番手はアルボンで、ここまでがトップから1秒以内に並んだ。

道幅が広い部分があるとは言え、コーナー数が多く、ストリートサイドはコンクリートの壁となっているマリーナベイのコースではかなり性能差がないかぎり抜くのは容易ではない。
後は、タイヤ交換のタイミングとセフティカー出動のタイミングを利用するしか前に出る方法はない。
しかし、マリーナベイの路面はストリート路面の為タイヤの摩耗が少ないから、タイヤ交換のタイミングを利用して前に出るチャンスは1回しかないことになる。

決勝レースのスタートは、クラッシュもなく平穏に始まったので、オープニングラップはルクレール、ハミルトン、フェッテル、フェルスタッペン、ボッタス、アルボンの順で始まった。しばらく、この状態で隊列が続く。

19周目、最初に動いたのは、フェルスタッペンだった。
予選の時からグリップに苦しんでいたフェルスタッペンは、タイヤのグリップが無くなってきたので、早めにタイヤ交換する作戦に出た。
すると、フェルスタッペンの前を走っていたフェッテルは、フェルスタッペンにアンダーカットされ、3番手を奪われる恐れがあったため、慌てて、同時にピットに入ってきた。
ピットアウトしてもフェッテルの実質3番手とフェルスタッペンの実質4番手は変わらなかったが2車ともアウトラップを頑張ったために、トップを走っていたルクレールはチームメイトのフェッテルに結果的にアンダーカットされてしまった。
一方、ハミルトンは、セフティカーの入る場合を見込んでステイアウトしたが、事故は起こらず、27周目まで引っ張ったために、フェルスタッペンの後ろでコースに戻ることになってしまった。
レッドブルは早めにタイヤ交換を仕掛けることが多く、メルセデスは遅めにタイヤ交換をすることが多いが、今回は、レッドブルに軍配が上がった。
そして、フェッテルは、フェルスタッペンのピットインに反応したおかげで、優勝することができた。

シンガポールGPを終えて、残り6戦となったが、トップ3チームの実力がますます拮抗してきた。
フェラーリは、頑なに守ってきたシーズン当初からのフロント・ウイングのコンセプトを捨てたおかげで低速でのトラクションが向上し、弱いといわれたシンガポールで勝つことができた。
メルセデスとレッドブルもこのまま手をこまねいているわけにはいかないから、ソチには間に合わなくても鈴鹿にはアップデートを投入してくるだろう。

次は、1週間後のロシアGPだ。ロシアGPの行われるソチ・オリンピックパーク・コースは、これまでメルセデスが圧倒的な速さを示してきたが、今年はどうなるか全く予想がつかない。
トップ3チーム、6台のガチンコ・バトルになりそうだ。
ロシアGPはクビヤトにとってホームGPだ。
最近、競争力の上がっているトロロッソのセッティングが決まれば上位入賞も可能だから、今年は、元気いっぱい走って、ホーム・クラウドを沸かせてほしい。

ロシアGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位ルクレール、5位アルボン、6位ボッタス、7位クビヤト、8位ガスリー、9位サインツ、10位リチャルドかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(15)2019.09.20

ルクレールは、ベルギーに続いてイタリアGPでも優勝し、2連勝を飾った。
2位には0.835秒差でボッタスが入り、ハミルトンが3位でゴールした。
ハミルトンは終盤4位との差が開いていたので、タイヤを交換しファーステスト・ラップを記録した。
ルクレールは、決勝レースの23周目にコーナーの入り口でハミルトンに並ばれたが、並走してハミルトンに抜くためのスペースを与えず首位を守り切った(ルクレールはレース・スチュワートから紳士的ではないと警告を受けた)。

4位と5位には、ルノーのリチャルドとヒュルケンベルグが入った。
アルボンは、8番グリッドからスタートしてヒュルケンベルグの背後まで迫ったが抜くには至らず、6位となった。
ペレスは7位でゴールした。
4台目のPUを導入したため最後尾スタートとなったフェルスタッペンは、ルクレールト変わらない速さで追い上げたが1周目にフロントウイングを壊してピットインしたのが響いて、8位に甘んじた。
ジョビナッツィはホーム・クラウドの前で9位に入賞し、ノリスは、予選では苦しだものの、決勝ではちゃっかり10位に滑り込んだ。

ルクレールはポ、ールポジションを獲ったが、Q3のタイムは僅差だった。
予選Q3の終了間際まで各車がスリップストリーム狙いで他車に先行させようと牽制しあったために、結局、多くの車が予選終了前にアタックラップに入れないという変な状況になってしまった。
そんな中で、パワー(特に予選時)に勝るフェラーリは、スリップ・ストリームを用いなくてもQ3前半で速いタイムを出しておくことができたのが功を奏した。

今回、ルノーが4位と5位にはいったことによって、現行のPUレギュレーションが始まってから6シーズン目の残り1/3になってやっと4種類のPU が拮抗して争う状況が実現した。
とはいうものの、シャシー面では、いまだ、レッドブル、メルセデス、フェラーリが3強という状況だからルノーはまだ表彰台にも手が届かない。

