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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2018(18)2018.10.26

ライコネンがアメリカGPで勝った。
2位には18番グリッドから見事な追い上げを見せたフェルスタッペンが入った。
ハミルトンは、タイヤ交換戦略が裏目に出て、3位でゴールした。
フェッテルが4位に滑り込んだため、2018年チャンピオンの決定は次戦に持ち越された。

アメリカGPは金曜フリー走行の段階から混戦の様相を呈していた。
金曜日は終日、雨にたたられ、各車まともに走行ができなかった。
そんな中、アメリカGP必勝のフェッテルが、フリー走行1回目に出た赤旗下で十分な減速をしなかったとして、2ペナルティポイントと3グリッド降格処分を受けてしまったのだ。
これで、フェッテルはトップタイムを出したとしてもポールポジションからスタートすることができなくなった。

土曜日は幸い朝から晴れたので、フリー走行3回目で各車セッティングを済ませたが、この時点では、フェラーリ2台がメルセデス2台を上回るタイムを出していた。
レッドブルもフェラーリからほぼ1秒以内のタイムだった。

ところが、予選Q1は、メルセデスが本領を発揮し始め、メルセデス、フェラーリ、レッドブルの順にタイムが並んだ。
そして、7番手タイムはトロロッソ・ホンダのガスリーがたたき出した。
ホンダPUはようやく一発のパワーでは、メルセデス、フェラーリPUに少し近づいたようだ。

予選Q3では、ハミルトンがスーパーラップを決め、フェッテルを0.061秒差で抑えて、ポールポジションを奪取した。
2番手フェッテルと3番手ライコネンの差はもっと少なく0.009秒、ポールのハミルトンから4番手のボッタスまでが.0379秒という僅差だ。
1周92秒で0.4秒のタイム差しかないのだから、決勝レースは波乱が予想された。
果たして、決勝レースは、今シーズンのグランプリレースの中で、指折りの拮抗した面白いレースとなった。

そして、決勝レースのスタート。
上り坂でコース幅がとても広いターン1の攻防を制したのは、ペナルティで5番グリッド・スタートとなったフェッテルの代わりにフロントロースタートとなったライコネンだった。
ハッキネン、ハミルトン、ボッタス、ヒュルケンベルグ、フェッテルの順でターン2に差し掛かるが、フェッテルがリチャルドと接触してスピンし15番手まで順位を下げてしまう。
後方では、予選Q1でフロアを痛めてQ2に出走できなかったフェルスタッペンが18番グリッド・スタートから猛烈な追い上げを展開している。
5周目までに、フェルスタッペンは7番手、フェッテルは11番手まで進出した。
ところが、4番手を走行していたリチャルドがPUトラブルで9週目にリタイアした後に出たVSC(バーチャル・セフティカー)の間にハミルトンが12周目に早めのタイヤ交換を敢行する。
これで、ハミルトンはもう1回タイヤ交換をしないとレースを走り切れない。
ハミルトンは走行距離の短いタイヤをフルに使って1回のピットストップ分のタイムを稼がざるを得ない。

この間に、名手ライコネンと最速フェルスタッペンの両者が、ドライビング技術の粋を尽くしてタイヤをもたせながら速く走って、トップ2のポジションをキープする。
54周目に、スーパーソフトタイヤが限界を迎え苦しむフェルスタッペンにハミルトンが襲い掛かり、いったんは前に出るが、フェルスタッペンが信じられないマシンコントロールで続くコーナーを制し、2番手の座を奪い返してゴールした。
優勝のライコネンから3位のハミルトンまで僅か2.3秒という見ごたえのあるレースだった。

次は、メキシコGPだ。
メキシコGPの開催されるロドリゲス・サーキットは長い直線と、多くの観客が集まるスタンドの間を縫うようにコースがレイアウトされたスタジアムセクションからなる。
標高2000mで空気が薄いことから、とりわけ、ターボ・チャージャーの性能がものをいう。
メルセデスはPU面で有利、レッドブルは空力マシンなので空気の薄いメキシコは不利かもしれない。
メキシコ人のペレスにとってはホームレース。情熱的なメキシカンの声援を受けて今年は好結果を出してほしい。

