カナダGPはモナコに続いてハミルトンが2連勝した。
ハミルトンはF1デビューイヤーの2007年カナダGPがF1初優勝だから、ジル・ビルヌーブ・サーキットが好きなようだ。
カナダGPにハミルトンが優勝したことによって、ロスベルグとハミルトンのチャンピオンシップポイント差が一気に縮まり、9となった。
2位には5秒差でフェッテルが入った。
予選3番手だったフェッテルはフロントローのハミルトンとロスベルグがスタートで出遅れる隙をついて巧みに前へ出てトップに立った。
しかし、ハミルトンがウルトラ・ソフト+ソフトのワンストップで走り切ったのに対し、フェッテルはウルトラ・ソフト+スーパー・ソフト+ソフトのツーストップだったため逆転されてしまった。
セフティカーが出ていれば結果が逆転していたかもしれない。
ボッタスはフェッテルからさらに41秒も離されてゴールした。
ボッタスはウイリアムズに今シーズン初の表彰台フィニッシュをもたらした。
4位に入ったのは、フェルスタッペンだ。
フェルスタッペンは、レース序盤でリチャルドのほうが速かったのにポジションを譲らず走り切っての4位だ。
リチャルドは序盤に前へ出られなかったことが響いて7位に終わった。
もし、フェルスタッペンがリチャルドを前に行かせていたらリチャルドは表彰台も可能だった。
5位に終わったロスベルグは、スタートで出遅れ、第2・第3コーナーでハミルトンと並んだ時に行き場を失い、大きく後退したことが最後まで響いた。
後続は、6位ライコネン、8位ヒュルケンベルグ、9位サインツ、10位ペレスの順でゴールした。
新型のターボチャージャーを投入したマクラーレン・ホンダはアロンソが11位、バトンが火煙を出してリタイヤトいう結果に終わった。
マクラーレン・ホンダは昨年よりは確実に進歩しているが、ライバルたちも手を休めているわけではない。
フェラーリはモナコでは振るわなかったが、カナダには新しいエアロパーツを投入してきた。
フェッテルのドライビングのおかげもあって予選タイムでポールシッターのハミルトンとのタイム差を0.18秒差まで縮めた。
これは、天候・アクシデントなどの不確定要素なしで対等に決勝を戦うことのできるレベルだ。
レッドブルはベストシャシーとルノーPUのアップデートによって3強に返り咲きつつある。
上位チームはレースごとに進化している。
おかげで、メルセデスの二人芝居ではなく、ドライバーの個性がぶつかり合う戦いが見られるようになって来た。
コースごとに、上位3チーム・6人のドライバーのうちだれが優勝するかわからない状態になってくれると嬉しい。
ヨーロッパGPは、カナダGPのわずか1週間後にアゼルバイジャンで開催される。
コースは首都バクーの市街地に設けられている。
全チーム、ドライバーともに初のコースだ。
今回、ウルトラ・ソフトタイヤは用意されないので、未知の路面とタイヤのマッチングをどうするかチームのセッティング能力が試される。
コースの特性はカナダGPのジルヌーブ・サーキットに近いとされているが未知数だ。
2.1Kmの長いストレートがあるのでメルセデス勢には有利なように見えるが、カナダでフェラーリとレッドブルはメルセデスに肉薄していたからここでも面白い戦いが見られるだろう。
ヨーロッパGPは、1位フェッテル、2位リチャルド、3位ハミルトン、4位ロスベルグ、5位アロンソ、6位ライコネン、7位マッサ、8位サインツ、9位ペレス、10位グロージャンかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
ハミルトンがモナコGPで今季初優勝を果たした。
昨年のモナコでは勝っていたレースをチームの指示ミスでふいにしたハミルトンだが、今年は運が巡ってきた。
ハミルトンは、昨年の教訓から、トラック上の順位重視の作戦をとり、上位ドライバーの中ではただ一人ワンストップでウエットとウルトラソフトだけを使って走り切った結果の勝利だ。
今年、勝っていたレースをピットのもたつきで失ったのは2位のリチャルドだった。
3位表彰台には、モナコのコースが好きなペレスが登った。
(モナコの表彰台は他のコースと違ってメイン・ストレートから一段上がっているだけなので登るという感じではないが・・・)
ペレスは、これまでモナコでは攻めすぎてクラッシュすることが多かったが、今年はクレバーに攻めた結果の3位フィニッシュだった。
モナコの表彰台で歓喜するハミルトン・ペレスと、2位に入ったのに悔しい表情のリチャルドが対照的だった。
フェッテルは、なぜかモナコ向けのセッティングが決まらなかったフェラーリをなんとか4位に持ち込んだ。
5位にはアロンソが入った。
アロンソは、過去に、ポールをとれる状況の時には予選で限界まで攻めてガードレールに接触することもあった。
しかし、今回はゴールまでしぶとく走る作戦で、他のドライバーが消えていく中、浮上した。
9位に入ったバトンも同様のレース運びながら、雨が弱まりだしたとみてとるや、早々とインターミディエイトにタイヤ交換するなどして上位進出を狙っていた。
チャンピオンを絶ったことのあるドライバーたちは、このあたりが違う。
今回のモナコのライコネンはそうでもなかったが。6位には、予想に反して調子のよかったフォースインディアに乗るヒュルケンベルグが入った。
他には、7位ロスベルグ、8位サインツ、10位マッサがポイント圏でフィニッシュした。
今年のモナコは、予選がとても面白かった。
スペインからすでに兆候は見えていたが、レッドブルのマシンが本当に速くなった。
予選はドライコンディションだったので、レッドブルのリチャルドは、実力でメルセデスより速い予選タイムを出してポールポジションをとった。
しかも、Q2はスーパーソフトを履いてタイムを出していたので、決勝のスタートでは、Q3で使ったウルトラソフトではなくスーパーソフトでスタートできる。
決勝では、スタートでトップに立ってしまえば抜かれることはないから、遅いスーパーソフトでトップはキープして、後半に新品のウルトラソフトを使って後続を引き離すことができる。
素晴らしい戦略と、その戦略を可能にするリチャルドの予選ドライビングだった。
ところが、決勝日は雨で全車ウエットタイヤ・スタートととなり、せっかくの戦略がふいになった。
それでも、リチャルドはポールスタートだったので、レースをコントロールしていたし、ピットがタイヤ交換をスムーズにやっていればハミルトンに前に立たれることもなかった。
次は大西洋を渡ってカナダGPだ。
夏の短いカナダでは、6月は春のような気候だ。
コースは長いストレートとタイトコーナーをつないだレイアウトなのでブレーキとタイヤに厳しい。
今のF1の場合ブレーキだけではなく減速時のエネルギー回生効率とエネルギー・マネジメントも重要だろう。
モナコから始まったハミルトンの巻き返しがシーズンを面白くする。
ウイリアムズもこの手のコースは得意なはずだ。
カナダGPは、1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位マッサ、4位リチャルド、5位フェッテル、6位ライコネン、7位バトン、8位アロンソ、9位ペレス、10位クビヤトかな。
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