ブラジルGPは、フェルスタッペンが完勝した。
ブラジルGPでは、予選から決勝レースのすべてのシーンにおいて、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダのマシン、そしてレッドブル・チームは最強であり最速であった。
フェルスタッペンは、今季、これまでに2勝しているが、これほど完璧なレースではなかった。
ガスリーは、F1キャリアでのベストレースを2位表彰台で締めくくった。
サインツは、最後尾からスタートしながら、序盤でできるだけ順位を上げながらもソフトタイヤを28周持たせ、ワンストップ作戦を成功させたのが功を奏して、最後に3位の座が転がり込んだ。
あきらめないで、きちんとしたレースをしていれば、こうゆうこともある。
もっとも、マクラーレンのマシンが中盤グループのトップを走る実力があってのはなしだが。
今回、唯一、フェルスタッペンにチャレンジしたのは、ワールド・チャンピオンのハミルトンだった。
ハミルトンは、予選でポールポジションを獲ったフェルスタッペンから0.191秒遅れの3番手タイムだった。
コース全長が短いインテルラゴスでこのタイム差は、長いコースでの0.4秒に匹敵する。
しかも、メルセデスのマシンは高地に弱いので、高地に強いレッドブル・ホンダに本番レースでついていくのは容易ではない。
ハミルトンは、それを承知のうえで、ブラジルGPの支配者であるフェルスタッペンに対して、果敢な戦いを挑んだのだ。
ハミルトンは、スタート直後にフェッテルを抜いて2番手に進出し、早々とトップのフェルスタッペンを追撃できる体制を整えた。
そして、2秒前後の距離を保ってフェルスタッペンに離されないようについていった。
今のF1は、決勝レースを戦い抜くうえで、空気の流れ(物理的な!)が大きな要素を持っている。
先行車の真後ろに着くとPUの冷却もタイヤの冷却(!)も辛くなる。
そのため、後続車は先行車から2秒(100mぐらい)離れて走らないといけない。
トップから2秒以内にいれば、ピットインのタイミングや相手にミスで、いつでも逆転することが可能になる。
ハミルトンは、序盤にこれをきっちりと実行し、最初のピットインのタイミングでクビサの助けを借りたがフェルスタッペンの前に出ることに成功した。
しかし、次の周のストレート終わりでフェルスタッペンのレッドブル・ホンダにあっさりと交わされてしまう。
これまで、トップを独走することの多かったハミルトン・メルセデスにとっては信じられない光景だ。
それでも、ハミルトンは41周目にタイヤを交換した後も、フェルスタッペンから離されないように必死に食らいついていった。
52周目に6番手を走行していたボッタスのメルセデスPUが音をあげてストップし、セフティカーが入った。
ここで、トップのフェルスタッペンはピットインしてソフトタイヤに履き替えて勝負に出る。
同じことをしていては前に出れないハミルトンはステイ・アウトしてトップの座を得る。
しかし、せっかくの戦術もむなしく、またも、セフティカーあけにフェルスタッペンに抜かれてしまった。
それでも、ハミルトンはあきらめなかった。
フェラーリ2台が3番手を狙って同士討ちしたために出たセフティーカーの間に、ソフトタイヤに履き替える。
ところが、その間にステイ・アウトして2番手になったアルボンを無理に抜こうとして接触して、3番手に落ちたが、それでも、追撃の手を緩めない。
ファイナルラップの最終コーナーで2番手となったガスリーにインサイドから迫るが、ホンダPUのパワーで逃げ切られ、半車身差で3番手となった。
それでも、ハミルトンはゴールラインを横切るまで戦いの手を緩めなかった。
その後、ハミルトンは、アルボンとの接触の責任を認めたため、5秒ペナルティ加算で7位扱いとなった。
ハミルトンは、今年のブラジルGPにおいて、間違いなく、優勝を目指して最も戦ったF1ドライバート言えるだろう。
ハミルトンにとって、この日は、F1ドライバーとして最もレーシングした一日だったのではないだろうか。
ついに、今シーズンも最終戦アブダビGPだ。
ヤス・マリーナ・サーキットは、最近の人工的なサーキットの中ではテクニカルな要素が多いコースだ。
直角ターンの多いのが特徴の一つで、それらをどうつないで速いタイムを出すかでドライバーの技量とマシン・セッティングの巧さが問われる。
これまでは、レッドブルが得意とするタイプのコースだったが、今年は低速コーナーで速いメルセデスに最も適したコースかもしれない。
各車、エンジンを持たせる必要がないからフルスロットルだ。
アブダビGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位アルボン、5位ルクレール、6位ガスリー、7位ノリス、8位ボッタス、9位リチャルド、10位ヒュルケンベルグかな。
2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved
POSTED BY:
YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
このページのトラックバックURL
トラックバック一覧
このページへのコメント一覧
コメントを投稿
(初めて投稿される方のコメントは管理者の承認が必要となります。ご了承ください。)