スパ・モンツアの高速2連戦のあとは、打って変わって、市街地サーキットのシンガポールGPだ。
レッドブルのマシンは、マリーナベイ・サーキットをいつもしなやかに駆け抜ける。
ホンダのPUもスペック4投入によるペナルティを4台とも消化したので、ここからは言い訳がきかない。
そろそろ、レッドブル・ホンダは、予選:決勝を通じてレースを支配することが求められる段階に入った。
本来なら、レッドブル・ホンダが大本命といったところだろうが、今年のメルセデスは、低速コースが得意だ。
フェラーリは、以前、フェッテルがメルセデスを倒したことがあるが、今年のマシンはこのコース向きではないので、両ドライバーとも苦労するだろう。
ただし、ルクレールは市街地コースが得意なことを忘れてはならない。
シンガポール人F1ドライバーはいないが、アルボンの母国タイからは近いシンガポールGPにはアルボン応援団がタイから多数やってくるだろう。
シンガポールGPは、高温の赤道直下で湿度の高い市街地で行われるナイトレースのため、事故が多発し、平均速度が遅いので規定周回数を消化できなくて制限時間(2時間)でレースを終了することが何度もあった。
今年の決勝レースは、事故のないクリアなレースになるといいのだが。

シンガポールGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位アルボン、4位ボッタス、5位フェッテル、6位ルクレール、7位サインツ、8位リチャルド、9位ノリス、10位クビヤトかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(14)2019.09.06

ルクレールが、ベルギーGP初優勝に輝いた。
ルクレールは金曜日から最速で、予選でも。
2番手のフェッテルに0.748秒も差をつけてポールポジションを獲った。
ルクレールは、決勝レースでは,フェッテルの協力を得て、メルセデスのアタックを受けずに済んだ。
そして、ポールからスタートしてチェッカーを受けるまでトップの座を譲ることなくレースを支配した。
最終盤には、2位のハミルトンが急接近し、ゴールした時は0.981秒差まで迫っていた。
しかし、ルクレールは落ち着いてレースをコントロールしていたから、ハミルトンに優勝の目はなかった。

ボッタスは、ハミルトンから12秒近く遅れて3位でゴールした。今回は、ルクレールノ優勝を助けることになり、4位に甘んじたフェッテルは、終盤タイヤを交換してファーステストラップを記録した。
このレースから、ガスリーに代わってレッドブルのステアリングを握ることになったアルボンは、ベルギーGPで今シーズン4台目のPUを使用したことから、グリッド降格ペナルティを受け、17番グリッドからスタートしたが、次ぎから次へとライバルを抜き去り、5位でゴールした。
ファイナルラップに、最終コーナーの立ち上がりでアルボンに抜かれたペレスは、6位でゴールした。
フェルスタッペンは、1周目の1コーナーでライコネンと接触し、リタイヤしたため連続入賞が途絶えた。

ハンガリーGPとベルギーGPを見返してみると、とても興味深い。
現行の規定になってから、5シーズン半を経てやっとトップ3チームが互角に戦う状況が実現した。

メルセデスは、昨年までは他車に対して圧倒的なパワーアドバンテージを持っていたが、今年は、パワー面で追いつかれるとみて、ダウンフォース重視のマシンに仕上げてきた。
このため、今年のメルセデスは直線では速くないが、低速コーナーではとても速い。

フェラーリは、PUのパワーがメルセデスを上回るほどに成長したことから、逆に直線スピード重視のマシンに仕上てきた。
しかし、タイトコーナーでは遅い。また、今年のフェラーリは、タイヤに優しくなく、決勝レースではタイヤが持たずにペースを落とすことが多々ある。

レッドブルは、シーズン序盤、新しいフロント・ウイングを機能させるのに手間取ったが、最近は、シャシーが持つ本来の速さを発揮できるようになった。
ホンダPUは、高い信頼性を身に着けて、スペック3でパワー面で、メルセデスに少し近づいたと思われていた。
ところが、スペック2でもうまくプログラムすればそこそこ走れることを示した。
ホンダは、ベルギーGPでアルボンとクビヤトにスペック4を投入した。

レース後に分かったことだが、驚いたことに、フェルスタッペンもアルボンも決勝はスペック2PUで戦っていたのだ。
アルボンは、使い古したスペック2PUで17番手から5番手まで追い上げたことになる。
しかも、パワー・サーキットのスパでだ。
要するに、PUはハードの性能だけでなく、ICEとターボ、エネルギーの回収と放出をコースごと、コーナーごと、レース展開に合わせてどう使っていくかによって総合的な性能が決まってくるのだ。ホンダが今年大きく進歩したのは、PUの信頼性を向上させて、レッドブルというベンチ・マーク・シャシーと組み合わさったことにより、質の良いデータを得ることができるようになったからだ。

次は、イタリアGPだ。フェラーリの地元の高速コース、モンツアで、フェラーリは何があっても勝たなくてはならない。ここは、イタリアのチームであるトロロッソにとってもホーム・レースだ。現在、F1ただ一人のイタリアン、ジョビナッツィノ乗るマシン名はイタリアの名門、アルファロメオでPUはフェラーリだ。

日曜日の決勝は雨が降るらしい。予報通りの雨となれば、単純なパワー競争とはならない。
イタリアGPは、1位フェッテル、2位フェルスタッペン、3位ルクレール、4位ハミルトン、5位アルボン、6位ボッタス、7位ヒュルケンベルグ、8位リチャルド、9位クビヤト、10位サインツかな。

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