メキシコGPは、1位フェッテル、2位ハミルトン、3位ボッタス、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ペレス、7位リチャルド、8位オコン、9位ハートレー、10位ルクレールかな。

2018 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2018(17)2018.10.19

ハミルトンは日本GPを完全に制圧した。
メルセデスはボッタスも2位に入り、ロシアGPに続いてのワンツー・フィニッシュを決めた。
フェルスタッペンはボッタスをあと少しのところまで追い上げたが、抜くには至らず、3位でフィニッシュした。
4位には15番グリッドから追い上げたリチャルドが入った。

メルセデスは予選から強かった。
雨が降ったり止んだりの難しいコンディションの中、マシンが完璧に仕上がっていただけでなく、アタックに出る時のタイヤ・チョイスもタイミングも見事だった。
対するフェラーリは、シンガポール以来、マシンの仕上がりが今一つで、マシン・パフォーマンスがメルセデスに比べて劣っているのに加えて、レース・マネジメントもうまくいっていない。
Q3では路面と雨の状況を見誤り、フェッテルをインターミディエートで送り出してしまい、慌てて、スパ―ソフトでタイムを出そうとしたときは路面がぬれていたために、フェッテルは9番手のタイムしか出せなかった。
フェラーリは、メルセデスにマシンの総合力で大きく差をつけられていたために、思いのほかコースが濡れていた時にはメルセデスに勝てると踏んで、ギャンブルに出たのだ。
フェラーリの賭けは裏目に出てしまった。
ロシアGPで、非情にも、ボッタスに勝を譲らせてまでハミルトンとフェッテルのポイント差を広げておいたのが利いている。
フェラーリが、ギャンブルに出るしかないところまで追い込んでいたのだ。予選1番手から4番手までは、ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペン、ライコネンの順となった。
予選5番手から8番手は、グロージャン、ハートレー、ガスリー、オコンの順で続き、フェッテルは9番手だった。

決勝レースのスタートで3番グリッドのフェルスタッペンは、メルセデスの2車を出し抜くことができず、3番手のまま、ライコネンは4番手で続くが、フェッテルが早くも9番グリッドから5番手まで浮上してきた。
2周目のシケインでフェルスタッペンがライコネンをアウト側に押し出したため、フェッテルは4番手まで駒を進めることができた。
コース上のタイヤ粕を清掃するため、5周目に入ったセフティカーが引っ込んだ8周目のスプーンカーブで、フェッテルはフェルスタッペンのインに着けて抜こうとするが、接触して19番手まで後退してしまう。
その後も、フェッテルはあきらめずに前を追ったが、6位でゴールするのが精いっぱいだった。
これでハミルトンとフェッテルのポイント差は67に開いた。今シーズンは残り4戦しかない。

次は、アメリカGPだ。
アメリカGPの開催されるサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、アメリカに多いオーバルのハイスピードコースではなく、とてもテクニカルなコースだ。
路面のグリップもパーマネント・コースの中では低い方なので、マシン・セッティングがとても重要になる。
このコースであれば、レッドブルのマシンが実力を発揮することができる。
現在、残念ながらアメリカ人F1ドライバーはいないが、ハースチームにとっては母国レースとなる。隣国のメキシコからは、ペレスのファンが多く詰めかける。

アメリカGPは、1位フェッテル、2位リチャルド、3位フェルスタッペン、4位ライコネン、5位ガスリー、6位グロージャン、7位ペレス、8位オコン、9位ハートレー、10位サインツかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2018(16)2018.10.05

ハミルトンは、ボッタスから譲られて、ロシアGPの優勝を果たした。
この結果、ハミルトンは2018年のチャンピオンの座をほぼ確実にした。
しかし、いつも優勝を実力でもぎ取っているハミルトンと、チーム・オーダーに従って優勝を手放したボッタスにとって、あと味の悪いレースになった。
ボッタスがチャンピオン経験者であるか、今年のシンガポールGPまでの累積ポイントでハミルトンと拮抗していればチーム・オーダーは出なかった可能性が高い。
この後、チャンピオンが決まった後のレースにおいて、ハミルトンが勝っているレースでボッタスに優勝を譲ることがあったとしても、お互いに嬉しくないだろう。

