YOUCHOOSE

about

YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2017(11)2017.07.27

ハミルトンは、ブリティシュGPを予選から決勝を通じて圧倒的な強さで制した。
オーストリアで優勝したボッタスは、予選でハミルトンから0.776秒遅れの4番手だったことに加えてギヤボックス交換で5グリッド降格したため9番グリッドからのスタートだった。
しかし、ボッタスは、タイヤを労わりながら冷静に追い上げたおかげで、タイヤトラブルに見舞われたフェラーリの2台をかわすことができた。
今日のボッタスのスターティングポジションからすれば2位フィニッシュは望みうる最高の結果だった。
これで、レースは久々のメルセデス・ワンツー・フィニッシュとなった。

3位に入ったのは、ライコネンで、終盤近くまで4番手を走行していたが、ゴールまであと3周というところでタイヤがバーストしてピットインしたために後退した。ところが、ライコネンの前を走っていた同じフェラーリのフェッテルがゴールまであと1周半というところでタイヤがパンクしてしまった。
フェッテルは、長い道のりをスロー走行したのちにピットインしたために7位にまで後退した。
これでフェッテルとハミルトンのチャンピオンシップポイント差は1となった。

フェルスタッペンは、パワー不足でレッドブルにとっては不利なシルバーストーンにもかかわらず、スタートでフェッテルを抜き、その後もフェッテルと大接戦を演じて観客を沸かせたが、最終的に4位でゴールした。
リチャルドは、ギヤボックストラブルのため予選を4周しか走れず、しかもギヤボックスを交換したために19番グリッドからのスタートとなったが、後方から粘り強く追い上げた結果、5位までポジションを上げることに成功した。
ルノーで、予選6番手のタイムを出してドラーバー力を証明したヒュルケンベルグは、決勝でも予選順位をキープして気を吐いた。
8位と9位にはオコンとペレスのフォースインディア・コンビが入った。オコンは初めてペレスとのチームメート・バトルを制した。

10位はマッサだった。
バンドールンは予選9番手ながらあと少しのところでポイントに届かず、11位に終わった。
7月25日に、メルセデス・ベンツが重要な発表をした。
メルセデスは、長らく参加してきたドイツ国内のGTカー選手権(DTM)から2018年限りで撤退し、フォーミュラE(電動のフォーミュラカー)に2019/2020年シーズンからワークスとして参戦するというものだ。
ガソリン自動車を発明したダイムラー・ベンツ社が電気自動車のレースに参戦する意味は大きい。
現在、ヨーロッパでは自動車の脱石油化が相次いで発表されており、フランス、イギリスが2040年から市販車を完全に脱石油化すると宣言しており、ドイツもこれに続くだろう。2030年ごろにはFEのほうがF1よりメジャーになっていることも充分ありうる。

ハンガリーGPの開催されるハンガロリンクは、コース上で抜くことが難しいコースだから、予選結果がかなり重要になる。
また、パワーによる差が出にくいコースだから、レッドブル、マクラーレン・ホンダ、トロロッソはチャンスが拡大する。
雨が降ればこれら3チームのチャンスはさらに拡大するだろう。
バトンがいれば彼が最も得意とする状況なのだが、今年のハンガロリンクでバトンがF1を走らせる姿を見ることはできない。

ハンガリーGPは1位フェッテル、2位ハミルトン、3位フェルスタッペン、4位ボッタス、5位リチャルド、6位ライコネン、7位アロンソ、8位サインツ、9位バンドールン、10位ペレスかな

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(10)2017.07.14

オーストリアGPを予選・決勝ともに完ぺきにこなして優勝したのはボッタスだった。
ボッタスは、予選2番手のフェッテルとわずか0.042秒差でポールを獲り、決勝も2位フェッテルを0.658秒差で振り切った。
予選・決勝とも僅差だったがポール・トウ・ウインに変わりはない。

リチャルドは、3位でチェッカーを受け、チーム名でもあるスポンサーのレッドブルを喜ばせた。
ハミルトンは、予選3番手タイムだったがギヤボックス交換ペナルティのため8番グリッドからのスタートだったが、なんとか4位まで追い上げて、チャンピオンシップポイント上のダメージを低く抑えることができた。

ライコネンは決勝3番グリッドからのスタートだったが5位に終わった。
それにしても、リチャルドのブレーキングはこのレースで冴えて亘っていた。
表彰台に登れたのは、1周目にライコネンをブレーキングで下して3番手に浮上していたからであり、最終ラップに猛追するハミルトンを撃退できたのはブレーキングが優れていたからだ。
高度なブレーキング操作を可能にしているレッドブルのマシンも褒めておきたい。

6位にはハースのグロージャンが滑り込んだ。
ここまでがボッタスと同一周回だった。
7位・8位はペレスとオコンのフォースインディア・コンビ、9位・10位には、マッサとストロールのウイリアムズ・コンビが入った。ストロールはこれで3戦連続入賞となる。

次は、ブリティシュGPだ。
近年は、テニスの4大大会の一つであるウインブルドンの男子シングル決勝日とF1のブリティッシュGP決勝日が重なることが多いが、ファン層に大きなオーバーラップはないようで、問題にはなっていない。
それにしても、英国は多様なスポーツが盛んにおこなわれているのには感心する。

F1はほとんどのチームが英国発祥のチームで、英国に本拠地か拠点を置いている。
F1チームは名前やスタッフが変わっても生きながらえる。
例えば、今のルノー・チームは1981年にトールマンとして始まり、ベネトン→ルノー→ロータスF1→ルノーというふうに変遷している。
英国には、特殊なレース用部品を開発できる小企業群を底辺としたレーシングカー産業のピラミッドがある。
英国は、F1を開発してF1チームを運営するには最も有利な土地なのだ。
例えば、日本でF1を作ろうと思ったら、部品を全て自製するか英国などに発注するかしかない。
日本の部品メーカーに発注していたとしても、一度やめてしまったら、数年経って再開しようと思っても、部品メーカーがまたのF1部品を作ってくれるとは限らない。
最近、ホンダ・パワーユニットの低パフォーマンスが問題になっているが、いったん止めると技術的・経済的な分断のダメージは大きいのだ。フェラーリのようにずっとやっているメーカーでさえ、レギュレーションが変わればすぐに優勝できなくなる。
F1で成功するためには、根を下ろした長いコミットメントが必要なのだ。

ハミルトンとパーマーはホームレースなのでよいところを見せるだろう。
アロンソはMGUHなどの交換で10グリッドダウンとなるが、マクラーレンのアップデートとホンダのスペック3PUのポテンシャルをどこまで引き出すことができるかが見ものだ。
ブリティシュGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ボッタス、4位ライコネン、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位オコン、9位パーマー、10位アロンソかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(9)2017.07.07

波乱のアゼルバイジャンGP、最後に笑ったのは、リチャルドだった。
ボッタスは、チェッカーフラッグの直前でストロールを抜き去り、スタート直後の混乱で失ったポジションを全て取り戻して2位でゴールした。
ストロールは他車のトラブルを尻目にいつの間にか2番手まで進出していたが、最後の最後にボッタスに2位の座を持っていかれたのは残念だった。
とはいえ、ストロールは、カナダGPに続いてポイント・フィニッシュしただでなく、表彰台までたどり着いた。
現時点でも、ストロールは実力より運のほうが勝っているドライバーだと言えるが、スポーツは運も含めた結果が全てだ。
ストロールは公道路面が得意なようだし、そのうち本物になってくるかもしれない。

予選は、ハミルトンの独壇場だった。
ハミルトンはチームメイトよりも0.434秒速いタイムを叩きだして66回目のポールポジションを手にした。
予選3番手のライコネン・フェラーリは、ハミルトンに1.1秒もの差をつけられた。
いかに、フェラーリが決勝に強いと言ってもこれでは歯が立たない。
ハミルトンは、決勝でスタートを決めて逃げきるだけだった。
ハミルトンは筋書き通り決勝のスタートを決めてトップで集団をリードした。
しかし、スタート直後2番手のボッタスと3番手のライコネンが接触した。
ボッタスがピットインして壊れたノーズを交換している間に後退し、ハミルトンは、チームメイトを盾にすることができなくなってしまった。
ライコネンのマシンもダメージを負って後退した。
世の結果、今回は予選4番手と調子の上がらなかったフェッテルが2番手に浮上した。

この後、接触事故の破片を回収するためにセフティカーが2度出動し、その度に、トップハミルトンと後続各車の差が縮まった。
また、再スタート前のセフティカーラップ中に、フェッテルがトップのハミルトンに追突し上にハミルトンに並びかけてぶつけた。
そして、20周目の再スタートの後、今度はフォース・インディア同士の接触によって、赤旗が出てしまった。
赤旗で、またもや各社の差は縮まって、スタートしたがフェッテルはセフティカー中の蛮行に対して10秒ピットストップのペナルティが課され、ハミルトンは赤旗中にいったん外していたヘッドレストが走行中に浮いてしまうトラブルのために、ピットインを余儀なくさせられた。
この間に、トラブルを回避しつついつの間にか上位に進出していたリチャルドがトップに立ち、勝てたレースを不運のために落としたハミルトンを尻目に優勝を飾った。
アロンソは、PU交換ペナルティの19番グリッドからスタートして8位に入って見せたが、PUにもう少しパワーがあれば表彰台も狙えただろう。

次は、オーストリアGPだ。
オーストリアGPの舞台、レッドブル・リンクは古くからあったA1リンクを改修したコースで1周4.3Kmしかない。
レッドブル・リンクは、グランプリコースとしては短い部類に入るが、どちらかというと高速コースだ。
比較的標高が高いのでターボユニッ負担がかかる。
高低差のある独特なコースレイアウトに対応して、PUのエネルギー回生と放出のマネジメントがキーポイントになる。
現在のコース名どおり、ここはレッドブル(スポンサー)のホームレースとなるので、ここ6戦で4リタイヤとフラストレーションの溜まるフェルスタッペンがゴールまで走ってくれればレースは盛り上がるだろう。
レッドブルのマシンにとって、それほど有利なコースではないが・・・。

オーストリアGPは1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アロンソ、5位リチャルド、6位ライコネン、7位マッサ、8位サインツ、9位ヒュルケンベルグ、10位バンドールンかな。

2017 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

POSTED BY:
otsuka_image

YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