チャンピオンシップをハミルトンと争うフェラーリ・フェッテルは、ロシアGPの予選時点からメルセデス勢の敵ではなかった。
ポールポジションを獲ったのはボッタスで、ハミルトンより0.145秒速かった。
フェッテルは予選3番手だったがボッタスに0.556秒もの差をつけられた。
これだけのパフォーマンス差があると決勝で挽回するのは難しい。

予選4番手はライコネン、レッドブルの2台は、PUをスペック2に乗せ換えたために最後尾グリッドへ降格させられることになっていたので、Q3はおろかQ2さえ走らなかった。
レースはスターティング・グリッドどおりの順位で始まり、14周目にピットインしたフェッテルが15周目にピットインしたハミルトンをアンダーカットすることに成功して、ハミルトンの前に出た。
しかし、16周目にハミルトンに抜き返されたフェッテルは、その後、ハミルトンに追いつくことはできなかった。
ハミルトン自身はボッタスの2秒後方まで迫るが、ボッタスを自力で抜き去るほどの速さはなかった。
24周目になって、ピットからボッタスにハミルトンを前にやるようにとの指示が飛び、ハミルトンは譲られた首位でチェッカーを受けることになった。

ロシアGPで最も目覚ましい活躍をしたのは、フェルスタッペンだった。
PU交換ペナルティによって19番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、僅か8周で5番手まで順位を上げ、メルセデスとフェラーリの4台に次ぐ5位でゴールした。

新PUルール施行5年目にしてようやくメルセデスの独走は止まるかに見えたが、シンガポールGP以降フェラーリのパフォーマンス停滞し始めたこともあり、今年のチャンピオンシップは急速に収束しつつある。
現行のフェラーリ・チームがもう少し作戦面でも長けていたら、フェッテルがチャンピオンに返り咲けたかもしれない。
現在の状況だと、ハミルトンが残り5レースの内2レースでリタイヤでもしない限り、フェッテルの逆転チャンピオンの芽はない。

次は、日本GPだ。可夢偉がF1を去って以来、日本人F1ドライバーはいないが、ホンダPUは存在する。
ホンダPUは今年のスペック3になって、ようやくルノーPUと肩を並べるか上回ることができたようだ。
鈴鹿はPU の差が出やすいコースだから、現状のホンダPUではメルセデスPU・フェラーリPUと勝負するまでにはいかないだろうが、シャシー、セッティング、タイヤの使い方次第では、面白い戦いを見せることが可能になった。

フェラーリは直近の2戦で足踏みしているが、なぜか、ホンダのホームグラウンドである鈴鹿では強い。
フェラーリのホンダに対する敬意の表れだろうか。生前のエンツォ・フェラーリは、フェラーリと同じように自らエンジンとシャシーを全て作ってF1に挑戦する本田宗一郎をF1のライバルとして認めていたといわれる。

今年の日本GPは、またしても台風に翻弄されそうだ。
天気予報によると、決勝日は台風の影響があまりなくなるが、予選の行われる土曜日が最も影響を受けることになりそうだ。
現在の空力F1マシンは、雨が降らなくても強風にあおられると挙動が不安定になることは必至だ。
となると、極端に空力を責めていないメルセデスに有利になる可能性が強い。
それでも、フェッテルはハミルトンより鈴鹿をうまく走れるし、フェルスタッペンの速さはマシンの実力を上回る。
この二人が、チャンピオンシップはまだ終わっていないと証明してくれることを期待しよう。

日本GPは、1位フェッテル、2位フェルスタッペン、3位ライコネン、4位リチャルド、5位ガスリー、6位ルクレール、7位ペレス、8位オコン、9位ハートレー、10位マグネッセンかな。

2018 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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